保安官 - みる会図書館


検索対象: 警部マクロード 殺し
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1. 警部マクロード 殺し

「あたしを満足させるには、一ポンドではだめよ、保安官さま」 彼はするりとソファーに腰をおろし、彼女のとなりにすりよった。 「しいことを教えてやろうか。きみたちニューヨーク女は堕落してるよ。きみたちにはもう希 望というものはないんだ」 「そうなのよ、ニューメキシコの保安官さま。その大きな六連発をほうりだして、わたしをこ の悲惨から救いだしてー 分別臭くサム・マクロード保安官は拳銃をぬいた。ちょっとそれをながめていたが、部屋の 向う側の肘掛椅子にほうりこむ。 「さーて、これでおたがい、平等の勝負をはじめられるんだな」 サム・マクロードは、つこ。 230

2. 警部マクロード 殺し

「まあ聞け、計画を立てるのはわたしだぞ。いつやるかは、わたしがきめる」 「今夜やるんだ。すべては、さっと襲って逃げ、二度と舞いもどらないというところにかかっ てるんだ」 「刑務所に行きたいのか ? 「ぐずぐず引き伸ばしてたら、そういうことになるだろう。なぜなんだ。何があったんだい ? - 「別にひっくり返えすようなことは何もないんだ。ただ、田舎保安官が嗅ぎまわってるんでな。 だが、すぐにそいつも : 「新聞に出てたやっか ? 」ヴァ 1 ジルが口をはさんだ。 「そいつだ」 「そんなの、始末しちまおうやー 「一一度とそういうことをいうな、こんどいったら、お前ははずしちまうぞ。最初にこの仕事に いれてやったときのように、あっさりとな 「なあ、今夜やろうよ、保安官なんていようがいまいが、かまうもんか」 「いかんといったんだそ」ジェンキンズは怒った。 「だけど、何の理由もなしにだぜ。あんた自身、別に計画がひっくりかえるようなことは何も ないといってたじゃないか。たかが田舎保安官が嗅ぎまわってるだけで」 189

3. 警部マクロード 殺し

「マック、みんなはあの人を保安官と呼んでたわね ? 」 「保安官だからさ。さあ、コーヒーでも・・・・・こ 「そうだ、あの人はこっちの市警に何かのために配属された人だわ : : : 」 「研修のためだ。警部待遇でね」 「出身は西部のどこかね。ネバダだった ? ネバダ州のショーホーンでしょ ? 」 「ニュ 1 メキシコのタオスだよ。さあ、行こうや 「あの人の名前は : : : えーと、待って、いわないで」 「何だい、 ( イイ・ゲームか ? ようし、ベルが鳴るまで三秒ありますよ : : : ・フーツ、残念 でした。その人の名はマクロードでした。サム・マクロード保安官でした」 「サム・マクロードね 「そうだよ。こんどは何だい ? 彼の靴のサイズかい ? あの帽子をどこで買ったかという質 問か ? そういえば、おれもあの帽子はどこで買ったのか知りたいな 「マック、、、 ししこと教えてあげようか ? 「知りたいことは山ほどあるさ。もし何か教えてくれるなら、今夜ここにいる市警の連中を出 しぬけることになるぞ。サム、連中もいろいろ話のたねは持ってるが、おれたちに話してくれ ないことも山ほどある。なぜだかわかるかい ? おれたちに話しようがないからだ。連中の顔

4. 警部マクロード 殺し

「あんた、泥棒 ? 」 「警察ですよー 「警察の人には見えないわ。警官を呼んでるんだけど : : : 」 「ほらマクロードは・、ツジを見せた。 婆さんは笑顔になった。 「ああ、そういうことなら話は別だわ。そうでしょ ? ちょっと待ってくださいよー そそくさと鎖をはずし、ドアを大きくあける。 「あんたは警視 ? それとも巡査部長 ? 警部 ? その服では見当がっかないわ」 マクロードは自分の着ているものを見た。 「本当は保安官なんですが、警部待遇でこっちに : : これは自分できめた服ですよ」 「保安官 ! すばらしいわ。とにかく、どうぞはいってください。六回も電話したけど、 だにだれもよこしてくれないんですよ。お話ししたいことがあるんですよ こいつはまた、こういう一日にふさわしい完璧の結末だ。マクロードは腹のなかでつぶやい たが、ロに出しては、「何かあったんですか ? 」と尋ねた。 乱れた白髪頭で、よれよれの部屋着から細い足が一一本出ている。骨と皮だけで青い血管がは め絵パズルのように浮かんでいる足。

5. 警部マクロード 殺し

ライトバンが歩道のヘりによってくる。 ヴァージルは手に拳銃を持っていた。拳銃をふってライトバンを示す。 「乗れ」 マクロードは反射的にヴァージルにとびかかり、つかまえて向うに向きなおらせる。だしぬ けにヴァージルの帽子とかつらが脱げて、いやに若い男だということがわかった。 しかし、一対一の戦いではなかった。ほかのどこかから、散弾銃を突き出してもうひとりの 男が現われ、マクロードに狙いをつける。ほかでも銃声が聞えて、エルロイ。ジェンキンズが 道路にうずくまった。 がいって、その上にかがこんだ。 「エルロイ ! 」マクロード ジェンキンズは怪我をしたらしい 「すまんな、またしても、保安官。こんなつもりはなかったんだ。本当だよー マクロードは、ふたりの上に立ちはだかっているヴァージルを見上げた。 がすごみを見せていった。 「坊主ども、お遊びはもうおしまいだ」マクロ 1 ド 「保安官、そいつはそっちのことだぜ」ヴァージルはいう。「こっちは、まだはじめたばかり 彼はほかの仲間を手招きして、ジェンキンズをライトバンのうしろに運びこんだ。 208

6. 警部マクロード 殺し

熱心な記者たちが渦巻く市警の控え室では、グローヴァーが両手を上げてみんなを静かにさ せようとしていた。 「紳士諸君、聞いてください : : : 」 彼が叫ぶと、かん高い声がまぜっ返す。 「あたしは紳士じゃないわー グローヴァーはす、に引っカカた 「紳士ならびに淑女諸君、聞いてください。ファースト信託銀行の今日の午後の強盗事件につ いては、何も発表はありません。明朝九時に、皆さんのために声明を用意します」 どっと非難の声が返ってきた。 「それだけです、諸君」 ちやか グローヴァーゞ、 力しうと、またかん高い声が茶化す。 「あたしは紳士じゃないってば ! 」 「それだけです、紳士ならびに淑女諸君。理由は保安上のためとしかいえません。どうもご苦 労さまでした」 「保安上の理由だとーマック・ファーギソンが唸るようにいった。「四〇二番街で新米巡査が 4

7. 警部マクロード 殺し

「動いたら命はないぞ」 サム・マクロードは真剣だった。コルト・四五口径をびたりと相手につきつけ、目を細くし て無表情なすごみを見せるーー若くて老けた顔 , ーーニ = ー ・メキシコの顔だ。唇を動かさない、 きびきびした口調。 着ているものもそれにふさわしい、羊の毛皮の上着、カウポーイ・ , 、ツトはみ、いと目休に「ワ き下げている。 連邦保安官サム・マクロードは、ニュ ー・メキシコから、このニ = ーヨーク市警に研修のため に配属された、警部待遇の特別捜査官なのだった。 どこか納得がいかないらしく、マクロードはもう一度やってみる。 第一章銀行ギャング

8. 警部マクロード 殺し

クリフォード部長は新聞を声を出して読んでいた。その声には、しなびたたまねぎのような ひびきがある。 「ニ = ーヨーク市警があらたに任命した特設自警隊の指揮官サム・マクロード保安官の言葉に よると、 ッチ・キャシディの息子とそのマンハッタン・ギャング団は早期におそらく二十四 時間以内に逮捕される見こみー クリフォードは椅子から立ち上って、新聞をその手から床に落した。 その前には、ジョ ・プロードハーストとグローヴァーが控えていた。 バッチ 「罰当たりのバッチ・キャシディのガキか ! 」クリフォードは信じられないようにいった。 「・フロードハースト : : ・・ 「はい部長ジョー・。フロード、ー / ストがあわてていう。「あたしはこんなことは、知りませ んよ」 「ウォーターゲイトでも、みんなそういってたぞ ! , クリフォードはどなった。・フロードハ ストはロを開きかけたが、部長が手をふってそれを封じてしまう。 ー 82

9. 警部マクロード 殺し

「あの連中 ? 」 マクロードはうつろに応答しながら、腹のなかでまた考えを改めた。やつばり、こんな日に ふさわしい最後が近づいているのだ。 「地獄の台所解放軍ですよ。秘密組織で、狙、よこど 「地獄の台所解放軍 ? 聞いたことがないな」 「もちろんですよ。だから秘密の組織だといったでしよ。あんたたちの耳にはいったら、秘密 でも何でもなくなってしまうでしょ ? はいってください、保安官さん」 「クリフォード部長、わたしはがっかりしましたよ。まったく、恐ろしく落胆しました」 クレイトン・ギリス氏がいった。 「わかってますよ」 クリフォードも力なく応じた。 「部長、あんたの部下が、あんたの計画で、あんたの見ている前でやっていたんですよ。こん どのことでは、。フリンクマン警備保障会社に何も責任がないことは、はっきりしていると思い ますね」 「そうでしようかな ? 」

10. 警部マクロード 殺し

「見のがしている ? 」 「そう。問題はまたコンビ = ーターのことになるが、この機械とわしらが知っていた生活との 遠いだ。それがぐるぐると堂々めぐりになるのがわかるかね ? コンビ、ーターなんかを夢に 見て、どうなると思う ? 」 マクロードはうなずいていった。 「よかろう、エルロイ。あんたのしたいようにさせよう。このまま、 行くだけだ」 「とにかく、機械から離れるんだね ? 」 「そう、機械から離れられる。手錠もなしでな。コートをとってこいよ。行こうー ふたりは心から理解しあったように、顔を見あわせた。 ルロイ。ジェンキンズが小部屋に行って、壁の釘からコートをとり、着こんだ。 「さあ、用意はできた」 ふたりはいっしょに出て行く。 外は暗くなりかけていた。 「そこを動くな、保安官ーどこからともなく声がかかった すっかり西部劇の服装をしたヴァージルが立っていた。 っしょにここから出て 207