ふろしき しろおお 真っ白い大きなゆたん ( 風呂敷 ) を うえ おんなようかい せなか 背中の上にしよった女の妖怪で、着て るものはひざから足もどにかけて、す べてびしゃびしやに濡れてます。これ びかんけい があらわれるのは火に関係するよくな おんな まえふ いこどの前触れいわれてて、ある女 いえも せんたくちゅう が洗濯中にこれを見て、家に戻ったら こもやけこ 子供が火傷をしてたいいます。 おお にんげん きたうみす 北の海に住んでるいう妖怪。人間 をびつつかまえては、持ってる大きな いしうオ・ 大きな石臼でごりごり挽いて、血を のんでしまうどいいます。また、越後 やまおく の国から会津へ抜ける山の奥にある いわや いう、おこっへいの窟どいう洞窟の 底には、瓶に詰めた人間のしぼり糟を ちょを - っ たくさん貯蔵してるをうです。 かめ 水にすむ妖怪 こうくっ おお えち ) 」 0 ・ 0 志摩の国の海に出る妖怪。海で貝を 採ったりする仕事をおえ、磯にあがっ て体をあたためようしてる蜑女さん をすつ。ほりつつんでしまう蚊帳のよう なもので、これにつつまれるど体の冷っ えが止まらなくなり、死んでしまうど - っ・か、 - っ議い ざもかづち、 いいます。「共潜」いう海の妖怪の藝 なかま 仲間。 . 0 0 0 うみで からたひ よし物べ ′′しな言べ当
》フク えちご 越後の国にあらわれた妖怪で、七月 ぜんふつだん 七日にお膳や仏壇なビを川できれいに あらお あら 洗うきのような大きな洗い音をじゃ ひび 。ほんじゃ。ほんど響かせて来ます。夕暮 ころそビわる かたづ れを過きた頃、外を歩いてたり、片付 けものをしてたりするど、聴こえたそ かわほうがく うですが、必ずしも川の方角から聴こ えたわけではなかったどいいます。 おお かわ カっ みいけ 筑後の国の三池のあたりに伝わる、 てんねんう もがさ ( 天然痘 ) をひどにもたらして あか よう力いてんねんざう 来る妖怪。天然痘をもたらすものは赤 もかさむし い色に弱いどいわれてて、この痘鬼虫 からあかえ ↓のムれ第物し も、赤貝の殻を赤く絵の具でぬって鈴 かいすす にした「貝鈴」いうものが苦手で、 くばしんしゃ お祭りのどきにこれを配る神社がいく つかあったどいいます。 いろ むかしちょうしゃぜにやま 昔の長者が銭を山のように埋めた えっちゅうひた いわれてる塚で、越中ど飛騨の国境あ たりにあったもいいます。あるひどに が塚をあばいておたからを掘り出そう どしたころ、黒雲がもくもく空に ほう。ほう ひろ 広がり、塚のまわりの四方八方から男た おそ 力いこっ 女の骸骨があらわれて、襲いかかってわ 来たりしたトカ よし物べ材 し言べ当′′
にんげんさそ お墓にすんでる妖怪で、人間を誘い ど 出しては取り殺してしまったいいま たしま おおくま す。但馬の国に出たそうで、大熊い はか ト - フかい うのはこの妖怪がいたいうお墓の な あまたた あった土地の名。これが雨戸を叩くど さ , てた ビお 誘い出されたひは意識が遠のいて , 、ち ~ はし おおくまゆ おおくまゆ 「大熊へ行こう大熊へ行こう」どロ走 し りながら死んでしまったどいいます。 はか こる えち ) 」 越後の国に伝わるもの。昔きたない 坊さんが「水を一杯くだされ」戸口 いえにようぼう に来ますが、その家の女房は「今いそ がしいから、外でかわかしてる下駄で あごでも濡らすどいい」言って放っ ご かえ きおつど ておいたら、その後、帰って来た夫が ト - つ物い にト - っ・ま - っカお 女房の顔をみるど、あごのない妖怪に なってしまってたどいいます。 むかし い ち、ヤ 6 う当、 こ・はは〔ざけ 経木でつくられた小羽仏いう神様 が殖えすきた結果、化けてしまった ようかいおくざしきくらなかす いう妖怪。奥座敷や蔵の中に住んでて、 いたず・らをしたりします。放っておく かずふ 0 ど、みるみる数が殖えてしまうトカ ーリトこ丿 , り・ りつ び当」よ - っし もん日 ( 行事のある日 ) に立派な料理 どみ ぜんをな のお膳を供えたりするど、富を殖やし てくれるどもいわれてます。 かみさま よし物べ材 し言べ当′′ 0 旅のおぼうさんシリーズは、妖怪たちょリすごいの。
39 ・『青森県下北郡東通村民俗調査報告書』東通村 教育委員会 ・『印旛手賀沼周辺民俗調査報告書』千葉県教育 委員会 ・『千葉県方言の自然談話Ⅱ』千葉県教育委員会 ・『香川県史民俗』香川県 ・『越智郡島嶼部地区民俗資料調査報告書』愛媛 県教育委員会 ・『本四架橋に伴う島しょ部民俗調査報告』瀬戸 内海歴史民俗資料館 ・『対馬西岸阿連・志多留の民俗』長崎県教育委 員会 ・『天瀬町赤岩玖珠町北山田の民俗』大分県教 育委員会 ・『種子島民俗報告書西之表市の民俗・民具』 西之表市教育委員会 『括異志』張師正 『稽神録』徐鉉 『塩尻』天野信景 『雲萍雑志』柳沢里恭 『世事百談』山崎美成 『南嶺子』多田義俊 『喚起泉達録』野崎伝助 『奇談北国巡杖記』鳥翠台北坙 『扶桑皇統記図会』好華堂野亭 ・『久保寺逸彦ノート』北海道教育庁生涯学習部 文化課 ・『存在の謎に挑む哲学者井上円了』東洋大学 附属図書館 ・『尾形家絵画資料図版』福岡県文化会館 ・『筑波山麓の村』井之ロ章次 ・『民俗採訪』昭和 38 年度国学院大学民俗学 研究会 ・『民俗採訪』昭和 55 年度国学院大学民俗学 研究会 ・『北方自然民族民話集成』山本祐弘 ・『武蔵保谷村郷土資料』高橋文太郎 ・『静岡県方言誌』内田武志 ・『秋田郡邑魚譚』武藤鉄城 ・『伝説の越後ど佐渡』中野城水 ・『志摩の海女』岩田準一 ・『伊吹町の民話』伊吹山麓ロ承文芸学術調査団 ・『砂鉄の村の民話岡山県美甘村採再訪記録』 立石憲利 ・『伊予路の伝説』合田正良 ・『島のこど比甲東哲 ・『俗信の民俗』桂井和雄 ・『山でのこを忘れたか』澤田四郎作 ・『分類漁村語彙』倉田一郎、柳田國男 ・『大語園』巌谷小波 ・『江戸時代語の研究』頴原退蔵 ・『江戸小咄本』尾崎久弥 ・『川柳江戸名物図絵』花咲一男 ・『図説日本民俗学全集』藤澤衛彦 ・『綜合日本民俗語彙』民俗学研究所 おもな参考資料 。『妖怪大図鑑佃煮篇』を書くのにつかった、おもな参考資料は以上です。なるべく 幅広い地域から伝承を、昔話を、巷議を、俗信をあつめて佃承妖怪の材料にしようど思ったのです が、収録できる妖怪の数ど解説文の長さどの関係から、あっかえなかった地域もありました。今度、 あらたな佃承妖怪をぐっぐっ煮込む機会にのをんだ際の課題にしてゆきたいど思います。 妖怪たちを、すんでる場所によって 4 つに分配する方法は、小さいこるから読み 親しんでた、佐藤有文せんせいの『日本の妖怪なぞどふしき』に出て来たものを参考にして、振り ましべ しな言べ当 『秋田郡邑魚譚』は、魚に関する風習のほかにたくさん伝承がのってるよ。みかけたらおすすめ。
作物の怪異 むかし 昔、みかビがいちばんお気に入りの ち、さち、 まいにちまいにち 妃のもどに毎日毎日いってしまうこど ようかいつくりもの ほかち、さ当、 を妬んだ他の妃たちが、妖怪の作物を きさきへや その妃の部屋のまわりにたくさん置い も、さも、 たころ、お気に入りの妃はそれを怖 やまいふ がって病に臥し、死んでしまいました。 かな ようかいお みかビはそれを悲しんで妖怪を置いた しざい ほかきさち、 他の妃たちを死罪にしてしまいます。 ようかいつくりものも 妖怪の作物も燃やされてしまいました ろう いごきさきへや が、それ以後、妃の部屋のあたりの廊 はんものようかい 下には、本物の妖怪たちが群れであら うねめ われるようになり、そこを通う采女た ちをびつくりさせたどいいます。 つくりもの かいい こわ
0 鰤おビし ( わ ~ ごるう 又五郎どいう男が、ぶりを釣ってる きゅうゆうた くろくもなか 、急なタ立ちに。するど、黒雲の中 またごろうあした から妖怪があらわれて「又五郎、明日 の晩にもらいに行くぞ」ど一「ロって来た かえ ので、ぶりを放り出して逃げ帰った いうもの。それ以後、十一月の下旬ご おおあらしり るやって来る大嵐を鰤おビしど呼ん けっ うみ で、決して海には出ないいいます。 ぶり ばん おどこ がっげしゅん 0 装束ビん しようをく びト画うち、 えやみおに 人間たちに病気をもたらす、疫の鬼 ある せんこう たちを先導して歩くいう役目をもっ みちわき てる妖怪。道の脇にある祠に納められ吹 うまひ た絵馬の馬を曳き出して、をれを乗り ある 継きながら歩いており、壊れた絵馬し しょ - フをノ、 かない祠で困ってる装東ビんを旅の武 したす はやりやまい 士が助けてあげたどころ、流行病から まも 護ってもらったいいます。 ほ、」・りおさ こわ よし物べ材 しな言べ当
水 怪 0 光絹女 ろくしようふち ひたちくに なかカわ 常陸の国の那珂川にあった緑青淵に にんげん ようかいふちちかづ す 住んでたどいう妖怪。淵に近付く人間 たびびど わる に悪さをしたりしてました。ある旅人 すいめん が水面をのをき込んでみたら、ても すがたみ おんな きぬいど 美しい女が、絹糸をねってる姿が見え たそうですが、ふしきなこに、をれ ふちみすいろ たびびビ 以後その旅人の白目は淵の水色のよう みこりいろ な緑色になってしまったいいます。 はぶたえおんな こ くにあきたった 羽後の国の秋田に伝わる妖怪で、全 け 体が毛にまみれてるいうふしきな け」い こいかわ 色川からあげられたこの毛鯉をお堂 はこなか むら にまつってた村もあって、箱の中なビ た からこれを取り出す、水から出され たいぶ て大分たってるにもかかわら、もく りもくりど毛が動き出したりしたどい います。 ごい ぜん くわ ) ら / 、わ、らい畄日 よ る ある にた力さ当、 ひせんく あ 肥前の国の長崎に出たいう、歩く おビ 「くわらくわら」ど乾いた音のするる どうしん びもの 干物のような妖怪。唐人いっしょにで やって来たもいわれるが詳しくはわ第 こも かってない。かくれんぼをしてる子供イ カっ をつれさらうどいわれてますが、五月 ン たんごせつく の端午の節句に「くわらくわら餅」を あんしん た の 食べてれば、安心だどされてます。 も わ し わ こム : フ まし物 ′′しな言べ当
、み - つかい えんのしたに出るどいう妖怪。庭に いちじくを植えたりするどこれが住み いえにんげんびようき ついて、家の人間を病気にしてしまい せんにんあ ます。昔、えらい仙人に会いにいった しゅ当」ようちゅうあ こどわ 比丘尼が、修行中で会えないど断られ いか いおりまえ いわ て怒り、庵の前にあった岩におしつこ をしたらその岩が崩れてきて潰され、 かずおお ちむし 数多くの地虫になったいいます。 むかし と一三一 ・ら彡 つよ てあし かお おおきな顔から手足だけが生えてる ようかいいえなか すがたの妖怪。家の中にいきなりあら おも われたかど思うど、びりつきりで家 にんげん にいる人間を、いいご ( かまビうま ) に変えてヒョイどっまんで連れてって しまういいます。連れてかれてし にんげん まった人間いいごがビうなるのかは知 られてません。 いえ どのさま ていえんたいせつ 庭園を大切にしすきた殿様が、死後 トうかい に、わ・りかよ ものつきっきた 妖怪になって庭に近寄る者を次々食べ えごおがわまち てしまったどいうもの。江戸小川町のた いしゃ つけほせい 野利付保清どいう医者が、たまたま、 しま - つかい おどこっ 妖怪に喰われて死のうした男に憑い しにがみ 、まうかい ーカて てた死神どこの妖怪がそれぞれの苦手の を言い合ってたのを耳にして、ビちら いっきょたいし も一挙に退治したいいます。 みみ よしべ しな言べ当′′
ー↓ 4 0 山赤児 くにあきた 、 - つもい 羽後の国の秋田にあらわれた妖怪。 やまなか 山の中にいつばい落ちてる枯れた木の はなか あか 葉の中なビに隠れてて、大きな赤ちゃ なごえた んの泣き声を出して来ます。すがたは 見えませんが、うつかり踏んづけたり わらた するど「踏んで痛いを」ど笑い出した にんげん りして、人間をびつくりさせて来たど いいます。 おお こ 0 羽虱 てんぐっぱさけなか 天狗の翼の毛の中にすみつくどいう 、よ - フかい しらみの妖怪で、ふつうのしらみに比 すうばいおお べるど数十倍の大きさがあります。天 ぐ す さいちゅう 狗から血を吸い取ってる最中に、。ほろ つばさ んど翼からこぼれて来るこがあるそ たかやま うで、高い山なビをのぼってるどき、 まれで ごく稀に出くわすこかあったりする どいいます。 しらみ 0 角肉 たんばたんご 」 4 、第い 丹波丹後の国境のあたりに出た、 よ あたまようかいはは る 角のようにもりあがった頭の妖怪。母 おやびようきなお あめなかやま 親の病気が治るように、雨の中、山の衂 うえびしやもんう 上の毘沙門堂へ願掛けに来てた女のコ がこの角肉にたまたま出遭ったどこ窈 こうこ - っ ろ、「おまえは孝行ものダ。ど、いろと わらづど いるなたべものが詰った藁苞をもらっ て ち 落 たこどがあったどいいます。 れ よ る す 虫 も っ の 凰 つの カんか おんな よし物べ材 しな言べ当′′ 0