「じっくりやれば幸せが手に入るんじゃないかってあたしは思うんだよね」 「そうだよね。わたし達も将来は結婚して『しあわせ』を手にする時はそうなりたいよね」 わたし達も将来は結婚する可能性があるため、「しあわせ」をまだ手に入れてないことに不安を 抱いている先生の姿を見て、わたしもさやかちゃんも将来について真剣に悩む時が近づいている ような気がしました。 その時です。 ただ単に結婚することだけが「しあわせ」なのかしら ? わたしの、いこ隹、 ノ ( 言力がいかけてきます。結婚することだけが「しあわせ」であるのかと : その時から「しあわせ」とは何なのか考え込む日々が続くのでした。 わたしのしあわせが何なのか心の中でいつも頭の中に浮かんできます。 「まどか、あんた最近悩んでるような顔をしてるけどどうしたん ? 」 さやかちゃんがわたしのことを気にかけてくれます。 「この前、先生の交際失敗の話があって、さやかちゃんとわたしが将来の話をしてふと思ったこ とがあるの。結婚することだけが『しあわせ』なことなのかなって思ってるんだけど、さやかは しあわせって何だろう ?
「私は生きていること自体が幸せかなって : : : 生きているから皆に会えて、絵も描けてケーキも 食べられて」 皆が持っそれぞれ「しあわせ」を知っていくにつれ、少しずつわたしの「しあわせ」にたどり 着けそうな感じがしました。 その日の夜、わたしの「しあわせ」が何なのかようやく見つかり一安心したのか、いつもより 早く眠りにつきました。 あなたが望むほんとうの「しあわせ」は見つかったのかしら ? 夢の中で誰かが私に訊ねてきます。 わたしは訊ねてきた人が誰なのか聞きだします。 私はあなたの想う者。名はまだ明かせないけど、ある時はあなたの心を守り、またある時はあ なたの望む「しあわせ」を見守っているわ。 その人は名前を名乗ることは出来ないものの、いつもわたしのためにしてくれる人みたいです。 一三ロ
ひょっとして、この前わたしの心に問いかけたのはあなたなの ? その通りよ。あなたのため、あなたの「しあわせ」のために・ わたし、あなたの問いかけがあったから、わたしなりに考えたほんとうの「しあわせ」が見つ かったんだ。 わたしが見つけたほんとうの「しあわせ」は、今こうしてここに生きていること、大好きな家 族と一緒にいられること、さやかちゃんや仁美ちゃんをはじめ大切な友達と出会いお話したり遊 んだりすること、そしてあなたと今夢の中で話し合えていること。わたしが生きてきた中で、楽 しいことも辛いこともあるけれど、振り返ってみると一日一日の出来事が奇跡のようにあるんだ なって思いそれに遭遇しているだけでも「しあわせ」なのかもしれないと感じたんだ。 それがあなたの答えならば私は止めないわ。あなたの望む「しあわせ」を見守るのが私の役目 だから。ここで話すひとときから、現実世界であなたと出会える時が訪れたら、たとえ奇跡を取 り入れる者が現れても、その心をいつまでも持ち続けるといいわ。 わたしが考え抜いたものを問いかけてきた人に伝えると、納得してくれたようです。それと同 時に辺りが次第に暗くなり、わたしはその人に別れを告げることにしました。 ありがとう。あなたに出会える日を夢見つつ、わたしが考え抜いた「しあわせ」を持ち続ける ね。
「さあ : : : 叶えてよ ! インキュべーター ! 」 わたしが願った奇跡にほんとうの「しあわせ」があります。誰も恨まず、呪わずに楽しく、喜 んでいられる日々こそがほんとうの「しあわせ」であることを。奇跡を約束する者に願いを叶え ればそれが成立する。だからわたしは「全ての魔女を生まれる前に消し去りたい、過去も未来の 魔女もこの手で消したい、 と願えばしあわせな日々の奇跡が送れると思いました。そして、みん なのそれを見守るのがわたしの役割だと : ほむらちゃんと出会う前、結婚することが「しあわせ」であると思ってはいました。けれど、 それは間違いでした。誰かと感じる五月の穏やかな日差し、暖かな家族との日々、美味しく食べ る朝ごはんの目玉焼きと、生きていること、家族の有難み、誰かを呼びつ呼ばれつつ想い合うこ ととお金にも物にも変えられない経験こそがほんとう「しあわせ」であると気が付きました。 ほむらちゃんと出会ってから何もかもが変わり、そんな日々が壊れ始めていきます。わたしが 心に決めた「しあわせ」が戻って来なくなり、それはわたしだけでなく誰もが経験していました。 願いで壊れた日常を見させられ、日々の奇跡を取り戻すならば奇跡を願うしかないと思いました。
あとがき こんにちは。ご覧いただきありがとうございます。去年の冬コミ から 3 連続サークル参加をさせて貰う中、今回は「しあわせ」を題 材にした作品を出させていただきました。 MADOGATARI 展におけるコンセプトムービーではまどかとほむ らが出会った後の「しあわせ」についての部分が触れていましたが、 ここでは二人が出会う前のまどかがどんな「しあわせ」を感じ、ほ むらと出会った後の心境の変化をみるというものです。 しあわせさがしということもあり、お世話になった方々の生の声 を頂き製作をすることになりました。本当にありがとうございまし 0 夏コミをもって同人活動を引退するはずが、参加時にある方の鶴 の一声がきっかけで冬コミも申し込み、こうしてまた作品を出すこ とが出来ました。その一声が無かったら、こうして作品を出すこと も皆と顔を合わすこともなかったのかなと思い感謝しています。 まどか☆マギ力に触れて数年、今までになかったことを経験させ てもらうことが多々ありました。仕事で間接的にお世話になったこ と、まどかオンリーで一般、サークル、スタッフの経験、公式イベ ントでのフラワースタンドの設置、更にはとある人へ恋に落ちた時 もありました。こうした体験から今の「しあわせ」からこれからの 「しあわせ」を手に入れたらと・・ それでは、またどこかで・・ ほんとうのしあわせさがし 発行者 : 登場 ご意見、ご感想を心からお待ちしております。 印刷 : 株式会社ポプルス e-mail → OCg3264f212561 h@ezweb.ne.jp ・ twitter → TJ—Rebellion p ⅸⅳ→ 343278 発行 : 一灯業務部 発行日 : 2016 年 1 2 月 30 日コミックマーケット 9 1 連絡先・ ※無断転載はお控えください。
「おはようさやかちゃん、仁美ちゃん ! 」 「おはようまどか ! 最近元気無かったけれど、今日は元気じゃん」 「まどかさん、最近元気そうでなかったので心配しましたわ」 さやかちゃんも仁美ちゃんもあの時以降のことを心配していたようです。 「心配かけちゃってごめんね」 「まどかが元気になって良かったものの : : : さてはあんた陰ではこっそり恋人とかがいてそれで 昨日まで落ち込んでたんだなあ ? けしからん ! あたしを差し置いてまどかが先に恋人だなん 「ちつ、違うよ ! 恋人じゃなんかなくて『しあわせ』について考えてたんだって : : : 」 「ほう ? まどかが考えた『しあわせ』とはあたしも聞きたいですなあ : : : 」 「さつ、さやかちゃんがそう言ってくるのなら素直に言うよ。わたしのほんとうの『しあわせ』 は、今こうしてここに生きていること、大好きなさやかちゃんや仁美ちゃん、家族と一緒にいて お話したり食べたりすること。お金にも物にも変えられない、そういった経験こそがわたしにと 亠めりか --\ 」一つ。士へど : 辺りが完全に暗くなり、気が付くと夢から覚めていました。あの人が最後の言った言葉が何な のか少し気になるも、わたしが見つけたほんとうの「しあわせ」を持ち新しい一日が始まるので した。
あれから暫く経ったとある日のことです。クラスの皆は転校生が来ることで話が持ち切りとな りで、どんな子がやってくるのか楽しみになっていました。それと同時にわたしの心には自身が 考え抜いた「しあわせ」を気がっかぬうちに忘れていきました。そして、その子がやってくる日 が来ました。 「それじゃあ自己紹介いってみよう」 「暁美ほむらです。よろしくお願いします」 あれ ? 夢の中で会ったような ? それに、この声、どこかで : 目の前にいるのは初対面の転校生。しかし会った瞬間、夢の中の出来事ともう一つ忘れていた 何かを思い出させようとしています。 その日の放課後、モヤモヤとした感じが何なのか、さやかちゃんや仁美ちゃんに相談するも、 わたしは納得出来ませんでした。ほむらちゃんが転校してから数週間、わたしの周りに大きな変 化をもたらしました。顔を合わし話す機会はあれど、あのことがなかなか言えない日が続きまし っての『しあわせ』なのかなって思うんだ」 「ありがとうまどか。あたしもまどかも仁美も、今こうして話し合えていること自体が奇跡みた いなものだから、『しあわせ』であることは間違いではないね。まどかがそう思っている以上そう なのだから。あたしも仁美も同じ考えで本当に嬉しいよ、まどか」 わたしの身の回りから大切なものが失われはじめたある日、何とかしたい思いもあってほむら
それから数日後、心の中にあるモヤモヤを無くしたい気持ちが抑えることが出来ず、休み時間 や放課後を利用して勇気を出して他の教科の先生やクラスの皆に相談することにしました。 「どんな時が幸せかって ? 先生は、好きなことをやっている時かな。写真を撮ったり、酒を飲 んだり、旅行をしたり、カートに乗ったりして同じ趣味を持つ人と共感しあうことだね」 「僕はカメラかな。好きなものを撮って楽しむこと。自転車に乗ることとかもそうかな」 「あたしは友達と遊んだり、家族と過ごしたりたわいのないことをしている時が一番の幸せかな」 「私は自分が好きだなと想う相手に『好き』と言ってもらえた時かな。同性同士でもそう思うこ とはあるし。例えば人として尊敬していたり、その人の才能に憧れ『あなたが好きです』と言わ 「あの時のことか。あの時は深く考え過ぎただけ。あたしは、単に結婚するだけが『しあわせ』 ではないと思うし、今こうしてまどかと話していることや皆と恵まれた暮らしをしていることも 『しあわせ』じゃないのかなって」 「さやかちゃんがそう思ってはいるも、わたしには : : : 」 「なに ? まどかが思っているそれはそうじゃないって ? そのことは人それぞれだし、あんま り考え込まなくてもいいと思うけどなあ」 「そっ、そうだよね : : : 」 あの日のことをさやかちゃんには上手く伝えることが出来ないまま、その話から別の話に変わ り、わたしの心の中には「しあわせ」とは何かだけでなく、心に問いかけてきたのが誰かすら分 からないまま時が過ぎるのでした。
ちゃんの家に向かいました。 「なんでだろう : : : わたし、ほむらちゃんのことを信じたいのに : : : 嘘つきだなんて思いたくな いのに : : : 全然大丈夫って気持ちになれない : : ほむらちゃんの言ってることが本当だって思え 転校してきた時の気持ちとズレが起き始め、ほむらちゃんの言葉を信じたい気持ちが思うよう に伝わらず涙が出始めます。そして、あの時のことを完全に思い出したのです。 「分からなくてもいし : : : 可も云わらなくても 。あなたを私に守らせて , ほむらちゃんが涙を流しながらも本当に伝えたいことを知り、わたしも伝える時がやってきま した。 「ほむらちゃんの本当の気持ち、わたしにもわかるよ。わたしもほむらちゃんからすれ伝わらな いかもしれないけれど、ほむらちゃんが転校してくる前、誰かが心の中で『しあわせ』について 問いかけた人がいたんだ。その人は夢の中で出会い、わたしなりの答えを見つけることが出来た の。その人と別れる時にわたしの名前を呼んでくれて、もしかしたら心あたりの人なのかなと思 うもその時はだれなのかわからなかった。けどほむらちゃんが転校してようやく気が付いたんだ。 あの時心の中に問いかけてきた人の声はほむらちゃんなんだなって : : : 」 「まどか : : : 」 「わたしね。ほむらちゃんが未来から来た人だとしても信じたい。今ではもう失ってしまったけ れど、これからのほんとうの『しあわせ』を見つけ出すことが出来たから、ほむらちゃん頑張っ て。ワルプルギスの夜を倒せるよう応援しているから ! 」 大切なものを失うも、新しいほんとうの「しあわせ , を見つけることが出来ました。けれど、そ れはここでは一一一一口えなかったのです。
れた時とか。あとは純粋にかわいいものをゲットした瞬間かな。『しあわせ』って『生きていて良 かったこと』なんかじゃないかって私は思うの」 「僕は『しあわせ』とはこうだと思うんだ。人の幸せはすぐ隣にあり、追いかけた時に離れ、あ る日立ち止まり思い返した時に気が付くもの。手を伸ばして幸せはどこだと走り回ってもそこに 幸せはない。ある日立ち止まってふと見上げた空、何気なく見た路地裏、まばゆいタ日、当たり 前の風景を眺めた時に幸せは隣にあるんだなって。ごく当たり前の日常、今ここにいることって 忘れているだけでとても幸せな事なんだなって。だから思い返した時に、感謝の気持ちが自然と 伊え不幸だと思う毎日が続いたとしても幸せはすぐ隣あるってね」 溢れ出てくるんだ。リ 「私は猫を飼っているから、猫とじゃれ合う時の癒しが幸せかな」 「仲の良い友達とお茶している時、美味しいものを食べている時、大や猫と寄り添っている時、 趣味を堪能し、同じ趣味の人と出会えて話せた時が幸せだわ」 「音楽部の僕から言うと、譜面を覚えてその成果を褒められるだけで嬉しかったことかな。鹿目 さんも音楽の授業の時はそんな時があったんじゃないかな ? 上手く演奏出来ず練習に励んでい る時、『この音こそが本当に奏でる』と言える時に皆に聴いてもらい喜んでもらえることが僕の幸 せだよ , 「自分はゆっくり寝れるぞーって感じの寝る前がとても幸せ」 「先生には娘がいて、見てるいだけで幸せで癒されて可愛いのもある」 「あたしは疲れ切った部活のあとでチョコを食べるとか、友達とだらだら喋ってる時かなあ」 「俺は人を楽しませることが好きだから、皆と価値観を共有したり同じ気持ちになれることが幸 せかな」 「俺は、飯を食っているときかな」