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検索対象: 警部マクロード 殺し
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1. 警部マクロード 殺し

「へえ、刑事たちもくさったろうな」どもりの癖はすっかり消えていた。 マクロードの顔を見て、ぎよっとしたよ、フになる。 「す、すいません、し、しらなかったもんで」 「この番号に電話しといてくれ。電話に出た女の人に、この伝言を伝えて、いずれ連絡すると いっておいてくれ」 「はい、そ、そうします。き、きをつけて。う、うまくいくよう願ってます サム・マクロードはただひとりで、公園のべンチの前の遊歩道を行ったり来たりしていた。 ここに来てから、どのくらいになるだろう ? 時計を見ると、もう一時間近くになる。いまま でのところ、彼が会ったのは小さな大を散歩させている大柄な男だけだった。その男が、いま また反対側から来て、すれ違った。こんども大がマクロードのほうに向って吠えた。大男はけ げんそうに彼を見た。少くとも大をつれた男なら、夜の公園を歩くのもわかる。だが、この男 は何をしてるんだろうと、彼をながめたのだ。こそこそと、ひとりばっちで、こんなとこに何 の用があるんだ ? その男は警察に知らせるかもしれないそと、マクロードはひとりつぶやいて、また時計を見

2. 警部マクロード 殺し

実際には車を止めたのは路地のなかだった。 。フロードハーストがライトバンを止め、時計をのぞいていった。 「さあ、ここだな」 サム・マクロードがうなずいていう。 「どうした ? 「何が ? 」 「おれが生まれてはじめて銀行強盗をやるのに、成功を祈ってはくれないのか ? 」 「ああ、忘れてた。勘弁してくれよ、サム。うまく盗んどいで。言葉づかいに気をつけて、お 夕食に遅れないようにするんですよ 「そら行け」 マクロードは陽気にいうと、車からおりて表通りに向い、銀行に向った。 ・フロードハーストはライト。ハンの向いている、路地の出口のほうに行くマクロードを見送っ いたが、おかげでサイド・ミラーには目を向けなかったし、もう一台のライトバンが路地の

3. 警部マクロード 殺し

「部長のためにも、この計画はうまくやらなければならないんだ。何もかもテレビに写ってる ことを忘れるな」 「道をまちがえろといったのはわたしじゃありませんよー かいっていた。 ライト、、ハンのなかではマクロード・ 「余計な口出しはしたくないが、お前たちは市からまっすぐ出られる高速から離れないほうが 「いまさら手遅れさ。そこに横丁があるな」ポスのヴァージルの声がうしろからいった。 運転していたプロード ( ーストが、「あるよ , といった。 「はいれヴァージレが、 「その路地にかい ? 「そうだ」 警察のヘリでは、操縦している男が報告した。 「向うは路地にはいります。これは聞いてませんよ。〈リが降りられるところまで、まっすぐ 大通りを逃げることになってたはずですよ」 カマイクに・回ってい , フ パトカーのなかではグローヴァーゞ 「四一一より本部へ、計画に異状あり。全員待機」運転手に向きなおっていう。「〈リから何

4. 警部マクロード 殺し

「もちろんですよ。何もないのに、どうして夜の夜中にお巡りさんと話ししたがります ? 」 これはたしかに一理あることだった。 マクロードは考えなおして、礼儀正しくいった。 「困っている人の力になるのが、警察の第一の仕事ですからね」 「だったら、はいってくれたほうがいいですわ。コーヒーでもいれますよ。問題は、通りの向 いの歯医者なんですよー マクロードは戸口で尻ごみしていた。 「通りの向いの歯医者 ? 」 「そういうこと。あいつは歯医者なんかじゃないんですよ。そう、石板は歯医者になってるし、 患者や何かを集めて、それらしい動きはしてますよ。でも、それが第一の目的じゃないんです。 あいつの第一の狙いは、わたしの脳を支配することなんですよ」 「あなたの脳を支配する ? 」 「そのとおり」 「しかし、どうやって ? 」 「もちろん、 >< 線の機械でですよ。 x 線が向うの窓から通りを越してうちの窓に来て、この部 屋に来るんですよ。あいつは、あたしをあの連中のひとりにしてしまうつもりなんですよ」

5. 警部マクロード 殺し

「本当か ? 」 「本当さ。さあ、支度よ、 しし、力し 2 ・」 「とにかく、あわてて得するためしはないぜー マクロードはいって、拳銃をベルトに突っこむと、帽子をかぶりなおした。 「もっとうまくできそうだと思うなら、もう少し稽古するぜ 「いや、もうたくさんだ」 「おれの故郷では、稽古が完全を作るというがね [ 「あんたの故郷の連中も、この = = ーヨークの連中とご同様に、それなりに狂ってるよ。両方 あわせりや、だれもが気違いということさ。いっかこういうご時勢が来ると、お袋がいってた つけ いや、考えてみると、お袋もこんなご時勢になるとはいってなかった」 「そういう考えはやめろよ。第一、気持が集中できなくなる。どうだい ? 」 「やつばり、おたがいみんな狂っちまってるようだよ [ ふたりは戸口に向った。マクロードがしう 「これも警察の仕事のうちと考えるんだよー 「これも警察の仕事だって ? マクロードはドアをあけながらいった。

6. 警部マクロード 殺し

んだな」 「それで、何があったの ? だれの失敗なの ? 」 「正直いって、わからん。ただわかっていることは、ニ = ーヨークの腕きき刑事ふたりが、自 分たちのライトバンのなかで手錠でつなぎあわされていたってことだ。マン ( ッタンのその場 所は、いくら金をくれても、いますぐその場に行くことはできないだろうね」 もう夜になっていたし、クリフォード部長の部屋では、部長は窓ぎわに立って、ニ = ーヨー クの市の稜線をながめていた。とはいっても、その部屋からは大した眺望が得られるわけでは カ書類キャビネットによりかかって、ときどきそっとふ 部屋のいつばうではグローヴァー・、、 たりの客のほうに目を向けている。もっとも、客といえるかどうか、ふたりともクリフォード のデスクに向って小さくなって坐っているのだった。 ふたりはマクロードとプロード ( ーストーーーーしょんばりしていた。たとえ何であろうと、歴 こ 1 」と 史に残るようにひどい叱言の山だろうと、この沈黙よりはましだったろう。 クリフォード部長が咳払いした。 「はい、プロードハーストが希望をこめて口を開く。

7. 警部マクロード 殺し

マクロードもそのあとから追い立てられて乗りこんだ。 いま、ドアが・ハタンとしまり、ライト・ハンは走り出す。後部ではマクロードとジェンキンズ が縛られていた。車がどっちに向っているのか見当がっかなかったし、ちょっと走ってから、 車は車庫にはいった。大きなディーゼル・トラックともう一台のライト・ハンがあって、それに はニューヨーク市公共事業局のしるしがついていた。 いま、カウポーイのふたりがライト・ハンからおりて、車庫のなかで待っていた四頭の鞍を置 いた馬のほうに行く。ギャングの五人目の男が、市の職員の上っ張りを着て、そのあとにつづ ヴァージルは最初のライトバンの配電コードをむしり取り、ガソリンのカンを取り上げてま わりにまきはじめた。 彼はジェンキンズを見おろしていった。 「爺さん、いろいろとありがとよ。お前さんなしでは、おれたちにはできなかったからな」 マクロードは顔を上げて、ジェンキンズのほうに頭をふっていった。 「この爺さんには手当てが必要だぞ。出血多量で死んじまうぞー 「あいにくこっちには、ほかに計画があるんでな」ヴァージルはいった。「今夜は最後の仕事 だ。二百五十万ドルだ。それだけあれは、引退して悠々と遊んで暮せるせ。そう思わないか ? 」

8. 警部マクロード 殺し

「四十八番街の・ハ ーベキュー屋で会いましよう。あんたがとても気にいってた店よ 「たしかに、きみに会えたらいいとは思うんだが 「そうでしよ、何時にする ? 「そうだなあ、いますぐでも出られる。そういえば、腹がへってるんだ」 「すてき、そっちが先についたとしても、長くは待たせないわよ。あたしも何か羽織るだけで いいんだから」 「こっちは、身支度すっかり整っているんだ」 「狩りの身支度 ? 「いいようによればね 受話器を置くと、彼は鏡の前に行った。 「動くな、命はないぞー鏡に向っていうと、しょんばりとうなずく。「糞ツ、今朝の稽古のと おりになりやがった」 そこで部屋を出て、ロビーにおりる。 カウンターの奥のフロント係が声をかけた。 「保安官、ちょっと待ってくださいー マクロード が引っ返すと、封筒を渡してよこした。 はお

9. 警部マクロード 殺し

「それがいま、帰れる見こもなくなったようだな。そうだろ、保安官 ? 」 っしょに ( 行か 「いくつか問題があるな」サム・マクロードはいった。「向うまで、わたしがい なければならなくなった」 「そうだ、あんたになら、ひとつわたしのためにやってくれられることがあるのが、わかって もらえるかもしれない 「できることなら、やろう」 「なあ、わたしはここんとこ調子が悪くてーー体の調子ではないよーーーそれに、近ごろの事件 のせいというわけでもないんだ。だから、あんたが来たからといって、別にどうということは なかった。どうせここはやめるつもりだった。ただ、それでもひとつ、あんたがきれいなやり 方をしてくれれば、助かるんだがね」 「できることなら、そうしよう 「この部屋で決着をつけないでもらいたいんだ、このいまいましい機械の前でな」ジェンキン ズはいった。「昻然と頭を上げて、この部屋から出て行かしてもらいたい。手錠なんかかけら れなくても、い っしょに市警本部に行くよ」 マクロードはちょっと考えていた。 「この機械のことを話そう。聞きたいだろ ? わたしは、夜中にこいつの夢を見るんだよ。こ ネ 03

10. 警部マクロード 殺し

「あら、待ちばうけにはあたしも本当に馴れつこになってきてるわ。こんどあのバ 屋に行くころは、向うはあたしたちの顔を忘れちまってるでしようよ」 「とにかく、忘れられてもどうということはないさ」 「でも、こっちも何を注文したらいいか忘れちまうわよ。それに、まずいこともあるわ 彼は笑顔でドーナを見おろした。彼女も軟化していた。いま、彼女を引きよせる。 「そうそう、いい子だ彼は心をこめていった。 だしぬけに彼女が堅くなってあとにさがる。 「マクロード、ど、つい , フことっ・」 彼は顔を上げた。 「あたし、香水の匂いがしてる ? 彼女はいった。 「ああ、これか。これなら説明がつく 「ゆうべも説明がつくといってたわ 「ゆうべとは全然違うことなんだよ」 ってごらんなさい、その列車は″マイ・スインみをたいて走ってるの ? 「匂いは同じよ。い それともディーゼル・オイル ? 」 「どっちでもない。電動だよ」