棲艦 - みる会図書館


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1. ヘーイ!テートク 珈琲の時間デース!

のことだ。 銃撃や砲撃・爆撃ーー核などの人間の手による通常 ① 深海棲艦とは、『人類に害を為す対話不可能な敵対攻撃を一切受け付けない深海棲艦だが、なぜか艦娘の 府 的存在』のことを指す。外見的には様々。人型の深海艦装から放たれる攻撃にだけは弱い。従って、艦娘抜守 の 棲艦もいれば、皮膚が焼け爛れた鯨のような巨大な深きでの深海棲艦との戦闘はありえない 海 の そして艦娘に指示を出し、深海棲艦との戦闘を指揮 ろ 海棲艦もいる。それらに生物学的共通点は無く、現在 虚 するのが「提督』。提督と艦娘は深海棲艦と戦うため もあまり研究は進んでいない 今のところ積極的に人間を攻撃を行っているわけでの「指揮官と兵士。という関係だ。故に、信頼関係と 指揮官の権限は非常に重要となる。 はないが、接触した場合は殆どの場合危害を加えてく パッシブ というわけでーーー先ほどのように幾ら金剛が駄々を る受動的な態度を取っている。但し、彼らは日々着実 こねた所で、そう簡単に命令を覆すわけにはいか に領土・領海を広げており、その結果、人類が使用し 意識して低い声を作り、金剛に指一小を重ねる。 ていた海路・交通・通信の一部は使用することができ 「明日以降、秘書艦任務はすべて鳳翔が執り行うこと なくなった。現状、需給が崩壊しないギリギリのバラ ンスをなんとか保っているが、この状態を維持できてとする。早急にお前が抱えてるものは彼女に引き継ぐ ように。それが済んだ後は いるのは、艦娘という存在かいるお陰だ。 「提督、残念ながらそれは難しいかもしれませんー 艦娘は深海棲艦に対抗できる、無二の存在だ。 素体となる少女の肉体に軍艦を人格化した記憶を付「鳳翔」 新たな声の主に視線を向ける。いつの間にやってき 与することによって、少女は『艦装』を呼ばれる戦闘 たのか、初めからそこにいた様に鳳翔は室内に立って 用装備を召喚することができる。これが艦娘だ。

2. ヘーイ!テートク 珈琲の時間デース!

誰も糾弾できないのだ なぜならこの蛭田こそが 「だから私が親玉だと ? 」 海に取り残されて救いを待ち続けた被害者だったのだ 「お前は海から還ってきた。その時にはすでに人間 か、ら。 じゃなかったんだ。違、つか」 海の残される孤独。たったひとりで救助を待ち続け「ふ : : 。だが人型の深海棲艦などいないことは君も る男。 分かっているんじゃないか ? 私は見ての通り、人間 それを無視して、かって海軍は救難活動を打ち切っ の姿をしているぞ ? 」 ているーーだからこそ、こいつが行う「たった一人の 「お前に常識など通用するか」 ために全員を犠牲にしようとする行動」を否定できな 「酷い言い様だな」 い。積み重なる犠牲を目撃しながらも、ただ、指を咥 「まだある。アリューシャン・ミッドウェー攻略作戦 えるしかなかった。倫理的な正しさがあるからこそ、 の内容は深海棲艦に露見していた。深海棲艦の行動に 否定できずにいた。 は知性を感じる。それこそ、人間のような知性をな」 蛭田がようやく口を開いた 「即ち、私が作戦を深海棲艦に漏らしたと ? 」 「私が深海棲艦の親玉、か : : なぜ、そう考えるんだ 「鎮守府を壊滅に追い込む為にな」 「ふふつ・ : なるほどな、だが一ついいカ ? 「海域における深海棲艦の行動は、常に親玉を護る為 そんな台詞を告げ、蛭田はようやく窓の外を眺める に動く。捕捉した深海棲艦は、俺達の攻撃には目もく のをやめ、ゆっくりと椅子を反転させた。きいい、と れすここに この鎮守府に向かっていた。まるで親 いう音が鳴り、机を挟んで蛭田と俺は正面を向き合 玉を護ろうとするみたいに」 う。不敵に笑っていた蛭田の顔は ね」 255 「へーイ提督ゥ ! 珈琲の時間デース ! 」「誰だお前」

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分かるか」 「艦装はな、艦娘達の願いの結品なんだよ , 重 / 、亠の、り・ それは叶わない願いだ。人間でありたい、リ 愛されたい。艦娘が抱いた理想への情念が強 ければ強いほど、艦装は願いに応えて強く顕現する。 深海棲艦は恐らくはーー・その対極に位置するのだろれて死ね」 う。壊したい、呪いたい、潰したい。そういったマイ ナスの想いの塊だからこそ、艦装でしか深海棲艦は撃「待っ」 ち抜けない。 ばん、という音が鳴った。 蛭田が青黒く濡れた手で、俺の脚に縋りつく。 蛭田の額に黒い孔が空いた。音もなく青黒い体液が 「ま、待て : : : 兄弟、ほん : : : きか : : : あ ! 本気で、 零れだしていく。それで終わりだった。そいつはもう 私を、殺すつもりか : びくりとも動かない。拡げられた蛭田の瞳は深い闇の 「お前は深海棲艦だ。堕ちた存在を救えるほど、俺のように暗かった。微かに瞑目し、俺は拳銃を懐に仕舞 手は長くない 「か : : : 考えなおせ : 私は : : : 俺達は世界に復 外からは深海棲艦との戦闘を繰り広げる艦娘達の砲 讐していいんだツ・ それだけの呪いは受けた ! 撃音が響いていた。意識が艦娘達へと引き戻される。 そうだろう ! お前だって、そう思ってるはずだあ 「あいつらは無事か : 「何度も言わせるな。俺もそう思う。だけど俺はお前 とは違うやりかたで生きていく」 俺は銃口を突きつける。 じゃあな、兄弟。艦娘達の想いに撃ち抜か 虚ろの海の鎮守府① 266

4. ヘーイ!テートク 珈琲の時間デース!

俺はマイクに向け指一小を出す。 いよいよ本番だぞ、気合入れろーー全艦隊、出撃 ! 」 「状況終了ーーー各艦隊、状況を報告せよー 「ーー了解い〔 命令に応じて各艦隊旗艦がそれぞれの状況を伝えて 斉唱が届くと同時に、彼女達が進撃を開始した。 くる。損宝ロ状况はこ、つだった。 大破 : 金剛、鈴谷、榛名、加賀 中破 : 熊野、暁、響 ミッドウェー諸島制圧作戦は厳しい戦いとなった。 小破 : 赤城、霧島、あきっ丸、妙高、羽黒 近海に残存した深海棲艦を、航空戦を駆使して掃 その他各艦は損害軽微。作戦行動に支障無し。 討。その後、第一・第二艦隊並びに第三・第四支援艦 隊を動員しミッドウェー諸島に構える深海棲艦の群れ 第一—第四艦隊ともに燃料、弾薬を激しく消耗して へ艦隊戦を挑んだ。流石に敵の練度は高く、片言では いる。特に夜戦が続いたこともあり弾薬の消費が激し あるが言語を扱う人型の強力な深海棲艦 ( 通称『空母 支援艦隊のほうも損害こそ無かったが、弾薬の消 棲姫』 ) との戦闘が繰り広げられた。 耗が激しい。そして何よりも 出番を失っていたあきっ丸の活躍もあり、ミッド 「金剛、大丈夫か ? 」 ウェー諸島周辺を無事制圧。深海棲艦を排除した。そ 「はあはあ : : : へ ? あ、ハイ ! も : の後、同島の奪還を目的とした『空母棲姫』を中心と ぜーんぜん余裕デス凵」 する敵増援艦隊と再び艦隊戦が繰り広げられたが、大大丈夫ネー 「 : : : 絶対に無理はするなよ きな損害を生みつつもなんとかこれを撃滅した。 : もっちろん 虚ろの海の鎮守府① 214

5. ヘーイ!テートク 珈琲の時間デース!

ミッドウェーとアリューシャンで、鎮守府の守りが 「これは 手薄になったこのタイミング。狙ったかのような敵の 多い 進撃だ。今ここを攻め込まれたらひとたまりも無、 とてつもなく膨大な数だ。アリューシャン・ミッド 相当な被害を受ける筈だ。それこそ壊滅的なレベルの ウェーとは比較にならない大艦隊だ。アリューシャン 損害になるだろ、つ。 もミッドウェーも、決して深海棲艦の数は少なくな かった。にも関わらず、それ以上の規模。底が知れな おぞけ 前 あまりにも出来過ぎている。 い深海棲艦の戦力に怖気が走る。 お まさか作戦情報が露見した ? だが、どうやって。 モニター画面が更新される。 誰 「 : : : 加賀、索敵機は見られたか ? 」 無数の光点が徐々に移動していることが分かった。 ス いえ。見られていません」 その向かう先は この情報は有利に働デ 加賀が言、つのなら間違いない 「目的地は、鎮守府か : : : 」 時 妻監との戦力差は甚 くはすだ。帰投中の艦隊と敵深海本月 の 「て、提督、敵戦力が」 鳳翔の怯えた声。更新された戦力情報欄。そこには大。敗北は必至。艦隊戦は望むべくもない。気づかれ 『戦艦棲姫』という名前が表示されていた。大和や武ないうちに距離を取り、鎮守府に帰還する。これしか 提 蔵の装甲でさえ軽々と打ち砕く驚異的な打撃力を誇 命令を口にしようとした瞬間、金剛の声が聞こえた。 る、最上級危険指定される深海棲艦だ。それが二隻。 へ 「テートク、追撃デス凵 大量の強化型・エリート型深海棲艦の群れに守られな がら、悠々と海を渡っている。

6. ヘーイ!テートク 珈琲の時間デース!

俺は手元のタブレットに視線を移した。表示され 「分かったーⅡ」 ている艦娘達を示すマーカーと深海棲艦を示すマー 艦隊が応戦をやめ、完全に撤退に専念する。後は無 カー。想像通り、深海棲艦の動きに異変があった。鎮事に逃げ切れば、補給艦隊を送って鎮守府まで帰らせ るだけ : 守府への侵攻が停止し、深海棲艦が撤退を開始する。 そう思った矢先、妙高の声が聞こえた。 俺はヘッドセットのマイクのスイッチを入れた。 「金剛さん : : : 後ろ凵」 「状況はどうだ あああっー 「テートク」 砲撃音に続いて、背筋を凍らせるような金剛の悲鳴 金剛の声だ。良かった、生きている : か聞こえた。 「こっちは大丈夫デス ! まだ誰も沈んでない 嫌な直感が全身を駆け抜ける。喉が干上がる。冷や 汗が吹き出る。 「そ、つか : ・ : よくやったー・偉いぞ ! 」 「金剛、大丈夫かーー金剛っ凵」 「もちろんネー テートクの為ならワタシ達はめつ 「しつかりしてください、金剛さん : : : 金剛さんっ ! 」 ちやめっちゃ頑張るネ ! 」 「お姉さま : : : 金剛お姉さまっ卩」 「ああ : : : ありがと、つな金剛 : タブレットに表示された金剛を示す光点が、危険を 少しだけ視界が滲んで、俺は首を振った。 示す赤色で点滅していた。その光点を見つめながら、 「恐らく、これから深海棲艦達の撤退が始まる。お前俺はひたすら金剛の名前を呼びつづけた。 らも応戦はやめて撤退に専念しろ 「了解ネ ! ミナサーン ! 撤退に専念デスⅡ」 267 「へーイ提督ゥ ! 珈琲の時間デース ! 」「誰だお前」

7. ヘーイ!テートク 珈琲の時間デース!

「あのな : : : 金剛、お前は二人目なんだ」 『親玉』と呼ばれる深海棲艦の親玉を撃破すること。 深海棲艦はポスを護るように群れを為し、行動する。 「俺はもう一人のお前を沈めたことがある」 そのボスを撃破すれば期間限定海域の異常な敵出現は それは懐かしさにも似た痛みの記億。 停止し、制圧が可能になる。 かって今の金剛が着任するその前ーー俺は艦隊指揮 あの金剛が沈んだのも、期間限定海域でだった。 の関係上、意図して、もうひとりの金剛を海の底に沈 鎮守府に所属するすべての提督が指揮する艦隊が、 前 めさせてしまった。そうーーあの時は今以上に緊迫し どうしても親玉を撃破できない極めて厳しい海域だっ お た状况だった。 た。一週間が過ぎ、二週間が過ぎて、三週間が経って 誰 深海棲艦の生息地の一つに『期間限定海域』と呼ば も誰一人親玉に辿りつけない、極めて攻略が難しい海 ス れる場所がある。 域だった。 それは深海棲艦が突如吹き溜まる異常地点みたいな そこで、唯一親玉の元までたどり着くことが出来た 間 時 ものだ。時折前触れもなく出現し、その海域を中心に のが、当時俺の指揮した艦隊だった。到達報告を受け の どこまでも深海棲艦が出現しつづける極めて危険性のた海軍上層部は狂喜したと聞く。ようやく親玉を撃破 高い海域だ。なぜ期間限定と呼ばれるのかといえば、 できる艦隊が出てきたと、喜んでいたと。 督 海域観測からおよそ二週間 5 一ヶ月以内に海域制圧を だがその艦隊で、唯一、金剛だけが大破していた。 提 しなければ、二度と取り戻せないほど敵が出現し続け 進撃すれば確実に沈む。そう確信できるほどポロボ へ る為、海域奪還が非常に難しくなるからだ。 ロの状態だった。そうでなければ親玉に到達できない 期間限定海域を制圧・封鎖する方法はただ一つ。 ほど、厳しい場所だった。それは同時に、撤退すれば

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われた海域を奪還する為の戦いは、またしても振り出だが、状況は予断を許さない 現在は、謹廩扱いということで俺は鎮守府に軟禁扱 しに戻ることになった。 いを受けている。俺の指揮する艦隊は一時凍結という それでも被害は最小限に食い止められたのだろう。 蛭田源之丞ーーもう一人の俺を殺害したことで、鎮扱いで自由放牧状態だ。鎮守府の外に出ないという制 約付きで、好きにさせている。まあ、解体再編という 守府近海に展開された『期間限定海域』は消失した。 キいにならなくて良かった。他の提督の元に渡すと それによって深海棲艦は撤退。窮地は免れた。 しかし問題はその後だ。蛭田の執務室に残された四なったら、記憶の初期化や待遇の悪化は免れられない 人分の死体 ( うち一つは深海棲艦だが ) を巡って、俺だろうから。 は軍事裁判に掛けられることになった。一人は海軍最「 : 金剛からカップを受け取り、中身を覗きこむ。 高権力を持っ男だったのだ。当然の流れだろう。 中に入っていたのは紅茶だった。琥珀色をした液体 蛭田が深海棲艦だったことで俺がヤツを射殺した罪 が揺れ、俺の顔を歪めながら映しだしている。漂って は不問に処されるーー・というほど組織は簡単ではな むしろよりこじれた方向へ裁判は進んでいる。深くる香りから言っても、まあ、やはり紅茶だろう。 海棲艦を海軍の最上位にまでのさばらせたという軍内「金剛、だからお前、紅茶を淹れるなと : : : 」 いいからとりあえず飲んで欲しいデス ! 」 の無能を隠す為、俺に罪を被せようという勢力と、人「ノー 材不足を考慮して深海棲艦だったという事実もろとも「いやけど : : : 」 グビッと O デス凵」 葬り去ろうとする勢力が拮抗している。真田の支援も「ワタシを信じて欲しいネー あり、なんとか後者の方向で押し切ることが出来そう 虚ろの海の鎮守府① 272

9. ヘーイ!テートク 珈琲の時間デース!

蛭田が微笑みを携え、頷いこ。 「やはり、お前が ① 「ああ。私こそが、この鎮守府近海一帯に発生した『期「心地よいぞ深海は。世俗の痛みを全て忘れられる。 府 : お前も、今 守 憤怒のままに全てを壊してしまえる。 間限定海域』の親玉だ」 鎮 の しがた怒りを覚えたはずだろう ? 君が指揮する艦隊 海 の は鎮守府の防衛の捨て駒にされた。大多数を護る為に 銃把を握り直し照準を改める。 ろ それを見て蛭田は「おいおい、と肩を竦めおどけて切り捨てられたんだ。許せないだろう ? 君は艦娘達虚 を愛していたからな」 みせる。 「ちょっと待て兄弟。まさかそんなチャチなもので私「とばけるな、それは貴様が下した命令だろう ! 」 「私が下さずとも、いずれは誰かが下したさ。君を捨 を殺そうだなんて考えているんじゃないだろうな ? いくら『あがり』を迎えて艦装を呼び出すことが出来て駒にして保身を図ろうとする連中はこの海軍には幾 らでもいる。私はただその後押しをしたに過ぎない なくなったからって、深海棲艦に通常兵器が効かない ことを忘れたわけではあるまい ? 深海棲艦に効果がそれを分かっていないとは言わさないぞ、兄弟」 「それは : あるのは艦娘が召喚した艦装による攻撃だけ。銃撃な 許せなかっただろう ? 「怒っただろう ? どという無駄な行為をするまえに、どうだ兄弟、一つ 誘いかける蛭田の顔には、ひどく淫らな笑みが浮か 私の話を聞いてみないか」 びあがっていた。俺と同じ顔をした男のーー鏡でも見 「貴様の話だと : : : 」 たことがない、邪悪な笑み。 私と一緒に海の底へ堕ちていかないか」 「どうだ 「なあ兄弟、この世界は間違っていると思わないか、 「ふざけるな ! 俺に深海棲艦になれと一一一口うのか凵」

10. ヘーイ!テートク 珈琲の時間デース!

からは青黒い血液が流れ出しているーー・深海棲艦の体 間限定海域』は親玉を失い、解消される。深海棲艦は 」攸 - 、よ」 0 引き上げて撤退していくはずだ。 蛭田が俺を見上け、驚愕の表情で呻き声をあげる。 「殺す ? 」 その顔を見下ろし、俺は銃撃を更に数発打ち込む。 蛭田が失笑した。 : 傷を : 「なぜ、俺の身体に・ もう一度椅子を回転させ、呆れた顔で俺に向き直る。 もの 「お前には分からないだろうな。呪いのまま艦娘を踏 「何度も言わせるなよ兄弟。そんなチャチな武器では 前 リこよ。この銃弾にはケッコン指輪が練り 私は殺せんよ。第一、仮に殺せたとしても引き上げさみ潰したお前し ( お こまれている。艦艦装の一部が籠められているんだ」 せるつもりは毛頭ない」 誰 「では、俺の要求は飲めないと ? 」 「 : : : 賭けだった。苦労したよ、この為にケッコン指ス 「答えるまでもない 輪をひたすら買い漁った」 「ならこれでお別れだ」 時 明石の売店にケッコン指輪が売り出されるたびに俺 「何 ? 」 の はそれを買い占めていた。集めた指輪は再び鋳潰した 引鉄を引いた。乾いた破裂音が室内に響く。そのま 珈 ま続けて数度引鉄を引いた。ばん、ばん、ばん。射撃あと、銃弾に練り込ませておいた。そうして製造した ウ 弾丸は一一十五発。ただ深海棲艦に本当に効果があるの 音が消え、銃口から煙が薄く立ち上る。 提 イ かどうかは賭けだった。効果が無ければ、手の打ちょ 「 : : : 馬鹿、な : へ 、つか無かった。 、一脱力し、蛭 蛭田の身体の数カ所に穴があいてした。 ' 田が椅子からずり落ちる。地べたを張った蛭田の身体「蛭田。ケッコン指輪の元となる艦装が、なぜ残るか