ラスマイナス「ゼロ」にし、一と国内の一般医療に「一一重の格綻によって、 " 袋小路 ~ に陥っ 般病院の医療 ( 職員など ) 体制差」という深刻な問題を抱えてています。この状況を打開する と同じ水準にするということで います。わが国の精神科医療のためには、精神医療政策を今日 す。 問題の根幹はまさにこの「二重の精神科医療の到達点を反映し そのためには、精神科病院がの格差」です。 た政策にしなければなりませ 現在担っている二つの役割 ( 医 今日の精神科医療の到達点をん。そのためには、 2018 年 療的役割と住む場所などの福祉国民一人ひとりに提供する精神を精神医療改革の流れへ転換す 的役割 ) を解消することが不可医療政策に転換するためには、 る節目の年にすることが重要に 欠です。精神科病院は本来の医この「二重の格差」解消は喫緊なっています。 療的役割に徹し、住む場所などの課題です。 の福祉的役割は、地域の福祉の 次回の連載Ⅱ回 ( 2 月号 ) で 専門機関に任せる役割分担が必 《節目の 2018 年》 は、「日本に精神医療改革の展 要です。 来年 ( 2018 年 ) は、呉秀望はあるか」をみてみます。 三がわが国の精神障害者の「二 ( うじいえのりあき ) ( 6 ) 「ニ重の格差」解消は喫緊 重の不幸」を指摘し年目 の課題 です。また 1968 年のクラー わが国の精神科医療は、連載ク勧告から年目と、歴史の節 第 2 回 ( 5 月号 ) で取り上げま目を迎えています。わが国の精 したが、先進諸国の精神科医療神科医療は、精神医療政策の破 3 万 4 千人が年以上の超長期 施設収容へすり替えようとして 入院となっており、異常な状態 ( 4 ) 精神医療政策の破綻は明確おり、「新オレンジプラン」では、 号 月 です。そして " 安かろう・悪か 認知症の人たちを精神科病院へ 年 ろ , フの精神医療です。 隔離・収容の精神医療政策は、大量収容しようとするなど、歴 人の人生に大きな影響を与え精神科医療と精神障害者の処遇史の流れを逆戻りさせようとし と っ る医療政策で、「安かろう・悪かの中心を " 精神科病院 ~ とするています。そうした逆戻りでな ね ろう」の精神医療政策の解消は、政策です。自ずと予算は入院医ければ、今日の隔離・収容の精な み 喫緊の課題です。 療に著しく偏り、そのため " 地神医療政策が維持できないとい また精神科病院の在院患者の域 ~ にお金が回せない状況をつ うように、精神医療政策の破綻 凵人に 1 人が、医療の名の下、くっています。精神科病院へのは明らかです。 毎日 " 隔離・身体拘束 ~ が行わ入院中心の隔離・収容の精神医 れている実態は、基本的人権や療政策を継続する限り、障害者 ( 5 ) 精神医療改革とは 個人の尊厳からみても早期の解プランや新障害者プランそして 消が求められています。 改革ビジョンの失敗にもみられ精神科医療改革とは、精神科 このようにわが国の精神科医るように、新たな施策は困難と、医療を他の疾患より特別良くす 療は、基本の部分で深刻な問題精神医療政策は行き詰まってい ることではありません。精神科 を抱え、現状の放置が許されなます。 医療が他の疾患と区別され差別 い状況です。 また「病棟転換型居住施設」されている状況、精神科医療 という政策で、長期入院を長期の " マイナス状態 ~ を解消しプ 21 精神科医療の現状と改革の展望
ら四年経った今、精神障害者や活スタイルを続ければ社会生活活中心の精神科医療は、わが国 は普通に行えます。精神科医療の精神障害者と家族にはいまだ その家族がおかれている深刻な 状況は一向に解消していませも高血圧や糖尿病と同じです。届いていないのです。 ここに、今もって「一一重の不 ん。しかも「一一重の不幸」の指「二重の不幸」が指摘された四 摘は逆の意味で、益々輝き、他年前と精神科医療の到達点は様幸」が解消できない原因があり ます。精神医療政策の大きな立 の先進諸国との格差が拡大して変わりしています。 ち後れが「二重の不幸」を継続 いるのが現状です。 《変わらない隔離・収容の精神させている大本です。 《精神疾患の罹患が最大の問題医療政策が問題》 ( 3 ) 医療機関と言い難い精神 わが国の精神医療政策は、精 ではない》 科病院の実態 今日の精神科医療の到達点神科病院への入院中心の隔離・ 望 しかも精神医療政策の " 要 ~ は、抗精神病薬によって幻覚や収容という基本政策は、数年 展 妄想を治すまでには至っていま間変わっていません。そのための精神科病院は、深刻な問題を革 せん。しかし精神病状をコントわが国は、他の先進諸国で当た抱えています。他の先進諸国に と 状 ロ 1 ルし、地域で社会生活を送り前になっている地域生活中心おいては平均在院日数が日前 現 れる時代です。高血圧や糖尿病の精神科医療が提供できないの後という今日にあって、わが国療 でも、薬だけで治癒するまでにです。 1960 年代からの抗精では、万人が 1 年以上の在院科 神 精 はなっていませんが、しかし糖神病薬の本格使用など精神科医日数です。さらにⅡ万人は 5 分や塩分を制限し、健康的な生療の進歩の " 要 ~ である地域生年以上、約 7 万人が 2 年以上、 、、 ' 一〔医療の到達点です。一方わが国 の精神医療政策は、いまだ先進号 精神科医療の現状と改革の展望 月 諸国で唯一、精神科病院への入 昭和大学烏山病院家族会あかね会監事 年 氏家憲章 社会福祉法人うるおいの里・理事長 院中心の隔離・収容の精神医療 政策を継続しています。 と っ そのため精神科医療の今日の 《連載》第回精神科医療はどうあるべきか ね 到達点と、わが国の精神医療政な み 精神科医療はどうあるべき題。 、 " 医療の到達点 ~ と " 医策は噛み合っていません。 か。この問題を私たちが考える療政策 ~ が基本的に一致してい ( 2 ) 呉秀三の「ニ重の不幸」 時、今日の精神科医療が到達しることです。しかし、わが国の が解消できない ているレベルはどこまできてい 精神医療政策は、この間の連載 るのか。そして国の精神医療政を読んで頂ければ明らかです 今から四年前 ( 1918 年 ) 策は、精神科医療の到達点を適が、精神科医療の今日の到達点東京大学教授の呉秀三は、「わ 切に反映しているのか。この現と精神医療政策は、正反対で噛が国十何万の精神病者は実にこ 状把握が大切です。 み合っていない、という初歩的の病を受けたるの不幸のほか 問題があります。他の先進諸国に、この国に生まれたるの不幸 ( 1 ) 到達点と精神医療政策が は、精神の病気や障害があってを重ぬるものというべし」と、 かみ合ってない も、 " 地域生活中心 ~ の精神科 わが国の精神障害者の「二重の 医療政策で最も重要で初歩的医療です。これが今日の精神科 不幸」を指摘しました。それか おおもと
■厚労省・第 7 回相模原市の障害者設防犯等について報道されていまそのための地域住民と行政、福 支援施設における事件の検証及びす。しかし、入院で綿症状は治祉、医療などが包括的なケアを 再発防止策検討チームヒャリング療できるのかもしれませんが、今機能させることが求められてい 平成年 2 月引日に相模原で回の容疑者の特異な考え方は症状るのです。よって、予防拘禁機 おきた事件を受け、再発検討チから派生するものではなく、治療能や犯罪予防なら別途対策が必 ームが関係団体のヒャリングをで治るものではないと考えます。要です。再発防止策を精神医療 行ない、当会から次の趣旨を表入院さえしていれば治療されるにおける枠組みにとどめること のではなく、入院は一時的な対のないように求めます。 明してきました。 既に『これからの精神保健医 「今回の事件は、特異な考えを応手段でしかありません。 措置入院は、精神症状により療福祉のあり方に関する検討 持っている容疑者が自ら犯した ものであり、それをもって綿障自傷他害の恐れがある場合に限会』というものが設置されてお がい者故犯したものと結論づけられています。また、退院後のフり、関連があるのならそちらの動 ることは危険です。なぜこのようオローは、社会防衛的に監視する検討会に盛り込む方策が必要で祉 な事件が起きてしまったのか、精ものではなく、対象者に適切な治す。また、今回の事件は防犯を健 神障がいに偏重しない慎重な事療が必要な場合に、きちんと保障しても内部から起こさせてしま襯 えば、それは対応のしようがな され行き届くために行われるべ 件背景と真相究明を求めます。 こ いという部分もありますので、 容疑者に精神科病院の入院歴きです。退院後に地域で本人を孤 立無援にさせない、安心して生活こういった点については、より もあることから貴検討チームが設 置され、中間とりまとめが発表さしていける仕組みをつくること掘り下げて検証いただきたいと知 れました。措置入院の在り方や施がなければ意味がありません。思います。」 ( 文・小幡恭弘 ) 療圏」とされていましたが、障理事長は構成員として次の点はなく、多職種の専門職による 号 害保健福祉圏域ごとに重層的なを発言しました。「精神障害に家族支援。一一一口葉を換えて言えば、 支援体制を作るということ。「未も対応した地域包括ケアシステ家族支援というより家族療法、 治療者、医療中断者への早期支ムの構築、これ自体は私も大変あくまでも本人の回復、リカバ 援を充実していくに当たって評価しておりますし、是非進めリーを目的というか、射程に入 は、医療機関だけではなく自治ていただきたいと思っておりまれた家族療法、家族支援ですの 体との連携も必要」という意向す。ただ、先ほど委員の方からで、その視点を入れていただき を受けて「精神医療機関と自治もご意見がありましたが、一つたいと思っております。三つは、 体との連携のあり方についてもは、訪問による、アウトリ 1 チ障害というものが心身の個人的 検討すべきである」とされましによるという視点が少し弱いのな機能の低下といいますか、そ た。また、「重度かっ慢生」にではないか、このように思ってういうものを軽減していくばか ついては、厚生労働科学研究におります。一一つに、それと家族りではなく、社会的な障壁を除 おいて策定された基準案を医学の立場としては家族支援という去していくことにもあるわけで 的評価尺度の一つとして活用すところが、もう少し強調されてすから、心のバリアを取り除い べきと。「重度かっ慢性」に該も然るべきではないかと思ってていくという視点を入れていか 当する精神障害者の方が地域生おります。ピアサポ 1 ト活動をないといけないと。それには啓 活できるように、研究を更にす家族支援と捉えるならば、それ発、教育ということが大切にな すめていくべきとの方向性が出にも入らないわけではありませってくるのではないかと。この されてきています。今後の審議んが、私たちの求めている家族三点を考えていただきたいと思 をすすめていくにあたり、本條支援というのはそういうものでっております」 ( 文・小幡恭弘 )
明るくしていたので感動しまし 方々のおかげで、現地の当事者、 た。日本もイタリアに近づくよ 家族、支援者と本音で語り合え うになることを願っています。 た。当事者による新聞・ラジオ 2 人の子供の病気で海外研修旅 局運営、作業所の作品作りなど 彳に行かれたことは感謝してい の活動に「自分と向き合い、表 ます。 現することがセラピー」「人は 皆平等であり、かけがえのない ■石井泰子 人生を共に楽しく生きていこ イタリアへ旅することが 一つ ! 」とい一つメッセージが貫か うれしくて友に会うたび いを通じ、沢山の新しい経験と感れ、実践されていた。ボローニヤ 話したくなる動の連続でした。アルコバレーノで又会いましよう , 協会での交流、作品達を見て「ど 0 加藤かおる んな物でも壊れるが修復もでき ・高木むつ美 イタリア研修に参加して、ボる」という話を聞き、有意義な時「精神病院がないⅡ入院は極端 ローニヤ精神保健局にてのミー 間を過ごすことが出来た事に幸に少ない」 ティング、私たちはここにいるよせをかんじました。感謝 家族が抱え込まずに、地域で リ展示会は心のこもった物でし 生活しながら、回復する。昔は た。社会的協同組合での支援に感 ・平久万里子 イタリアでも偏見があったそう 銘し、イタリアの方々との触れ合 すばらしいスタッフと通訳のです。今、イタリアでは当事者 同士によるサポートシステムも東京で活動する法人です。その解されず何度も入院しました。 構築しつつあるとのことでし法人の企画に、北海道から沖縄イタリアではどんなに重い症状 た。私は今回の交流でイタリアまで広く参加をいただいたことの人も諦めず時間をかけてケア の人たちの努力や考え方を知には主催者としてもうれしい限をする、そんな精神に触れて感 り、同行した当事者や支援者やりでありこの繋がりこそが宝で動しました。 家族の方々とも深く知り合うこあり次への力だと感じていま 一般就労した時、少しの合間 とができました。お互いを知るす。特に愛知県からは多くの方に休ませてもらえれば辞めなく こと・分かり合うこと。病気でにご参加いただきました。匿名て済みました。作業所では仕事 み なくても生きていく上に必要でで寄せていただいたので、そのができるからと支援されません の でした。。 すが、精神に障害があればなおまま紹介したいと思います。 テイケアでは自分の話 業 事 さらそのことが大切で、自己の ばかりする利用者さんにストレ 0 当事者の声 < ・ (T) 存在を肯定できて、わかりあえ スを感じていますが介入しても イ る力を育てることが回復につな 私がボローニヤに行こうと決らえません。イタリアでは就労 る がるのだと、思いました。このめたのは、行けば何かが変わる支援は生活も含めて支援されて お 機会に出会えたことに深く感謝 と思ったからです。日本では悪 いました。作業所では職員さん尸 テ したいです。 ロの幻聴が怖くて必要以上に人は給料も含めて利用者さんと平 東 に合わせてしまっていました。等で悩みを打ち明けあい運営し 5 ・愛知県からの参加者よリ まわりとうまくいっていると評ていました。。 テイケアでは自分特 東京ソテリアは、名前の通り、価もされます。自分の限界を理の話ばかりする人は作業を通し 精褂呆健局の壁に描かれたときどき家の活動 みんなねっと 2017 年 1 月号 12
医療においては今までその文化者が直接現地を見て、感じ、考 愛知県より人、北海道より 1 号 人、沖縄より 1 人の参加者があが醸成されてこず、患者は医療えたことを日本に持ち帰ること 月 りました。また公募の結果としの下で結果として主体性をなくを第一の目標に据えました。 年 ここからは、実際に参加した て、みんなねっとにかかわりのし、世界に類を見ない精神科の ある方が多くいらっしやったた病床数や長期入院といった社会方からの声を引用し、紹介して と め、今回この紙面にて、本事業現象に現状が反映されているの いきたいと思います。小林さんね ~ な について報告させていただく機でしよう。地域における精神保は、ポローニヤでの視察で特に ん み 健のあり方が問われている今、 芸術活動への取り組みに親和性 会を得たところです。 入院中心主義から地域ケア中心をもち、ご自身の体験とあわ 2 ・当事者の目線 へと展開し、地域精神保健センせ、以下のような文章を寄せて 今回、本事業で大きな目的にターをはじめとする地域サービくれました。また、渡邊さんは 据えたのが、医療主導型ではなスによって支える仕組みを実践ご自身のデイケアでの体験を踏 く、地域の中で障害をもっ当事するイタリアから、そのヒントまえ、日中活動の場所でおこな 者があたりまえに暮らせる「当を学ぼうと、本事業を企画しまわれていたバンド活動に感銘を 事者主体の社会」をつくることした。これまでは、日本からイ受けたようです。 です。大きなことのように思えタリアへの視察も、イタリアか ますが、ユーザーがサービスをら日本への招聘も、これもまた■小林賢次 油絵を描くきっかけは、東京 評価し選択するのは当たり前の医療者や研究者が中心でありま ことです。しかしながら精神科した。今回は、精神障害者当事ソテリアの職員のさんが子供 の頃から好きで油絵を描いてい その前日、 CiVibo onlus 協会 学べばメンタルヘルスの問題も の会長より僕に陸橋の壁面に絵大分少なくなるのではないかと たからだ。キャンバスとか油絵 道具など一式を購入してきてくを描いてほしいというオファー 感じた。街の中心部へ行くとき れてからである。僕自体油絵をを受け、富士山がいし 、といわれ方向を教えてくれた二人の女子 描くのは中学 3 年生の時、学校たが、あまりにも典型的である学生、老夫婦、イタリアは怖い の授業で描くぐらいだったの こととボローニヤでは魚屋があという人がいるが、ボローニヤ に関してはそんなことは一つも で、それ以来全く描いたことがまり見かけられないので、あえ なかった。東京ソテリアが運てマグロの絵を描いた。 なかった。街はオレンジ色に統 営する地域活動支援センターは 一され、なぜか芸術品の中にい ボローニヤを一人で歩いた感 るえ野で油絵サークルが立ち上想だが、日本は世界第 3 位の経るようだ。イタリアで必要な言 がった。ちなみに僕がサークル済国であるが、ボローニヤには葉はグラッチ工とチャオだけ。 0 、 の部長になってしまった。そこ 幻時間のスー ーもないし、タ他にはなにもいらない。本当に までは、 ししが、サークルで描か方には定時に帰宅する様子も見ボローニヤが好きになってし れた絵がなんとイタリアのボられた。夏にはバカンスもあるまったようである。本当に楽し かった。またいきたい , ローニヤで展示されることに ようである。食料品も安いし、 なったのだ。 2 か月後 : こ、油絵それほど大きな車も乗らないよ 計五枚がボローニヤデビューすうである。それでも東京よりも ■渡邊淳 タッソデイケアセンターに行 暮らしは楽なように見えた。ボ ることになった。精神保健デー の催しで僕の絵が 2 枚売れた。 ローニヤの暮らし方を日本人がき 4 人グループのバンドの歌を 9 特集東京ソテリアにおけるイタリア交流事業のとりくみ
にも出てみてはどうですか」とい状態にあったのだ ~ というこ振りまわされ、世の中の真実が 何かを判断することができない 言われ、その日を待ち焦がれるとにも気づかされました。 研修会では、心理士の先生かで、大声で泣いたり、わめいた ようにして出席しました。 り、ぶつかったりと、とても生 そんなふうにして 3 か月たつらも話を聴き、病人に対する対 たころ、「ピアサポ 1 ト研修会応の仕方について学ぶことができた人間がすることではない状 態を、今まで続けてきたのだと という会があるから、出席してきました。そしてグループワー いうことを知りました。 みてはどうかしら」と誘われまクをおこない、実際に家族同士 で心の痛みを話し合ったりし したので、ワラをもっかむ思い て、家族のみなさんの体験発表娘を入院させ、医師の治療を で参加しました。 受けさせて、そのあいだ、夫と も聴くことができました。 二人で、孫の世話をしました。 研修会では、精神科医の先生 孫に、人間らしい静かな生活 研修会に出て、家に帰ってか から、精神病についてのくわし し説明があり、私も娘の病気のら、娘に対する私たちの対応がを続けさせることで、平穏な生 き方ができるようになるという ことを質問したりしました。そ変わりました。 ことがわかりました。 今までは、娘の悪いことばか の先生の話を聴いて、私たちは、 手 の 入院している娘に面会に行っ りに目がいき、一度も娘をやさ 自分たちが娘に対してあまりに 族 厳しく言いすぎていたことを反しく支えるということがなかったとき、主治医から娘について家 の話を聴き、私たちも孫も、娘 省しました。孫についても、 " 病たことに気付かされました。 がしていた「困った生活」が病 孫についても、病気の母親に 気の親に振りまわされて、苦し 私と・ 手記 私の家庭 ( 香川県 ) N 子 私の家庭は、娘が嫁いだあとう、というありさまで、私たち は、夫婦一一人の生活が続いてい は生きた心地がしませんでし ました。 た。私たち夫婦の生活も、娘た ところが、私が仕事を退職しちに振り回されるようになり、 て 2 年たったころ、その娘と孫夜も眠れない状態が続きまし の二人の生活が荒れてしまい 生活が破たんしてしまいまし そんなとき、家族会から声が かかり、「会においでください」 そして、娘らは、今までのとと誘われました。 ころに住めなくなってしまった ので、私たち夫婦は、一一人を家イヤイヤながら出席した家族 に引き取って、いっしょに暮ら会でしたが、自分の今の様子を すことにしました。 話しますと、まわりの人たちが 「うん、うん」と静かに話を聴 しかし、娘らの日常は、普通 いてくれ、そして、私自身も話 の暮らしではありませんでしをするにしたがって、なんだか 心が落ち着いてくるようになり 大声で怒鳴る、物を投げる、 ました。 家具を壊す、お互いに傷つけあ家族会の方から、「次の木曜 こ 0 一三ロ みんなねっと 2017 年 1 月号 34
し 回家族の声愛家連あきら・・ ず て助けを受けるまで回復させて 手 います。精神保健局のリハビリ「レムスで交流」 どえりゃあ体験です。 4 日目 で作られた素敵な陶器はプロの こ の触法行為を行った方が入居す 人が教えていました。粘土をこ ねることで自分の感情が出せるるグループホーム「レムス」で 交 ようになる。陶器を通じて物はの交流です。朝川時過ぎにレム 事 食 スへ着きグループホームへ鉄の 必ず壊れる、そして直せるとい で ス 網で囲われ鍵のかかった扉を開 うことを学ぶそうです。 ム レ 視察で強く感じたのは、本人のけてもらって入りました。男性 意思を大切にする。作業を通じて 3 人女性 3 人の訪問です。入っす。一時間ほどで中断して、昼 自分を受け入れ他人を受け入れ人てすぐカメラ危険物ケータイ等食の準備です。ホーム側からは とつながり、社会の中に居場所を注意事項の説明がありほとんどボローニヤ風のパスタ料理が、 の荷物をロッカーに預け、パス私たちは日本から持ち込んだご 持っことで回復するという強い信 はんと現地の野菜などを使って 念でした。私が今まで受けてきたポートもあずけました。その後 支援は、支援者の考えに強く左右ホーム関係者・精神科医・精神手まり寿司・海苔巻き等で、一 されてしまっていました。これか保健局員・入居者など私達含め緒に食事です。ホームの住人の 間に座って交流です。終わりに て十数名での懇談です。まずお らは自分の意思を支援者に伝え、 みやげを渡しました。私どものはアイスクリームのデザートも やっていきたいです。 質問にも詳しく説明してくれま出て不思議な一時間ほどの昼食 交流です。 へ出て地域の人と生活して社会て学んだものは多くありまし 再び懇談です。今度はホーム へ戻って行くそうです。パスた。イタリアの協同組合やディ の住人はいません。管理する看ポートを返して頂き鍵で扉を開ケア、センターや医療の視察で 共通する大切なものがありまし 護師・医師・コーディネーター けてもらい外へ出ました。 た。「家族の繋がり」と「食事」 などと私たち 4 人です。入居者 6 ・交流事業について です。人が人と関わる大事さは の年齢は— 5 6 歳とのことで、 レムスはこの州には 2 か所あり 全体をとおし、視察だけで日本にもあります。ですが、イ ます。施設の中 ( コンクリート なく、「交流すること」を大切タリアでの「繋がろうとする心」 み 造りの三階建て地下一階 ) を案に各機関を訪れました。共通のはどこの場所でも、どの場面で の 内して頂きました。 1 人部屋・課題に取り組んでいる者同士、も強く感じると共に「愛」を感 業 2 人部屋と事務室・洗濯室など国は違えど目指しているものがじました。どこに行っても家庭流 交 すべてを見せて戴けました。危同じだということを感じること的な雰囲気がある。交流を心か 険物は持ち込めない住人の部屋ができ、交流のきっかけとなるら楽しめたことは美味しい食事イ お と愛があったから、と感じてい はそんなに大きくないですが住話題には困ることは一度もあり ます。 みやすそうでした。 2015 年ませんでした。 に司法精神病院が廃止されてで ~ 泉 7 ・世界精神保健デーにおけ 東 ■特定非営利活動法人東京ソテリア きた施設で、まだ 1 年余りだそ るワークショップについて 集 うです。将来的には全員が退所 海老名直也 特 出来ることと考えています。外 イタリアと日本の交流を通し本事業の大きなイベントとし みんなねっと 2017 年 1 月号 14
新年のこあいさつ 謹んで新春のお喜びを申し上げます 昨年はみんなねっと設立 10 周年に当たる節目の年でしたが、精神 保健福祉分野でも大きな動きがありました。反面、相模原事件が多く の人に衝撃を与えたことも記憶に新しいところです。 政策面では、一昨年から続いていた総合支援法施行 3 年の見直し、 また昨年始まった改正精神保健福祉法の施行 3 年の見直し、第 4 次障 害福祉計画の策定等が議論されました。当会でも、医療保護入院にお ける家族同意要件の廃止をはじめ、精神保健福祉における諸課題を社 保審障害者部会、内閣府政策委員会等で意見表明しました。 また、交通運賃割引格差是正の国会請願署名を全国的に展開し、集 約した 62 万筆余に及ぶ署名簿を携え衆参両議院に請願しました。採 択には至らなかったものの、各地で精神障害者も割引の対象となると ころが出てくるなど成果も生まれております。本年度も引き続き国会 請願を行うなど運動を継続していきたいと思います。家族支援 ( メリ デン版訪問による家族全体支援 ) では昨年末に事業活動をさらに発展 継承させる新たな準備組織が誕生しました。 本年は、引き続き精神保健福祉法の 3 年後の見直し及び障害福祉計 画の策定が行われています。また内閣府政策委員会にも飯塚理事が委 員として新たに参画することになりました。そのほか各種委員会等で 積極的に意見を述べてまいります。 族の同意要件い他科診療の医療費助成を障害年金を障害種別間格差を を数え当 E げればきグか しながら 0 解込に向し殳職員を回、々を洋いでまいる決意です・、本年 ( 公益社団畆ツぐ全精神保健福祉会連谷会理に本條義和 月刊 新年のごあいさつ 1 知っておきたい精神保健福祉の動き 特集 2017 1 月号通巻第 117 号 【表紙の絵】織田信生 2 東京ソテリアにおけるイタリア交流事業のとリくみ ( 塚本さやか・増川ねてる・栗原和美 ) 精神科医療の現状と改革の展望 【連載第 10 回】精神科医療はどうあるヘきか ( 氏家憲章 ) 18 街の診療所からのお便り【連載 116 】 ( 増本茂樹 ) ・・人の悩みは、人それそれですから、聞いてみないと分からないです・・ 37 みんなのわー一読者のページ・地域の話題 私と家族の手記「私の家庭」 (N 子 ) 34 真澄こと葉のつれづれ日記 ( 第 70 回 ) 32 ( 連載 1 3 回 ) 障害年金《経済的支援特集⑦》 ( 高橋裕典 ) 26 知ることは生きること 6 22
年金 2 級が無事決定となり、 < しまうのです。 障害年金を受給し始めた まず、 < さんは障害者保健福さんのあらたな就職活動が始ま < さんの事例 祉手帳の交付を受け、気持ちのりました。自分の障害を受け入 親元で暮らす統合失調症の整理をし、障害基礎年金の申請れ、一般雇用にこだわらず、障 さん歳は、仕事に就いても短をすることを決意しました。障害者雇用でもよいのでまずは仕 期間で辞めてしまうという状況害年金の手続きは、初診日の証事を続けられるようにしたいと が続いていました。 < さんとし明書を取得するところから始ま考える心の余裕が生まれてきた ては、経済的に自立した生活をり、発病から現在までの病状やのです。障害年金を受給するこ 送りたいという強い思いがある日常生活をまとめた「病歴・就とになり、無理して働かないこ 労状況等申立書」を作成し、障とを選択できるようになりまし ものの、仕事がうまく続かない ことに大変悩んでいて、家で暴害状態を証明するための障害年た。障害年金という生活の安定 れてしまうこともありました。金用診断書など多くの書類をその柱ができたことによ「て、 さんの仕事が続かない原因ろえなければなりません。 < ささんの就労が安定化し、生活も 安定したのです。 は、仕事に行かなければ無収入んは、病院のソ 1 シャルワー 障害年金は国の福祉の制度で になってしまうという危機感でカーや社会保険労務士の支援を した。仕事を休むと、お給料が受けながら、自分のカで、障害はなく、自分の納めた保険料や 減らされてしまうため、無理し基礎年金の請求書を年金事務所権利に基づいて請求することが できるものです。前向きに生き て仕事を続け、その反動で結局に申請することができました。 仕事に行けなくな「て退職して申請から約 3 か月後に障害基礎るための制度として積極的に活 の な問題点を生み出すこともあり 用しましよう。 えます。 障害年金制度をとりまく環境 精神障害と障害年金のこれから が大きく変化しているときです 精神障害にかかる障害年金のので、当事者・支援者はその動 認定に地域差があることが問題向に注視しつつ、おかしな点な となり、その解決策として「精どについて意見交換や情報共有 神の障害に係る等級判定ガイドをしていくことが大変重要で ライン」が示され、平成年 9 す。障害年金制度がより良い制 月 1 日より運用が開始されまし度になるためには、国側による 一方的な制度改正ではなく、当 た。これによって地域差のあっ た精神障害の認定が全国で統一事者・支援者側から積極的な声 される方向に動くと思われますを上げていかなければなりませ が、今後の動きを見守っていくん。引き続きみんなで頑張って いきましよう。 必要があります。 ( たかはしやすのり ) また、平成四年 4 月からは、 障害年金の審査は東京一括審査 に移行することが決まってお り、この東京一括審査があらた みんなねっと 2017 年 1 月号 30 31 知ることは生きること
2016 みんなねっとフォーラム ■昨年Ⅱ月末、五十数年活支援・保健・医療・教 育分野において、いかに ぶりという季節外れの雪 が降って、関東地域の皆施策が遅れたままである さまも驚かれたことでしかに改めて気づきまし よ一つ 日本特有の精神科病院 その日はゴミ出しの日 で、大きなパックを片手の存在は、身近な診療所 に、もう一方の手で傘をの医療と福祉を連携させ さしながら外階段を降りた複合型医療を図る上で た私は、 3S4 段足を滑障壁になっていると思い らせてしまいました。幸ます。また中・高の早期 い大事には至りませんで教育の充実は、こじらせ したが、 今年もケガや病ずに学業や就労復帰を可 気をしないように、十分能にさせるのではない に気を付けて進みたいとか。偏見と差別をなくす には全国民向けの疾患研 思います。 昨年から 2 年間、内閣修と福祉教育が欠かせな 府の政策委員として会議いと思います。 に参加し、第 4 期障害者切実な問題の一つ一つ 福祉計画に関わる基本指を、解決に向けて提言し 続けたいと強く思いまし 針を検討しています。 家族会の視点をどう伝た。 えればよいのか、約 1 か 月検討してみた結果、生 2017 年 3 月 3 日 ( 金 ) 10 : 00 ~ 16 : 00 ( 受付 9 時 30 分 ~ ) 帝京平成大学冲永記念ホールの地図 ( 3 ) 左側に交番のある交差 点まで進んでください。 0 ) ビックカメラの前 の通リを道なリに進 んでください。 六ツ又交差点 池袋キャンバス・本館 六つ又交番 ビック カメラ 東池袋三丁目 ①池袋駅東口を出 たら、出口を左に 進んでください。 ヤマタ電機 4 ローソンの方向に 進んでください。 ※」 R 池袋東口から徒歩 12 分 - 東ロ 0 、 ( 、編集後記 幡 ・事前申込締切・フォーラムへの参加は、事前にお申し込みください ! ! 2 月 1 4 日締切 事前にお申し込みされる方は、下記の申込書に必要事項を記入し、 FAX ( 03-3987-5466 ) または郵送でお申し込みください ( 当日参加も可能ですが、事前申込を優先します ) 。 * 昼食は各自ご用意ください ( 大学内に昼食場所は用意しております ) 。周辺の飲食店もご利用いただけます。 * 先着順のため定員に達した場合はお断りすることがあります。連絡先もご記入ください。 0 事前参加申し込み票 0 【「みんなのわ」へメールで投稿できます】読者のページ ( みんなのわ ) への投稿がメールでできるようになりました。投稿のメールアドレ スは minnanet.seishinhoken@outlook.jp です。※投稿される 方は、氏名、住所、年齢、性別、 ( 家族、本人、その他 ) をご記入ください。 なお、ペンネームで投稿される方はペンネームをお書きください。 月刊みんなねっこ通巻第 117 号 ( 2017 年 1 月号 ) 定価 300 円 賛助会費 ( 会費に購読料含む ) 発行日 2017 年 1 月 1 日 発行者公益社団法人全国精神保健福祉会連合会個人・年間 3 6 0 () 円 団体・年間 ( お問い合わせください ) 理事長本條義和 〒 170-0013 東京都豊島区東池袋 1 ー 4 6 ー 1 3 ホリグチビル 602 TEL 0 3 ー 6 9 0 7 ー 9 2 1 1 FAX 0 3 ー 3 9 8 7 ー 5 4 6 6 郵便振替 () 0 1 3 0 ー O ー 3 3 8 3 1 7 ホームページ www.seishinhoken•jp 印刷・製本 / 倉敷印刷株式会社表紙の絵 / 織田信生 申込者氏名 所属 連絡先 TEL ( 主催・問合せ先 : 公益社団法人全国精神保健福祉会連合会 ( みんなねっと ) tel 03 ー 6907 ー 9211 / fax 03 ー 3987 ー 5466 / http://www.seishinhoken.jp の 170 ー 0013 東京都豊島区東池袋 1 ー 46 ー 13 ホリグチビル 602