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検索対象: 日本型マネジメントで大発展!
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1. 日本型マネジメントで大発展!

『古事記』の中に、天照大御神が弟神の須佐之男命の乱暴に怒り、天の岩戸に たかまがはら 隠れてしまったという、いわゆる「岩戸開き神話」が登場する。そのとき高天原 の神々は、皆で集まって、どうしたらいいだろうと解決策を話し合った。その結 果、良いアイデアが浮かび、神々が一致協力して計画を実行したため、無事に天 照大御神は岩戸の中から姿を現すのである。 つまりこれが、「衆知を集める」ということなのだ。日本では、神代の昔から 神々もこれを良しとしていたのである。 論何か問題が起きたとき、西洋の場合は各自が自分で考えて、「私はこう思う」 ダ ということを主張する。それに対して日本人の場合はどうかと言えば、ちょっと 身の周りを観察したらすぐわかる。何かあれば、すぐに皆で集まって、ああでも ぶ 学 ない、こうでもないと、話し合いを始めるのである。それも、問題が起きてから 神 精時間を置かず、すぐに寄り合いが開かれる。 これはもう、天の岩戸開き以来の、先祖から伝わる伝統的な習慣である。松下 和 さんが「衆知を集める。というのを、日本文化の特色の最初に置いたのは、先祖 章 第伝来の本能的な日本人的メンタリティを、氏がいかに豊富に受け継いでいるかを ノイ 5

2. 日本型マネジメントで大発展!

第五章日本型経営論実践篇 その役に徹することも要求されるのである。 最初から性格が悪くない人は努力が必要だ。税理士さんをバカだと思う努力、 会計士さんはマヌケだと思う努力。弁理士さんは愚かで、弁護士さんに至っては、 大バカ、トンチキのお調子野郎と思ったほうがいい。ただし、軽蔑しろというの ではないので、そのつもりで。 もちろんはじめは専門知識を吸収する。勉強させていただくことは必要だ。し かし、経営者たるもの、それを追い越すぐらいの知識を持たなければならない。 「弁護士さん、こういうような論理はどうでしよ、つ。こういうふ、つに持っていっ たらいいんじゃないんでしよ、つか , と経営者のほうからどんどんアイデアを出していって、どちらが弁護士か分か らないくらいの論議ができるようにならなければ、専門家を使いこなしていると は言えない 自分の意見をしつかりと持って、丁々発止とやりあうような関係が、専門家の 先生方と経営者の麗しい関係である。 「こんな考え思いっきませんでした」

3. 日本型マネジメントで大発展!

確かにある。 しかし、売上もなければ利益もないのに、はじめから資金繰りが一番というの は、どう考えてもおかしい。だから、経営者はます何を考えなければならないか と言ったら、販売であり営業なのである。 小さな会社の場合は、経営者自らが販売の先頭に立っことが必要だろう。その ときは、猿田彦のように面を付け替え、突撃隊の切り込み隊長のごとくなる必要 がある。鬼のような積極性を出して、とにかく売る。売って、売って、売りまく ることである。 篇 開発は取締役をひきずり出せ 践 実 論 売上をあげるためには、販路を拡大することが大切である。それには、とにか 経 本く、「ここだー と思うところへ真っ正面から飛び込んで行くことだ。そのとき、 いちいち担当の窓口を通すことなどない 章 五 第 とにかく取締役以下には会わないこと。はじめから、取締役仕入部長のような

4. 日本型マネジメントで大発展!

第五章日本型経営論実践篇 その間に、株を現金に換えたり、土地を担保に入れたり、危い橋だけは渡って はいけないが、 できる限りの方法で資金を調達すればいいのだ。 税金はきちんと払おう 猿田彦式実戦経営術の五番目は、税金対策ということになるわけだが、税務署 というのは小手先のテクニックで何とかなるところではない。経営者の考える方 法をあらゆる角度から分析して、一つポロを発見すれば、徹底的に突っ込んでく る。 たくさん税金を払うということは、それだけ儲かっているということだから喜 ぶべきことだと私は思っていた。 「どうかたくさん税金を払えるような会社にしてくださいー と神様に発願をして、実際そうなることができた。 ありがたいことである。ありがたいことではあるが困ったこともある。税務署 から見れば、会社というのは税金を払うためにあるのかも知れないが、経営者に 789

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「子さんは一番の古株で、何かと仕切りたがるが、人望がないー 「 0 さんはふだんは明るいが、失敗するとすぐにめげる とい、つ具合だ。 中小企業はチグハグな人間が集まって、お互いの欠点をカバ 1 し合いながら肩 を寄せ合ってやっていくものなのだ。経営者たるものそれを包括するだけの心を 持たなければならない。不満が先に立ってしまうと、これが辛抱できないのだ。 だから、息子さんや娘さんに後を継がそうと思うなら、いきなり自分の会社で 働かせて仕事を覚えさせるのではなく、奉公に出すつもりで、どこかよその会社 。人の上に立つには、下で働く人 で三年くらいみっちりと勉強させたほうがいい 篇間の気持ちを知らなければならない。そうでないと一生涯従業員に不満を持った 実 まま会社を経営することになる。従業員にとっても経営者にとっても、これほど 論 経不幸なことはないだろう。 本人間というのは、急に大きく立派にはならない。土光敏夫も松下幸之助も、み んな悩んで大きくなったのだ。仕事に対する自覚やそれに必要な物の考え方、そ 章 第して何より与えられたものに対する感謝の心というのは、苦労を重ね葛藤を経る 783

6. 日本型マネジメントで大発展!

うとしているから、これも一即多であると言えるだろう。 びしけん 三つ目は多神教である。私が所長を務めている菱研 ( 経営コンサルティング会 社 ) で、『歴史の終わり』などの名著で知られるフランシス・フクヤマ先生をシ ンポジウムにお招きした折り、 「タオイズム ( 道教 ) と神道はどう違うんだ。よく似ているじゃないかー という質問を受けたことがあった。私がかって副会長を務めていた神道国際学 想会のロンドン大学でシンポジウムを開いた時も同じことを聞かれた。 道教と神道の違いはどこかというと、天という一つの概念で全てを説明してい 七 こうというのが道教である。これはきわめて中国的な発想であり、儒教でも老荘 る 収思想でも天の思想がもとになっている。 を 天を統括しているのは、天の天帝。北極星がそうだと言われている。それがオ 智 1 ルマイティな概念として働いていく。したがって道教は一即多的な思想なので る ゅ らある。 たかあまはら あ 日本の神道の場合はそうではない。「天。という概念に近い「高天原」も、「中 章 ねかたすくに よみ 第津国」や「黄泉の国、や「根の堅州国」などと考えられた所と相対的にとらえら 7 5

7. 日本型マネジメントで大発展!

天畠は本家、国民は分家 こういった、ミコトモチを生かす考え方は、天皇から国民を見たときも同じで ある。オオミコトモチである天皇は、ミコトモチである国民それぞれの働きの中 に、神性を見出して尊いと感じる。だからこそ、天皇は自分の存在は国民と共に ある、と思っておられる。 そしてまた、天皇がそうであるように、国民もまた浸すべからざるものを持っ ているからこそ、天皇は国民の一人ひとりを尊敬する。だからこそ、日本の天皇 は城の中に住むことなく、国民と地続きの御所の中にずっといらしたのである。 みんな仲良く行こうというのが、天皇のお考えなのだ。 面白いことに、武士の時代である鎌倉時代でも室町時代でも江戸時代でも、天 皇は廃されなかった。源頼朝は初めて日本を全国的に平定した武士だが、天皇家 は天皇家として殺すことなくちゃんと尊重している。いったいなぜだろうか。 十二世紀に一時、日本は源平の派閥に二分されたことがある。実際には、源氏 と、平氏と、藤原氏と、橘氏などの四つ巴からなる勢力争いなのだが、大きく分

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一般の日本経済論とはまた違った形で、より深い理解が生まれると思うのである。 日本経済の特徴は七福神の思想 では、どんな形で神道的フィーリングが日本経済に影響を与えているのか、具 体的に述べていこう。難しい話を始めたらきりがないが、最も基本的な部分をわ かりやすく一言うなら、ますは七福神の思想である。これについては、別の機会に 想 襯さらに詳しく説明するつもりだが、日本経済を語るためには欠かせない要素なの 七 で、この本でも触れさせていただく。 る す 収 七福神は家運隆昌、商売繁盛の縁起物として、置物になったり、絵に描かれた 吸 を りして今も庶民に愛され続けているので、知らない人はいないだろう。七人の福 智 の神が一艘の宝の船に乗り込んで、みんな楽しそうに笑っている。そして、私た る らちに七つの恵みを運んでくださるのだ。 それが経済とどう関係あるのかを述べる前に、まず七人の福の神をお一人ずつ 章 第紹介しよう。

9. 日本型マネジメントで大発展!

ネルギ 1 を体一杯にみなぎらせていくことだ。 つまりここから、禊ぎ祓いの思想が出て来る。禊ぎを行って穢れを祓い、清々 しい気を取り戻して、やる気と元気を奮い立たせるのである。 神道では、この穢れということをいちばん嫌うので、気を枯らさないように、 いつも明るく、元気で、エネルギッシュにいくことを奨励する。これが神道の尊 いところだと思う。とにかく、何があっても生成化育発展していくことがもっと 神 の もしいことなのだ。 かんなんしんく 主 国 日本人で感心するのよ、、 ーしろんな艱難辛苦を経ながらも、それを超えてなおか 大 っ気を枯らすことなく、大和魂と根性で生成化育発展していくことである。 え 越 私がいつも思い出すのは、大国主命の神話だ。共謀した兄弟たちに殺され、母 乗 を親のおかげでまた蘇ったり、ハチの室や蛇の中に入れられてもうダメだというと ピ きに、女性によって救われる。こんなふうに大国主は、決して強い英雄ではない。 済むしろ実力的には弱いと言った方がいいかもしれない。 しかし、そういう艱難辛苦があっても、不死鳥のごとく蘇って、また困難に立 章 第ち向かっていく。気を枯らさないで、やる気とエネルギ 1 をうんと充満させ、生 9

10. 日本型マネジメントで大発展!

優秀な経営者というのは、皆役者さんである。盛り上げるときには盛り上げる し、憮然とするときには憮然とし、グワア 1 ッと怒っているかと思ったら と普通に変わる。面の付け替えをしないと、人というのは育成できないのだ。 それから資金調達。銀行にお金を借りに行くときは、どんなに経営が悪化して いても、当然自信満々という面を付けて行かなくてはならない。税金対策は、 「先生、先生 . と言って、税理士や公認会計士の顔を立てながら、決して言うこ とを鵜呑みにしない。まさかの時に責任を取るのは自分であり、税理士が責任を とってくれるわけではないのだ。だから、自分も勉強し、税理士と丁々発止とや りあって、お互いの全知全能を絞り出す。 全ては面の付け替えなのだ。猿田彦様のように演技をして、ドラマを組み立て て、盛り上げるときには盛り上げる。苦しくても笑い飛ばす。ときには泣き落と す。 もうお気づきだと思うが、この発想は第一章で紹介した七福神の思想と表裏の 関係にある。外国の神様だろうが何であろうが、福をもたらしてくれるならば、 全て受け入れてしまおうという七福神思想。これを外に向けて作用させると、