ことを後悔している、という人 さることながら、本人がいかに支援が一つの転機になり、前述 号 今を幸せに感じているかに尽きしたように、生きづらさと「闘は殆どいないのです。 るのではないか、ということでう」から「付き合う」のきっか 年 エネルギーが低くなると実現し す。仮に、精神障がいが無かつけにもなるのです。 づらいが「活用する」という生 私はかねてより、精神障がい と たとしても、日々、うなだれて っ ね いる本人を見るのは、家族としのある人の地域生活が実現するき方の先に見えるもの ためには、①経済的基盤、②居以上のようなことから、経済 ん てつらいことです。 場所、③地域生活支援体制、の的支援の活用は、意義深いのでみ しかし、です。言うまでもな 3 つが不可欠と言い続けています。ところが、概して人は、エ いですが、一時的な不便ではな ネルギ 1 に満ち溢れていれば、 く、先が見通せない不便が日常す。とりわけ、経済的基盤は、 的に起これば、人は今を満喫で具体的に生活をするときのエン「使えるものは何でも使います よ。その際、わからないことが きません。また、不便のある状ジン機能になります。例えば、 あったら、聞きまくります」と 況が続くと、未来に対して大き障害受容が十分にできていない な不安感に苛まれるのです。そ段階でも、「えいや 1 」で、障なります。ところが、エネルギー のようなことからも、精神障が害年金を活用することによっが低くなっている時には、経済 て、後付けで地域での暮らしの的支援を活用する、という発想 いによる生きづらさに対して、 に至らないことが少なくないの 経済的支援が整っていること動機づけが高まることも珍しく は、大切なことだと言えます。ありません。障害年金を受給しです。仮に、目の前に経済的支 加えて、重要なことは、経済的た人のなかで、後に、受給した援を活用するきっかけとなるよ つつも、本人や家族は、最終的に うな事柄があったとしても、見ができない、ということを。 話をもどします。本人や家族経済的支援の諸制度を活用する 過ごしてしまいます。 ことによって、これまで見てき 「全国過労死を考える家族のが、経済的支援の諸制度を知り、 会」代表の寺西笑子さんが、活用するという段階に辿りつくた景色とは、異なる日々の暮ら 2017 年 7 月凵日の朝日新聞までには、相当なエネルギーがしを眺めることができることに の朝刊「耕論」で、次のように必要となります。いくら申請すなります。例えば、毎月の収入 こん 6 い 述べておられます。「疲労困憊ることの必要性を頭ではわかつが所得保障によって 6 万円増 え、毎月の支出が医療費助成等 になると、ダメージは心臓や脳ていても、気持ちの面ではつい だけでなく、精神を襲うこともていけないことも少なくないのによって 1 万円減れば、これま ある。あんなに家族思いだったです。時には、泣き叫びたいほで当たり前に暑い最中、素通り かっとうさいな のに、正常な判断を奪われ、選どの葛藤に苛まれることもありしていた自動販売機の前で立ち 止まることができるのです。暮 ぶ余地なく死に追い込まれた夫ます。 そのような時には、何十回でらしとは、このようなことの積 に、今はねぎらいの言葉しかあ りません」。寺西さんは、当初、 も、何百回でも、経済的支援のみ重ねではないでしようか : ( あおききょひさ ) 家族を残して自殺した夫に怒り諸制度を活用した事例を読み返 をぶつけたそうです。でも、後したり、「これでいいんですよ ①青木聖久 ( 2013 ) 『精神障害者 にわかった、と言います。それね」と、周囲の人たちに確認を の生活支援』法律文化社、 , 頁 は、人はエネルギ 1 が極度に低したくなるものなのです。 くなってしまうと、正常な判断 そして、これらの経過を辿り えみこ あふ 33 知ることは生きること
と思 , っ そうあきにかゆを勧め、そしのは、犬のほえる声と下校の小 そんなある日、冬の暖かい日 学生のざわめき、そして、二日 て何の気無しに、 月 に一回くらいの防災無線の行方だった。あきはラジカセで 「おかあさんが倒れた時は 年 びつくりしてしまって、精神病不明の情報提供のアナウンス悦子の借りてきた環境音楽を聴 いていた。フィンランドの海の 院に連絡して清治さんを連れてだ。行方不明者が八十代だと、 と っ 私と同じだ、私もどこかへ行っ波の音、森を吹き過ぎる風の 来てもらおうかと思いました ね てしまおうかと思う。あるいは音、さわさわと流れるせせらぎ よ」 ん こんな時でもないと清治の事行方不明者が子供だと、精神かの音、あきはぼんやりと壁を見み つめながらそれを聴いていた。 は話題に上がらないのかとあき知的かはともかく清治のような そのあきの視界を何かがよ 障害のある子供ではないかと心 は思い、それを口にした悦子が ぎった。なんだろうと思って庭 白々しく思えて憎たらしくなっ配になる。早く見つかるといい に向いたガラス戸を見ると、陽 のにと思う 射しがガラス戸越しに白く光っ 床について一か月が経った。 寝たきりの生活が続いたせい であきは神経を病んだ。清治がめまいや頭痛は治まったが、動ている。そして雀が屋根から翼 戻って来られないのは正治が陰けないせいで体中のすじがコチを拡げずに降りたところだっ た。「チュンチュン、チュチュ で邪魔しているからで、悦子もコチに固まり口ポットのよう ぐるだとそんな事ばかり考えてだ。腕一本持ち上げるのも億劫チュ」と声がするのを聞いてあ だ。これじゃ起きられるようにきは庭を見た。雀が十数羽集 テレビも無く、聞こえてくるなっても体を慣らすのが大変だまって砂浴びをしている。忠雄 が死んでもう農業は止めていたそれを取り入れた後の地面が太何羽目だろうか、大柄な雀と が、あきの部屋の前には家庭菜陽の光をいつばいに湛えてい 小雀が二回ずつ交互に砂浴びに 園がある。倒れる前し。 こよじゃがる。畝がところどころ崩れて作飛び込んでいた。小さい方は全 いもと玉ねぎが植わっていた。物を抜いた後に浅い穴が開き、体に体の色が薄い。親子だろう さらさらと柔らかそうな砂がそか。それを見てあきは清治を の上にたまっている。その中に 思った。あと何年生きられるか 雀が飛び込んで体の脇で羽を丸分からないが、その間だけでも く震わせる。「キュルキュル」清治と暮らしたい。親の葬式で という空気を巻き込む微かな音しか外に出られないのは理不尽 だ。なんとかしたい、してや か聞こえる気がした。 一羽の砂浴びはほんの二、三りたいと思い、何処にもぶつけ 秒だろうか、穴の周りに砂を巻られない怒りがこみ上げ、それ き上げては短く鳴いて飛び上がを口に出してブップッ言ってい る。すると次の雀が来て同じこる自分に気がつくのだった。そ とをする。枯れた玉ねぎの茎がして一所懸命に雀を見つめてい 足に絡みついて落ちていく。また。 だ前の雀がいるのにそれを跳ね 除けるように塀から垂直に降り てくるのがいる。 2 4 手 の ( 次号へ続く ) 家 と ( きたむらまさき ) 一三ロ
に語ったからだと思うんです。ち直れたんでしょ ? 生い立ちとを誰に気兼ねなく、どんどん 歳でも間歳でも心の膿を出すの話を長々として押しつけがまやればいい」、そうおっしやっ ために、きちんと語ることが人しい」、こういうこと言われまたんです。私は、家族・当事者 の そ 生を変えると思います。もう一したよ。でも、時間が経ってたの気持ちを医師の世界へ届ける 度言います。語ることは治療にくさんの人と出会って、自分のことを誰に気兼ねなくこれから る なります。私は語ることで、自心が清算されるにつれて、「母やっていこうと思っています。 れ 分の人生にも意味があったんだ は私の灯りです」って言った いくつになっても人が快復する 考 と思えるようになりました。私人、「今年も楽しいゆかいな年のに締め切りはありません。私 社ハ はそうやって快復しました。みにしていきます」と言った人な はこの言葉を抱きしめて、これ報 医 なさん、知ってもらわなければ ど、自立してさわやかな人たちからも生きていきます。みなさ 家 支援は広がりません。そして、が寄ってくるようになったんでんもそうであれよ、 ( しいなあと思 人 本 公表後の 5 年間で一番私が「へす。よい流れは、さらによい流 います。ご清聴ありがとうござ て し いました。 え 5 」って思ったこと。公表後れを引き寄せるんだなって気づ ざ め を の数年間は、自分の中にも偏見きました。たくさんの人と時間 ・目 があって、公表しながらも母やを費やしながら、人は人を浴び の れ 自分を卑下する気持ちがあったて人になっていくんだと思いま れ そ んです。そうした時は、こんなす。 集 こと言われたんです。「あなた ある人生の達人が、「年とっ 特 はたまたま恵まれていたから立たらね、今までできなかったこ わったんです。執念とか、贖う思い込んでガンの患者さんのだけど、なんにも恥じることな 罪、感謝という感情にもう一歩ために活動してきたけれど、で いじゃんと、夢を持つのは皆同号 月 踏み込んだのが、一人のガン患もガンだろうとガンでなかろうじじゃないか、精神科医になっ 年 者さんの一一口葉でした。進行ガンと、その人が夢を持つのは皆おて年経ってやっと気づきまし のために歳で子宮を全摘したんなじじゃないか」、そう気づた。家族の悲しさ、当事者のく と っ 女性の話を、私は聞く機会があ いてからは、ガンとはまったくやしさはあるけれど、これから ね な りました。医師からは、この方関係のない、自分がこれまでは執念でも、贖罪・感謝でもな ん み 未婚なんですよ、未婚だけど、やってみたかった建築の仕事をくて、精神科医療がよくなるこ 「子宮は失っても命は助かった 始めようと思ったそうです。「結とが、私の人生の楽しみの一つ んだから、あなた感謝しないと 婚も子育てもしてみようと思い として生きていこう、これが家 ね」、そう励まされて、生きてます。特別養子縁組っていう制族・当事者として苦しんだ末の ることに感謝して、ガンサバイ度がありますから」。私はこの私のリカバリーです。 ーとしてガンになった人たち人の話聞いて、虚を突かれたと を励ます活動を始めたそうで思いました。私はずっと、自分 ・語って快復した演者「これか す。でもある時支援者から、「あは精神障害の親のもとで育ったらも家族と当事者の気持ちを医 なたはしあわせですか ? 」と聞んだ育ったんだって、ずーっと師に届けたい」 かれ、考え込みます。「自分は なんか負い目やうしろめたさを 年経って気づけたのが、そ 命が助かっただけでもしあわせ持ってたんです。でも、精神障れまでの人生の不条理への恨 だと思わなくちゃいけない。そ害の親のもとで育ったのは事実み、生きることの悲しさを存分 ( おわり )
! ぐる物吾 感じて、壁に手をついて座り込しかし、それから寝たきりの生 ないか、世間に顔向けできない のではないかと思い、別に罪をんだまま立ち上がれなくなった活が続いた。 家の東側にある奥の部屋に床 犯したわけではないのに自然とのだ。 顔が下を向きそうになってしま嫁の悦子が救急車を呼び市立がとられた。入り口の脇に仏壇 がある以外は桐の箪笥一つの殺 う。富子との世間話ですら相手病院に担ぎ込まれた。意識は はっきりしていたが、まわりの風景な部屋である。そこで布団 が急にその話に触れるのではな いか、離れていってしまうので世界がくるくる回って、救命士に入って天井ばかり見ていた。 はないかという心配にさいなまの顔が風船のように見えた。サ目が乾くせいか悲しくも無いの れるのだ。 イレンの音が倒れて起き上がろに涙が目尻を伝って流れ落ち枕 うともがく電池仕掛けのおもを濡らす。仏壇に供えてある林 不安な気持ちのまま、あきが 話の継ぎ穂を探していると、富ちゃの音に聞こえた。もどしそ檎の香りがする。そういえば風 子は何事も無かったように元のうだった。血圧が上がっていた邪で寝込むとよく林檎をすりお が治療を受けると症状は治まつろしてジュースにして飲んだっ 笑顔に戻り、 けと思った。 「お腹すいちゃったね」 悦子が白湯とおかゆを持って 翌日診察に来た医師に聞く そうあっけらかんと言った。 あきははぐらかされた気もしたと、「年齢が年齢だから」と決入ってきて枕元に座ると、 「おかあさん、食欲は少しは がどこかホッとした。 まり文句を一言われた。結局三日 あきが倒れたのはその晩だっ間入院し検査の結果も異常がな出てきましたか、少しずつでも いという事で帰宅を許された。食べていかないと」 た。刺すような頭痛とめまいを 芸一口 北村昌紀 その 3 る。 「あきさん、具合どうかね」 『清治の事を覚えてくれてる 通りかかった近所の友人の片 人もいるんだ』 桐富子が声を掛けてきた。 あきは今日の天気のようなっ 「かったるいけれど動いてな いと歩けなくなっちゃうからかの間の陽のぬくもりを感じ ね」 しかし、富子は話している途 「公民館でバザーがあるけど 中で急に顔をしかめた。 知ってるかい ? 」 あきは自分が変な事を言った 「知っているよ。出店とかも かと不安な気持ちになり、それ 出るんだろう」 富子は世話好きだが少し押しから富子が事件のことを思い出 したのではないかと思いし广 付けがましい たまれなくなった。 「たまにはそういうのにも行 かなくちゃだめだよ。綿菓子の 子供が精神障害者であるとい う負い目をあきも背負って生き 屋台も出るらしいよ。そういえ ば、子供の頃綿菓子の好きだって来た。面と向かって誰が何を 一一口うわけでもない。しかし、普 たのは清ちゃんだったつけ」 家ではロにされる事の無い名通にしていようとしてもどこか 前が富子の口から気安く出てくで後ろ指を差されているのでは みんなねっと 2017 年 9 月号 20 21 私と家族の手記
が、障害者に居場所を提供し、お母さんの相談にのりました。 す。目的がなくてもあてがなく ても、ただただ 1 日 1 日の生活自ら主体的に自立した生活を送最近は、玄関先でなら訪問を許 るためにと法人を立ち上してくれるようになったそうで をゴロゴロでいいから続けた、 の そ げました。行政からは「収入がす。を立ち上げた彼女の 自分でも気づかない強さだった ムム 低いからやっていけないよ」と言葉です。「継続していきます。 のかなあって思います。 言われながらも、引きこもって嫌われても時間をおけば大丈夫悩 だと、今回の経験から教わりま いる当事者を何とかしたいとが ・待っこと、係わリ続けること 考 あてはないけれど待つ。快復んばって立ち上げました。こなした。いろいろと体験して、本黒 者 いだ手紙が来て、「昨年月初人の心とつながる方法を見つけ にはこうした強さが必要なのか 医 なと思います。納得する、信頼めてのチャリティーコンサートていきます。そして、今年から 家 人 できる人に相談できる、孤立さを開いたの。間人も集まってくにフットサルのコーチも 本 せない仲間がいる、時間がそれれたんです」。すごく喜んでた来てくれることになったんで て をその人が快復するまで周囲んです。何年も引きこもり病院す。いよいよ春からみんなでざ を にも行こうとせず、家族に当たポールを蹴ります。一人ひとり が焦らず待っこと。私は、「待 ・目 の つ」というのは最大の支援だとり散らす娘さんがいました。彼のやりたいこと、楽しいこと、 思っています。この数年間全国女から玄関先で何度も「来る嬉しいこと、心が喜ぶことを実ぞ そ を回って、産声をあげたばかり なー ! 」と怒鳴られても私が見現しながら、そして私も楽しみ 集 ながら皆から快復パワーをいた の家族会やを私はたくさ放したらこの親子は破滅する、 だいています。そして、今年も ん知りました。一人のお母さんそう思って何十回と通い続け、 れって医師がやることかと言い 言葉だったです。でもその時は、授が出すお薬よりよっぽど効い たいけど、浴びるように飲んで、 心には響かなかったんです。あたです。でも、前向きに生きる 号 月 ゴロゴロ寝るだけの毎日が何かる日久しぶりにフッと外見た気になったかと一一一口うと、その時 年 月も続いて、家の中では孤立しら、「あ、コンビニがこんなと はそうでもなかったんです。今 ました。 ころにある」って思ったんです考えたら、てくてくひたすら歩 と っ ね。タバコがなかったからコン いたことがすごくよかったか ね 亠な ・人の支えと時間は薬 ビニまで歩いてみようって、本なって思います。医者がこんな ん 後妻さんが父に、「あなたが当に何か月ぶりの外でした。な こと言っちゃいけないけど、神み 郁子さんを甘やかして育てたかんか、日差しがまぶしくて、空頼みも願掛けも頼るところがな らあんなんなったんじゃない気がおいしかったかな。それか い私には希望になったんです。 と , っして歩こ , っとい , っ気 の」、「オレのせいじゃない」とら、なんか毎日少しずつ歩くよただ、、 か、両親が罵り合ってるんですうになりました。しばらく歩い になったのかは今でもわかりま よ、私のことで。そんな時、医たら、小さな神社があったんでせん。おそらく長ーい時間と休 大の同級生の一人が、「お父さす。何となく拝みたくなって、息の間に、自分でも気づかない んは、あなたがよい医者になるガランガランガランて鈴を鳴ら変化が起きたのかもしれないと ことを望んでるんじゃなくて、してパンパンて柏手打ったんで思います。その後も、人との出 あなたがしあわせになることをす。何に対して拝んだのかわか会いで私は快復しましたが、そ 望んでるんだよ」って声をかけらないけど、ともかく手を合わの根底にあるのは、決して何か てくれたんです。すごく大事なせると、なんかホッとした。教特別なきっかけではないんで
と認めてくれていますが、その態だと思いました。部長さんは ことは、基本的には家にじっと 役員が午後にやって来て私に注うつ病で長期に休んだ人を知っして居るのですよ。それが必要 意をするのです」 ていて、病院で診断してもらい と思いますか ? 部長さんは、役員さんに部の休んだ方が良いなら、診断書を 「いえ、この休みには友だち 方針を言ってはくれないんですもらって来るように、と言われと遊びに行く予定です」 ます」 やはりうつ病ではないです 「部長は言ってくれているん 確かに、さんはつまんなさね。でも、今日はせつかく来ら ですが、役員の方はぼくを従わそうな顔付きです。でも、それれたのだから、 " 疲労状態 ~ と せようとするのです。それで、だけで " うつ病 ~ とは一言えませ いう診断書で年休を取って、今 時々午後に早退するようになん。長期に休めば治るわけでも日と明日の 2 日間ほど休み、部 ないでしよう。 り、部長さんが、病気ではない 長さんに自分の気持ちを説明し かと、心配されたのです」 「ぼくは、その役員がぼくのたらどうでしよう ? あなたが 課に来なければ、今まで通りに 独立した大人としてこの会社に 〈休むべきか ? 〉 できると思います。でも、あの勤めるつもりなら、その役員を あなた自身は精神的な病気だ人が来るのなら、その間はずつやり過ごすテクニックを身に付 と思うんですか ? と休みたいです」 けるか、会社の方針を変えよう 「インターネットでチェック とするか、あるいは、会社に見診 〈自宅療養とは〉 したら、やる気が起きないこと 切りを付けるかを考えるべきだ や憂うつな気分があり、うつ状 うつ病で自宅療養するというと、私は思いますよ。 月 年 と っ 増増 ね ん でした。だけど、 2 か月前社長み 〈うつ状態〉 仕事がうまくできなくて、上の一族の役員の人が赴任して来 ある木曜日に一人で初診され司に注意されたのですか ? られ、作業の手順が違うと言わ た青年 ( 歳、自動車部品 「失敗したとかではありません。れます。その人の指示通りにす メーカーのエンジニア ) は、物午前中は調子が良いのですが、午るのは気が重いのです」 憂げな表情で「仕事にやる気が 後には集甲力がなくなるのです」 〈職場のストレス〉 起きない」と言われます。国立 朝のうちに仕事でエネルギー 大学を卒業して就職、市内の工を使い果たしてしまうのでしょ あなたも意見を言った上で会 場に配属されています。親元をうか ? 社がやり方を決めたのなら、そ 離れての一人暮らしです。受診 「ぼくは部品の設計をしてい の方針に従うべきではないです をしたのは、上司の部長に精神るのですが、嫌いな仕事ではな 科に行くように言われたからら いし、自信も付いてきたところ 「部内では僕のやり方で良い ・科医に頼れば、うまく 行くわけではありません = 連載な回 ましもと
月刊みんなねっと ( 毎月 1 回 1 日発行 ) 通巻 125 号 2017 年 9 月 1 日発行 2007 年 7 月 24 日第三種郵便物承認 月千翡全軋の家族と家族会をなぐ機誌 月刊みんなねっと 2017 年 9 月 1 日発行 2007 年 7 月 24 日第三種郵便物承認 第 10 回全国精神保健福祉家族大会 in 岡山 みんなで一緒にやろう ! ~ 地域を変える「特区」づくり ~ 白壁の屋敷、倉敷川添いの柳並木 歴史ロマン薰る倉敷・美観地区ての全国大会です を己卩 2017 みんなねっと岡山大会 倉数駅 倉数市立美術館 倉敷市芸文館 ( 地下駐車場入口 ) ・特集・ それそれの自立をめさして—本人・家族・医療者が、共に考えられる社会へ—その 3 ( 夏苅郁子 ) ・小説雀の息子をめぐる物語その 3 ( 北村昌紀 ) ■事例からみる精神障害者の障害年金の実際 ( 白石美佐子 ) 連載 6 「不支給や却下が届いたとしてもあきらめないで ! 」 ・知ることは生きること ( 青木聖久 ) 連載幻回 経済的支援と暮らし《経済的支援特集 イラスト . MY 介護の広場 日時 2017 年 10 月 19 日 ( 木 ) 20 日 ( 金 ) 場倉敷市芸文館電話 : 086 ー 434 ー 0400 ( 岡山県怠敷市中央 1 丁目 18 ー 1 号 ) 敷芸文館までのアクセス http:″€vww.kcpf-or-jp/hall/geibu/geibu-koutsu-frame.html 参加費 3 , 000 円障がいのある人 58 円 学生 1 ,OOO 円 岡山大会事務局〒 701 ー 0212 岡山県岡山市南区内尾 739 ー 1 NP 〇岡山けんかれん内 T E L 086 ー 298 ー 1 162 F A X 086-298 ー 1 168 、倉数市民会 主催 : 公益社団法人全国精神保健福祉会連合会 ( みんなねっと ) 特定非営利活動法人岡山県精神障害者家族会連合会 公益社団法人全国精神保健福祉会連合会
「みんなねっと」の ホームページをご覧ください ☆メルマガ会員募集中 ( 無料 ) ☆ 「みんなねっと」で検索 ! http://seishinhoken.jp/ LINE 公式アカウント【@ minnanet 】 公式ツィッター【@ minnanet 】 月千リ もくじ LINE@ 【表紙の絵】織田信生 0 0 ロ 知っておきたい精神保健福祉の動き 2 特集 それぞれの自立をめざして ~ 本人・家族・医療者が、共に考えられる社会へ ~ その 3 ( 夏苅郁子 ) 5 0 みんなねっと @minnanet 精神障害者家族会の全国事務局スタッフー同 東京都豊島区東池袋 96 フォロワー 1 フォロー ツィート メディア みんなねっと @minnanet' 18 時間 社会保障議会障害者部会 ( 第 85 回 ) 障害者総合支援法の一部改正に伴う検討や障 害福祉サービス等報物改定について いいね 詳細情報ー営業時間 ! 定休日 . 電話番号 . 住所など 事例からみる精神障害者の障害年金の実際 【連載第 6 回】不支給や却下が届いたとしてもあきらめないで ! ( 白石美佐子 ) 1 6 小説「雀の息子をめぐる物語」その 3 ( 北村呂紀 ) 2() 街の診療所からのお便り【連載 124 】 ( 増本茂樹 ) ・・精神科医に頼れば、うまく行くわけではありません・・・ 24 知ることは生きること ( 連載 21 回 ) 経済的支援と暮らし《経済的支援特集⑩》 ( 青木聖久 ) 28 真澄こと葉のつれづれ日記 ( 第 78 回 ) 34 みんなのわー一読者のページ・地域の話題 36 0 みんなねっと 県連イベント情報 ( 〇 ■友だち追加の方法 ・フォローの方法 回・ - 回 ① Q R コードから Twitter ページより LINE アプリを起動し 「@minnanet」で検索 「その他」→ →プロフィールページへ行き、 「友だち追加」→ プロフィール画像のすぐ下に 「 QR コード」から QR コードを ある「フォローする」をタップ 読み取り「追加」をタップ ② ID 検索から LINE アプリを起動し こ登録 ! 「公式アカウント」→虫眼鏡マーク お待ちしています →みんなねっとと検索し「追加」 をタップ 「みんなねっと」電話相談のこ案内 TEL : 03 ー 6907-9212 受付時間 : 水曜日 IO 時 ~ 15 時 ※祝日と重なった場合はお休みです。※お昼 ( 12 時 ~ 13 時 ) はお休みをいただきます。 みんなっとのホームページではメールマガジンを発行しています ( 無 料 ) 。当会の活動だけでなく、各都道府県連の情報なども随時お知らせす るメルマガになっています。ぜひ、ご登録ください。詳しくはホームペー ジをご覧ください ( 「みんなねっと」で検索ください ) 。 6 / 8 16 : 12 第
月刊みんなねっと ~ 毎月こんな内容でお届けします ~ 知っておきたい精神保健福祉の動き / 特集 ( 各号にタイムリーなテーマで 掲載します ) / ( 投稿 ) 私と家族の手記 / 連載①街の診療所からのお便り 連載②精神科医療の現状と改革の展望 / 連載③知ることは生きること / 連 載④真澄こと葉のつれづれ日記 / みんなのわ ( 読者のヘージ ) ほか ・にリみまねこれまで特集紹・ ■ 2015 年■ 5 月号 : 精神障がい者の「住まい」を考える一英国の主支援から学ぶ ( 上野勝代 ) 6 月号 : 精神障がい者にも交通運賃の割引を 7 月号 : グループホームの運営ってどうなっているの ? 8 月号 : 家族をひろげ元気にする家族相談活動ー愛知の経験から ( 木全義治 ) 【品切れ】 9 月号 : 全科が無料になる医療費助成一地域家族会のとりくみ 1 0 月号 : 精神障がい・精襯呆健の正しい教育を一世界の教科書比較 ( 山田浩雅 ) 【品切れ】 11 月号 : 日本でも本人と家族をともに支援する家族支援の実現を 1 2 月号 : 戦後 70 年と障害者権利条約 ( 藤井克徳 ) ー 2016 年一 1 月号 : 世界から見た我が国の精神保健医療福祉 ( 長谷川利夫 ) 2 月号 : 精神障害者と差別解消法 ( 池原毅和 ) 3 月号 : 障害者総合支援法施行 3 年後の見直し ( 本條義和 ) 【品切れ】 4 月号 : 家族だからできる家族支援『家族による家族学習会プログラム』 ( 岡田久実子 ) 【品切れ】 5 月号 : 精神障がい者と家族ーそれぞれか自立し、ささえあうために① ( 白石弘巳 ) 【品切れ】 6 月号 : 精神障がい者と家族ーそれぞれが自立し、ささえあうために① ( 白石弘巳 ) 【品切れ】 7 月号 : みんなねっと「政策委員会」の取り組み① ( 野村忠良 ) 8 月号 : みんなねっと「政策委員会」の取り組み① ( 野村忠良 ) 9 月号 : メンタルヘルスと福祉教育をめざして ( 松本すみ子 ) 10 月号 : 訪問看護が家庭内暴力とどう向き合うか ( 原子英樹 ) 11 月号 : 家族の思いから立ち上がった ACT のとりくみ ( 宮崎富夫・倉知延章 ) 12 月号 : 家族が求めていた訪問支援が実現するまで ( 岡田久実子・吉澤美樹 ) ■ 2017 年■ 1 月号 : 東京ソテリアにおけるイタリア交流事業のとりくみ ( 塚本さやか他 ) 2 月号 : 精神科においてアウトリーチはなぜ大切か、どう進めたらいいか① ( 渡邉博幸 ) 3 月号 : 精神科においてアウトリーチはなぜ大切か、どう進めたらいいカ 0 ( 渡邉博幸 ) 4 月号 : オープンダイアローグ ( 開かれた対話 ) の話 ( 飯塚壽美・野村忠良 ) 5 月号 : イタリア精神保健見聞記 ( トレントの地域精襯呆健医療 ) その 1 ( 野村忠良 ) 6 月号 : イタリア精神保健見聞記 ( トレントの地域精神保健医療 ) その 2 ( 野村忠良 ) 7 月号 : それぞれの自立をめざしてその 1 ( 夏苅郁子 ) 8 月号 : それぞれの自立をめざしてその 1 ( 夏苅郁子 ) ・第なっ」のツノ、一の申湾・ 電話、 FAX 、みんなねぢとのホ二ページまお申込みいただけます。 代金は「 300 円 >< 冊数 + 送料 80 円」となります。 バックナンバー発送時に振込用紙 ( 郵便振込 ) を同封させていただきます。 公益社団法人全国精神保健福祉会連合会 ( みんなねっと ) 〒 1 70 ー 001 3 東京都豊島区東池袋 1 ー 46 ー 1 3 ホリグチビル 602 電話 : 03 ー 6907 ー 9211 FAX : 03 ー 3987 ー 5466 ■ここ毎日のように、各以前どの位置にあったか 地の大雨による災害の様を調べるそうです。技術 一子が報道され、心が痛みの進歩により、昔よりは 、一ます。自然は美しく、人早く作業が進むのでしょ うか。その根気のいる作 の心を癒してくれますが、 ひとたび荒れると人々の業に驚きました。 熊本県の各病院では、 生活を徹底的に破壊して、 ( 一人の無力を思い知らされ以前必ず家族会を組織し 一ます。被災地での日常生て、家族 ( の教育を実施 活が、 1 日も早く復旧さしたとのこと。全家連の れますことを願っていま立ち上げにも大いに貢献 したとお聴きして、医療 す。 則の素晴らしい事例につ 先日熊本県へ行く機会 1 があって、合間に熊本城いて取り上げたいと思い の様子を見てきました。ました。私たち家族は、 テレビで見た通りの石垣多くの苦難に耐えながら、 の崩れや、クレーンによ社会環境の改善に努めて ~ る復旧作業が見えました。きました。自然の猛威に 一石垣を組み直すのに、崩も負けず、これからを信 。一れる前の写真を使ってそじて、力強く生きたいと 。 ( れぞれの石の形をパソコ改めて思いました。 ( 飯塚壽美 ) ンに記意してから、バラ 、ハラに転がっている石が 、編集後記 【「みんなのわ」へメールで投稿できます】読者のページ ( みんなのわ ) への投稿がメールでできるようになりました。投稿のメールアドレ スは minnanet.seishinhoken@outlook.jp です。※投稿される 方は、氏名、住所、年齢、性別、 ( 家族、本人、その他 ) をご記入ください。 なお、ペンネームで投稿される方はペンネームをお書きください。 月刊みんなねっこ通巻第 125 号 ( 2017 年 9 月号 ) 定価 300 円 発行日 2017 年 9 月 1 日 賛助会費 ( 会費に購読料含む ) 発行者公益社団法人全国精神保健福祉会連合会個人・年間 3 6 0 0 円 団体・年間 ( お間い合わせください ) 理事長本條義和 〒 170-0013 東京都豊島区東池袋 1 ー 4 6 一 1 3 ホリグチビル 602 TEL () 3 ー 6 9 0 7 ー 9 2 1 1 FAX () 3 ー 3 9 8 7 ー 5 4 6 6 郵便振替 O () 1 3 0 ー O ー 3 3 8 3 1 7 ホームページ www.seishinhoken.jp 印刷・製本 / 倉敷印刷株式会社表紙の絵 / 織田信生
連載幻回 学「事前に知っていることの危うさ 井上さん ( 女性【仮名 ) は、障 害年金の受給要件を満たしてい ましたが、これまで申請をして 経済的支援と暮らし いませんでした。と言うよりも、 自分が障害年金の対象になると は考えもしなかったようです。 みんなねっと理事 その理由を問うと、井上さんは 「障害年金は、病院にずっと入 前月号まで、経済的支援につゆえに、経済的支援の諸制度の院していて、寝たきりのような いて凵回にわたり掲載してきま活用促進を願「て、本特集を組状態でないと受けられないです よね。私は、買い物にも行けま した。それらは、精神障がいのんだのです。 では改めて、経済的支援の諸すから」と答えられたのです。 ある人 ( 以下、本人と言うこと 私たちは、何らかの行動を起 もある ) が使える制度の内、代制度を知ることは、本人やその いかなる意味こす際、自分自身及び家族の経 表的なものであり、他にも使え家族の暮らしに、 る制度は少なからず存在します。があるのでしようか。このこと験や価値観、情報を土台にして ところが、まだまだ経済的支について、今月号は、経済的支動く傾向にあります。ところが、 その「知っていること」は必ず 援の諸制度は、十分に活用され援特集のまとめとして述べたい しも正しくないのです。例えば、 ていないのが実態だと言えます。と思います。 障害年金で一一一口えば、高橋先生が経済的支援の役割は何ですか」誰しも、これまで培った経験や 本誌の 2017 年 1 月号に書かと聞かれたら、私は「生きづら技術をはじめ、自らの力を、何 らかの形で発揮したいと願って れているように約万人がさを抱えている人たちに対し、 いるのではないでしようか。そ 受給しています。その中におい等身大のそれぞれの活動 ( 働く ) て、精神障がいは高い割合を一小が実現できるように支援するたの具体の活動が、働くことだと 言えます。その際、ピアサポ 1 しているのです。実際、障害基めのもの」と言います。その前 礎年金の新規申請では、精神・知提として、「働く」とは、フル ト活動で言えば、壁に向かって 的・発達障がいの三つを含めたタイムの一般就労、特例子会社自らの体験談を述べても、やり 「精神の障害」が、全体の 7 割弱 等での障害者雇用、地域活動支がい、生きがいにはつながりま を占めています。そして、その援センター等での福祉的就労、せん。そうではなく、聴衆が、 人たちの多くは、地域で暮らしピアサポート活動、芸術活動、一生懸命に自分の話を聞いてく ており、障害年金を基礎的収入家事労働をはじめ、多種多様なれたり、時には、涙を流しなが にしながら、買い物はもちろん活動を含むものであり、概ね、ら耳を傾けている姿を通して、 と のこと、プラスアルフアの何ら社会との何らかの直接的、ある「自己有用感」が芽生えるので こ る かの「働く」をしているのです。 いは、間接的につながりのあるす。ちなみに、自己有用感とは、 き 生 活動、と私は考えています。 「社会において、自分が何らか 等身大の「働く」を 大事なこととして、大半の人の役割を担っていると感じられこ 実現するための経済的支援 たちは、一方的な経済的支援をると共に、社会から自分が肯定知 「社会保障制度、とりわけ、求めているのではありません。的に捉えられていると実感でき みんなねっと 2017 年 9 月号 28