マエシマ - みる会図書館


検索対象: たみやすワークス
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1. たみやすワークス

124 ! と声をあげた。 「いえ : ・家のものが持たせてくれてるんです。でも、そんな凝って るとかすごい内容じゃないですよ」 調味料も良いものを使っているみたいだし、味付けも偏りが 美味しいですけどね、と言うとマエシマさんは丸顔をほころば なく、甘い辛いしよっぱい酸っぱい、でバランスが取れているし、と せて、 マエシマさんは言う。 「そのお弁当の中の野菜、全部今が旬なのよ」 そんな風にここまで話してハッとした顔で と教えてくれた。 「あの : ・人のお弁当をずっと盗み見してて、ごめんなさい」 と謝った。 気がついた事もなかったけど、たまねぎも小松菜もごぼうも みんな今が旬らしい 「いいんですよ、私なんて旬とか気がっきもしなかったですし」 野菜なんてなんでもスー バーにいけば一年中あるし、旬なん それより、料理の事色々詳しいんですね ? と訊ねると、マエシ て考えたこともなかった。 マさんはまたはにかみながら、自分の事を少し話してくれた。 マエシマさんの話では、私のお弁当はいつもよく考えられてい 体に良くて美味しいご飯を出すお店を持ちたくて、お金を て、旬の野菜中心の献立になってるんだそうだ。 貯めながら料理人を目指している事 さらに今日の内容なら、肉 ( むね肉 ) ・卵 ( 卵焼き ) ・緑黄色野 高校を出てすぐ料理の専門学校に通って調理師免許を取 菜 ( 小松菜 ) ・淡色野菜 ( たまねぎ ) ・根菜類 ( ごぼう ) 乳製品 ( チって、今は栄養士免許に挑戦中だと言う事。 ーズ ) がバランス良く人っている。 昼間は派遣のバイトをして、夜は和食の割烹で働いているけ ど、男注社会で、女性が調理場に人るにのなかなかむつかしい 乞われて、おかずを一口ずつわけてあげたら、すっ ) 」く美味しのだという事。

2. たみやすワークス

123 素晴らしい日々 何秒かは自分だとは思わず気がっかないでいたけど、もしか して ? と振り向いたら、一一コニコとこちらをみている女の人と目 が合った。 確かキーバンチャーをやっている、派遣の人だ。 私と同じようにいつも一人で屋上にお昼に来ているみたいだ ったけど、社員と派遣にはなんとなく壁があって、話した事はな かった。 小さなお弁当箱なのに、午後の仕事も頑張ろうって思える。 美味しいご飯は偉大だな。 クマさんって、すごいな。 「いつもお弁当美味しそうですね」 一一つ目のおにぎりにかぶりついていたら、急に声をかけられ 「あの、私、同じ部署にいる前島といいます。派遣の。」 「あ、はい。知ってます」 「よかった、急に声かけて : : : びつくりさせたかと思いました」 マエシマさんはふにやりと丸い顔で笑った。 私と同い年かもう少し若そう。 うん、なんだかいい感じ。 マエシマさんは話してみると、上京して一人暮らしをしている 私より 5 つも年上の人だった。 驚いて、若く見えますね、と言うと、おしゃれや化粧が下手 : と、はにかんだ。 だから大人っぽく見えないだけ : なんだか、やつばりいい人みたいだ。 前から屋上で私を見かけていて、それでいつも凝ったお弁当 を持ってきているから気になったんだとい、つ。 「あ、あ、えーと。はい。あはは」 会社に来て仕事以外で人と話すのは久しぶりで、なんとな「そのお弁当は自分で作ってるの ? 」 くどもってしまう。

3. たみやすワークス

125 素晴らしい日々 なんて言おう。 説明しづらい 困った顔でいいよどんでいると、マエシマさんは一つ噴出して楽 しそうに亠 = ロった。 「いい、彼氏なのね」 十十十 夢があるんだな。いいなあ。 「こんなお弁当を持たせてくれるなんて、素敵なお母さんね」 「あっ、あの、おかーさんじゃないんです」 「じゃあ、お父さん ? もしかしてどちらかのお店の方とか」 「あ、いえ。親じゃなくて : ・・ : 」 「ただいまー、クマさん、、」 靴を脱いで、慌てて家に人る。 クマさんはエプロンをつけて迎えに出てくる。 「おかえり」 といってくれた ( 気がした ) 。 しし匂い。ほっとするあったかさ。 1 」はんの炊ける、、、 夕方から急に冷え込んで、朝着て出た七分丈カーディガン じや足りなかった。 「ううう、さむかったよ、、」 私は甘えて、クマさんのもふもふの毛に抱きつく。 いつも思うけど、クマさんはずっとこの着ぐるみを着ているの にぜんぜん臭くないなー 昼間、私がいない間に洗ってるのかな : クマさんはにこにこと、お風呂を勧めてくれた。 ) 」飯のタイマーはあと分で炊き上がりをさしている。 じゃあ、軽く人ってきちゃおうかな。