美代子 - みる会図書館


検索対象: おんなの仕種
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1. おんなの仕種

男ーーー大崎 ( 美代子 ) ちゃんに似てない。 浜中恭一 , ーーあ、歌う時ね。 大崎美代子ーーーなんですかあ、それ。 男 < いや、ちょっとね。 男ーー歌って口開けたところだよね。 浜中恭一 感じるんだよね、あのロ。 大崎美代子ーー・・もう、何一一一一口いたいのお。 浜中恭一 感じるんだよなあ。 大崎美代子ーー・・ーもう、ちゃんと言って。 ここで彼女の脇をかためた右手が出る。浜中の肩が少し動く。一瞬、大崎美代子が両手 を目に当てる。 「泣くなって」 ばん。また彼女の手が男の肩を叩くのだ。

2. おんなの仕種

れる。たいてい男三人に大崎美代子と彼女の女友達の三人だ。 大崎美代子は抜群のタイミングで男の肩を叩く。形としては右手にしても左手にしても、 常に手を出す時は脇をかためている。そして指の先をやや折るようにしてストレート・ ンチのように相手の肩にばんと手を触れる。つまり上から手を振り降ろすのではなく、ス トレートに手を相手の肩に送り出すのだ。 それに比べ、やはり大崎美代子と同じ会社の田沼和美は上から叩く。脇を開け、手首を ナックルさせて相手の肩に指の先端の力を集中させる。ピアノの鍵盤を触れるように叩く。 もう一人、サービス課の八坂朋子は、肩を叩こうとして出した手を途中でやめることで評 ・Ⅱ -1 ヾゝ ) ) 0 平ーカしし 「黒木さんたら、そんなことばっかり言って」 と、一瞬相手の肩を叩こうとするのだが、すれすれのところで引っ込める。これが色っ 。相手の背中を ばいと男たちは一一一口う。それに比べ、商品開発課の倉木直子はバチッといく 平手で一撃するらしい。どやすという日本語があるが、彼女の手の出し方はちょっとその 言葉に似ている。三省堂のディリーコンサイス国語辞典には、どやすーー・、・なぐるーーとあ る。 いやあ、出張先でさあ。 浜中恭一 男 < ー・ーあっ、あのバ 1 の女でしよう。

3. おんなの仕種

だったからだ。 しかし、この動作をばくは特別よくないことだとはおもっていない。見ようによっては 可愛いし、男たちはこの、「やだあ、ばん」とされるのが案外好きだ。ばくもね。 実はばくの友人で、この「やだあ、ばん」の瞬間を捉えて、叩い てきた女性の手をうま く掴んでしまう達人がいる。それも軽くソフトに自分の手の内にフィットさせてしまう。 剣豪荒木又右衛門の真剣白刃取りの術のごとき技を見せるのだ。 「いいんだよね、女の子の柔らかい指の感触がさ」 友人は一一 = ロうのだが、ばくはそんなことは訊いていない。 前述したように、なかには突いてくる女性もいて、それがやけに強かったりして、酒を 飲んでいる席などで椅子から転げ落ちることもあったりする。ブッシュは元横綱曙関にま かせておいた方がいい ちなみにブッシュに関しては外国人の方が日本人より強い。日本 のこぎり 人はブッシュよりプレ ( ー ノ弓く ) の方が得意だ。鋸を考えてみればわかるけれど、外国 ( ア メリカでは ) の鋸は押して木を切るが、日本では引いて切る。 大崎美代子さん三十二歳 ) は短大を出た o= で、会社は事務用機を扱っている。身長 一五四センチと小柄だが、結構男たちには可愛がられるタイプ。それに彼女には特技があ る。明・くことだ。 「もう、やだ、浜中さんたら」 浜中恭一は二十六歳の会社の先輩で、いつも飲んだりする時は大崎美代子をさそってく