精神科 - みる会図書館


検索対象: 月刊 みんなねっと 通巻第113号 2016年 9月号
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1. 月刊 みんなねっと 通巻第113号 2016年 9月号

す。この実態は治療の必要性か精神科病院には、在院する患酬単価は当然低くなります。 らではなく、地域で住む場や働者の多くが福祉的側面から入院 号 月 図精神医療政策と精神科医療の く場がないため入院を余儀なくを余儀なくされているという特 到達点が噛み合ってない 年 させられているという、福祉的殊な事情があるからです。 側面から生じているのです。 精神科病院の医師が一般病院 今日、精神科医療は進歩して と 在院患者の 3 人に 2 人 ( 万の 4 分の 1 、看護師 ( 准看護師おり、その到達点は、精神の病っ 人 ) が 1 年以上の長期入院とい 込み ) や職員総数が一般病院の気や障害があっても、医療支援な み う事実は、日本の精神科病院が、半数という実態、そして一般病と生活支援によって、地域での 医療的側面より福祉的側面が大院の 3 分の 1 の入院料という報 社会生活が可能な時代になりま きな比重を占めていると言って酬単価に見られるように、一般した。 も過言ではないことを物語って病院との大きな格差は、治療機国 ( 犖労働省 ) も年、 います。 関と福祉施設的役割の両方を果「精神保健医療福祉改革ビジョ たしている精神科病院の実態かン」を打ち出し、入院医療中心 Ⅱ精神科特例と科差別の背景ら生じています。 から地域生活中心へ、精神科医 精神科病院が、一般病院と比 例えば福祉施設は、医療機関療の基本的あり方の転換を提起 べて報酬が低いなどの差別的なと違って、医師や看護師は「いなしました。しかしそれから 2 年 扱いを受けている理由としてあ いか、少ない」という状況にあり、 以上経っていますが、わが国の るのが、この福祉的側面の問題職員総数も少ないのです。職員精神科医療は何も変わっていま があります。 数が少なければ入院料などの報せん。その背景には、入院中心 の隔離・収容の精神医療政策を精神科病院は、病院の本来の姿で抗精神病薬で病気を治すこと 全く変えていないということがある治療機関に徹することが必はできませんが、今日の精神科 須です。そのためには精神科特例医療の到達点として、症状を軽 あるからです。 8 数年前と変わらない隔離・を解消し、一般病院と同水準の医減し、医療支援と生活支援を行 収容の政策、そして数年前か療 ( 職員 ) 体制を整えるなど病院なうなら、社会生活を普通に送 れる時代です。これは糖尿病や ら大きく変わった精神科医療のの機能強化が必要です。 そして福祉的支援が必要な人高血圧と同様です。薬を飲むだ 進歩と到達点、この二つのあい たちは、住む場、働く場、憩う場けで病気は治せませんが、薬で だに大きな乖離があるために、 精神科医療は、当事者や家族のなどをつくって、地域で安心して症状をコントロールし、健康的 暮らせる体制を整えることが求で普通の社会生活は行なえると 願いに応えられないのです。 いう意味で、精神疾患も同じで められています。 3 役割分担と機能強化が必要 す。わが国は今、まさに精神科望 の 3 今日の時代に対応した精神医 医療の到達点を精神医療政策に 革 精神科病院を一般病院と区別 療政策に改革を 反映させた改革が必要となって し差別的扱いをしている精神医 状 現 療政策を解消するためには、精神以上のような精神科医療が抱います。 の 療 次回 ( 第 6 回の川月号 ) では、 えている深刻な問題を解決する 科病院が担っている医療的役割 と福祉的役割の一一つの役割は、医ためには、精神科医療の望まれ病院存亡の危機を迎えた精神科科 精 療と福祉のそれぞれの専門分野る姿を見据えた精神医療政策の病院の状況をみてみます。 に分担させなければなりません。本格的な見直しが必要です。 ( うじいえのりあき )

2. 月刊 みんなねっと 通巻第113号 2016年 9月号

む場・働く場・憩う場を、地域に域で暮らせるはずの安定した人は、精神の病気や障害があって 率先して造ってきませんでした。 たちが大勢いました。しかし高も、生活の場は入院病棟ではな 度経済成長の終了によって働くく地域が中心になっている時代 ー精神科病院には地域で暮らせ場が減少し、「ナイトホスピタです。たとえ入院になっても平 る人たちが大勢いる ル」は消失しました。また病院均存院日数は日前後です。 1960 年代の高度経済成長業務の使役も本来禁止なのでな しかし、わが国は、 1950 期には、日中、市内の工場や会くなりました。 年代につくられた入院中心の隔 社などで働き夜病院に帰る「ナ 残念ながらこれら色々な形で離・収容政策を継続し、精神科 イトホスピタル」の取り組みが働けていた人たちは、退院す病院に治療と福祉、両方の役割 多くの病院で行なわれていましることもなく入院継続を余儀を担わせています。そのため、 た。これは今日のグループホー なくされています。そのため、病院は治療をする医療機関とし 望 ムの取り組みです。 入院の必要ない社会的入院者ての機能と共に、患者の住む場 展 また本来、病院の業務である は、厚生労働省の公式見解でも所でもあるという福祉的機能を革 院内清掃・患者使用のシーツな 7 万 2 千人といわれ、さらにはも有しているのです。 と 川万人以上という見解を持って どのリネンや職員の白衣の洗濯 すなわち患者の万人は 1 年塘 の いる医師もいます。 作業・栄養課の調理補助などが 以上入院しており、Ⅱ万人は 5 医 作業療法という名で行なわれて 年以上、約 7 万人は 2 年以上、 いました。このように精神科病福祉的側面か大きい韆科病院 3 万 4 千人は年以上という異精 院内には働く能力のある人・地今日の先進諸国の精神科医療常な長期入院の実態があるので ①ニつの役割を担う精神科病院 精神科医療の現状と改革の展望 今日の医療政策・制度を構号 月 築した 19 年代は、抗病 昭和大学烏山病院家族会あかね会監事 氏家憲章 年 社会福祉法人うるおいの里・理事長 薬の本格使用が始まってない時 代で、しかも地域に、綿障 ~ 一暑 と っ の住む場も働く場も全くありま 《連載》第 6 回一般病院の半分の条件の精神科病院 ね 亠な せんでした。そのため精神障害 ん わが国の精神科病院は、一般景をみてみます。 み 者は、家族が自宅で面倒をみる 病院と区別され、医師配置は一 人以外は、精神科病院に頼るし ①精神科病院の特殊な事情 般病院の「 3 分の 1 でよい」と かありませんでした。しかも国 した精神科特例があり、更に、 精神科病院が一般病院と区別 1954 年の「綿 ~ 星実態 収入 ( 日当点、 ) は一般病院のされ差別的扱いを受けている背調査」 ( 要入院者万人 ) を受け、 「 3 分の 1 のしかない」などの景には、一般病院と違う科病 1960 年から年間で精神科 差別的扱いを受けています。 院の特殊な実態があります。 病床を 3 倍に急増させ、精神障害 これは、日本の精神科病院が病院は、病気やケガを治療する者を精神科病院に集めました。そ 抱える根本的な問題ともいえま専門の医療機関です。しかし精神して、その精神科病院に、治療的役 すが、なぜ精神科病院は、一般科病院は同じ医療機関であるの割と同時に住む場などの福祉的 病院と区別され差別的扱いを受 に、一般病院にはない福祉的役割役割を全て任せてしまいました。 けているのでしようか。その背も担う特殊な事情があるのです。 そのため国は、綿障害者の住 日当点Ⅱ患者一人 1 日の入院料単価

3. 月刊 みんなねっと 通巻第113号 2016年 9月号

相模原市障害者施設殺傷事件に関連して 2016 年 8 月 5 日 公益社団法人全国精神保健福祉会連合会 平成 28 年 7 月 26 日未明、障害者支援施設「神奈川県立津久井や まゆり園」において、施設入所者 19 人の命が奪われ、多くの負傷者 がでた史上類のない残虐な事件が発生しました。この事件は障がい者 福祉にかかわるものとして、受け入れがたい衝撃を与えました。被害 に遭われ亡くなられた方々に、衷心よりご冥福をお祈りするとともに ご家族の皆様にはお悔やみ申し上げます。また、傷害をうけられた方々 の一日も早い回復をお祈り申し上げます。 犯行に及んだ男の残忍な行動は、いかなることがあっても許すこと はできません。当事者のみなさんはもちろんのことですが、私たち障 害をもつ本人と家族に甚大な苦痛と不安の最たる傷を負わせることに なりました。私たちのかけがえのない一人ひとりの存在を脅かすこと があってはなりません。私たちは事件に臆することなく生活を送れる ように誤った偏見と差別を取り除いていきます。 今回の事件は、特異な考えを持っている容疑者が自ら犯したもので あり、それをもって精神障害者故犯したものと結論づけることは危険 です。なぜ、このような事件が起きてしまったのか、慎重な事件背景 と真相究明を求めます。 容疑者に精神科病院の入院歴があることから措置入院の在り方検討 2016 9 月号通巻第 113 号 月刊 【表紙の糸会】織田信生 相模原市障害者施設殺傷事件に関連して 1 知っておきたい精神保健福祉の動き 3 お知らせしますみんなねっとの活動 4 特集 メンタルヘルスと福祉教育をめさして ( 松本すみ子 ) 精神科医療の現状と改革の展望 【連載第 6 回】一般病院の半分の条件の精神科病院 ( 氏家憲章 ) 私と家族の手記「長男の病気と家族会活動」 ( 倉町嘉代子 ) 20 街の診療所からのお便り【連載 112 】 ( 増本茂樹 ) 7 1 6 ・・障がいのある子供たちが中学校に通っています・・ 知ることは生きること ( 連載 9 回 ) 経済的支援の全体像 ~ その一 ( 経済的支援特集③ ) ( 青木聖久 ) 28 24 真澄こと葉のつれづれ日記 ( 第 66 回 ) 34 みんなのわーー一読者のヘージ・地域の話題 36

4. 月刊 みんなねっと 通巻第113号 2016年 9月号

月刊みんなねっと 2016 年 9 月 1 日発行 2007 年 7 月 24 日第三種郵便物承認 月刊みんなねっと ( 毎月 1 回 1 日発行 ) 通巻 113 号 2016 年 9 月 1 日発行 2007 年 7 月 24 日第三種郵便物承を 月翡を馴の家族と家族会をつなぐ機誌 第 9 回全国精神保健福祉家族大会 希望が三重 ~ る ~ ピアのちから・アウトリーチ・伊勢工ビ実はそれぜんぶ三重なんです ~ んなねっと三重大 全国精神保健福祉会連合会 2016 ・特集・ メンタルヘルスと福祉教育をめざして ( 松本いく子 ) ・私と家族の手記長男の病気と家族会活動 ・精神科医療の現状と改革の展望 ( 氏家憲章 ) 連載第 6 回「一般病院の半分の条件の精神科病院」 ・知ることは生きること ( 青木聖久 ) 連載 9 回 経済的支援の全体像、その一 ( 経済的支援特集③ ) 日時 20 年月 21 休 ) 、 28 ( 金 ) 三重県総合文化センタラ 三重県津市一身田部由ー - = 、 33 ー 1 1 1 1 三重県総合文化センタへの奢通アクゼ htto:/ /WWW. center—mie. or.jpraccess 障がいのある人 58 円 参加費 3 , 000 円 学生 1 , 円 〒 514 ー 8567 三重県津市桜橋 3 ー 446 ー 34 三重県こころの健康センター内 三重大会事務局 「さんかれん」 TEL 059 ー 227-1929 FAX 059 ー 271 ー 5808 = 蓄県身体第害者 総合橋セ、ノター = 第県人橋 ・豊 9 国道る号 = を大学 センター 地 9 ・ メッセウイング・みえ 主催 / 公坦 ) 釞全国精神保健福祉会連合会 ( みんなねっと ) 特定非営利活動法人三重県精神保健福祉会 公益社団法人

5. 月刊 みんなねっと 通巻第113号 2016年 9月号

こうした施設コンフリクトに しかし、精神疾患や精神障害イメージしがちです。しかし、 代表される精神障害者排除に対を抱えながら地域の中で安心し福祉教育はも「と大きな概念で してま、、 。しくつかの対応方策がて暮らし、自分の夢の実現をめあり、その目的とするところも あり、福祉教育はそのひとつでざして歩むことができるまちづ明確です。まずは定義からみて す。確かに、住民の精神障害者くりに向けては、共に同じ地域みましよう。 に対する理解促進だけで解決でで生活する住民の理解や許容的 福祉教育の定義として一般的 きるほど簡単な問題ではないこ な態度が重要な鍵を握っているなものは、大橋謙策先生の、 とは事実です。 ことも、また事実です。 「憲法第条、条等で規定 された基本的人権を前提にしてて 成り立っ平和と民主主義社会をざ め を つくりあげるために、歴史的に Ⅱ福祉教育とは何か 教 も、社会的にも疎外されてきた 祉 社会福祉問題を素材として学習 と では、福祉教育とは何でしょす。 することであり、それらとの切ス , っ , 刀 り結びをとおして社会福祉制 ここではまず、その定義につ 1 ・福祉教育とは 度・活動への関心と理解をすすタ いて触れ、メンタルヘルス領域 メ め自らの人間形成をはかりつ における実施方法例と、実施に 集 福祉教育ときくと、社会福祉つ、社会福祉サービスを利用し 特 際しての留意点を述べていきまに関する知識を勉強することとている人々を社会から、地域か 厳しい現実を嫌というほど突か、②福祉教育とは何か、③メト、⑤基盤となる社会モデルの きつけられた出来事でした。 ンタルヘルスの福祉教育とは何考え方について述べていきたい 以来、私の研究テーマは「精か、④実施例と実施上のポインと思います。 神疾患や精神障害をもちながら も、安心して暮らせるまちづく なぜ今、メンタルヘルス り」に絞られ、研究者としての 道を選びました。 の福祉教育が必要か 現在は、ボランティア学習や 福祉教育に関心を寄せ、精神保 たいへん残念なことに、今日 いた差別も、根強く残っていま 健福祉ボランティアの育成や、 においても未だ精神障害者へのす。精神障害者が利用する福祉 ・中学校、高等学校及び大人偏見と差別が存在している現状施設や医療機関の設立への反対 を対象としたメンタルヘルス領があります。 運動なども、その例です。こう 域の福祉教育の授業を実践して 偏見は、「たとえこじつけにせした施設設立をめぐる地域住民 います。 よ、一定の根拠をもち、その所の反対運動を施設コンフリクト こうした経験を踏まえ、本稿有者はそれを固執し批判的に反といい、年々増加の傾向にあり では、福祉教育の中でもメンタ抗する。その意味で先入的態度ます。今日、精神障害者の地域 ルヘルス領域に焦点化した福祉よりも固定したものである」と移行・地域定着推進の大きな障 教育について、①なぜ、メンタされていますい。 壁 ( バリア ) となり立ちはだかっ ルヘルスの福祉教育が必要なの そして、こうした偏見に基づています。 みんなねっと 2016 年 9 月号 8

6. 月刊 みんなねっと 通巻第113号 2016年 9月号

き、話を聞きます。 精神疾患や精神障害を体験し 号 月 た人たちからは、実に多くのこ Ⅲ実施上のポイント 年 とを学ぶことができます。また、 こうした語りは、聞き手の心の と っ では、実際にどのように実施する人および既に活動している奥底に深く届きます。 するのでしようか ? 人や、企業・団体などで行う講 この際の留意点は、何を目的な ここでは、実施方法を 3 っ挙座・講義などです。 として話をしてもらうのかを福み げ、実施に際しての留意点 ( ポ この際の留意点は、一方向型祉教育の実施者と話し手とでよ イント ) を説明していきます。 の授業に偏りすぎないことが挙く吟味することです。 げられます。受講者が情報の受先述したように、福祉教育は ・実施方法と留 け手になってしまわないよう目的をもった教育活動です。何 に、そして、様々なことを感じ、を受講者に知ってもらいたいの 意点 ( ポイント ) 考えることができるよう、多様か、そして、どのような力をつ ①授業・講義 なワークなどを取り入れるよう けてほしいのかをまずは丁寧に 」・中学校、高校、大学など工夫します。 話し合い明確にしていきます。 に出向き、授業を行います。ま そして、それを達成するために た、大人も対象とします。例え②講話 はどのような語りをしたらよい ば、ボランティアを始めようと精神障害者やそのご家族を招のかを考えて、話の内容や組み 立て、流れを決めていきます。 きる体験プログラムは効果的であります。 す。 リフレクションとは、「経験 ③交流体験 また、体験内容も「する・さによって引き起こされた気にか 交流体験には、直接的体験とれる」の一方向の関わりではな かる問題に対する内的な吟味、 間接的体験があります。テレビく双方向性の高い交流であるこおよび探求の過程であり、自己 やビデオ、あるいは小説や映画、と、さらに楽しいと感じられるに対する意味づけを行ったり、 イ験記などによる間接的交流もものであることが大切です。 意味を明らかにするためのもの 含まれますが、直接的交流体験 これらが精神障害や精神障害であり、結果として概念的な見 が理解の深化にはより効果的で者に対する既存のイメージを打方に変化をもたらすもの」とさ て し ざ す。特に相互作用性の高い体験破し、ひいては自分自身を問い れています 3 。 は有効です。しかし、単に時間直すという揺らぎの作業を内面 つまり、単に体験したことをを と場所を共有したということだ に発生させ成長につながりまふりかえり思い出すという作業教 けでは、深い理解に至りにくい す。 ではなく、学習の生起を促進す福 ス のも事実です。理解を促すため ることがその目的です。適切な の工夫や仕掛けがプログラム内 2 ・リフレクショ リフレクションの実施は、学びハ タ に内包されていることが必要と を深めるために大変効果的で ン ンの有効性 メ なります。 す。 集 例えば、精神障害者の持って 上記①から③に共通するポイ 特 いる力や強さ ( 持ち味 ) に着目でントとして、リフレクションが

7. 月刊 みんなねっと 通巻第113号 2016年 9月号

を積み立てることによって、親バスに乗れないという人がいまに頼る ) という選択肢を知れた り、バランスのとれた食事によっ 亡き後に、本人に年金支給されす。また、公共交通機関の運行 月 て体調がよくなったり、さらに るのが、心身障害者扶養共済事が終わった後の夜間帯において、 年 業です。これらの制度は、家族医療機関を突然受診する必要性は、外食による出費を節約でき が主体となって申請をすることが生じることもあります。つまたりします。これらのサ 1 ビス と になっているのが特徴だと言えり、本人は、精神障がいによって、は、年齢や、その地域の社会資「 特別な出費が生じやすくなるの源の充実度、本人の障がい特性な ます。 み です。そこで、これらの出費 ( 支等によって、障害者総合支援法、 あるいは、介護保険法のいずれ 経済的支援とは収入を増やすこ出 ) を減らすための制度やサー かから受けることになります。 ビスも、重要な経済的支援とな とと支出を減らすこと 本人は社会生活をするにあります。 例えば、本人の在宅生活を支経済的支援を「保険事故」とい たって、障害年金等によって、 う観点からとらえる 収入を増やすことを考えます。えるサ 1 ビスとして、ホームへ さて、ここからは少し踏み込 得保障と言われるもルプがあります。食事づくりの これが、所 , のです。ただし、経済的支援には、支援を受けることによって、本んで、具体的な制度を見ていき 人は、生命維持レベルの食が得ましよう。図 2 は、精神障がい これらの収入を増やす側面に加 えて、支出を減らす側面の制度られることにとどまりません。者に対する生活保障の諸制度の やサービスがあります。精神障支援を受けることを通して、社概要を示したものとなっていま がいの特性として、満員電車や会資源を活用しながら暮らす ( 人す。 図 2 精神障害者に対する生活保障の諸制度 社会生活 雇用保険 十ー ・通勤及び業務上の災害 ・傷病手当金 ・高額療養費 障害年金 社会手当 精神障害者 保健福祉手帳 医療保険 負傷・疾病 障・特別障害者手当 ・自治体独自の 害 市民福祉金 医療費助成 ・自立支援医療 ・自治体独自の 医療費助成 出典 : 青木聖久編 ( 2015 : 26 頁 ) の図を基に一部修正 精神障がいの有無に拘わらず、 社会生活をしていると、その人 まんしんそうい がたとえ、満身創痍の備えをし ていたとしても、何らかの保険 事故に遭遇することがあります。 ちなみに、保険事故とは、ある 程度予測される社会的な事故に 対して、国が作った制度等に国 民が事前に加入しておくことに よって、後に保険給付が受けら れるものを言います。その代表 的な保険事故が、負傷・疾病・ 障がい、さらには、失業、通勤 と 及び業務上の災害等になります。 こ る ただし、その人が置かれてい き 生 る状況によって、対象となる保 と 険事故は限られます。例えば、 こ 図 2 の上には、雇用保険と労働知 つひ 者災害補償保険 ( 労災 ) が掲載 ・んカ

8. 月刊 みんなねっと 通巻第113号 2016年 9月号

つ一番大切なことは、家族・当が集い悩みを分かち合う場であ互扶助の意味でも非常に有効な 〇事者のもっている差別・偏見意ると共に、作業所の設立・運営をものでありました。 号 月 識の払拭をどのようにすればよ担ってきた経緯がありました。 家族学習会担当者をを経験し わ いか、そのことはそれぞれ自分 しかし、障害者自立支援法施たものの中から家族アドバイザ年 ーを選出し、岡山では現在凵名 よ自身のことでもあるということ行以降、事業運営を専門職が担 う形になり、さらに会員の高齢の家族アドバイザーが生まれて と ん等話し合いました。 っ 化や減少の影響も伴って、活動います。 みシンポジウムⅡでは、みんな 精神に障がいがあっても、家な 〇ねっと会長と忌憚のない話し合が停滞している家族会もありま 〇いをしたいという要望を取り入す。その結果、家族の孤立や必族もご本人も望む地域で望む生み 〇れて、「みんなで語り合おう」要な情報にアクセスできない家活ができる支援の一助となるよ 〇というテーマになりました。 族も増えています。 う、家族アドバイザーの経験を 〇実行委員、事務局はこれらの このような状況から、新たな生かし、「精神障がい者家族ピア ことを踏まえ、開催まで取り組活動として、当法人は平成幻年サポーター事業」を岡山市と協働 〇 んでいこうと準備を進めている度から「家族による家族学習会」で今年度から行なっています。 〇 ところです。 2 月凵日の大会開を県連として実施し、県内 7 力主な活動は、家族ほっとライン 〇 ( 電話相談 ) 、家族ほっとサロン 催には、ひとりでも多くのご参所、のべ回の学習会を行ない 加をお待ち致しております。 ました。精神に障がいを持っ当 ( 面接相談・語らいの場 ) 、及び必 事者を抱え混乱している家族要に応じての訪問活動です。翌 ◆家族会のネクストステージ が、学習会の語らいの中でその 四年度からは岡山市からの補助 z 0 岡山県精神障生暑家族会連合会 つらさを分かち合い、孤立防止金 ( 総合支援法・地域生活支援事 事務局長綾部小百合を図り家族の力を高めていく事業追加 ) を受託し、継続的な活動 を目的とし、その効果は専門職として取り組む予定です。 家族の相談を、同じ体験をして 精神障がい者家族会は、家族による家族支援とは異なり、相 きた家族ピアサポーターが傾聴◆障害者年金について再度学び参加ください。 以下のテーマと日程にて、「み し、家族の孤立感の軽減を図るとませんか 埼家連会長飯塚壽美んなねっと」理事で日本福祉大学 共に、「家族学習会」に関する情報 教授の青木聖久先生を迎えて講 提供や家族内で当事者を丸抱え する必要はないことを伝え、必要単会や県連加盟の家族から、演会とシンポジウムを行ないま す。 な支援に繋げていきます。家族障害年金が切られて困ったとい 「精神障がい者の暮らしにおけ ピアサポーターは、自らが経験しう声を度々聴いています。 " アルバイトができるので仕る障害者年金と就労の関係—現 てきた対応や工夫は有効なツー 〇 状の理解を通して今と未来に 方がないのか ~ " ようやくアル ルであり宝とも一一一一口えます。 〇 、ハイト先が見つかってホッとし各々ができることを考える」 今私達に求められているの わ は、従来の家族会活動から一歩たのに、年金なしでは独立させ 踏み出し、組織としてそれぞれられない。市の若い担当者に親 日時【平成年 ( 2016 年 ) な 川月凵日 ( 金 ) 時半からん の体験が社会資源として活用で元で暮らせばよいと言われた " 自立して ・場所【埼玉県障害者交流センみ きることに気がつくことです。がそれはおかしい。 いたのに家に戻らざる得なくなター 1 階ホール 未だ混迷の中にいる家族に手を わ ・ロ 尸い合わせ連絡先【埼家連〇 の 差し伸べて、相互扶助のサイクった。父親との折り合いが悪く 亠な ルを確立し、精神障がい者家族て困「ている ~ など、本人の自・電話番号 ( 兼用 ) 【埼家連〇 〇み 0 4 8 ・ 8 ワ」・「 / 1 冖 / ワ」 会のネクストステ 1 ジを目指す立を阻害する事態が起きていま ・メールアドレス 事が重要です。体験的価値を活す。障害者権利条約が施行され 〇、一 用する。これからの家族会活動た今、精神障害者の年金につい 田一k胃en.ーk0k0「0@目be「p一芝円 0 「」 P 〇ペ のあるべき姿はここにあると感て、家族はどう捉え対処すべき ( の場合は氏名、所属、連絡先、〇者 なのかを改めて学びたいと思い じています。 2 月凵日研修会参加希望と記載〇読 ます。近県の皆さまも、是非ごをしてください )

9. 月刊 みんなねっと 通巻第113号 2016年 9月号

ら疎外することなく、共に手をも目的や実施方法が異なりま 誰もが安心・安全な生活 たずさえて豊かにいきていくす。 を営むことができる社会を号 月 力、社会福祉問題を解決する実尚、福祉教育の対象は子ども 作り上げるために 年 践力を身につけることを目的にだけではありませんし、実施も 行われる意図的な活動である」学校の授業だけにとどまりませ②「歴史的にも、社会的にも疎 がありますに。 ん。福祉教育は全ての地域住民外されてきた社会福祉問題を素「 亠な つまり福祉教育とは、福祉を対象とし、体験型の学習など材として学習することであり、」 ん サービスを利用している方々を多様な型で展開されます。 日本において精神障害者み はじめとする生活問題や福祉課 が排除されている現状やそ 題に直面する人たちと共に生き 2 ・メンタルヘルスの歴史、そしてメンタルへ ルス課題について学習する ていく力や、それらの解決に向の福祉教育とは けての力をつけるという住民の こと 主体形成をめざしたものであ 先ほどの定義を、もう少しメ り、単に福祉に関する知識を子ンタルヘルス領域の福祉教育に③「それらとの切り結びをとお どもたちに教えるものではありひきつけて考えてみましよう。 して社会福祉制度・活動への関 ません。 心と理解をすすめ、」 また、類似するものに住民に①「基本的人権を前提にして成メンタルヘルス課題を通 対する啓発・広報活動や疾病理 リ立っ平和と民主主義社会をつ して、それらが発生してい 解教育がありますが、それらとくりあげるために、」 る背景や、社会や地域の現 ( メンタルヘルス ) に気を配る えて豊かに生きていくカ 状、そして医療や保健、福 ことができることも、重要なこ 祉制度や活動についての関 ⑥「社会福祉問題を解決する実ととして含まれてきます。 心と理解を深めること メンタルヘルス領域の福祉教 践力を身につけることを目的に 育は、単に精神疾患や精神障害 ④「自らの人間形成をはかリつ行われる意図的な活動である」 往々にして水面下に潜在に関する理解を促すためのもの しがちなメンタルヘルス課ではありません。精神疾患や精 自分の生き方や価値観な 題を発見し、それらが発生神障害を抱えても、安心して自 どとのすり合わせをしなが 分らしく生き活きと暮らせるま している背景をさぐり、問 ら人間形成をはかること 題解決に向けてのプランをちを作り上げていくという、住 立て、実行に移していく実民の主体形成をめざしていま ⑤「社会福祉サービスを利用し 践力を身につけることを目す。 ている人々を社会から、地域か 的とした意図的な活動であ ら疎外することなく、共に手を る たずさえて豊かにいきていく 力」 精神障害者やそのご家族併せて、自分の心のコンディ の方々を、社会から、そしション ( メンタルヘルス ) に関 て地域から疎外・排除する心をもっことができることや、 ことなく、共に手をたずさ周囲の人の心のコンディション 11 特集メンタルヘルスと福祉教育をめざして

10. 月刊 みんなねっと 通巻第113号 2016年 9月号

した。 ・知的障害者の団体は年かけも、各議員に理解してもらうた ・この程度の運動では、運賃格て 2 回の全国運動を行い、粘りめに、可能な範囲で意見書を採号 月 差是正の要求を実現させること強く運動し運賃割引を実現させ択に取り組む。 年 2 ・本腰を挙げて交通事業者 ( 」 は困難 : ・誰もが認識し合えましてきたのです。私たちも、粘り 強く、地道な運動を積み重ねて・私鉄・高速道路・航空会社 と など ) への懇談要請を展開する。 ・特に、みんなねっと三役の所 っ いきましよう。 属都府県連は、署名など運動の・多くの方々が訴えに共感し協 3 ・管区行政評価局及び管内事な 取組みが不十分でした。これで力してくれたこと、条約や法律務所へ全国一斉に行政相談、あみ は、他県連や家族会でも力が入が後押ししてきたこと・ : 運動のっせん申請を行う。 4 ・来年度通常国会へ提出する らず、全国運動の盛り上がりに現状をリアルに見つめ、仲間と 青願書について・ : 毎年署名運動 も欠けてしまいました。 共に、諦めることなく希望をも言 ・一方で、僅か一年余で「ここ って運動を継続する心構えを整を行うことは力量的に限界があ る。 まで運動をつくってきた全国のえていきましよう。 家族会の底力は健在である」こ とも立証しました。あわせて、 今後の運動を着実に実行する みんなねっと事務局体制も充実ために、次の 4 点を具体化して してきました。この間の貴重な いきます。 体験を今後の運動に活かせば、 ・全都道府県議会から意見書 運賃割引実現の扉は開いてくるを採択する運動に取り組む。 に違いありません。 なお、市町村議会について 奥様に寄せられたというのです。 認知症に伴う徘徊やせん妄な どは入院治療によって落ち着い = = 」ていましたが、自宅へ退院する として精神科病院に勤院が決まった入院患者さんの奥ことの地域住民の拒否感は収ま 務していた頃、私は認知症病棟さまが私のもとに相談に訪れまることがありませんでした。 「精神疾患や精神障害をもちな した。 を担当していました。 がら、この地域・社会・日本で暮 この病棟は、認知症の周辺症近隣の住民から、「退院させな いで欲しい」「地域に戻さないでらすということは何と難しいこ 状 ( Q ) を治療すること が主な目的ですが、ある日、退欲しい」というたくさんの要望がとか」 メンタルヘルスと福祉教育をめざして 東京国際大学福祉心理学科松本すみ子 特集 はじめに ( 事務局小幡 ) 7 特集メンタルヘルスと福祉教育をめざして