言わ - みる会図書館


検索対象: Wonderland Carnival 開催記念合同誌
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1. Wonderland Carnival 開催記念合同誌

「何度も繰り返すようでですが、 いすれ、いつかこの本は必す完全な状態 に戻ります。 ・・ですけれど、童話の世界の物語は 全てがハッピーエンドではありませんわ。 愛が無ければ視えない。そういう含み の言い方をしたいわけではありませんが、 作り手によっては悪意や憎悪に満ちた物 語だった。 という可能性も否定ができません。真 実、虚実に関わらす、どうか好奇心で身 を滅ぼさぬようお気を付け下さいね」 ・・よく言っていることが理解できな かった。いずれは読むことができるとい うことは悪いことではない。 気長に待っとしよう。 「大変長らくお待たせしました、チケ ットのご用意ができましたわ。如何なさ いますか ? 」 伝承話も気になるが、本来は入国する ためにここに来たのだということを思い 出す。 椅子からゆっくりと立ち上がると、マ メールからチケットを受け取り、白く輝 く出口まで歩き出す。 スタスタと耳触りの良く、かっ静かな 足音と、腰当の甲胄がへの意識を高 めてくれる。 鈍い藍色の着物に身を包んだ男は、蒼 い龍が刻み込まれた銀色の滅鬼刀を担ぎ、 徐々に徐々に図書館から遠のいてい 青白く冷ややかな輝きを放つ小手で 宙を切り、身を翻す。そこには先程まで 読みふけっていた読書机と、一時の間で はあったが世話をしてくれたマメールが いた。 またチケットを切らしてしまってい たら此処に来ることになるのだろうか。 あまり来たくはないが、この先も退屈す ることはなさそうだ。 そんな物思いに耽っていると、マメー ルが「早く行け」と言っているように 礼をしてきている 致し方ない。行くとしようじゃないか。 神筆を求め遥か高みへ、新たな戦場へ。 「・・・わんだーら一ん」 ー【童話】は、 全て【戦だった一 Thank you for Reading!! Writtenby わいるど ー 72 ー

2. Wonderland Carnival 開催記念合同誌

「あ、アシェンプテルさん ? 一体、何を : : : ? 」 胸元から驚きの声が上がるが返答はせす、アシェンプテルは覚悟を決めるように大きく息を吐き出した。 「魔法が解けて、戦えなくなったとしても、私にはお前が必要た。誰が何と言おうと、私はお前の傍にい よう。そして、お前を守ってみせる。たから、そんなに恐れるな」 一呼吸置き、金色の髪を優しく撫でながら、次の言葉を紡き出す。 「それに、たな。お前には私のような捻くれ者をも変えた『優しさ』を持っている。その優しさは、誰も が持てるものではないのたそ ? たから : : : 自分には何もない等と悲しい事を言わないでおくれ」 言い終えると、アシェンプテルは溜め込んていた息を吐き出した。騒がしい心音と夜風が耳に響く。静 寂が続くにつれ、上手く一言えたか不安になっていく。やがて、サンドリョンはゆっくりと顔を見上ける。 3 4 エメラルドの瞳を潤ませながら、柔らかな微笑を浮かべるその表情に、先程の暗さは無かった。 「ありがとうこさいます。とても、とても嬉しいです : : : 」 震えた声でそう一言うと、サンドリョンは両腕をアシェンプテルの背中に囘し、ギュッと抱きしめてくる。 儚くも美しい、白き姫君の微笑を取り戻したアシェンプテルは、己の行動が間違いでは無い事に、安堵の 溜息をついた。 「やつはりあなたは優しくて、強いお方なのですね。あなたの言葉はいつも私を元気づけてくれます」 ・互いに強く、相手に 「そうだったのか ? 私からすれは、お前が私を変えたようなものなのたがな。 影響を与えている、という事なのだろうか」

3. Wonderland Carnival 開催記念合同誌

子供の面倒を見るような、騒がしいお茶会を済ませたその夜・ 聞こえてくるのは虫や獣の鳴き声くらい。そんな静かな夜の空気が心地よい 昼間はアリスやミクサ達がおしゃべりを楽しむこの庭園も、夜では人影は見当たらない 思わす鼻歌でも交えてしまいそうな気分で、月明かりの読書を楽しむ。 「あら、淑女がこんな夜中に明かりもつけす、一人で読書なんて感心しませんわね」 「またお前か・ 声をかけられたので顔をあけると、ほんやりと月光が降り注ぐ庭園に明かりを持った金 髪少女の姿が浮かんでいる。 「またお前か、と言われましても困りますわ」 「私をこうも付け囘して、お前はストーカーなのか ? 」 「いえいえ、ストーカーなどではこさいません。わたくしはアシェお姉様の一番のファン これはするいじゃないか。ここで帰ったら私か完全に悪者だ。 「わかったわかった。相席すれはいいだろう ? 」 「アシェお姉様が話の分かる方で良かったですわ」 「はいは、 そんなやり取りを見るマメールの笑顔か憎たらしく田 0 えたが、お茶会自体は和やかに始 まった。 〇 7 7

4. Wonderland Carnival 開催記念合同誌

「聞いただけでますそうだな : ・」 「そんなことない : ・と、思うよ、うん」 アリスが助け船らしきものを入れるがあらぬ方向を向い ているため説得力がないのは気のせいだろうか。 「アリスさんはあれがなんたか知ってるのです ? 」 「うん、まあね : ・いちおう、 " 地方は一緒だからね」 そう言いながらアリスは皿の方を見ようとしない 「で、誰が最初に食べるんた ? これ」 和風なものを食べたので次は洋なものにしようかという 「まあ、こういうのって、定番っていうか」 話になった時、シャドウアリスが名乗りを上けた。 「担当みたいなのがいるよなア ? 」 「私からは、これ ! 」 そう言いながら、みんなの視線がピーターに集まる。 そういってシャドウアリスが皿の蓋を開ける。するとそこ 「お、俺 ! ? いやいやちょっと待ってくれってなんで俺な んたよ ! ? 」 には茶色の珍妙なモノが乗っていた。 「 : ・お約束 ? 」 「鳥なわけね工たろ ! 手足がね工じゃねーか ! 」 「珍しくあってんなア : ・」 美猴とミクサの会話にクスクス笑いつつ、シャドウが解説「ま、ほらあきらめなよピーター。はい、あーん」 する。 シャドウにスプーンを向けられたピーターは観念したよ うに口を開けた。 「これは「ハギス」だよ。茹でた羊の内臓にオート麦、 「 : ・ん : ・不味くはないけどなんていうかビミョーな味た ープなんかを羊の胃に詰めて茹でたものなんだよ」 な気がしますが」 「へー。キゾクって大変なんだなー」 「まあ、大変なことも多いですが、恵まれてはいると思い ますわ」 自由に暮らしているピーターには、一生分かることのない 苦労もあるであろうかぐやは曖昧に微笑んた。 4 2

5. Wonderland Carnival 開催記念合同誌

、素敵な企画に彡加出来て シレネッタ is 刄吏 昨年から念願だった サ声増えると そして、メロウ is 気申 『ワンカニ』への参加を 無事果たすことが出来まし いいよあ 3 運営の皆さまに感謝致しま アシエサンもっと流行れ シンデレラ百合推進委員会 ホッちゃん ) LAO. 素敵本に参加させていたにき - 祝☆ワンカ崔 ! ワンカニ開催おめてとう ありかとうこさいました : を ( す、べっき一と申します こさいます ! 次囘、次々回 シレネは個人誌で頑張るます : 青 ) AA4 化カ月目 ) と続いていきますように ! wlw 子き ミクサ、でこ、ます : マッチしたら宣しくね しやけこ 水中ナマ べっき一 拙いなからも wlw か好き , いつも可愛いまかり描いて ワンカニ開イ崔記念合同誌 いるので今回も可愛い子ま なのて描かせて頂きました 発行おめでとうこさいます ! ケームでマッチすることが ~ かり描かせていたにきました ! と wlw に出会えたお陰て愛を ありましたらお手柔らかに よろしくう ! き込めて描かせて頂きましに ! お願いします - おねがいしまあーす ! 有難う御座いました ! くすお 和三郎 ハセカつかなて 参加させていこたき C 合志有難う征座ノ、ました どうも海月です。たまには ありがとうこさいました ミクサに暖かい思いをさせて つミク x リン好きな気持らを : 目指せ ( 死舟脹全ー あけようと思ったらむしろ 漫画にしました ! ハイトの」 - 」 暑そうになってしまいました → : 多大な臨射を ( ' へべ * ) : 割と生きてます みづきまさみ てりとり一 祝・ワンカニ尸崔 、以上 31 名の神筆使い達による 執筆内容はアシェ X リンの スールみたいな百合」騎 才尻吾の一片、いかがでしたか ? に仕上けてみましたが 今もまたどこかで新たな物語が ' いかがたったでしようか ? 、生まれているかもしれません 蓮見悠 ・・わんだーら一ん この度はワンダーランドカーコヾル・開催記念合同誌ー S 、 ^ t& 田 m ーを ト お手にとっていただきありがとうこさいます。主催井ゆうなです。 ワンダーのキャスト達カ驕力的過きて「ワンダーの薄い本欲し、なあ・・・」 と思い始めたのカりンカニ開催を決めるきっかけでした。 ト イベント主催・合同誌主催・そ者・・・どれも初めて行うもので ト 何も分からず、手探り状態で各方面にこ迷惑をおかけすることもありましたが 皆さんがこの本を手に取れているということは何とかなってるはすなので安乢 ワンカニを彁崔するに当たって、辛いこともキツイこともありましたが ト イベントを楽しみにしていてくれる皆さ声が心の支えでし ト 時間のあまりない中こんなにもな作品を寄稿してくださった執筆者 後 の方々には射の言葉しかありません。本当に嬉し、です。 ありがとう SE 〇 A ! ありがとうワンダーランドウォーズ ! ト そしてグームを支える神筆者の皆さ本当に本当にありがとうこさいます またどこか・・・グーム画面の司こうでお会いしましよう ~ ( ですけど ) 桜井ゆうな ( クレセリア )

6. Wonderland Carnival 開催記念合同誌

非常に賑やか、 い方を変えれば騒がしい。 【昼】 日ノ本の食事と言えば、やはり炊きた ての白米を茶碗一杯に乗せ、 豆腐と新鮮なネギを刻んで人れた味噌汁 に限る。 近所から頂いた七草のおひたしも、鰹 節の風味が良き味わいを醸し出している。 「えっへへ、勿体無いお言葉で御座いま 主食である焼き魚は、仲間である犬飼 す ! おかわりも用意して御座います故、 がこしらえてくれたものだ。 存分にお召し上がり下さいね ! 」 父と母は俺が起床する前から、仕事と 家事のために早くから出かけてしまって フルネームを犬飼健 ( いぬかいたけ る ) 、黒い長髪に薄紫の着物に身を包み、 いるため、基本的には誰もいないはすな 獰猛な犬のお面を頭につけている。 のだが。 「いつも馳走になり申し訳ありませんな 母性に満ちているという例えは大い に語弊があるので、面倒見がよく世話好 「桃様っ桃様っ ! お味は如何でございま きである。という表現に留めておく。 頼んだことはなんでも最善を尽くし すか ? 」 てくれるし、知らないことでもすぐ調へ ・・基本的には誰もいないはずなのだ て教えてくれる。努力の天才だ。 「あっ、桃様、頬にご飯粒カ咐いており まする」 「む、すまんな、夢中になりつい」 「お任せ下さい」 静かにそういうと、手ぬぐいでそっと 俺の口元を拠ぬぐ ) う。 その顔は何故か幸せそうだ。 「うむ、いつもながら美味である、かた じけないな」 「へっヘーん ! 犬飼殿よ、御前ががら空 きでござるよっ ! 」 「あっ ! 猿めは行儀がなっておらんであ ります ! 」 「ぬぬっ ! 笑止千万、食卓を制しものが 全てを制するのでござる ! 」 ー 68 ー

7. Wonderland Carnival 開催記念合同誌

【起床】 る朝。 覚ます。 チュンチュン、小鳥の鳴き声でふと目を 季節は巡り、年月も幾らか流れたとあ 「桃様ァ ~ ~ い うとした最中、 そう思い上着を脱ぎ去り、いざ袖を通そ 朝の支度をせねばなるまい、 「吉備津彦」それが俺の名前だ。 れていた。 服の裏には朱色の刺繍で名前が施さ な品だ。 なる母が時間をかけて作ってくれた大切 炎のように真っ赤なその着物は、親愛 着物に手早く着替え始める。 いつものように寝床から抜け出すと、 と言ってくれたのである。 を、俺の為にわざわざ私室に使ってくれ もなかったが、物置に使っていたところ といっても別段置く物があるわけで く気に人っていた。 屋。 6 畳にも満たぬ小部屋だったが、深 いつからか与えられた、自分専用の部 玄関の引き戸を勢いよく開ける音が ー 0 仲間である留玉臣 ( とめたまおみ ) の威 勢の良い声が開こえる。 彼女は原典でいうところのキジにあ たる。灰色の長い髪と、クノイチのよう な身軽な軽装、手裏剣、そしてお面が特 徴的だ。 巷では熱狂的なファンも多く、彼女の ことを愛してやまない輩も多いだのなん だのと噂を開いたことがある。 うちには毎朝起こしにきてくれる・・ いや、正確には目が覚めて、 丁度この時間を見計らって来ている かのように思える・・ 明るく活発で、笑顔の絶やさない女性 である。 が故に。 ドタドタドタドタ・・ 欠点というものもある。 「桃様ァ ! お早う御座いま ~ 」 ー 65 ー

8. Wonderland Carnival 開催記念合同誌

が童話の主人公ねえ 少々考えにふけっていると、静寂に包まれた図書館の外が少し騒がしくなってくる。 そして、その騒がしさの元凶達が扉を開け放つ。 「ていーたーいむ ) お茶菓子と新しいお茶を持ってきましたわ」 「楽しいお茶会、はじめましょ ! 」 「みんなで : : : 楽しもう・ ワイワイカヤカヤと年少組が図書館へと入ってくる姿を見て、頭が痛くなるものを感じ ながら、 小言をこほす。 「お前たち : : : 図書館では静かにしろ、マメールに何を言われるかわらかないそ ? 」 「あら、私はこういう賑やかなのも嫌いじゃないてすよ ? 」 書庫の影から、図書館の主たるマメールが姿を現して言う。 マメールをダシにして、自らの静寂を守る思惑は失敗に終わってしまつに。 仕方ないな・ うるさくなってしまった図書館から去ろうと、席を立ちあがりかける。 「あら、どこに行こうとしますの ? 」 そんな私の様子を目さとく見つけたリンが声をかけてくる。 「いや、私はお邪魔なようなのでな、マメール。この本は借りて : : : 」 「え ? アシェさんの分も用意したよ ? 一緒に食べようよ」 : いらないの ? 」 リンの言葉にアリスとミクサに悲しそうな表情を浮かべられてしまう。 6 7

9. Wonderland Carnival 開催記念合同誌

「そう考えると、何だかとても素敵ですね。何が、と言われると困っちゃいますが」 「ふふつ、そうたな。私も、素敵たと思う」 同じシンデレラのキャストでありながら違う点も多いが、たからこそ惹かれ合ったのかもしれない。そ れを素敵たと思えるのは、きっとサンドリョンのお陰なのたろう。 会話が一区切りつくと、一一人の戦姫は特に何をする訳でもなく、お互いに見つめ合いながら強く抱きし める。どちらのものか分からない鼓動と吐息が耳に入るが、今は不思議と地よかった。 「アシェンプテルさん」 どれだけの時間そうしていたたろうか。やがてサンドリョンは身体をより密着させ、碧色の瞳を潤ませ ながら、静かに黒き戦姫の名を呼ぶ。そして、 「愛しています。私も、すっと、あなたの傍にいたいです」 頬を紅潮させ、幸せそうにはにかんで告白をする。その言葉に、表情に、アシェンプテルは臓を鷲掴 みされたかのような感触に襲われ、一瞬、息が詰まる。 「私も、愛している」 ぐるぐるロる頭と火が付いたように赤くなった顔でしどろもどろに答えを返す。それを聞いたサンドリ ョンは満面の笑みを浮かべた後に、スッと目を閉じ、顎を少し上ける。その仕草に、まるで魔法にでもか けられたように、黒き闇姫の唇が純白の戦姫の唇に吸い寄せられていく。

10. Wonderland Carnival 開催記念合同誌

( ああ、桃様っ ! 今日も一段と凛々しゅう御 座います、私のような犬畜生が桃様のお傍 にお仕えでき、大変喜ばしく思っておりま す。その全てを射抜く真っ直ぐな瞳と、日 頃の鍛錬の賜物と言って良い健康的な肉体。 まさに私の理想、憧れの集大成で御座いま す。私がどのような暮らしを営もうとも、 桃様のように遥か高みに位置する方には到 底、足元にも及ぶことすら許されません。 でも、どうか、ただ、今だけ、瞬間、この 刹那、桃様の面前を世界でただ一人、私だ けが独り占めできるというものなのです。 あの日あの道端で俺と共に鬼を退治してく れないかと言われたあの瞬間から、私の人 生、いえ、今後私に子が出来ようともすっ と、未来永劫、桃様を始めとする父上殿、 母上殿、吉備津一族を守りたい一心で日々 を生きております。この気持ち、どうか桃 様にだけは悟られないで欲しい、決して知 られてはいけないものなのに ・どうして こんなに胸が昂ぶるのでございましようか。 愛しい、尊い。恋患いなわけがない、なぜ なら桃様と私は同じ性別の人間であるが故、 生物として踏み出してはいけない禁忌なの です・・・。でもいつかは伝える時が必ず来る かもしれない、そんな日がもし来るとして も、どうかそれまでは、いつまでも果敢で 細で健気なオ兆様をすっとお守りしていき たい所存でございます、これからもお慕い 申しております・・・。 ) 「・・・い ? ・・・ぬか・・・い ? おい、犬飼 ? 」 駄目だ、完全に意識が飛んでしまってい そんな犬飼を尻目に華麗な箸捌きで ちょっかいを出すのは楽々森彦 ( ささも りひこ ) 。猿のお面が特徴的だ。 身のこなしも秀でており、よく住処の 森から木の実や果実を分けてもらったり している。 1 若いように見える彼だが、実際の ところ友である 3 人の実年齢というもの を知らない。 まあそのような些細なことなど関係 ないのだが ー 69 ー