入っ - みる会図書館


検索対象: ハジマリノオト
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1. ハジマリノオト

夜 の 夏家に着いた時にはやはり就寝時間を過ぎてしまいました。私は家に帰ってすぐに金魚す くいで取った金魚を水槽に入れて、その後お風呂に入り、今日は流石に疲れたので髪を乾 「そうですね : : : でも大変な分楽しいですし、高校の文化祭は今年で最後ですから , ーーと いっても『今年の文化祭は最後だから全力で楽しむぞ ! 』なんて言ってるどこかの生徒会 長の補佐が一番大変ですが 「ふふ、″彼女〃らしいわね」 そんな他愛ない会話を混ぜながら、音ノ木坂学院の文化祭でメンバーが集合できるよ うに少し計画を練っているとあっという間に最寄駅まで帰ってきました。 駅から途中までは絵里と帰り道が一緒なので一緒に帰ります。もう夏も終わりを迎え始 めたためか、風こそありませんがじっとしていると時々涼しく感じます。帰り道でも絵里 と一緒に帰りながら先ほどの計画の続きを練りました。 「それじゃあ、また近いうちに。希とにこへの連絡は任せて。連絡が取れ次第海未に連絡 するわね」 「ええ。こちらも穂乃果やことり、真姫、花陽、凛の予定を確認しておきますね」 「おやすみなさい、海未」 「ええ、おやすみなさい、絵里」 絵里と私の帰り道が分かれる所まで帰ってきて、私たちは別れました。

2. ハジマリノオト

1 年生や 2 年生の時に希と一緒に行ったりしていたものだと思っていました」 「そうね、そう思われるのはわかるけど、高校生になって希と仲良くなったばかりの頃は 私も希も人との距離ーーというか付き合い方 ? がよく分かってなかったし、仲良くなった 後は二人で生徒会に入って忙しくなっちゃったからね」 「そうだったのですか、 「だから今日は色々教えてね、海未」 未熟ではありますが、絵里が楽しめるように頑張りますね」 「何言ってるのよ、海未も一緒に楽しむのよ ? 「ふふ。わかっていますよ」 久しぶりに絵里と会った私は色々と最近の近況を話し合って、私達と同じくお祭りへ向 かう人の流れの中で談笑しながら歩きます。気づけばお祭りが行われている神社の鳥居の 前まで来ていました。時計を見るとまだ時過ぎと、このお祭りの名物の舞が行われるに はまだまだ時間があるというのに既に出店がたくさん立ち並び、たくさんの人で賑わって います。 ふと絵里の方を見ると絵里はこういった景色を初めてみるのか目をキラキラと輝かせて います。時々溜息をつくように声を漏らしていました。 「海未、日本のお祭りって凄いわね。こんなにたくさんの人がいて、たくさんのお店があ って : : : 目移りしちゃう。それで海未、名物の舞はどこでやっているの ? 」 「絵里 : : : 初めてのお祭りで興奮しているのは分かりますが、舞が行われる時間はもっと 後ですよ。始まる前に色々見たいと絵里が言うから少し早い時間にこうして待ち合わせて

3. ハジマリノオト

そんなこんなで私と真姫は「カップル限定メニュー」を食べ進めましたが、最後に二人 ともまだ手をつけていない、あの大きなグラスに入ったジュースが残りました。 「このジュースどうする ? 」 真姫が私に問いかけます。 「私は大丈夫なので、よければ真姫が一人で飲んで下さい」 「いやいや、それじゃあ海未になんだか申し訳ないし、それにこれ二人分の量だから一人 で飲むにはちょっと多いかも : : : 」 詩 言われてみれば、一人で飲むには少し多い量のジュースがグラスに入っています。 の 恋「そうですね : : : それなら順番に飲むというのはどうでしようか ? 私は色々考えて「順番に飲む」という意見を出してみます。 紡 「それは名案かもしれないけど、やつばりここは″恋人〃らしく一緒に飲みましよう ? 」 と 君「えっ ! ? 」 「それとも : ・・ : 私と飲むのはいや : ・・ : ? 」 そういって真姫も恥ずかしがりながら時間はかかったものの私がフォークに巻いたパスタ を食べました。 「どう : : : ですか : 「おいしい

4. ハジマリノオト

かし終えてすぐに電気を消して寝ようとしたその時ーー携帯が鳴りました。どうやらメッ セージのようです。私は眠たいながらもメッセージを確認すると差出人は絵里で、絵里も 無事に帰宅できたようです。内容は「今日は本当に楽しかったわ。ありがとう」といった ことが書いてあり、さらに「こっそり撮った写真を送ります。それと海未の取ってくれた ぬいぐるみ大切にするわね」という一文とともに、私が絵里に代わって射的をした時の写 真を始め、お祭りのにぎわいを伝えるいくつかの写真や私が射的で取ったクマのぬいぐる みが絵里の部屋のべッドに丁寧に置いてある写真、それに絵里の学習机の上に置いた金魚 鉢に入った金魚の写真が添付されていました。 私は「こちらこそ楽しかったです。そういえばすっかりお祭りに夢中になって私は写真 を撮り忘れてしまいました。それでは失礼します」と絵里に返信して、今度こそ電気を消 して布団に入り、夢の世界に入っていくのでした。

5. ハジマリノオト

8 一 -4 す。 「海未 : : : 本当にここで合ってるのよね ? 」 「ええ、合ってますよ。ここが花火を見るのにいい所ですよ」 「でもここって : : : 」 絵里が不安がっているのも無理ありません。なにしろここは花火大会の会場の賑やかさ とは打って変わって、誰もいない、遊具もプランコと鉄棒くらいしかなく、街灯も一つし かないような薄暗い小さな公園なのですから。 「そういえば絵里は暗い所が苦手でしたね : ごめんなさいすっかり忘れていました。 でも、ここがいい所だということはすぐにわかりますよ」 「そう : : : わかったわ : : : 」 私がこの誰もいない公園が花火を見るためのいい所だと言ってもまだ絵里は不安そうで 私は驚いて絵里を見ました。絵里は腕に抱きついてきた後、両手を一度離して私の左手 に手を繋ぎなおしました。 「これだけ人がいたらはぐれちゃうでしょ ? だからこうして : : : 」 「ふふ、わかりましたよ。それでは改めて行きましようか」 「ええ ! 」 こうして私と絵里ま ーしし所〃へ向かって歩き始めました。

6. ハジマリノオト

職員室に着くと、一度ドアをノックして、ドアを開け、「失礼します」と一礼してから入 ります。するといつも朝練で部室や屋上の鍵を借りる時のように既に先生が何人か職員室 にいて、そのうちの一番ドアに近い先生の元まで行って「アイドル研究部の園田海未です。 部室の鍵を借りに来ました、といつも私が鍵を借りるときと同じように先生に頼みました。 しかし先生は不思議そうな顔をしています。なぜでしようか。私がもう一度「鍵をーー」 と言いかけた時、先生が口を開きました。 「どうした、″西木野″。疲れてるんじゃないか ? 自分のことを″園田″だなんて」 そういわれて私は先生が不思議そうに私のことを見ていた理由がわかりました。なぜな ら今、私は真姫であるのに、自分のことを″園田海未″と言ってしまったからです。 「えっと : : : その : 園田海未の代わりに鍵を借りに来ました : : : 」 で そう苦し紛れに言い直してみます。 僕 「そうか、でも本当に体調には気をつけろよ、大会も近いだろ ? というか今日は朝練なか ったはずだけど、朝早くからどうした ? 」 よ 「それは : : : その : : : 新曲のメモを部室に忘れてしまって : : : 」 あ 「そうか、わかった」 で なんとか誤魔化すことが出来たのでしようか、それはわかりませんが先生に余計な心配 なをかけてしまったものの、鍵を借りることができました。鍵を受け取った私は職員室のド アの前で「失礼しました」ともう一度一礼してから職員室を後にしました。 僕職員室から再び部室の前に戻ってきた私は、鍵を開けて部室に入って電気をつけます。 部室の前に真姫がいなかったということは、まだ真姫はまだ来ていないようです。時計を

7. ハジマリノオト

「ううん、全然。そういう海未はどうなの ? なんかいいアイデアでも浮かんだ ? 」 しいえ、私も全く思いっきません : : : 」 「 : : : やつはり、この計画自体無謀だったんじゃない ? 」 「 : : : 私もそんな気がしてきました。でも、このまま収穫なしで帰っても穂乃果たちに何 か言われそうですし : : : どうせなら最後まで″デート〃しませんか ? 」 「 : : : それもそうね。というか海未、今日は随分大胆なことを言うのね」 真姫に指摘されて気づきましたが「デートしませんか」なんてこれではまるで恋人をデ ートに誘う様ではありませんか : : : そう思った途端にまた恥ずかしくなって : 「そ、そういう意味で言ったのではなく、あくまでもこれは曲作りのーーー」 と必死に弁明し終える前に 「ごめんね、ちょっとからかってみただけよ。海未ってば顔を真っ赤にしてかわいいんだ もん , 「もう真姫 : : : やめてください : そう言われて私は更に恥ずかしくなってしまいました。 詩 「それで、次はどこに行くの ? 」 の 恋その言葉でふと我に返り、デートプランのメモを確認します。 「ええと : : : 次に行くのはーーー」 紡 と 君

8. ハジマリノオト

きたのですよ ? 忘れてしまいましたか ? 」 私がそういうと絵里はハッと思い出した様にして少し恥ずかしそうに「そうだったわね : 」と言いながら、それでもそわそわとどこか落ち着かない様子です。 「絵里、それでは見てまわりましようか」 早く見て回りたいという素振りを見せ続ける絵里を少し可愛いと思いながら私は絵里に 声をかけます。 「ええ、早く見て回りたいわ ! 」 そういって私達は鳥居をくぐり、神社の境内に入りました。 「まずはどこからみていきましようか . 「そうね : : : あっ ! あれは何 ? 」 「ええと : : : 」 絵里が指さした方向を見ると赤くて丸い果物が砂糖に包まれたーーーそう、りんご飴の屋 台です。絵里は目をキラキラさせてりんご飴に興味を示しています。 「あれはりんご飴といって : : : そうですね : : : 実は私も食べた事がないのですが、りんご に砂糖を煮詰めたものをコーティングしたもの : : : だと思います」 「綺麗で美味しそうね。食べてみましようよ の そう言い終わるやいなや、絵里はりんご飴を 1 っ買って、手に持ったりんご飴をじっく 祭り見てから一口食べます。口に含んだ後、少し間があってから絵里は「美味しい ! 」と声 夏を上げました。そしてもう一度口を開いた時に、少し躊躇ったような素振りを見せて口を 引閉じました。すると私の方を向いてりんご飴を私に手渡すようにしてきました。

9. ハジマリノオト

「そ、そんなことはありません。ただ : : いいえなんでもありません。ここまできたから にはしつかり″恋人〃になりましよう」 真姫がまさかの提案をしてきて、一緒に飲むという心の準備ができていなかったため、 返答するのに少しだけ時間がかかりましたが、私は真姫の提案を承諾しました。 「それじゃあ、いくわよ海未」 そういってお互いに同じグラスに入ったジュースからハート型にのびるストローに口を つけて飲み始めます。私は最初、真姫と顔がとても近く、恥ずかしくて目を閉じて飲んで いましたが真姫の様子が気になったので、途中、少し目を開けてみると目の前に思った以 上に真姫の顔が近くにあってーーー余計に恥ずかしくなって結局私はジュースを飲み終える までずっと目を閉じていました。 色々ありましたが何とか「カップル限定メニュー」を食べ終えて私と真姫はお店を出ま した。 「それにしてもあのメニュー。私たちが注文できたのだから頼むのはカップルでなくても できるみたいだけれど、食べるのはカップルでないと辛いわね : : : 」 真姫が言います。 「そうですね。でも随分と″恋人″っぽいことが出来たと思いませんか ? ところで真姫、 曲のイメージは浮かびましたか ? 」

10. ハジマリノオト

少し短く折られています。試しに履いてみますが、やはり短くて、これくらいのスカート 丈はことりの作るライプ衣装で履くことはありますが、少し恥ずかしいです。しかし折り 直している時間はありません。私は仕方なくそのままスカートを履いて、音ノ木坂学院の 一年生を表す水色を基調にした、青いラインの入ったリボンをつけ、ソックスを履き、プ レザーを着て、姿見できちんと着られているか確認をして、最後に制服とは別に壁にかけ られているグレーのピーコートを着て、手袋をつけます。 そしてスクールバックの中に今日の授業で使う教科書やのノートが入っているか、時間 割と照らして確認し、先ほど使った真姫のスマートフォンや、五線譜のノートなども持っ て、真姫のお母様に家を出る挨拶をするためにダイニングへ行き「いってきます」と言っ てから玄関に向かい革靴を履いて、家のドアノブを開けて家を出ました。 家を出るとピーコートを着ているとはいえ、冬の冷たい風が身体を直撃して寒く感じる 中、私は真姫に一刻も早く会うために学校へと向かう足を速めました。 いつもより速く学校に着くと、私は早速真姫との待ち合わせ場所であるアイドル研究部 の部室へ向かいます。 部室の前に着くと部屋の中からは電気が漏れていません。ということはまだ真姫は学校 に来ていない様です。電気がついていないということはもちろんドアの鍵も開いていませ ん。そこで私は鍵を開けるために鍵が置いてある職員室に向かいました。