ちかもしれないですし : 私がそう言い終える前に穂乃果が会話を横目に水分補給をしている真姫に詰め寄ります。 「真姫ちゃん ! 次の曲はラブソングで大丈夫だよね ! ? 」 : 簡単に : : : 作れるわよ : : : 」 「わ、私を誰だと思っているの ! ? ラ。フソングくらい : 大丈夫そうに返答する真姫ですが、真姫もどうやら自信がないように見えます。 「本当 ! ? 真姫ちゃんありがとう ! 」 「で、でも・ : : ・」 「でも : : : 何 ? 」 「その : : : 私もラブソングの曲のイメージまよ、よ、 「うーん : : : それは大変だ、どうしよう : : : 」 穂乃果が自分からラブソングを作ってほしいと言っておきながら、なんとも他人事のよう に話す口調に少し呆れながら「ラブソングはまた今度にしましよう」と提案しようと口を 開けようとした時、穂乃果が突然思いついたように声を出しました。 「あっ ! それなら海未ちゃんと真姫ちゃんが二人で″デート〃して恋がどういうものか身 詩を持って体験するっていうのはどうかな ! ? 」 の そんな思いもよらない衝撃的な穂乃果の発言に私と真姫は唖然としていました。しかし 恋 その後、半ば強引にこの″デート〃案が採用されて、今に至るというわけです。 紡 と 君
・ 4 「どうしてこのような事になってしまったのでしよう : : : 」 そう溜息の混ざった独り言を言いながら私ーー園田海未 , ーーはある晴れた冬の休日の駅 前で″彼女〃ーー西木野真姫ーーを待っています。今日は真姫と″デート〃をする日なの ですが、少し早く着いてしまったようで、待ち合わせの時間までは後分程あります。 ″デート〃といっても、世間一般に言う恋人同士で出掛けるというあの″デート″とは 違います。そもそも何故このような事になったのか、私は真姫を待ちながら事の経緯を思 い出します。 事の発端は一週間程前。放課後の , いの練習の休憩の時に穂乃果の口から発せられまし 「ええ ! ? ラブソングをまた歌いたいですって ! ? 」 予想外の提案に私は思わず大きな声で驚いてしまいました。 「うん。この前みんなで作ったあの曲。あれすつごくいい曲だったからさ、もう一曲別の ラブソングを歌いたいなって思ったんだけど。ダメかな、海未ちゃん ? 」 そんな言葉を聞いた花陽や絵里達も穂乃果の意見に賛同したのか、気づけばみんなはも うすっかり次の新曲はラブソングのムードに : 「 : : : で、ですが、前にも言ったように私には : ・・ : その : : : 恋愛経験 : ・・ : というものがな いので、恋という感情がよく分からないですし : : : それに曲を作る真姫もきっと同じ気持
そんな話をしていると、あっという間に夜も深まってーー日が暮れた後の夜景を見なが ら、より一層輝きを増す星に目を向けていたら、すっかり忘れていた今日の″デート〃の 目的を思い出しました。 「あっ ! そういえば、今日の本来の目的は穂乃果たちに勧められてこうして真姫と″デー ト″をして、ラブソングのアイデアを得ることでしたが : : : 真姫は何かアイデアが浮かび ましたか ? 」 「あっ : ! そういえばそうだったわね : : : 。海未とこうして色々な所に行くのが楽しく て、すっかり忘れていたわ。そういう海未はどうなの ? 」 「お恥ずかしい話ですが、私も真姫とこうして一日を過ごすのが楽しくて : : : 」 私と真姫は二人ともすっかり今日の目的を忘れていたことに気付き、しばらくの間夜の 闇の様な静寂が漂います。 「イメージというか : : : 分かったことといえば、『恋』というものはきっと難しくて、よく わからないということなのではないでしようか ? 」 私はラブソングのアイデアになりそうなことを今日の″デート″からあれこれと考えて、 静寂を破りました。 の 恋「たしかに : 『恋』は一言では説明できないのかもしれないわね。 ぐ「ふふ、そうですね。これじゃあ穂乃果達に『デートまでしたのに分からなかったの ? 』 と言われてしまいますね」 と 君私は思わず少し笑いました。 「そうね。でも海未のことはよーくわかったわ」 1 = ロ
真姫も笑いながら言います。 「そうですね、私も真姫のことをもっと知ることができました、 「それじゃあ、もう日も暮れて寒くなってきたし、帰りましようか 「そうですね、帰りましよう」 「またアイデアの為に″デート〃しなくちゃね」 「ふふ。そうですね」 結局散々″デート″して得たラブソングのアイデアは「『恋』は難しい」ということだけ でした。 それでも収穫はありました。それはお互いの事をもっとよく知ることができたというこ と。 地上の光にも負けずに夜空を彩る冬の星々が優しく見守る中、そんなことを思いながら 私達は帰路に着くのでした。
「おまたせ、ごめん待たせたかしら ? 」 事の経緯を思い出していると聞き覚えのある声がして、駅の改札の方に目を向けるとそ こには今日の″デート〃の相手ーー真姫がいました。時計を確認するといつの間にか約束 の時間になっていたようです。 しいえ。私も先ほど来たばかりですから」 「そう。それじゃあ : ″デート〃しましようか : : : 」 「そう : : : ですね : : : 」 私は真姫の口から発せられた「″デート〃」という一言葉に思わず恥ずかしくなってしま います。 「それで、この前立てたプランで行くのよね ? 」 「ええ。私たちは恋愛には疎いので、雑誌などを読んで作った定番らしいデートコースを 回りましよう」 そういって私は鞄の中からこの日のために作った″デート″コースのメモを取り出しま す。そしてメモの最初に書いてあるプランを読み上げます。 「えっと : : : 最初は : : : 恋愛映画ですね : : : 」 「ねえ、恋愛映画って海未は観られるの ? 以前穂乃果の家で , いのみんなと恋愛映画を観た 時、海未はずっと座布団を持って『破廉恥です』なんて言ってたのに・ そうでした。私は以前のみんなとラブソングのアイデアのために観た恋愛映画のクラ イマックスのキスシーンで映画を止めるほど、恋愛映画には耐性がないことを真姫に指摘 されるまで気に留めていませんでした。