見ることもできたしね」 「もう : : 。私だって絵里が暗いところだとあのようになるのは意外でした。以前のみ んなで学校に泊まった時には驚きましたが、一瞬でしたから : ・ : 今日のことはみんなには内緒だからね ! 」 「安心してください、わかってますよ」 「 : : : でも」 「どうしたのですか ? 」 「海未と一緒だったのはとても良かったけど、やつばりみんなで来たかったわね」 「そうですね : 。また機会があればみんなで来たいですね、 私はそこまで言って、あることを思いっきます。 「次の機会ーーーというわけでもありませんが、来月には音ノ木坂学院の文化祭もあること ですから、もしよろしければ希やにこにも来られるか連絡して後夜祭の後、みんなで会え るようにしたいですね」 「それはいい考えね ! 早速後でにこと希に連絡しておくわ。そういえば、生徒会は今年も 劇をやるんでしょ ? 海未が舞台に立ってるところ見たいわ ! ねえ今年の演目は何なの ? 」 「それは : ・ : 秘密です : : : 」 「そう、まあ当日までの楽しみってことで」 「そうしていただけると助かります : 「でも海未、生徒会の他にもアイドル研究部にクラスでの出し物なんかもあって大変でし よ一つつ・
になっていました。 「そうでしたか。何かあったのではないかと思って心配しましたよ」 「ごめんね」 「そういえば、サークルといっていましたが、大学の方は順調ですか ? 」 「そういう海未こそ 3 年生で生徒会副会長、それにスクールアイドル、弓道部 : : : 色々と 大変じゃない ? 」 「そうですね : : : 確かに大変ではありますが充実しています。絵里の方はどうですか ? 」 「うーん。私も大変だけどその分楽しいこともあるわね。まあ詳しくは後でゆっくり話す としてーーー」 絵里は話すのを一度やめて辺りを見渡し、目を輝かせてそわそわした素振りで話を再開 します。 「私こういうお祭りに来るの初めてで昨日はなかなか寝付けなかったのよ。さあ早く行き ましよう、海未ー 今日絵里とこの駅で待ち合わせをしたのは、一緒に夏祭りに行くためです。絵里は私の 手を引いてまるで子供の様にはしゃぎながら改札からお祭りが行われている神社の方へ人 夜の波に揉まれながら進み始めました。 の 祭 夏 「でも絵里がこういったお祭りに行くのが初めてだったとは思いませんでした。てつきり
夜 の 夏家に着いた時にはやはり就寝時間を過ぎてしまいました。私は家に帰ってすぐに金魚す くいで取った金魚を水槽に入れて、その後お風呂に入り、今日は流石に疲れたので髪を乾 「そうですね : : : でも大変な分楽しいですし、高校の文化祭は今年で最後ですから , ーーと いっても『今年の文化祭は最後だから全力で楽しむぞ ! 』なんて言ってるどこかの生徒会 長の補佐が一番大変ですが 「ふふ、″彼女〃らしいわね」 そんな他愛ない会話を混ぜながら、音ノ木坂学院の文化祭でメンバーが集合できるよ うに少し計画を練っているとあっという間に最寄駅まで帰ってきました。 駅から途中までは絵里と帰り道が一緒なので一緒に帰ります。もう夏も終わりを迎え始 めたためか、風こそありませんがじっとしていると時々涼しく感じます。帰り道でも絵里 と一緒に帰りながら先ほどの計画の続きを練りました。 「それじゃあ、また近いうちに。希とにこへの連絡は任せて。連絡が取れ次第海未に連絡 するわね」 「ええ。こちらも穂乃果やことり、真姫、花陽、凛の予定を確認しておきますね」 「おやすみなさい、海未」 「ええ、おやすみなさい、絵里」 絵里と私の帰り道が分かれる所まで帰ってきて、私たちは別れました。
1 年生や 2 年生の時に希と一緒に行ったりしていたものだと思っていました」 「そうね、そう思われるのはわかるけど、高校生になって希と仲良くなったばかりの頃は 私も希も人との距離ーーというか付き合い方 ? がよく分かってなかったし、仲良くなった 後は二人で生徒会に入って忙しくなっちゃったからね」 「そうだったのですか、 「だから今日は色々教えてね、海未」 未熟ではありますが、絵里が楽しめるように頑張りますね」 「何言ってるのよ、海未も一緒に楽しむのよ ? 「ふふ。わかっていますよ」 久しぶりに絵里と会った私は色々と最近の近況を話し合って、私達と同じくお祭りへ向 かう人の流れの中で談笑しながら歩きます。気づけばお祭りが行われている神社の鳥居の 前まで来ていました。時計を見るとまだ時過ぎと、このお祭りの名物の舞が行われるに はまだまだ時間があるというのに既に出店がたくさん立ち並び、たくさんの人で賑わって います。 ふと絵里の方を見ると絵里はこういった景色を初めてみるのか目をキラキラと輝かせて います。時々溜息をつくように声を漏らしていました。 「海未、日本のお祭りって凄いわね。こんなにたくさんの人がいて、たくさんのお店があ って : : : 目移りしちゃう。それで海未、名物の舞はどこでやっているの ? 」 「絵里 : : : 初めてのお祭りで興奮しているのは分かりますが、舞が行われる時間はもっと 後ですよ。始まる前に色々見たいと絵里が言うから少し早い時間にこうして待ち合わせて
で「ただいま帰りまーーーただいま」 喉凛と花陽と別れて真姫の家に着き、玄関に入って真姫のお母様に帰ってきたことを真姫 こらしい口調で伝えます。 な「真姫ちゃん、大丈夫 ? 朝よりも体調悪そうだけど : : : やつばり朝から体調悪かった ? 」 あ 私の顔を見た真姫のお母様は私のことを心配します。よほど疲れが顔に出ているのでし で ようか。私は心配させてはいけないと出来る限りの笑顔を作って「大丈夫」と答えますが、 やはり真姫のお母様は「辛かったら言ってね、とどこか不安な様子です。 あ に入ってコートやマフラーを脱いで、スク 真姫の部屋ーー今は″私″の部屋ですが 僕ールバッグを置くと、今日一日突然真姫になって生活することになって、色々な不安や緊 、いけないとは分かっていてもべ 張があったのでしようか。張りつめた糸が緩んだように めたり、絵里が穂乃果のことを気にかけて生徒会の業務について聞いたり、凛がおいしい ラーメン屋を見つけたなど私たちらしい会話をしながら、途中の分かれ道で、家の方向が 違うメンバーと別れていきます。そして私と真姫が分かれる所まで来ました。いつもなら 穂乃果とことりと一緒に家に帰るのですが、今日の私は真姫なので、凛と花陽と帰ること になります。穂乃果達と別れて 1 年生 3 人になった私たちは、その後も、授業や宿題の話 から凛や花陽の話などいつも真姫が凛や花陽としているであろう会話をしながら、一歩ず っ家へ帰るのでした。
8 冬の朝。いつも通りセットした目覚まし時計が鳴る前に深い眠りの底から意識が浮上し てくる。布団の外は冬の朝特有の寒さで、せめてアラームがなるまでは目を開けずに布団 の中で温もりに浸っていたい気持ちになる。今日も起きてからはいつも通り朝の日課であ るお稽古をしてから学校へ向かい授業に臨み、放課後は生徒会の仕事を少し片づけてから のみんなと練習をして : : : とまだ少し意識が朦朧とするけれど一日の行動を頭の中で シュミレーションしてみる。 布団の身体を包み込む心地よい重さと温かさに浸っていると、いつもと少し違うことに 気づくーーそう布団の肌触りがこころなしかいつもと違う気がするーーもしかしたら昨日 はいつも以上に疲れていたからか気付かなかっただけで、母が気を利かせて私の布団を天 日干ししてくれたのだろうか。昨日は雲一つない快晴でしたし : さきほどより意識がはっきりとしてきました。冬は寒くていけませんね。いくらまだ起 床時間ではないものの、布団から出ようと思ってもなかなか出る気になれません。そして もう一つ、 いつも通り仰向けで寝たはずですが、今はうつ伏せの状態。私の寝相はいい方 で、朝起きるときも仰向けの状態ですがーーたまには寝ている間に寝返りで、うつ伏せに なって寝ていたって人間ですから不思議ではありませんね。 けれどどうしても気になることが。それはどういうわけだか目覚ましのアラームがいっ まで経っても鳴らない事です。いつもならそろそろ鳴っても不思議ではないのですが : 私は他の違和感ならまだしも目覚ましがならないことが気になり、いよいようつ伏せの状 態から目を開いて身体を起こしながら、枕元に置いてある目覚まし時計に手を伸ばしまし たーーしかしいつもそこにあるはずの時計はなく、伸ばした手は虚空を掴むだけです。そ
見るとそろそろ待ち合わせの時間ですが 「真姫、遅いですね : : : 」とそんなことを考えながらいつものように″私″の座席のポ ジションに座って真姫を待ちます。しかしどうしても今の状況に落ち着くことが出来ずに そわそわしてしまいます。 約束の時間を過ぎても、真姫はなかなか来ません。すると廊下の遠くの方で駆け足の足 音が聞こえました。朝練をしている生徒が何か急いだ用でもあるのでしようか。その音は 段々とこちらに近づいてきます。足音は部室の前あたりまで来ると突然止まりました。不 思議に思って私は廊下の方に耳を傾けてみると、足音の代わりに音が消えたあたりで代わ りに乱れた呼吸を整える音を聞こえます。その音も少しずつ小さくなってついに聞こえな くなりました。もしかして真姫なのでしようか。そう思って私は椅子から立ち上がってド アノブに手をかけようとした時「ガチャ」というドアノブを捻る音とともにゆっくりと扉 が開きました。 扉が開くとそこにいたのは、音ノ木坂の制服を着て腰くらいまで伸びたストレートの綺 麗な髪の女性ーー私がいたのでした。 ある程度心の準備をしていたものの目の前に″私″がいるという普通ではありえない状 況に私は思わず取り乱してしまいます。しかしそれは向こうの″私″も同じようで、お互 いに、私は部室の中、″私〃は外で呆然と立ち尽くしてしまいます。しかしこのままでは しけないそう思って私は目の前にしる′私〃に言しかけます。 「あの・ : : ・真姫 : : : ですよね : : : ? 」 そう真姫である私は、 ″私 / に問いかけ・ます . 。
私の色々な不安とは裏腹に時間は進み授業も変わっていきます。そして遂に 「はい。それじゃあ今日はここまで」 授業の終わりを告げるチャイムの音とともに先生は板書する手を止めて、授業で使った 道具や教科書をまとめて教室から出ていきます。 それは何とか午前中の授業が終ったということを意味します。ここまでは特に授業中指 でされることもなく、休み時間も凛や花陽、それに同じクラスの生徒が話しかけてきました 僕 が、どうにか話を合わせつつ乗り切ることができました。 た「真姫ちゃーん、一緒にご飯食べるにやー」 な先生が教室から出ていって間もなく、凛が花陽と一緒にお弁当箱を手からさげて私と一 緒にご飯を食べようと誘ってきました。私が普段穂乃果とことりと一緒にお昼ご飯を食べ たるように真姫もいつも凛と花陽と一緒にご飯を食べているようです。 真姫ならきっと二人に「ええそうね」と言って一緒に食べると思いますが、今日のこの あ 状況ではそういうわけにもいきません。それに 4 時限目が始まる前の休み時間に「お昼休 僕みに部室に来て」と真姫から連絡があったため「ごめんなさい : 、今日は放課後までに 海未と一緒に新曲の構想を進めておきたくて : : : 」と私は二人に告げ、二人に残念そうな し懐かしみつつ、真姫には申し訳ないと思いながらも、精一杯真姫のノートの書き方を真 似して授業を受けるのでした。
いき、クラスの生徒もそれぞれの部活や帰路にと教室が少しずつ静かになっていく中、荷 物を整えていた私の元に凛と花陽がやってきます。 「ええ、行きましよう」 私はそういって荷物の確認を終え、スクールバッグのファスナーを閉め、バッグを持っ て凛と花陽と一緒に教室を出て部室へ向かいます。 今日 3 回目の部室に着くと、今までの 2 回とは違って既にメンバーが勢揃いしてい ました。もちろん″私〃こと真姫も。私たちが部室に入ると、それに気づいた真姫が私に ウインクを取ってきました。「午後も大丈夫だった ? 」といったニュアンスでしようか。私 は真姫に「大丈夫でしたよ」という意味を込めて軽くウインクをして返します。すると真 姫は微笑んだよう見えました。その表情から真姫も問題なく過ごせたようです。 で全員が揃うと一度いつもの定位置に座って今日の活動内容の確認を行います。日によっ 喉ては私や真姫から新曲やことりの衣装の進捗状況など私たちの間で情報の共有を行います。 ″私″は真姫な いつもはその日の活動内容の確認をするのは大体私なのですが , ー・・・、今日、 なので、私は真姫に目で合図をします。すると真姫は一度首を軽く縦に振って練習の予定表 あ を持ちながら立ち上がります。 で 「えっと : : : 今日は基礎練習の日ですね。この後、すべての連絡が終わった後はいつも通 り着替えて屋上に行きましよう」 あ 真姫が活動内容の話を一通り終えると、続いて各自報告したいことがないか聞きます。 僕「それでは、練習内容については以上です。何か連絡しておきたいことはありますか ? 」 真姫はことりの方を向いて問いかけます。それに対してことりは「ううん。衣装につい
ハジマリノオト Ⅷ川ⅧⅡ催川刪臘 BOOK978-4-LOVELlVE-01 C0193 %XXX LOVELIVE! FANBOOK#OI fragment d étoile 9 7 8 4 L 0 V E L ー V E 0 ー 1 9 2 0 1 9 3 lj M ー C H A N ジマリノオト 「君と紡ぐ恋の詩」新曲のためにデートをすることにな った海未と真姫の行方は ? 「夏祭りの夜に」い ' s の活動終了から約半年、再会した 絵里と海未が向かった先は 「僕があなたであなたが僕で」いつもと変わらない日 常・・・・・・しかし海未と真姫の様子が・・・ ・つ 三編で織りなされる園田海未中心短編小説集 0 旅 人