恋をする - みる会図書館


検索対象: 咲き乱れしは百合の花
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1. 咲き乱れしは百合の花

お互いの体温を感じながら、私達はしばらく抱きしめ あっていた。 好きな人と抱きあうのが、こんなに気持ちいいもの だったなんて、初めて知った。 少女は恋をする終

2. 咲き乱れしは百合の花

ロ目 登場人物紹介 次 ロ 星の輝きに包まれて・ 少女は恋をする・ バス停の少女 B 1 0 0 d P r i n c e s s ・ あこがき & おくづけ・ 5 8 2 0 4 4 5 0 ・ 5 8 4

3. 咲き乱れしは百合の花

ロ登場人物紹介ロ ロロロ星の輝きに包まれてロロロ 優 ( ゆう ) ロロロ少女は恋をするロロロ 優になっかれて悪い気分ではなさそう。 面倒見のよい女子大生 皐月 ( さっき ) にあっているところを皐月に助けられた ・お嬢様学校に通う女子高生。電車で痴漢 。女子高生の 吸血鬼退治を依頼されアンジェリカこ出会う。 カンナ・・・魔物退治をしながら世界を旅してまわっている。 ロロロ B 1 0 0 d P r i n c e s s ロロロ 朝自分の隣に立つみゆきが少し気になっている。 ・ちょっこ古風な感じのする女子高生。毎 柚子 ( ゆずこ ) ムうのを日課にしている。 柚子に△ 社会人三年目。毎朝決まった時間にを出て みゆき ロロロバス停の少女ロロロ が特定の部活には人。ていない。鈴の為なら何で宅する。 郁美 ( いくみ ) ・・・鈴のここが大好きな後輩。スポーツ万能だ なぜだか後輩の郁美に慕われる天然ポケ娘 鈴 ( すず ) アンジェリカ 吸血の少女。はじめはカンナに敵視され ていたが、今ではすっかり仲良しに ? 5

4. 咲き乱れしは百合の花

いとしても、拒絶されるまでは傍にいて、好きでい続け 「えワ・」 ーっと前から色々考えようと決めたの」 「郁美ちゃんは、鈴よりもずー てたんだから」 私だって全然気が付いてなかったわけじゃない。ただ、 「そうなの ? 」 と自分にいい聞かせていたのだ。 そんなはずは無い、 「鈴は知らなかっただろうけど、私は郁美ちゃんから、 は何度、鈴に郁美ちゃんの気持ちを教えようとした 色々相談受けてたんだよね」 「えー かわからないわ。でも、自分の気持ちに鈴が気づくか、 自分が告白するまでは何も知らない顔でいて欲しいって そんなの全然知らなかった。 「鈴がさっきいってたことも、郁美ちゃんから聞いたの頼まれちゃって、結構辛かったんだよ。郁美ちゃんの健 気な姿をみてると、ほんと涙でちゃうわ」 と、ほとんど同じ内容だった」 「そうなんだ・ さやかちゃんは、そっと目頭を手の甲で拭った。 。さやかちゃんは、その時も大笑いし 「あーやだやだ、ほんとに涙出てきちゃったわ」 たの ? 」 さやかちゃんは、さっきの笑い涙とは違う涙を浮かべ 「は ? するわけないじゃん。可愛い後輩の恋の悩みを ていた。 笑ったりしないよ」 聞いてみ「でも、なんかスッキリしたわ。鈴が郁美ちゃんの気持 それじゃ、私の時は何だったんだろう : ちに気が付いてよかったわ。鈴も郁美ちゃんのこと好き こいけど、バカにされそうだからやめておこう。 「郁美ちゃんは、鈴なんかよりもっと真剣だったよ。郁みたいだし。なんか、肩の荷が下りた感じだわ」 私の知らないところで、さやかちゃんも色々悩んでい 美ちゃんの気持ちに全然気づいてない鈴に、告白してい たみたいだ。本当にさやかちゃんは、晴れやかな顔をし いのかすごい迷ってた。鈴を好きなのにその気持ちを伝 えられなくて、でも気づいて欲しくて、鈴の気を引こうていた。 それとは逆に、私はどんどん気が重くなっていく。 と色々やってた。それなのに鈴は全然気づいてなくてさ。 「私、ど , っしょ一つ : 一時期諦めようとしたこともあるみたい。でも、鈴のこ 「どうしようって、まだ迷ってるの ? 」 とを本気で好きだったから、たとえ振り向いてもらえな

5. 咲き乱れしは百合の花

り裁いてもらうわ」 おねーさんが一歩踏み出すと、モーゼの奇跡のごとく 「くそっ」 人の波が割れました。 次は駅、駅お降りの方は足元にご注意くださ その光景に状況を忘れ、私は見人ってしまいました。 「な、な、何をするー 俺が痴漢だとでたらめ言う 車内アナウンスが人り、電車は減速を始めました。 んじゃない」 駅へ到着する瞬間、車内が大きく揺れ、おねーさんは 中年男性がおねーさんに怒鳴りつけますが、おねーさ ハランスを崩してしまいました。 んは冷ややかな眼差しを向けるだけで、ひるんだ様子は 中年男性は今だとばかりにおねーさんを突き飛ばし、 ありません。 「そこの女に聞いてみろ ! なあ、お嬢さんの勘違いだ手を振り払うと出口へ向かって人の波をかき分けていき ます。 よな ? あ ? 」 「逃がさないわよ、あなたも来なさい」 中年男性は顔はにこやかに、けれど言葉に怒気を含ま おねーさんは私の手を取ると、電車から飛び出しまし せ私に顔を近づけようとします。 「ひっ」 痴漢を探そうと、左右を素早く見回します。 私はとっさにおねーさんの背中に隠れました。 しかし、痴漢は人の波に紛れ、もう見分けがっかなく 「言いたいことがあるなら、警察でどうぞ」 おねーさんは私を庇うように、中年男性の前に立ちふなっていました。 「ちつ」 さがってくれました。 おねーさんは悔しそうに舌打ちをしました。 その言葉を聞くなり、中年男性は激しく抵抗を始めま 「ごめんね、逃げられちゃった」 した。 おねーさんは私のほうを向くと、申し訳なさそうに頭 「は、離せー・」 狭い車内で、おねーさんと中年男性がもみ合いを始めを下げました。 ました。 「気持ち悪かったでしょ ? 大丈夫 ? 」 「離すわけないでしよ。あんたみたいな女の敵はきっち

6. 咲き乱れしは百合の花

おねーさんは優しく私の肩を抱き、髪を撫でてくれま した。 そこで私の緊張の糸は切れてしまいました。 「大丈夫ーーです : ・ : ・」 頬を何かが伝わりました。 「全然大丈夫じゃないじゃない」 おねーさんは少し怖い顔をして、私の肩を掴みました。 「どう ? 少しは落ち着いた ? 」 「あ一、はゝ 「ほんとに大丈夫です」 これ以上、おねーさんに迷惑をかけられないと思いま どれくらい時間が経ったでしよう。列車が数回駅に到 した。 着していたことは覚えています。 「じゃあ何で泣いてるのよ」 学校は完全に遅刻でしよう。 「、んワ・」 私はいつのまにか、おねーさんに抱きついたまま、ホー 頬を伝わっていたものは涙だったようです。 ムの端にあるべンチに座っていました。 「嫌だったんでしょ ? 気持ち悪かったんでしょ ? 」 一嵌は、もうとっくに乾いていました。 「あっ・ おねーさんに慰められていたせいか、心もすっきりし おねーさんがハンカチをだして、涙を拭いてくれましていました。 「その制服、聖華女子のよね ? 」 優しくされて、堰を切ったようにそれまで押さえてい 。し」 たものが溢れ出しました。 もう大丈夫なのに、何故だかおねーさんから離れたく ・うわあああん」 なくて、離れなさいといわれないのをいいことに、私は 触られていたことを思い出すと、悪寒が走りました。 抱きついたままでいました。 気持ち悪い感触が今も残っていて、私はとうとう大泣「聖華の子って、大人しいお嬢様が多そうだから狙われ きしてしまいました。 ちゃうのかな」 こ 0 「よしよし」 おねーさんは私を優しく抱きしめ、慰めてくれました。 私は、おねーさんの胸にしがみつき、人目のある駅の ホームであることを忘れ、しばらく泣き続けたのでした。

7. 咲き乱れしは百合の花

「何故か、あなたって放って置けない感じがするのよね。 おねーさんは笑いながら、私のおでこをコツンと叩き 守ってあげたくなるっていうか。あ— いつまでもあなました。 た、って呼び方は失礼よね。よかったら名前教えてくれ「あ、そうでした、あはは」 一瞬、これから二人でおでかけでもするのかと思った、 ない ? 私は皐月、水野皐月っていうの」 お間抜けな私でした。 「あ、私は藍川優といいます」 私は立ち上がり、おねーさんにお辞儀をしました。 「そう、優っていうの。可愛い名前ね」 その日の夜、私は早速おねーさんに電話することにし 「ありがとうございます」 ました。 「優って呼んでもゝ 朝のお礼をちゃんと いいたかったのと、おねーさんの 、もちろんです」 おねーさんに名前を呼ばれて、不思議と胸が熱くなり声が聞きたかったから。 ました。 電話番号のかかれた紙を手に持ち、ボタンを押してい . 「あの、私、皐月さんのことおねーさんって呼んでもい きます。 呼び出し音に耳を傾けながら、お礼の言葉を頭の中で いですか」 「おねーさん ? ふふ、 反芻します。 しいわよ」 おねーさんは少し驚いた顔をしましたが、↑ 夬く了承し 五度目の呼び出し音の後、 「守 6 ゝ、 てくれました。 水野です」 「さてと、優も元気になったことだし、そろそろいきま 電話口から、おねーさんの声が聞こえてきました。 ・えっと・ 「あ、あの・ しょ , つか」 おねーさんの声が聞こえた瞬間、頭の中が空っぽにな おねーさんは立ち上がると、お尻を払って私の手を取 りました。 り、用意していた言葉が全部何処かへ行ってしまいまし 「え ? どこにです ? 」 ああ、私は何を言おうとしていたのしよう。これでは 「どこって、学校に決まってるでしよ」

8. 咲き乱れしは百合の花

私は受話器を置き、すぐにべットにもぐりこみました。 今日は痴漢にあって、とっても嫌だったことと、おねー さんに出会えてとっても嬉しいことがあった日でした。 明日まゝゝ 。ししことだけありますよ , つに。 夏休みに人ると、当然学校はお休みになり、電車に乗 る機会もほとんどなくなり、おねーさんに会えない日か 多くなりました。 おねーさんは、休みに人ると日中はアルバイトをする それから、私たちはよく会うようになりました。 私は、電車の中でおねーさんを見つけるたび、主人をようになりました。 電話は毎日のようにするけれど、日に日におねーさん 見つけた子大のように走り寄っていきました。 の声は眠気を帯びたようになっていきました。 「おねーさん、おはようございます」 アルバイトは大変なようです。 「ふふ、おはよう。今日も元気ね」 少しだけならきっと大丈夫。そう思いながら、今日も そうすると、おねーさんはさりげなく私を庇うように、 電話をしてみました。 立ち位置を変てくれました。 時間はまだ十時。おねーさんならまだまだ平気な時間 それが嬉しくて、私はますますおねーさんになついて のはずです。 しまうのでした。 最近ではおねーさんと放課後の約束をして、カフェで「あ 5 、優う ? 」 今日も、気だるい声が返ってきました。 お茶をしたり、買い物をしたりするようになりました。 嫌なことがあっても、おねーさんといる間だけは忘れ「あの : : : お疲れですか ? 」 、。バイトはまあ大変だけどね」 ることが出来ました。おねーさんに会うだけで慰められ「いや—大丈夫だよお 電話の向こう側で、おねーさんがべットに倒れこむ音 ました。 が聞こえました。 私はおねーさんに会うことが一番の楽しみになってい だいぶお疲れのようです。 ました。おねーさんに会えない日は落ち込みました。 「やー、立ち仕事だから、足が痛いのなんのって」 そんな風に楽しい日々は続きました。 けれど、それは長続きしなかったのです。

9. 咲き乱れしは百合の花

ことにしました。 た瞬間、全身の力が抜けその場に崩れ落ちてしまいまし 宿題をするために図書館へ出向き、塾の夏期講習にい 「おねーさんっ・ ・私のこと話もしたくないくらい嫌い くようになりました。 になっちゃったの ? おねーさん、うつく : : : おねーさ 二日に一回は、おねーさんに電話をしました。 少しだけしか話せなくても、おねーさんの声を聞けばん、会いたいです。おねーさんっ ! 」 元気になれたから。 でも、その電話すらもある日繋がらなくなりました。 一週間も経った頃、私は抜け轂のようになっていまし おかけになった電話番号は、現在電波の届かない ところにいるか、電源が人っておりません。 きっと、大好きな人に失恋したときはこんな気分に 電話の向こうから、無機質な応答の声だけが聞こえま なってしまうのでしよう。 した。 何も手がっかず、夏期講習へ出ても、内容がまったく 「あれ、おかしいな : 頭の中に人ってきません。 そのときは、今日はたまたま繋がらないだけかなと思 このまま夏休みも終わってしまうのかな。新学期が始 いましたが、盟日かけても、盟々日かけても繋がりませ まっても、おねーさんはいつものように電車に乗ってき んでした。 もしかしておねーさんに嫌われてしまったのでしようてはくれないのかな。そう思いながら今日の講習も終わ りました。 荷物を片付け席を立ち、帰ろうとしたところで突然携 それとも、電話を変えた ? おねーさんの身に何か 帯電話が鳴りました。 あった ? この携帯電話は夏休みに人る直前、おねーさんに付き どれも悪いことばかり 色々な可能性を考えましたが、 合ってもらって買ったものです。 考えてしまいます。 今はまだ電話番号を知っているのは、家族とおねーさ 頭の中が真っ白になりました。 私は、おねーさんに拒絶されてしまったのではと思っんだけ。 、 0 こ 0

10. 咲き乱れしは百合の花

「ちょっと見せたいものがあるのよ」 車は少し街の中心から外れ、山の方へ向かっているよ そういうと、おねーさんは路上に止めてあった車のド うでした。 アを開けました。 「よかったです・ 、私おねーさんに嫌われたかと思い 「えワ・」 ました」 「さあ、乗って乗って」 安心すると、また涙がでそうになってしまいました。 「えっと : : 知らない人の車のドアを開けてしまうのは 「優のこと嫌いに ? そんなことあるわけないでしよ」 いけないと思うのですか」 「だって、夏休みになってから全然会えなくなっちゃっ 泥棒は立派な犯罪です。 たし、電話しても繋がらなくなっていたし。もう、おねー 「なーに寝ぼけたこといってるのよ。これは私の車よ。 さんとお話しもできないんだと思ったら、胸に大きな穴 正確には父親のだけどね」 か開いた気分になって、悲しくて悲しくて : : : 」 おねーさんは、私のオデコを指で軽く弾きました。 「あはは、大げさだねえ」 「はうつ、そうだったんですか」 「大げさなんかじゃありません。私はホントに、ホント 私はそれならと、車に乗り込みました。 おねーさんが運転席に座るのを待って、私は気になっ 私は我漫できなくなって、とうとう大声で泣き出して ていたことを尋ねました。 しまいました。 「おねーさん、車の免許持っていたんですね」 「ああああ、ごめんごめん、泣かないで。連絡できなく 「んー持っていたというか、取ったというか。実は昨日て悪かったと思っているわ。合宿所に着いたらとんでも 取ったばかりなんだ」 ない山奥で電波が届いてなかったのよ。おまけに携帯の おねーさんはエンジンをかけると、ゆっくりと車を動電池も切れちゃって、優の電話番号もわからなくなっ かし始めました。 ちゃってね。それに驚かせたかったしね。でも、私免許 「そうなんですか ? 」 取るっていってなかったつけ ? 」 「いってましたか : 「だから、優に連絡できなかった二週間くらいは、免許 取るための合宿にいってたの」 「確かいったと思一つけど」