106 いつも連れて来た他の人にまかせて、私の水槽の横に座って、 あの人は参加しないで私の水槽の横にくつろいで、奥さんが 2 人のしらない男と一列につながったみたいになっているのを眺 タバコを吸ったり前のように携帯で写真を撮ったりしていた。 めていた。 そして時々 交尾が終わると、奥さんは「もう必要ない」と言っていた筈な 「ほら、ピンちゃん。すごいね、 ? 」 のに、また新しい商品を買ったり、買ったばかりのものを買い換 えたりする。私はとても配。 と私に話し掛けてきたりした。 奥さんはあまり元気がないみたいだし、あの人は : ・最近は昔 奥さんは、あの人とつながっている時みたいに嬉しそうではな かったけれど、私には人間のする事はあまりよくわからないかのように素敵には思えなくなった。 ら、こんな事もあるんだな、と思った。 私の事、 「ピンちゃん、可愛いね」 と亠 = ロってくれなくなったからかな : そんな事が、何度もあった。 前とどこが違うんだろう。 奥さんとあの人が何かを言いあって、あの人が携帯で何かを きっと奥さんも、そう感じているんじゃないかな。 見せて奥さんが「もうやめて」と泣いたりするのもなんどか見 仲はいいの ? 悪いの ? あの人は滅多に奥さんとつながらなくなった。 今日、あの人はニ人連れでやって来た。 十十十
126 思ってたけど逆に少し痩せて、もう年かなと思っていた肌も綺 今日のお風呂は、りん ) 」湯。 先週クマさんがジャム用に箱で買って来たりん ) 」の中で傷ん麗になった気がする。 シャワーで朝済ませていたお風呂にも、毎晩人るようになっ じゃっていたものをワックスを綺麗に落として、 4 等分してお風 たし、そのせいか、よく眠れるようになった。 呂に浮かべてある。 何しろ天気のいい日は干されて、天気が悪くても必ず乾燥 機がかけてある布団はふつかふかだし。 前は眠るまで 1 、 2 時間かかる事もざらにあったのに、い、 いのお布団に包まれて、今はすぐ眠ってしまう。 クマさんが来て良い事ばっかりだと思う。 クマさんが来てから私の生活は変わった気がする。 自炊はしていたほうだと思うけど夜はいつもバスタをゆでて 市販のソースをかけたり、お味噌汁とご飯と目玉焼きくらい なもので簡単にすませて、いつもぐったりしていた。 お風呂をあがって、寝巻きに着替えて、髪を乾かして。 なんだかやたらと疲れていたし、子供の頃からスポーツ経験 ダイニングに戻るとすっかり晩ご飯の支度が出来ていた。 もない私だからもともと体力がないのだとばかり思い込んでい クマさんが来て驚いたのは、自分がす ) 」く元気になったという「わっ、今日やつばり栗 ) 」飯だ ! やったあ " こ においであたりはつけてたんだ。にこにこ、とクマさんは笑う。 事だ。 私は炊き込み御飯が大好き。 クマさんもそれを知ってくれてからは、色々な炊き込み御飯 朝昼晩をしつかり食べるようになって、初めは太りそうだと 十十十
103 水の中 また買っちゃいそうだなあ。奥さん嬉しそうなんだもん。 奥さんも、いつもはジーンズやルームバンツなのに最近はひら ひらしたものを着て、あの人が来るのを待ってる。 でもあの人が誉めるのは私の方。 今日だって、 「ピンちゃんはいつも可愛いですね」 だって。ありがとう。大好きょ " 気になるのは、あの人と奥さんがちょっと : ・ひそひそ話した りする事。 気にしすぎなら、いいんだけど。 ムフ日はショック。大ショック。 思い出すと今でも泣けてきてしまう。 水の中だからわからないかもしれないけど、私わんわん泣い てしまった。 十十十 奥さんとあの人が : ・シテた。 私は小さいけれど実はもう大人だからわかる。 あれは交尾だ。 見たくないし聞きたくないのに私の目にはまぶたがないし、 奧さんの声もあの人の吐息も全部水を振動させていたから嫌 でもわかってしまった。 奥さんのひらひらは剥がされて、あの人はいつもの格好から 上着を脱いで : ・少し前をはだけた感じで後ろから奧さんとっ ながっていた。 この水から出る事が出来るんなら、見えなくなる場所まで 逃げたかったけど。 ああ、無理。なんて哀しいんだろう。 だけど奧さんはなんて嬉しそうなんだろう。 あの人の吐息はなんて熱そうなんだろう。 嫌なのにドキドキとして : ・結局、見つめてしまった。
115 素晴らしい日々 母はもともと旅行好きだった。 だがツアーで知り合ったという再婚相手は母に輪をかけた 旅行好きで、定年後の気楽さか、母にも仕事をやめさせて、し ここは分譲マンションだが、全体では賃貸に出てる部屋もあよっちゅうニ人で旅行に出かけた。 建前として「べット禁止」になっているけど、少しグレードの 気が向いたら国内だろうと海外だろうとぶらりと行くよう 高いこのマンションを分譲で買って住んでいる人達の多くは小金で、私が仕事を終えて家に帰ると、何の事前連絡もなく部屋 持ちの気ままな老人達で、皆何がしかのペットを買っていた。 の中にべットの檻が置き去りにされている。 賃貸の人間は、べット禁止。 檻の外には、クマさんの時と同様 分譲の人間は、。ヘット可。 「預かっといて、宣しく」 マンション内の暗黙の了解。 と一筆だけの置手紙とそれぞれに合ったエサが 1 食分だけ収 まった袋。 そのマンションに「格安」で住まわせてもらう代わりに、母の旅 明日以降はこのエサを参考に空気を読んで買ってこい、とい 行中母のペットを預かる。 う意味なのだ。 それが私の役目なのだ。 ちなみにこれまで預かったものをあげてみよう。 ジャンガリアンハムスター、ゴール一丁ンハムスター、亀、リス、ニワ る。 十十十 このあたりは今はもういない ハムスターやリスは寿命が短いので数年のうちに死んでしま
110 ここは水の中なんだ。 あれか、ら何があったのか、記憶は ) 」っちゃになっている。 私が、奥さんを助けたような気もするのに。 奥さんが何かの破片で大きな男を刺して、一面が真っ赤に なったような気もする。 あの素敵な人は全然素敵じゃなくなって、大きな男を刺し 続ける奧さんをビデオカメラで殴りつけて逃げていったような 気がする。 殴られたのは私かな。奧さんかな。 私は奥さんを助けたのかな。 私はどうやって水の中に戻ってきたんだろう。 キまあいい 人間のことは私にはわからない もしも私が人間だったら、もしも私が奥さんだったら : ・いい 事なんか何もない。 誰にも何も言えないし、誰からも責められるんだ。 ああ、人間じゃなくてよかった。 奥さんじゃなくて良かった。 もう、水から出たいなんて思わない。 ここでのんびりと生きていこう。 こ。ほこ。ほと、水の立日は止まない そう、私は金魚だ。 QZQ
105 水の中 ・「不ド酉 そして私見てしまった。 奥さんは浪費癖があるのかな : あの人が奥さんに背中を向けて私の方を見ている時ちょっ いくら大好きなあの人の勧めるものだからって、人間はあんと悪い顔をしていたのを。 なに浄水器が必要なものなの ? 奥さんに教えてあげたいけど、出来ないな。 家中の、台所にもお風呂にも洗面台にも、とうとうトイレに だって私は金魚だし。 まで浄水器をとりつけて、それでもまだ卓上用の、とか、洗剤が なくても食器が洗えるもの、とか買いつづけて、今日は私の水 槽用の浄水器の新型が出たらしいので、買い換えた。 奥さんが 今日はびつくりした。 「もうこれで取り付けるところもないし必要なものもないから」 人間は 3 人で交尾出来るみたい。 と一 = 0 っていたから : ・さすがに終わりだと思うけど。 もう売るものはないのに、あの素敵な人が奥さんのところに あの人は新しい浄水器をその場でてきばきと取り付けながやってきた。 3 人で。 「これでピンちゃんも大喜びで、長生きできますよ」 奥さんもびつくりしてた。 と笑って言った。 本当は玄関先で帰らせようとしていたみたいだったけど : ・あ の人が携帯で何かを見せて、だまりこんでしまった。 なんだか : ・実感としては前の浄水器とあまりかわらないみ それから、交尾。 、ら 十十十
114 後は私がご飯の日はかかさず食べている納豆 ( 気に人ってると書かれていた。 シンプルに用件をかいつまんだ手紙。母からだった。 メーカーの ) 、クマさんが最近付け始めた糠づけのきゅうりとカ プ。 普通ならそれでも慌てるし疑うだろう。 朝は軽くしたい方だから、もうこれで充分で、焼き魚なんか い、らはい ただ母は普通とはちょっぴり感性がズレているし : この手紙に見覚えがあった。 クマさん手作りのふりかけも可愛く小ビンに収まってるし、 小さなガラスのト鉢にはヨーグルトに、クマさんが先週作ったり んごの ) ンヤムがのっている。 一度目じゃないのだ。 「いつもありがとう、いただきまーす」 ( にこにここ 私が住んでいる、私にはふさわしくないくらいに立派なマンシ ョンの一室は、母の持ち物だ。 クマさんとの生活が始まって、 2 ヶ月が過ぎた。 資産運用と老後の生活の為に買った部屋だったのだが、母は あの衝撃的な晩、携帯から通報しようとした私に、クマさんを過ぎて再婚して、新しいダンナの持家の方へ引越してしま った。 は白い紙を差し出した。 そうして、バブル後は売るに売れなくなった部屋を持て余し ていたのだ。 そこには大きな手書きの文字で 「しばらく預かっといて、宜しく」 十十十
128 ンビ一一で栗ご飯のおにぎりを買ってみた。 白いご飯に黄色い栗はいかにも美味しそうだったのに、食べて 副菜は大根と厚揚げの炊き合わせ。 みた、らがっかり 栗が甘いのだ。甘すぎる。栗を炊き込んだ御飯ではなく、よ それに、小松菜のお吸い物。 くビン詰めで売ってる栗の砂糖煮を、まあ多分少しは水にさら ( クマさんは味噌味の食べ物がある日はお味噌汁を別のものに したかもしれないけど、炊き上がったご飯に適度に砕いて混ぜ変えるみたいだ ) 込んだものだった。 お弁当に人っていたきんびらも出してあって、でもおかずな ご飯から栗の香りもしないし、なんだか別物な感じ。 んかより今日のメインは : : : お待ちかね、なんといっても、栗 ) 」 飯。 かといって自分で作るには面倒だったので、クマさんが来るま いっかコンビニで食べたみたいなまがい物じゃない、いい栗をき では随分食べていなかったのだ。 ちんと剥いてちゃんと炊き込んだもの。 ト皿に、今炒ったばかりの黒胡麻と粗塩をすりばちで擦って 作った、出来たての手作りごま塩が香ばしい匂いをさせている。 「いただきますⅢこ お吸い物を啜って、栗ご飯にごま塩を適量ふって、一口。 うわー ーん。美味しい。 十十十 さて、本日の晩御飯。 主菜は鮭ときのこのホイル焼き。 きのこはまいたけとえのきとしめじ。上にはネギもたっぷり。 味付けは味噌でちょっと北海道のちゃんちゃん焼き風だ。
ヾみレ Q (l いハ、ス マフしコな也 2 日記 . J を 書告ましもか、は ~ の しキしうー、マつ X ( ローいーとう ) さセに」 黍三ョ ) かえ 徒しが。おな↓ 「メイキャスト 2 はじびえ」 というのょ ~ 」 廴とは \ 須 7 ハ日輝イマ ~ 再
まとで体の目田主ム上もしお引昻段回四ネ 志の凶冫ハい一にもいけど、 お、といなくき亡らしい。 は、板回ののめに、廴匿し木の下にいる。 ぢよ、としお 5 ーこにも帑妹か、ホ 3 に。 訶原 ~ 全巨珮己っ のマフハは一 k ーん = 発しいの ~ 韭版がきし日な。 H しベス勺ー、 , よいか、とら。ちトに、志 l) カゞ、とう。 Ⅱ 7 しイつはしいにな 3 お 3 うど ーに領ろうね。 . 幺、ン↑、、ン </ さいコⅥこ。 . 、ン、、のく 昻まざ下ざお。 まいかとうづ、いましお。色ヤ とえ。元には、のきえの しも、わ 月じを ~ こいように、し 書 ) お石之、しお。 こらし宅砠、公のびフー←櫺 に、し z いお甘き ( 夫な号、ゴ箜きま ) モ , もいな ( はついしく、扈 まと当のが、 (l い出き ん 3 、しいになまし。 、から吉しヤま。 外やともえ 、と見 2 下ざロな ! !