「まあ ! これが安部菜々ちゃん : : : ! 」 「はじめまし ! 安部菜々、 17 歳です ! 」 「いつもあリがとうね、安部菜々さん。あの子が、 いつも電話とかで、貴女とのあれこれを、とても嬉し また例の一悶着てきなことは起きたけど、それでもそうに語るものだから : : : 私達、あの子に最初はあま 「ウサミン」を連れてきたことに、両親は一般的な興リ十分に応援できてやれなくて : : : たぶん、傷ついて 奮を抱いていた。 しまったと思うの」 多少の歓談を経て、母親がたかだかにに発言し「うつ。いやあ、まあ、ナナも、いろいろ、あリまし たし : : : 」 「久しぶリだし、自分の部屋でも見てきたらどう ? 」 「この前、近所のだいぶ年下の娘が結婚したのが耳 そう言われて、佐藤はかっての自室へむかった。そに入ってしまったらしくてねえ : : : 」 こには、様々な目標のためにここを出るまでの、様々 「そ、それは : : : 」 な軌跡が残っていた。 「ほかにも年の近いアイドルがいるから、いろいろ 「はあ、なっかしい、けどなあ : : : 」 あったらしいけど : : : それでも、貴女をみていると救 なんでわざわざ見に行かせたのか。なんとなく、理われるって、あの娘言ってたんだよ」 由はわかっていた。 「あ、あの : : : その、ナナは」 なぜ 17 歳の「ウサミン」が救いとなっているの 佐藤が自室へ向かったあと。 か、よくわからないのかもしれないと思って、言っ 佐藤の母親と、安部。この一一人が、語らい合っていた。 「ナナは 17 歳では無いですし、それで : : : 」
とんでいた状態を、揺らして起こす。「あ、いや大 丈夫」 「 ( いやあ、いつものからかいとかじゃなくて、ほんと 「どうか、したんですか ? ずいぶん悩んでたみたいでうにパイセンの優しさにも、救われたなあ、と思って すけど」 るんだけどなあ : まあ、いまさらはあとだけの前 「いやあ、実家に顔だしたら、どう言われるかなあって。でなにを隠すかって感じもするけど : ・ : ・ ) 、 だいぶまえは、そんなことせずに帰ってらっしゃい 変に慌てふためくのを前に、佐藤は感慨深くものを 状態だったから・ : まあ、実家にいたころも、そう考えた。 いう空気はあったけど」 不安がってる状態の佐藤を、安部が抱きかかえて 云った。 さて、一一人は佐藤の実家に到着した。すでに軽井沢 「大丈夫ですよ、はあとちゃん」 での仕事へ出るまでに、連絡はとってある。安部菜々 というのがどういう人物かも、当然把握済みであろ 「大丈夫ですよって言ったんですよ。私も、この何年も、う。 うまくいかない中でやってきて、それで認めてもらつでも、じっさい相対してみてどういう反応するかは た。はあとちゃんも、もうこんなに成功してるんです未知なもので : : : どきどきしながら、佐藤は実家へ向 から、大丈夫ですよ ! 」 かった。 「はあ : : : ほんとにパイセンは、おばあちゃんみたい に優しいな、あリがと☆」 「なっ・ ・どうしてそんな受け取リ方をけど : : : 」 「お、おーい。母さん。ナナバイセンもつれて、きた
「佐藤、今度のイベントだがな、」 「うん、まずははあとって呼べ☆」 「とリあえず地方遠征だ、地方遠征」 「とリあえずじゃねーよ、一人で勝手に話を進めずに、 話を聞け☆」 「 ( ああもう、話が進みませんねえ : : : ) 」 「はあとちゃん、今度のイベントの内容、プロデュー 「どうでもいいだろ、そんなことは。とリあえずだな、 サーさんから聞きましたか ? 」 とりあえず、今度は冬休み期間ーあ、佐藤には関係な いかーに信州へ、行ってらおうと思っている。お前の この物語の原因は、その安部菜々からの問いだった。出身地だしな」 ゆくリなく、聞いてない、と佐藤が答えようとした瞬「地元 : 間に、プロデューサーが部屋に入ってきた。 佐藤が一瞬、神妙な顔をする。すぐに元通リになっ 窓の外は、秋めいていて、変遷を思わせるものであて、以下の一一お葉を吐く。 る。しかし、それでも冬の訪れは確実に近づいてい「ふーん、じゃあ、ナナバイセンは千葉に行くわけ ? 地元っしょ ? 」 「何いってるんですかはあとちゃん ! 」 「いや、今回は菜々さんは地元に行くんじゃなくてだ 「ちょっとプロデューサーさん、そういう問題ではな いでしよう、ナナはですね : : : 」 「こんどはナナバイセンが話し止めてるじゃん : : : 」 「あ、すみません、プロデューサーさん次どうぞ。」 「わたしの、『成功の物語』は ? 」 いつものことに頭を抱えるウサミンを後ろに、プロ デューサーは説明する。
つつ、説明する。 そう云うと、プロデューサーはホワイトボードを取「あ、もう来てたのか。ごめんごめん。このニ人にも リ出して図に示した。なにやらごちやごちやかきはじ参加してもらうか。」 めている。 「まったく、だいたい、『やるらしい』ってどういうこ 「つまリだな、地元とかあまリ関係なくてだな、ちょっとなのかい ? 」 とあっちの方でイベントをやるってだけの話なんだ「うーんとそれは、まあいろいろ未確定なことが多い と云うか、そんなこんなで。まず大まかには、松本で よ、だから菜々さんも一緒にいくんだ。」 「ほーう、じゃあ、それはつまリあれか、しゆがみん中規模のイベントをやるから、そこに集合みたいな感 じだな。まあ、おいおい指示はするので」 でいっちょイベントしてやるってこと ? 」 プロデューサーが焦った感じで様々に事事を伝え 「まあそうだな。まあ信州というか長野県も広いし、 地元なのかとかどうかはわからんけど。とリあえず、て、その日は解散となった。 一一人とかはメインの松本でやるらしい」 とか、などいうことばが出てきたあたリは、すなわ イベントの日。 ちニ人以外が参加するという示唆であった。 とリあえず佐藤と安部だけ、信州の方面へ向かって 「あの、アタシ達の話は : : : ? 」 その示唆を受けてようやく、置き去リにされた感のいた。まず行くのは、軽井沢。日付は、まだ冬休みで ある、しゆがみん以外のメンバーが話をはさみだす。はなかった。 それでも寒さは増していて、秋めいたとは言い難い まず一人は、丹羽仁美。もうひとりは、一一宮飛鳥。 プロデューサーは焦ったかのようにすばやく後ろを見この日に、軽井沢へむかうべく、ニ人と P は北陸新 「あ、ああ。とリあえずこっちを見てくれない。」
そう、物語 「 ( みんなはどうしているんだろ。ずいぶん早く結婚し この言葉をなんども頭の中で繰リ返される、そんなちゃった同級生も、いるだなんて聞いたけど。 ) 」 感覚を覚えながら、佐藤はしばしフリーズしてしまつ「はあとちゃん ? どうかしました ? 」 「はつ」 プロデューサーは次の準備とか、後始末などに専念「物語、かあ : ・ : 確かに、そうだなあ」 することとして、安部と佐藤のふたリだけで先へ向か「はあとちゃんも『躍進』して、いいかんじじゃない うこととした。そのさきは、やつばリ佐藤の実家。 ですか ! さあさあ、ご実家に凱旋しましよう ! ! 」 「いやー大盛況でしたねえ ! はあとちゃんもほんと輝 いていましたよ ! 」 深い意味を与えたものの、その自覚なく先へ進むこ 「いやいや、どう考えてもナナバイセン目当ての人がとに興奮する方を尻目に、佐藤はその深い意味によっ 大量 : : : そりやまあそうだろうけど。それより握手会て考えさせられるような状態であった。 で : : : 大丈夫だったのか」 「 ( 実家、かあ。最近電話しても、どうするつもリなの 「うつ」 かとか、そんな話はあまリないけど、最初の方はそん また例のようにいろいろといじられたことがフラツなんばっかだったからなあ : ・ : 。 ) 」 シュバックしているようなさまを見せた。 「まあまあ、もう大丈夫ですよ ! それに、いまのナナそう思いながら、回想する。アイドルを目指し始め はーわたしの物語を、生きているんですから」 た頃の、あの感覚。実家との関係にかかる、あの感 「物語・
「それに、ナナは思うんですよ。ナナは今、幸せで「ちょ、ちょっと、もうこの子は、聞いてたの ? 」 す ! た、たしかに、同級生のあれやこれやを見てい「当たリ前。あんなに不自然に自室を見てこいだなん ると、『普通』の幸せでは無いのかもしれないけど : ・て言われたら、そう思うっしよ」 。ナナは、私という物語を生きていて、そしてはあ とちゃんもその物語を生きてて : : : みんな、輝いてい実を一一 = 日っとすぐ引き換えして、全部話しを聞いてい るんですよ ! 」 た佐藤は、若干呆れた顔でそうかえした。 「そうね : : : 私もはじめは、もっと普通の道を、って 思ったけど。私達とは、時代も違うし、幸せの形も違「も、もうはあとちゃんは、恥ずかしいところ聞かな くださいよ ! 」 「そういうことです ! はあとちゃんも、幸せ、だと思「いや、物語どうこうってこの前も : : : 」 いますよ ! 」 「そこじゃないですー ! というかはあとちゃんどん 「ほんとに。でも、多分、その幸せは貴女のおかげだだけ私の話しちゃってるんですか ! ! 」 ろうね。いつも、あの子の語りを見ると : 。ほんと、「まあまあ、落ち着け☆」 こうあえて、こう伝えられてよかった」 「もう ! 」 「物語、か : ハイセン、いいこと一一 = 日つな☆」 そんなこんなで次の日の朝を迎え、プロデューサー が迎えに来た。 「一一人とも、いよいよメインの会場に行くからな。」 「おう ! 」
げ出しちゃうかもしれないですし、なんなら、本番前 に失踪しちゃうかもしれないですよ」 にひひ、と悪戯っぽく見上げてくる加蓮に対し、美波 その入院生活の間、わたしはずっとその曲をはどう返していいのかわからなかった。暑さで鈍く 聞いてたんです。辛い時も、寂しい時も。その曲を聞なった頭を引っ掻き回してどうにか言葉をたぐリよせ きながら、きっと今頑張れば明るい未来が待ってるんようとしたが、なかなか口を開くことはできなかった。 だって自分を奮い立たせて。この曲には、あの頃の思蝉が一匹、後ろの方でさざめいているのが聞こえた。 い出が全部詰め込まれてるんです。」 加蓮は柵から手を離して、ふっと美波の方へ向き空白の時間を遮ったのは、加蓮の方だった。 直った。 : アタシ、プロデューサーに言ってきますね」 海に面している事務所の屋上には、かすかに潮の香加蓮の顔は、少しだけ引き締まっていたような気がし リが漂っていた。夏休みにプールに通ったことを美波た。 は思い返しながら、ああ、そうか、と口をつぐんだ。「やつばリ、アタシは辞退します」 「あんなに好きな曲だったのに、退院してからは全然「待って ! 」 聞けてないなあ。今なんか、もう曲を聞くだけで病院美波は、とっさに加蓮の手首を掴んだ。 での嫌なことを思い出しちゃう : : : 」 「少し、考えてみよう、練習は始めなくてもいいから、 困ったように笑、つ加蓮を見て、美波は一一 = ロ葉に詰まった。少しだけ。」 「そんなに、なんだ : : : 」 「きっと気は変わリません」 「ほんと、自分でも嫌になっちゃう。だからアタシ、「考えてみないと、わかリません。それに、せつかく やらない方がいいと思うんです。途中で嫌になって逃のお話をそんなすぐに断ったら、プロデューサーさん 心を押し込めた。
「そして : : : でごまかしてるあたリ : ・ : こ まったく、細かいなあ。でも、菜々さんが言ってた ああいう観念で・ : : ・ちょっと企画を考えたよ。特に仁 「ボクの歩く道は、みんなと一緒ではないさ。でも美」 もう、そんなまとめた大きな道なんてのは、そもそも「え ? 」 無いと思うんだよ。それに、。 とうせ社会だって、ボク 「だって、歴史とか一番物語に繋げやすいじゃん。 にとってはボクが見ているだけの範囲にあるのだかそれこそタイムスリップした公演でも : : : 」 ら 「ま、スウィーティーならそれでいいしよってこと飛び過ぎた話で一同はアレに「鳴って」いるけど、 だなー・」 まあそれでも大団円である。 「本当にわかっているのかい ? ? ー 「いやいや、あれで佐藤はわかってるはずだよ」 「ま、プロデューサー。はあとのスウィーティーな物 「プロデューサー ふん。どうせ、キミのこと語を楽しみにすることだな ! 」 だからまともな根拠はないんだろ ? 」 「そ、そうだな」 「いやいや、そんなことなんてないよ。 4 人共、例「どうせプロデューサーも、もう普通の物語なんか えば依拠するものが違うじゃないか。歴史的な物語も、のぞみつこないいんだしな」 哲学的な物語も、そして : : : ってことでいいんじゃな 「ああもう、だからそれは関係ないだろうがって いかなあって思って」 それが、「成功の物語」
Df_1 一いろいろ適当で、極めて不快になる要素だらけな気 注意 がするので、ご注意ください : プロデューサーは特定の存在ではなく、適当なプ 以下の要素を含みます。 ロデューサーだと思ってください。 実際はあとの実家の場所はわからないので、てきと ・アイドルマスター・シンデレラガールズの一一次創作うにごまかしています。登場アイドルは、佐藤心、安 ・百合描写 ? ・キャラクタの崩壊・ロ調の不統一・不部菜々、丹羽仁美、ニ宮飛鳥、ですが、後ろ一一人は正 適切 直あんまリ出なくなってしまいました : : ご了承くだ さい ・中 2 的な気取った地の文 ・主題とタイトルあってないようなな気もする ・意図的文法破綻 ? ? ・全体的に、小説っぽいですが基本は ss みたいなノ リです。ここも適当ですが、地の文多すぎ SS みたい に読んでもらえればと ( ( ・当注意書き欄を除き、しゆがみんイベントよリ前に 書いてます。 佐藤心と、成功の物語の物語
「そんなって : ・ 「いいんだよ、それで。多分、あの近所のこが結婚し そして、移動途中。 たとかそんなことが気になってるんだろ ? 別にいいん 「なあプロデューサー。私の物語ってなんなんだろうだよ。結婚がゴールだなんて、言ってしまえば古い、 な。」 いや、ゴールが一つだなんてのも、言ってしまえば古 「なんだ ? 飛鳥と一緒にやるからって、何を急に哲学い」 的になったんだ ? 」 「菜々さんの言うことが正しいよ」 「関係ねーよ。そうじゃなくて、いろいろと、考え て」 そうなのだ。もう、単純な時代ではない。多様な価 「両親になにか言われたのか ? 気にするなって言った値観な社会では : : : なにが成功かという物語もまた多 だろ」 様で。 もう言わないだろうってわかってて、そういうこと「まあ、プロデューサーだってもう世間的な普通の成 をプロデューサーは言っている。 功なんてのぞめないからな、そう一一 = 日っ考えに同調もす 「違う。違う。最初の方は、周リの同級生たちが普通ルー るっしよ」 トに乗っかっていくのに不安になったからさあ、でも、「おいおい、勘弁してくれ : : : 別な成功をつかんだ君 ナナバイセンが : : : 」 らと違って、こっちはなんだかんだ親戚から突き上げ そういって、云われたことと、話したことをプロもやばいんだから。これでも正社員で頑張ってるのに デューサーに伝えた。 まったく、古い価値観でのセイコウ・失敗はだ 「なんだ、そんなことか」 めだよ」 「了解です ! 」