初めて - みる会図書館


検索対象: 6月以降の架空の新刊案内
2件見つかりました。

1. 6月以降の架空の新刊案内

ぶえじえ そうみたい ウソ予告 ? 架空の 発行日 : 2 田 7 年 5 月 3 日 発行者 : フエジェット pixiv: 27 ー 26 ー mail : defe 'et@lvnikiko.saktll・a.ne.j 本内容は個災の妄想に基づく押造で 進撃の巨人原作者様、出版元とは 一切関係ありません。 R18 愛の起源 「そんなに見ないでくれよ」 ストープに燃え残った熾火が静かに熱を放っている。引き出しに隠した鉱石のあかりに比べると、 あまりに頼りなく不確かな赤い赫き。ぼんやりと熱く、同時に隠微に、一一人の裸を照らし上げる。 炎を失ってなお凝る熱は、胸に灯る思いに似ていた。 「こっちを向け」 耳にしたハンジの方が辛くなるほど切実な声で囁き、リヴァイは背けた顔をぐいと引き寄せた。 そのまま吐息がかかる近さでハンジの瞳を見つめ、まばたきも許さぬほど真摯に心の内側を覗き込 んでくる。あまりに真っすぐな視線に思わず目を眇め、ハンジは溺れるような心地で呟いた。 「 : : : 見ないでって言ってるのに」 「もう片方しか残ってねえ。見るなと言ってくれるな」 日頃の悪態が嘘のようなこのやさしい物言いが、彼の本質だとどれほどの人が知っているだろう。 男女の契りを交わしてから、リヴァイは明らかに様子が変わった。人前ではともかく、二人きり で過ごす夜は怖いくらい優しい。指先の動きは丁寧で、言葉のひとっすら常の彼とは別人だ。 好きだと、おまえが愛しいと、身の置き所に困るほど繰り返し囁いてくれる。肌を撫でる手のひ らは触れられた先から溶けそうなほど熱く、ハンジを貫く体は暴力的なほど猛っているのに、決し て彼女の気持ちを置き去りにはしない。魂まで溶けて混ざりそうなほど、大切に、情熱的に抱いて くれる。 そんな愛され方などまるで知らなかったハンジは、ただただリヴァイに翻弄され、抱かれながら も戸惑ってしまう。 このまま夜が明けるのではないかと思うほど長い時間、リヴァイはハンジの残された右目を見つ め、それからゆっくり口づけして、足の間に指を差し入れてきた。 触れられてやっと気付いた。そこはとっくにぬかるんでいて、リヴァイの指の訪れを待っていた。 ハンジは身悶えしながらリヴァイの腰に手を回した。もっとそばに来て欲しい、もっと熱を分け て欲しい。全身で彼の肌を感じたかった。リヴァイはハンジの唇を舐めながら、やわらかな襞に沿 って指を動かし、興奮してふくらんだ突起を慰めるように撫でた。待ち焦がれた刺激に、ハンジの 喉から猫の子のような声が漏れた。 「んんっ : こんなときにすら「おねがい」「もっとして」「もっとよくして」と言えないハンジに、リヴァ イは誠実に尽くしてくれる。揺れる炎に似た赤い舌でハンジの唇を舐め、背中を強く抱いて、ぬか るみを掻き回してくれる。感極まって背をしならせれば、硬い体を押し付けて「俺も同じだ」と囁 いてくれる。決してハンジを独りにはしない ( 彼に初めてを捧げた女性は、どれくらいいるんだろう ) リヴァイの指に狂いながら、まだ理性を残した頭の片偶でハンジは思う。 ( 私もそうならよかった。リヴァイが初めてならよかった。そうしたら、もっと素直に、正直に、 彼に身をまかせることができたろうに ) 若き日の苦い記憶に思いを馳せ、ハンジは残された目を閉じてリヴァイに縋りついた。三十路を 前にした成熟した女でありながら、いつまでも閨ごとに奔放になれない自分が歯痒かった : リヴァイに愛されて幸福を知るハンジの話

2. 6月以降の架空の新刊案内

若リヴァハンのすれ違いの恋の物語 涙の果て 夜が近づく雨空の下は、泥を塗ったように暗かった。人けのない訓練場には頬を撫でる明かりの ひとつもありはしない 雨と涙で濁った視界の中で天を仰ぎ、ハンジはめちゃくちゃに泣いた。 「卑怯だよ」 ハンジを連れ戻しに来たリヴァイも、彼女から三歩の距離でずぶ濡れになったまま立ち竦んだ。 返す言葉を考えあぐねているのか、眉間に皺を寄せたまま険しい表情で唇を結んでいる。相当に怒 っている気配は伝わってくるのに、いつものようにクソメガネだのバカ野郎だのと怒鳴り散らさな いのは、ハンジが泣いてしまったからなのかもしれない。 結局のところ、男という生き物は女の涙に弱い。それが常日頃どんなにないがしろにしている相 手でも、同性の友人のように気のおけないやり取りをしている相手でも : : : いや、そういう相手だ からこそ、涙を見せたその時には対処に困って黙り込むしかない。 女の涙の万能性と理不尽さを思えば、ハンジの発した「卑怯」という言葉は、むしろハンジ自身 に向けられるべきものなのかもしれない。 けれど、おそらくそうなのだろうと頭では理解しても、ハンジは許せなかった。誰よりも信じて いた相手に裏切られた、その思いが濁流となってハンジを飲み込んでいた。もう自分一人のカでは 怒りの渦から抜け出すことができなくなっていた。 「卑怯者 : : : あんたはクズだ。英雄だの人類最強だの言われたところで、しよせん地下街のゴロッ キだ。あんたなんかを信じた私がバカだった」 リヴァイはぐいと唇を噛み、それから雨の底を這うような低い声で言った。 「 : : : ガキみてえにメソメソしてんじゃねえ。 いつまでもこんなところにいたら風邪ひくだろうが。 さっさと帰るぞ」 「ああ ? 」 リヴァイは三歩の距離を一歩詰め、いつまでも動こうとしないハンジの腕を取ろうと手を伸ばし たカハンジ : ま頑として譲らなかった。なんとしてでも帰らない、納得のいく答えを聞くまで梃子 でも動かないと、その場で足を踏ん張った。 「帰らない。卑怯者の言い訳を聞くまでここから動かない」 「名前を呼ぶな ! 」 雷にも似た怒鳴り声で、ハンジはわめき散らした。もうどうしようもなかった。 「私の名を呼ぶな、私に触るな、私を見るな ! あんたなんかに : : : 何であんたなんかに : : : 」 土砂降りの雨が頬を叩いた。ハンジの涙ともろともに、激情を溶かして押し流していく。 子供のようにわあわあ泣きじゃくりながら、ハンジはこれまでの日々を思い返した。 リヴァイと出会った日、リヴァイに恋した日、同じ思いだと知った日、初めて口づけした日 : そして、初めて肌を重ねた日。甘く切ない思い出が、真っ黒に塗り潰され、バラバラにちぎれて、 腐れて、崩れて、壊れてゆく。 信じなければよかった。最初から周りの女性兵士たちは言っていたじゃないか。あんな男を信じ るんじゃないよ。その通りだった、ハンジがバカだった、不実な男を信じたハンジが愚かだった。 ひどいよリヴァイ、大好きだったのにーー・その言葉は声にならなかった : べイビイドントクライ リヴァイが子供になってハンジに甘える話 兵舎から営庭、訓練場まで、探して探して見つからず、いよいよ夜も更けたところでエルヴィンは 捜索中止の命令を出した。 「朝になったら捜索を再開する。それまでに憲兵団と駐屯兵団に応援要請を出そう。万一何か事件 に巻き込まれているのだとしたら事だ」 リヴァイが朝から見当たらない。それは調査兵団にとっては天変地異にも匹敵するほどの異常事 態であった。 人類最強リヴァイ兵士長、またの名を調査兵団史上最恐のお掃除長。訓練のない朝に三角巾をか ぶって橾をする彼の姿をみかけないことなど、あり得べからざる椿事なのである。 真っ先にリヴァイの不在に気づいたオルオとベトラは泡を食ってエルドの元へ走り、事態を知っ たエルドはグンタを伴ってエルヴィンへの第一報のため駆けた。報告を受けたエルヴィンは全調査 兵を招集してリヴァイの捜索にあたらせ、それから壁の端に沈むタ焼けを見送るまでの約半日、つ いにリヴァイは見つからないまま今に至った。 「ねえ、リヴァイにも何か事情があるんじゃないのかい ? あまり事を大きくすると戻って来にく くなるかもしれないよ」 「そんなはずないだろう。訳あって不在にするならます俺に相談するはずだ。それが難しかったと しても書置きの一つも残すだろう。何かあったに違いない。それも急を要する何かだ」 エルヴィンの言はもっともであった。 曲がりなりにも兵士であり、元ゴロッキながら誠実で、お人好しという言葉をそのまま人間にし たようなリヴァイが、何も告げずに姿を消すなどあり得ない。おそるおそる「リヴァイの事情」を 言い出してみたハンジではあったが、もし真実を知らなければ、やはりエルヴィン同様血相を変え て「草の根分けてもリヴァイを探し出せ ! 」と班員たちに命じたことだろう。 それはそうだ、ごもっともだ。だが、もっともだからこそ始末に負えない。 「憲兵団への早馬はトーマにまかせよう。駐屯兵団へはヘニングに。残りの者はとりあえす体んで、 明日からまた捜索。それでいい力い」 「ああ。俺は明日ミケと地下街へ行ってみる。地上の指揮はハンジ、おまえに任せる」 ハンジは神妙な面持ちで顎を引き、「わかった」と答えた。実際のところ、わかったも何もハン し力なかった。 ジはリヴァイの居場所を知っているのだが、知っていればこそ明かすわけには ) 、 「私も少し体むよ。エルヴィン、また明日」 くたびれた声で呟き、ハンジはそそくさと団長室を後にした。とにかく今は、部屋に戻らねばな らない。 兵舎内はいつになくざわっいている。それはそうだろう、リヴァイが誰にも知られぬまま煙のご とく消えたというのだから、騒ぎが起きない方がおかしい。 ハンジはため息をつきたいのをこらえ、早足で自室に戻った。扉を細く開け、身を滑り込ませる やすぐさま鍵をかけて、内部の異常を確認する。そして : ・ 「 : : : リイくん、ごめんね遅くなって。どこにいるのかな ? 」 優しく声をかけると、シンとした室内の本棚の脇から、小さな影がまろび出てきた。 : はんじ、ここ」 とてとて、と愛らしい音のしそうな足取りで駆けて来たのは、どこからどうみてもリヴァイのミ ニチュアのごとき幼な子であった :