行動 - みる会図書館


検索対象: ヘーイ!テートク 珈琲の時間デース!
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1. ヘーイ!テートク 珈琲の時間デース!

誰も糾弾できないのだ なぜならこの蛭田こそが 「だから私が親玉だと ? 」 海に取り残されて救いを待ち続けた被害者だったのだ 「お前は海から還ってきた。その時にはすでに人間 か、ら。 じゃなかったんだ。違、つか」 海の残される孤独。たったひとりで救助を待ち続け「ふ : : 。だが人型の深海棲艦などいないことは君も る男。 分かっているんじゃないか ? 私は見ての通り、人間 それを無視して、かって海軍は救難活動を打ち切っ の姿をしているぞ ? 」 ているーーだからこそ、こいつが行う「たった一人の 「お前に常識など通用するか」 ために全員を犠牲にしようとする行動」を否定できな 「酷い言い様だな」 い。積み重なる犠牲を目撃しながらも、ただ、指を咥 「まだある。アリューシャン・ミッドウェー攻略作戦 えるしかなかった。倫理的な正しさがあるからこそ、 の内容は深海棲艦に露見していた。深海棲艦の行動に 否定できずにいた。 は知性を感じる。それこそ、人間のような知性をな」 蛭田がようやく口を開いた 「即ち、私が作戦を深海棲艦に漏らしたと ? 」 「私が深海棲艦の親玉、か : : なぜ、そう考えるんだ 「鎮守府を壊滅に追い込む為にな」 「ふふつ・ : なるほどな、だが一ついいカ ? 「海域における深海棲艦の行動は、常に親玉を護る為 そんな台詞を告げ、蛭田はようやく窓の外を眺める に動く。捕捉した深海棲艦は、俺達の攻撃には目もく のをやめ、ゆっくりと椅子を反転させた。きいい、と れすここに この鎮守府に向かっていた。まるで親 いう音が鳴り、机を挟んで蛭田と俺は正面を向き合 玉を護ろうとするみたいに」 う。不敵に笑っていた蛭田の顔は ね」 255 「へーイ提督ゥ ! 珈琲の時間デース ! 」「誰だお前」

2. ヘーイ!テートク 珈琲の時間デース!

ヘッドセットから二十四名の斉唱。 今回の作戦で動員されるのはその四倍。総勢二十四名 アリューシャン・ミッドウェー諸島攻略作戦作戦 で構成される大編成だ。その彼女達を俺は執務室から ① 発動から既に十二時間が経過している。この作戦守 指揮する。 は大きく二段階で構成される。即ちアリューシャン方の 遠隔地であっても視界に問題はない。艦娘達が身体 海 の につけたカメラを切り替えることで実際の映像を確認面に対する陽動攻撃作戦と、その後のミッドウェー諸 ろ 島制圧作戦だ。俺達の艦隊は後者を担当する。今は陽 することができる。また、壁面に設置されたモニター 動部隊からの連絡を待っている。 上の地図には、マーカーによって艦娘達の現在位置が 電話が鳴った。鳳翔が受話器を取った。顔をこちら 表示される。これらには索敵機も連関しており、捕捉 に向ける。 した敵機位置はライプカメラによる位置修正を受けっ 「真田提督からです」 つ、リアルタイムに地図上に表示される仕組みだ。 要するに、敵と味方の現在地はすべてモニターに映「わかった」 る。 受話器を受け取った。 これを眺めながら、俺は彼女達の戦闘行動を指揮し 「俺だ」 ていく。 「真田です。アリューシャン諸島の制圧が間もなく完 「報告ありがとう。艦隊状況は把握した。第一から第了します。追って正式に第二次作戦の発動が命じられ ると思いますが先にご連絡を 四部隊はそのまま待機。アリューシャンへの陽動を 。いいな」 「感謝する。深海棲艦の様子はどうだ」 行っている別働隊からの報告を待っ 「数は多いですが、練度は低いです。どうにも奪還に 「了解 ! 」 オペレート

3. ヘーイ!テートク 珈琲の時間デース!

の深海棲艦の親玉か 6 かんだな」 その後は知っての通り、他の提督や艦娘を犠牲にし て元帥へと上り詰め、更に多くの犠牲を出す為に犠牲① 府 「き、貴様、一体何のつもりだ : を払い続けている。 守 秘書官の動揺を、蛭田は手だけで制した。 蛭田の行動は一見の正しさを秘めている。 の 海 突きつけた結論。蛭田は俺の言葉が聞こえていない の 少数の人々を見捨てない為に多くの人を駆り立てて かのように、変わらず海を見つめ続けている。蛭田でも行動し、救おうとし、そして助けられないまま助虚 蛭田源之丞。海に消え、そして海から還ってきた けようとした人々を殺した。 男。 深海棲艦の住まう海域に残された一人の艦娘を助け かって蛭田は提督だった。艦隊と共に遠征した際、 るために十の艦隊を送り込み、そして十の艦隊と一人 蛭田は作戦に失敗して艦隊を全滅させ、そのまま行方の艦娘をすべて轟沈させる。そんな行動を繰り返し続 不明になった。 けたのが、蛭田という男だ。 誰もが死んだのだと思っていた頃、蛭田は何もな 目の前の一人を救うために、全力を注ぐ。 かったように海から還ってきた。こいつを見つけ、拾っ その行動は誰にも否定することはできない。 一人を た艦隊を指揮していたのは俺だった。 見捨て大多数を活かすという「数の上での正義」は、 海に消えていた空白の期間、蛭田はどうや 0 て生き人道的には間違っているからだ。それでもごく少数の 延びたのか覚えていないという。万年人員不足で提督人間は蛭田を批判していた が、それもやがて消え をこなせる人材が不足していたこともあり、そのまま 蛭田は提督として復職した。 だって否定できるはずもない。

4. ヘーイ!テートク 珈琲の時間デース!

かったんじゃないか ? 」 しえ。言葉や態度であってもです。榛名はソレに 好意を抱いていたんですよ ? ならその落差が大きけ「他人事みたいに言 0 てくれますね」 「まあそ、つ睨むな。で : : : 霧島 , れば大きいほど、それがどれだけ些細なことであって 「なんでしよう」 も胸は傷んだとは思いませんか。それに 「俺に何を聞きたいんだ ? 霧島は不愉央そうに眉根を顰めた。 「それに、その男は榛名の性格を熟知しているので 問うと、霧島は右手でメガネのズレを直した。 しよう。たとえ悪意をぶつけられたとしても、あの子 言いふらしたり「お聞きしたいことはひとつです。なせその男はそん がそれを誰かに向けて吐き出さない、 ・・そういう確信があって、敢えてそんな行動な行動を取ったのか提督のご意見をお聞きしたか 0 た しない : んです。提督なら何か分かるんじゃないかと思いまし を取っているのだと思います」 「榛名の性格を利用して好き放題言ってる、と言いたて」 いわけか」 白々しく尋ねてきやがる。 「そういうことです。まあ、それも限界に近いと思い どれだけ怒っていても、立場は弁えているーー・・・とい ますけれど。こないだなんて、あの足柄さんとお酒を 、つ一」 A 」 , 刀 飲んでいたんですよ ? 先ほど面談なさったのですか 「いいだろう。見も知らん男だし榛名に何を言ったの らご承知でしようが、あの子がそんなことするなん かもさつばり分からんが、先ほどの話に対する俺なり て、どれだけ追い詰められているんだか」 「はは、お互い似たような悩みを抱えてて飲みやすの解釈を教えてやろう。安楽椅子探偵よろしく、状況 虚ろの海の鎮守府① 104

5. ヘーイ!テートク 珈琲の時間デース!

けど、本当のことだ。まあ、つまりそ 「驚いたか ? だし、ともすれば限みそうになったとも言っていた ういうわけなんだよ。そいつの行動は結果的にほとん し、その男の言動が理解できなくてひたすら困惑して ど意味はなくて、榛名は自分のカで自分の心に整理を いた、とも一言っていた」 付けて、それで、ここにやってきた。だから霧島、お 「そうでしたか : 前が心配する必要はもう無いんだよ」 「ああ。けど、驚かされたよ」 「何にですか ? 」 霧島が小さく苦笑する。 「気づかれるとは思っていなかったんだ。わざと嫌わ お 「私も提督も、あの子のことを弱いと思い込んでいた れようとしていたことに」 誰 悩んだ末だったんだろう。相手の行動に合理的な説んですね」 ス 人は知らないうちに変わっていく。 明をつけようとしたら、そりゃあ榛名はそんな風に解 榛名への「嫌われようとする努力。はただのお節介デ 。よく考えて、考えて、考えた末、榛 釈するしかない 時 の 名はその結論に至った。それまでの顛末を、榛名はまで、そんなの必要ないくらい、榛名は成長していた。 珈 るで憑き物が落ちたみたいに清々しい表情で話してく元は受ける必要のない痛みや苦悩ではあったけれど、 れた。心から納得できた微かな痛みの伴う柔らかな表榛名がそうして変わっていく姿を見られたのは、本当 。女しことた。 提 情で。 イ だからーーー田 5 、つのだ。 って、言ってたよ。 「『貴方のことが嫌いです』 へ 艦娘は深海棲艦と戦う為の道具などではない。 きれいな笑顔だった」 艦娘は人で、感情があって、生きているんだと。 「榛名が : : : 」

6. ヘーイ!テートク 珈琲の時間デース!

なっていない たか、いつも陽気なこいつが想像以上に思いつめてい たのは意外だった。「テートク、ワタシ、やつばり秘 だがまあ、ただ金剛に秘書艦を続けろと言っても面① 府 書艦やっちやダメデス : : ? 」と恐る恐る尋ねてきた白くない。なので俺は一つの条件を出した。その内容 守 の 金剛に対して、俺が最終的に下した結論は、「今後も 海 の 秘書艦として務めるように」だった。 「金剛さん。秘書艦と抱きつくかどうかは無関係よ。 ろ ーもと 別に心変わりしたとかそういうわけではない さ、離れなさい」 もと半分くらいは金剛に引き続き秘書艦をやってもら 「うわ、即効で否定した。えげつないわあ : : : 」 、つつもりだった。秘書艦を変える、とわざわざ告げた 北上が若干引いていた。いや、寧ろこれが本当の秘 のは金剛がだらけるのを防ぐためだ。態度が変われば書艦としての行動だろ。加賀はなんだかんだで私情で たしな 行動しない。今だって、金剛と鈴谷を窘めているその 遠くない内に戻すつもりだった。鳳翔はその心づもり を最初から見抜いていたようで、 理由は「提督に迷惑がかかっているから」だ。その仕 「提督も酷いお人ですね。金剛さん、秘書艦から変え事ぶりについて、俺は加賀に全幅の信頼を置いている。 るつもりなんて無かったんでしよう ? 」 「私だって抱きっきたいのよ」 だから今の発言は聞かなかったことにする。っーか : 流石、鳳翔には嘘が通じない。おかんだからね。 ちなみに秘書艦の選定作業が無意味だったのかとい 誰の声か分かんなかった。今の翔鶴が言ったんじゃ うと必すしもそうではない。今後、金剛から秘書艦をね ? ノーカンノーカン。アーアー、キコエナイー 変える可能性だってあるし、その際には今回の面談で 「皆それくらいにしておけ。あちらさんがウチの大将 集めた結果は多いに役立つはすだ。決して無駄には に用事がありそうだぞ」

7. ヘーイ!テートク 珈琲の時間デース!

火事場で調子に乗ったのか。敵の行動は想定よりもそうな位置に金剛がいることに気づいたからか、敵機 は艦首を変えて金剛を追いかけようとする。アホだ やや早く果断だ。 な、こいつ。 鈴谷と北上がいくつか被弾している。だが軽傷。致 「金剛ー 命的ではない。艦載機からの情報をもとに位置修正の 「分かってるデース ! 」 指示を出す。引きつけ、敵艦隊を懐へと誘い込む。 敵機が食いついて来たのを確認し、金剛が砲撃を一 そして二人の射程に敵が踏み込んだ。 旦停止。武蔵のいる後方へと下がる。金剛もかなり自 「待たせたな。金剛、武蔵ーー撃てッ凵」 お 分で判断できるようになったな。手がかからなくて助 「了解ネ凵」 誰 かる。 「任せろ、提督よ」 ス 左翼に控えさせていた二隻の戦艦。無防備な敵の脇「鈴谷、北上、翔鶴、加賀。追撃しろ , マイク越しに伝えた命令に、了解の斉唱が返ってく 腹に向けて、超長距離からの艦砲射撃が一気に火を噴 間 時 いた。衝撃音ーー着弾。敵空母の一隻が大きく炎上する。 の る。 撤退とも反転した攻勢とも判別しがたい曖昧な行動 を取る敵艦隊へ向けて、四人が襲いかかる。半包囲さ 「敵空母一、敵重巡洋艦一が大破しました」 「加賀と翔鶴は第一次攻撃部隊を発進。金剛と武蔵はれる格好になった敵艦隊は六隻の総攻撃を浴びる。敵提 艦隊か沈黙するまでそれほど時間は掛からなかった。 攻撃を継続」 へ 加賀が最後の戦況を報告する。 敵機との距離は武蔵の方が遠く、金剛の方が近い これは速カ差に由来するものだ。ギリギリ敵弾が届き「提督、敵艦隊全滅しました」

8. ヘーイ!テートク 珈琲の時間デース!

284651564841651 987987416454645 BN979 ー 4 ー 07 ー 182313 ー 2 C0294 \ 1200E ( 0 ) 定価 : 本体 1200 円 ( 税別 ) 印駅 YWH 駅 E. L ' 5 日Ⅱ w ー WOR の 約熱の夏、新らめく記億の陽炎。 己の影絵の足跡には屍が転んでいるダ ーツ ! ? なんでワタシだけ ! ? 」 艦娘たちに秘監の公募を出そう。金岡外で」 過去を巡るうつろなる海語、ここに開幕」一一一一一一 - ! ! 提督の行動を監視する内部監査仂剛音躍していて・・・ ! ? 一方、研刻監に文村・る丿 ( 規模反攻作戦の背後では、 艦上の抱える悩みは、どれもこれもひと癖あるものばかり。 秘書艦の座を巡ってイ固別ⅲ信んカ哘われることになった ! 金剛がアレをアレしてアレしたことをキッカケに、

9. ヘーイ!テートク 珈琲の時間デース!

そういった行動であることを、蛭田は全て理解した ばん、と膝を打っ音が聞こえた。 「なぜそんな嘘をつく ! そんなことは絶対にありえ 上で、ただ壊したいから命令を出している。俺だから それが分かる。そして俺はそれを受けた。俺が受ける はずがないことは、蛭田だから分かる。こいつが訝し んでいるのはつまりそういうことだ。 蛭田はひどく箭央げに断一一一口した。 俺は努めて冷静に告げた。 俺は心のなかで呪詛を唱えたまま、冷静に言葉を選 「ええ。ですが自分はただ、閣下が下した命令は正しぶ。 いと考えただけです」 「 : : : 正しい命令に従、つのは、軍人として当然のこと 「正しい です」 蛭田が快哉を叫ぶ。 「もう一度言ったな、正しいと今そう言ったのか君 低い忍び笑いが続く ・良いだろ、つ ! そ、つい、つことにしておこ 「良い う。さては貴様、何か企んでいるな ? 良いぞお : 「で、ではあれか ? くく、 くかか、これは面白くなってきた。面白くなってきたー 君は : : : 」 「なんでしよう」 好きにやってみるがいい。今度はどんな手で楽しま 「き、君もよ、つやく改心したということか ! 」 せてくれるのか、期待しているぞー 「ええ」 「ハッ、了解致しましたー 「これはいい 「再び君に会う日を楽しみにしている」 235 「へーイ提督ゥ ! 珈琲の時間デース ! 」「誰だお前」

10. ヘーイ!テートク 珈琲の時間デース!

そう言い残して、霧島は執務室から消えていった。 「だからまあ、今のお前との話を榛名に聞かせる必要 はないぞ。どうせお前、この部屋に入ってきときから厳しいね、霧島は。前もって赤城にお願いしておいて 正解だった。 録音していたんだろう ? 」 一人残された執務室で、俺は霧島の面談記録を付け 「 : : : 気づいていたんですか」 る。 「妙に怒り狂っていたのは誤魔化す為だったんだろ 戦艦霧島 ていうかお前いつもマイクチェックしてるし。 レコーダ 選考結果評価〇秘書艦適性あり。 霧島はそっと懐から録音機器を取り出す。大方、真 総評状況の分析能力・行動力には目を見張るもの 意を聞き出して、榛名に聞かせるつもりだったんだろ がある。秘書艦を任せてもそっなくこなすことは想像 う。それにしても霧島は終始冷静だったんだと思う。 、、常に正しく計算をしできるが、結果の為に手段を選ばないことや実行力な 怒った演技は堂に入ってしたが、 ていた。流石は艦娘きっての知能派だ。根本的に脳筋どを見るに、やはり前線に置く方が適切か人の感情 の機微についてもより学んで欲しい 霧島は再びドアノブに手を掛けると扉を開く。 「想定外の誤算でしたが : : : あの子が納得できたのな ら、良かった」 「後始末は宜しく頼んだ」 「引き受けませんよ。貴方が導いた結末なんですから」 虚ろの海の鎮守府① 110