「これはただのセイバールートではない。 この作家は Fate のすべてを盛り込むつもりだ」 そう気付いたのは連載開始してから一年が過 ぎた時だった。 メディアミックスであれば鮮度が命となる。与え られたオーダーを、その作家が良しとする範疇 で一年ないし二年で表現しきるのが一般的な 手法だろう。 けれど、西脇だっとはその道を選ばなかった。セ イバールートでありながら、すべての登場人物、 伏線に自分なりの意味づけ、責任をとる道を選 んだ。掲載する雑誌媒体に合わせて、より迫力 のある絵柄、表現を鍛え上げていった。言うま でもなく、そのルートはあまりにも過酷である。 「ゲーム本編での楽しみをとっておくため、 漫画化するのはセイバールートだけにとどめ てください」 TYPE ー MOON 側からのオーダーはそれだけ だった。 彼はそのオーダーに逸脱する事なく、しかし、 fFate/stay night 』のあらゆる要素を拾い上 げてくれた。コミカライズにおいて、これほどの 信念と情熱をかけてもらえた作品は稀だろう。 2004 年、一月。今は遠く過ぎ去ったゲーム版『 F ate/stay night 』の誕生から八年。この物語 が違う媒体で最高の最終回を迎えた事が、今 は嬉しくて仕方がない。 fFate/stay night 』は見事に描ききられた。 西脇先生、七年間もの長期連載、お疲れさま & ありがとうございました ! 奈須きのこ