言わ - みる会図書館


検索対象: Wonderland Carnival 開催記念合同誌
45件見つかりました。

1. Wonderland Carnival 開催記念合同誌

てすわ」 「ファンって : : : そこまで慕ってくれる理由がさつはりわからないのたが。私ではなくサ ンドを慕うならわかるけどなー 誰にでも優しく、聖母のような純白のドレスを纏った金髪の女性を思い浮かべる。 そう言うと、リンは目を丸くして驚いて見せる。 「あら、あんな衝撃的な出会いをお忘れなんて、わたくしはショックを隠せませんわ」 「そんな衝撃的なものだったか ? 」 始めてリンと会った時を思い出すが、何のことはない戦いの前で軽い自己紹介をした記 憶しかない。 「あら ? お忘れですの ? わたくしは今も鮮明に思い出せるほどに記憶に刻まれていま すのに・ 「まったく覚えがないな」 「もう・ 凄くがっかりしてから、少し怒った風に頬を膨らませながら、説明を始める。 その日、わたくしは初陣をむかえましたの。 初めての戦場で一緒にいたミクサさんとはぐれて、闇の軍勢に囲まれてしまった時に助 けてくれたのがアシェお姉様でしたわ。 その姿は忘れようがありません。 夜空に浮かんだ月の光を背にした、黒いドレスお姉様の姿。 8 7

2. Wonderland Carnival 開催記念合同誌

「もう、お上手なのてすね、アシェンプテルさんは」 「私が世辞を = = 〕うような人間に見えるか ? ー 「むう : : : するいです。そんな風に言われたら、照れらやうじゃないですか」 普段の凛々しさは何処へやら、あどけない少女のように紅潮させた両頬を手に添えるサンドリョンを、 アシェンプテルはふっと微笑みながら優しく見つめる。 ( : : : 我ながら随分と変わったものだ。人生、分からないものたな ) 緩んでいる口元を指で軽く触れ、視線を月の方に戻すと、アシェンプテルはふとお伽噺の戦記の世界に 来たばかりの頃を思い出した。 この世界に来たはかりのアシェンプテルは群れる事を嫌い、孤独を愛するような女性であった。笑うと いう行為も、あくまで相手に威圧をかけるものであった。 そんな彼女が初めてサンドリョンと出会った時、アシェンプテルは彼女を一方的に敵視していた。もう 一人のシンデレラのキャストであり、自分から王子を奪う存在。そして、自分と同じ過去を背負っておき ながら、皆から好かれるために良い子を装う、いかすかない女。それが第一印象たった。 たが、共に戦い、生活を共にしていく内にその認識を改めていく。己の身も省みす、周囲を常に気にか ける彼女の姿に、大好きだった実母のような『優しさ』を感じにのた。その事を知った時、同じシンデレ ラのキャストなのにこうも違うのか、と嫉妬と羡望さえ抱いた。 9 3

3. Wonderland Carnival 開催記念合同誌

凛々しくて、格好良くて、それからわたくしはお姉様の一番のファンてすわー 「 : : : すいぶんと照れ臭い話たな。別人じゃないか ? 」 ししえ。間違いなく、『戦場の闇姫』アシェンプテルですわー : 今日はもう寝る」 冗談だろう ? と軽く流そうとするが。真剣な目をしたリンに押し黙る。 そして、かけていた眼鏡を外して、読んでいた本をパタンと閉じて席を立ちあがり、足 早にリンの横を駆け抜ける。 「お部屋までお送りしますわ」 「遠慮する : : : と言っても、ついてくるのだろう ? 」 「勿論ですわ。そのまま一緒に寝てくれるとうれしいのですけど」 「自分の部屋で寝ろ」 「仕方ないですわねえ」 そう言いながら、後ろから追いかけるリンの言葉を背に受けながら足早に自分の部屋に 向かう。 彼女に追いっかれて自分の赤い顔を見られないように急きながら・ 9 7

4. Wonderland Carnival 開催記念合同誌

※個人の勝手な設定多めです。時代考証なにそれ ? ? ほんで、いつもはマメールがしてくれている洗濯物干しを吉備 のり CP 要素含。ピーターがネタ。基本吉備津視点。 津とサンドリョンでしているところたった。 「ああ。さっきアリスが言っていたんたがな。皆でそれそ 登場キャラサンドリョン・アシェンプテル・ミクサ・リれの世界の食べ物を持ち寄ろう、と言っていた。たた : ・」 ン・アリス・シャドウアリス ( シャドウ ) ・かぐや・吉備「たた ? 」 津・ピーター・ ? 「 : ・変わった食べ物限定だそうた」 サンドリョンが良く分からないと言った風に首をかしけ るが、吉備津自身が分かっていないものを説明できるはす もない。どうしたものかと頭を抱えていると、 「だからー、変わった食べ物だよー ? 」 建物の蔭からびよこんと姿を現したのは事の元凶のアリ スである。 「ふつうのじゃっまらないじゃない ! 」 「アリスらしいと言えはアリスらしいんだがな : ・」 言い出しつべはいつものように子供組たった。 年少組にこのパーティについて提案したのもアリスであ ーティを、てすか ? 」 る。変わった食べ物と聞いて特にリンはきよっとしていた その日はマメールが異界の大図書館に用事があるやら何らしいが、アリスは幼いながらこうと決めたら頑として考 とやら、それだけ言い残してさっさと出かけてしまったのえを変えない人間である。最終的には員同する形になった 『とても、ありふれた日に』 こげつ 孤月 2

5. Wonderland Carnival 開催記念合同誌

サンドリョンに気にするな、と返す。 「何 : ・とはお応えしにくいのですが、一応貴族でもあまり らなみにフックは屋敷を探してもいなかったのでこやっ食べることが出来ない貴重なものです。それゆえ、珍味か も元から参加する気がなかったと見える。放っておくことと : ・」 にした。 かぐやの曖昧な説明にまじまじとそれを見ていたアシェ ンプテルが口を挟む。 「なんか、見た感じだとチーズに似ていないか ? これ」 「で、誰から披露するんた ? 」 「ひとます、皆さん召し上がってくたさいな」 珍しくわくわくした様子でアシェンプテルが言う。 用意してあったナイフで「そ」とやらを切り分けて皆に配 「ては、わたくしから始めましよう。どうそ、よしなに」る。早速口に入れたリンが感嘆の声を上けた。 かぐやが手に持っていた包みを広げる。中入っていたのは「本当てすわね ! ・ : らよっと味は違いますが、これチーズ 3 2 黄色い物体。 てすわ ! 「これは ? 」 「あら、西洋にも蘇のようなものがあるのですか ? 」 そ 「私の故郷〈蘇〉といいます。」 「というか多分同じだな。かぐやさん、これ材料はミルク 「そ ? 」 たろ ? 」 「はい。字はこう書きますー 「申し訳こさいません、わたくしは作ったことがないので かぐやが地面に文字を書くが、同じような文字を使ってい存じ上けないのてす・ : 」 る吉備津でも見にことのないものだった。他の者もそうら「あ、そっかかぐやさんはキゾクなんたつけ。キゾクは料 理しらやいけないんたろ ? 」 「これはなんなの ? ー 「左様て御座います。幼き頃には数囘したことがあるよう

6. Wonderland Carnival 開催記念合同誌

備津とピーターたけだった。ピーターの果物は早になく 「ああ、これは吉備団子と言ってだな」 なり、団子もみんながかわるがわるロ直しにと手を伸はし 「吉備団子たア ? 吉備津の名前が入ってんのか ? 」 「ああ。俺が俺の世界で鬼退治に出発するときに婆様が持たのでかなり多めに婆様に頼んだというのになくなって しまった。 たせてくれたものた」 「それって全然変わってないじゃない ! 」 「そうか ? 俺の名前が入っている時点て変わった食べ物 さんさん盛り上がった後、皆て後片付けをすることになり、 ではないかと思うが」 : と不満けなアリスをよしよし吉備津は持てるたけの食器を持ち炊事場へとやってきた。 そういういみじゃなー とシャドウが撫てているのを横目に、吉備津は皆に一つす各自が持ってきたものてあるから壊したりしてはいけな いと慎重に慎重に洗っていたところにサンドリョンが追 7 っ団子を配る。 2 加の皿を持ってやってきた。 「うん、おいしいね ) 」 「吉備津さん、これ追加てす・ : つ」 「おいしい・ : 」 「む、すまん。重いたろう。かたじけない」 「なかなか美味いじゃねえか」 「いえ、大丈夫です : ・えっと、どこに置いたら : ・」 ロに美味しい美味しいと言われてはまんさらてもない 「その、台の上においてくれぬか」 作ってくださった婆様に礼を言わねはな、と吉備津は思っ 「わかりました。ほかに何か手伝うことはありますか ? 」 「いや、いまのところは。それより、タ餉の支度はどうな るのだろうか ? 今日はマメールがいないだろう」 「そうでしたね : ・昨日がパンでしたから、今日はお米にす 士旧局、、 しわゆる変わり種ではないものを持ってきたのは吉

7. Wonderland Carnival 開催記念合同誌

もぐもぐと口を動かしながら、ピーターは言う。 お次はアリスの番。アリスは小さな箱を取り出し、中から 「そうか、ならは食べても大丈夫たな。リン、皿をとってスプーンで何かをすくい上けるとそのままはい、と差し出 くれ」 した。 「わかりましたわー ) 」 「・ : おい待て。なんだこれは」 そうして取り分けられた料理が皆に料理が配られるが。 アシェンプテルがスプーンに乗った物体をこわこわ持ち 「・ : 俺は毒味係じゃねーんたけど」 上けた。黒い小さな物体が載っている。またしても珍妙な というピーターの呟きに反応する者はいなかった。 物体だ。 「何だと思う ? 」 「ふふん、当たるかにやー ? 」 その後ピーターの番になったが、探しロった挙切ネハーラアリスとシャリスが顔を見合わせて楽しけな笑みを浮か一 ンドには珍味という珍味がなかったそうで、持ってきてい べているところを見る限り、西洋の食べ物らしい。だがス たのは普通の果物だった。今はちょうど葡萄の季節だそうカーレットにもサンドリョンにもわからないらしく、視線 で、とても絶品で、皆ロに美味しいと言う。 を送っても首を振っている。 「俺が選んたんだから当たり前だろ ! 」 「これは・ : 飴か ? それにしても嫌な色をしているな : ・」 と得意けな顔をするピーターはいつもほめられた時より「だ、誰が最初に食べるんですの : ・ ? 」 嬉しそうだった。きっと、「ネハーランドの果物が褒めら「それは : ・もちろん : ・」 れたーことが嬉しかったのであろう。 全員の視線がこれまたお決まりの様にふよふよと宙に浮 かぶ少年へと集中する。 5 2

8. Wonderland Carnival 開催記念合同誌

るのはどうですか ? 」 サンドリョンの出て行った扉を見つめながら、抱きしめた 棚の中の物を見ながら、吉備津は答える。 瞬間の女性特有の柔らかさを思い出してしまいふと顔が 「野菜や芋があるようだから、煮物はどうだろうか」 熱くなる。サンドリョンは共に闘う仲間なのだから邪な気 「いいですね ! では、ますお米を炊かないと : ・きやっ」 にあてられてはならない。そう自分に言い聞かせながら、 「サンドリョン ! ? 」 ひたすら洗いものに集中する。無心になるのた、俺よ : ・そ 米の袋の紐に足を引っ掛けて倒れかけたサンドリョンをう念じながら吉備津はひたすら皿洗いに集中した。 とっさに支える。 「 : ・平気か ? 」 「吉備津さん、あの、その : ・」 洗い物を終え、外へ出て一息ついたところたった。 「 : ・ ? あ、ああ : ・すまぬ」 「あ、いたいた吉備津ー ! 」 咄嗟に前から抱きしめるような姿勢になっていたことにものすこい勢いて飛んできたピーターはあわや壁にぶつ 気づき、吉備津はあわててサンドリョンから距離をとった。かろうかというところでびたっと止まると、まくしたてる ししえこちらこそすみません ! ! 別に嫌たった訳ではように吉備津に言った。 「なあなあ ! またヤマト ? の話してくれよ ! こないだ聞 そこまで言ってハッとしたように言葉を切る。気ますい空 いたみたいなやっ ! 助けたカメが海の中の城に連れてつ 気が流れる中、 てくれるやっとか ! 」 「あ、まだ洗い物があったはすなので私取ってきます ! 」「サンド、私たちにもこのあいたのお話の続きしてー サンドリョンは逃けるように出て行った。 「わたしも : ・聞きたい」 ピーターを追いかけるようにとたとたと駆けよってきた 8 2

9. Wonderland Carnival 開催記念合同誌

「たーかーらー ! なんて俺なんだよ ! ? 」 「これはサルミアッキつて言ってね。リコリスと、え 「いや、こういうものはやはりおまえが一番合うというか、つと、あんもなんとかっていうのが入っててね ! 」 なんというか」 「塩化アンモ一一ウム、たよ、アリス」 「よろしく頼むせエー 「そうそれ ! えんかアンモ一一ウムっていうしよっはい粉 「たまにはみんなもやれよ ! 美猴たってせってー腹壊しとリコリスっていうあまーいお花を混せた飴なんたよ ! 」 たりしなさそうじゃん ! 」 ピーターの一番やつらやいけねえ組み合わせじゃねえの そうきゃんきゃん噛み付くのが面白くてやられているのそれ : ・というホソッとした呟きはそこにいた全員が心の が当人にはわかっていないらし、。攵 し昔々喚いた挙切、ピー 中で思っていたに違いない ターはスプーンを取った。 「すっこい気に入る人とすっこい嫌いな人と一一つに分か 「た、食べるからな ! ? 」 れるらしいけど、ここにいる人はみんなダメかもね。私も 6 2 皆が固唾を飲んで見守る中、スプーンを口に入れる。と、ダメだもん」 同時に口を押さえてしやがみ込んた。 「んなもん人に食わせんなー そして盛大に噎せた後涙目になりながら声を上けた。 ピーターの絶叫だけが響き渡ったのたった。 「な、な、なんたよこれ ! ! 」 「タネ明かし、しらやう ? 」 「しらやおっか ) 」 「次は、お侍さんの番だねー 「「いえーい☆いたすら、大成功☆」」 「ああ、そうたなー ピーターには悪いが、手を合わせて無邪気に悪戯の成功を「ん : ・これ、おいしそう : ・」 喜んでいる一一人を怒れるものなどその場にはいなかった。ミクサが広けた包みの中を見て = - 己う。

10. Wonderland Carnival 開催記念合同誌

戦場にあるまじき軽口をかわしあう。久しぶりに会った彼女との : : : まあ、形式美みた いなものた。 「まあ、助かった。ありがとう」 「アシェお姉様にそんな言葉をかけられるなんて、嬉しくなっちゃいますわ」 助けて貰った礼を言うと、リンは頬を両手て挟み込んて喜びを全身でアピールする。 「やはり、褒めるのは止めた方が良かったか ? 」 「いえいえ、ドンドン褒めて下さいまし。褒められれば褒められるほどに熱く熱く燃やし 目くして差し上けますわ ! 」 「で、いっ戻ってきたんだ ? 」 「つい先程。サンドお姉様、アシェお姉様が戦っていると聞いていてもたってもいられな くなり 、駆け付けたのですわ」 「じゃあ、これからまた一緒に戦うことになるのか、またよろしく頼む」 「はい。わたくしからもよろしくお願いし 、たしますわね」 読んでいた本をゆっくりと閉じて、眼鏡を外す。 ため息をついて、マメールが何時淹れてくれたかわからない冷めた紅茶を飲む。 「私達の戦いがこんな形で記録されているとはな。マメールから話を聞いていたが・ 5 7