ホーナー - みる会図書館


検索対象: シャーロック・ホウムズの冒険
6件見つかりました。

1. シャーロック・ホウムズの冒険

け事件がはっきりするというものだ。ライダー、君は前からモ 1 カー伯爵夫人の青い宝石のこと をきいて、知っていたのか。」 「キャスリン・キューザックからきいていました。」 ライダーはひきつったような声で言いました。 ゅうわく じんじよちゅう いっそく 「そうかーー夫人の女中たな。一足とびに、わけなく金持になれる、そういう誘惑にふらふら づとなったんだろう。今まで、君よりもっとえらい人間でも、やはりそうなったことがあるのだ から、むりもないがね。しかし、ばかなやり方をしたものだ。 あくにんそしつ えんかん それにしても、ライダー。君はなかなか悪人の素質があるようだな。あのホーナ 1 という鉛管 主夫が前にもこんな事件にひっかかったことがあって、あの男なら、わけなく疑いがかかること なかま を、君はちゃんと知っていたんだ。それからどうした。君と、仲間のキ、ーザックとで、夫人の 部屋にすこしばかり細工をしておいて、うまくホーナーをよびにやるようにした。そうして、あ ほうせぎばこ の男の帰ったあとで、宝石箱から盗み出し、大声でさわぎ立てた。かわいそうにホーナーはつか まった。君はそれから・ー。」 ライダーはいきなりじゅうたんの上に倒れると、ホウムズのひざにしがみついて、さけびまし 「どうぞ、お助け下さ い ! おなさけでございます。父のことを、母のことをどうぞ考えてや とう方 こ 0 じけん さいく はくしやくみヒん うたが ほうせき 145

2. シャーロック・ホウムズの冒険

おわ づけさせた。しばらく彼とい 0 しにいたが、終るころよばれて部屋を出た。もど 0 た時はホ がわ ( 9 ) こばこ ーナーのすがたは見えず、たんすはこじあけられてモ。〉「皮の小箱はからのまま、化粧台の はくしやくみじんほうせきい 上に置かれてあ 0 た。後にな 0 て、これが伯爵夫人の宝石入れに使われていたものであること とら どうじっ が知れた。私はすぐに急を知らせ、ホーナ 1 は同日のタがた捕えられた。しかし、宝石はから けつけん だからも、部屋の中からも発見されなかった。 しようげん 伯爵夫人の女中キャスリン・キーザックはこう証言している。ライダーが盗難を発見した時、 おどろいてさけんだ声を私はきいた。部屋にかけこんで見ると、部屋の中はライダーの証言した とおりになっていた。 ていこっ 区の警部ブラ〉ドストリートはホーナーを捕える時、彼は死にものぐるいで抵抗し、けん ぜんか めいに身におぼえのないことを申したてたと証言した。彼に盗みの前科のあることがわか「た じゅんかいさいばん ので、判事は判決をその場でいいわたさず、巡回裁判にかけることにした。ホーナーは裁判中 そと ほうてい ひじうに興奮の色をしめしていたが、には卒倒して、法廷の外に運び出された。」 ホウムズは新聞をよこへなけだしながら、考えぶかそうに、 もんだい 「ふむ。軽罪裁判はまあこんなところだな。ぼくたちがここで解決しようとする問題は、だね。 、 0 ぼうでは宝石箱から宝石が盗まれて、い 0 ぼうではトテナム・「ート衢のガチ「ウのえぶく そっとう かいけっ とうなんはつけん 123

3. シャーロック・ホウムズの冒険

われているわけじゃないんだ。ホーナーの身があぶないというのなら話はべつだが、あいつもこ じけん しぜんき れ以上ホーナーを罪におとすようなことはすまいから、この事件もやがて自然に消えてしまうだ かる ろう。ぼくはひとの重い罪を自分勝手に軽くしてやったように思うが、でも、一つのたましいを すく 救ってやったことにもなるだろうな。あいつはもうけっして悪いことをしないよ。あれほどひど いっしよう けいむしょ くおどかされたんだからな。もし刑務所へ送ったら、あいつはきっと、一生刑務所のやっかいに ゆる きせつ なるようになるぜ。それに、今は罪を許すクリスマスの季節でもあるしね。ひょっとしたことか かいけっ みよう ら、たいへん妙な事件にまきこまれてしまったが、おかげでこれを解決できたのが何よりさ。 しよくじ 次の問題にとりかかることにし すまないが、先生、ベルをならしてくれないか。食事という、 しゅやく よう。これも、鳥が主役になっているがね。山シギという鳥が。」 いじよう つみ

4. シャーロック・ホウムズの冒険

0 て下さいまし ! こんなことが知れましたら、き 0 と胸がはりさけてしまいます。私はこれま で悪いことをしたことがございません ! これからもけ 0 していたしません。ちかいます。聖書 にかけてちかいます。ああ、どうそ裁判ざたになど、なさらないで下さいまし ! おねがいでご ざいます。どうそ ! 」 ホウムズはことばきびしく、 「もう一ど子にすわりたまえ ! 今になって泣きついたり、ペこペこしたりするのもいしカ さいばん かわいそうに、身におぼえのない罪をきて、裁判にかけられているホーナーのことを、君はすこ しも考えてやらないつもりか。」 「私は逃けます、ホウムズさん。この国を逃げ出します。そうすれば、あの人の疑いも晴れる ことでございましよう。」 そうだん 「うむ。それはあとから相談しよう。で、それから君はどうしたんだね。ほんとうの話をきき いちは ほうせき たいもんだな。宝石がどうしてガチョウの腹の中にはいって、そのガチ「ウが市場へ出るように しょクじき なったか。どうしても助かりたいと思ったら、正直にみんな打ちあけてしまうがいい。」 一フィグーはかわいたくちびるをなめてから、こう話しはじめました。 「みんなありのままに申上げてしまいます。ホーナーがっかまりましたとき、私は宝石をもっ しら けいさっ て逃げ出すのが一ばんいいことだと思いました。警察がいつ、私のからだや部屋の中を調べよう つみ うたが 146

5. シャーロック・ホウムズの冒険

流した事件があると言っていいくらいだよ。この宝石は見つかってから、まだ二十年くらいにし あか 2 かならない。南シナのアモイ川の川べりから掘り出されたものだがね。色が青くて、ルビ 1 の紅 こうぎよくとくちょう さをもっていない点がちがうだけで、ほかは紅玉の特徴をぜんぶそろえている、そこがめすらし いところだろうな。世に出てまだいくらもたたないのに、もう縁起のわるい歴史をもっているん ひとごろ じさっ りゅうさん たよ。人殺しが二つ、硫酸をぶつかけた事件が一つ、自殺が一つ、それに盗難が何どか、それが けっしよう ( ) たんそ みんなこの、重さ四十グレインの炭素の結晶のしわざなんだからね。こんなきれいなおもちゃが こうしゆだい けいむしょ 絞首台や刑務所に人を送るご用をつとめているなんて、だれだって思いはしないだろう。 はくしやく方じん きんこ さあ、これを金庫へしまって、かぎをかけて、それから伯爵夫人へ手紙を書くことにしよう。 ぼくたちが大事におあすかりしていますってね。」 つみ 「このホーナーという男に罪はないと思うかい」 「さあ、何とも言えないなあ。」 「それでは、もうひとりのヘンリー・ べイカーという男はどうだい。事件に何か関があた んだろうか。」 丿ー。べイカーにはもっと罪がなさそうに思うね。なにしろこの男は、自分のかついで いた島がぜんぶ金でできているよりも、もっと大したねうちがあることを知らすにいたくらいだ こうこく からな。だが、広告を見てやって来たら、ごくかんたんなテストをやって、関係があるかないか じけん だいじ ほうせき えんぎ れきし とうなん かんけ

6. シャーロック・ホウムズの冒険

財珉を半分くれてもいいとまで、内心思いつめているのを、ぼくはちょ 0 とわけがあ 0 て知 0 て いるんだ。」 「あれはたしか、コスモポリタン・ホテルでなくなったんだったね。」 と私は一一一口いました。 えんかんこう 「そうなんたよ。ちょうど五日前の、十二月二十二日のことだった。鉛管工夫のジョン・ホー うった はんにん ふじんはうせきはこ ナーという男が、夫人の宝石箱からぬすみ出したといって訴えられたんだ。犯人はこの男たとい じけんじゅんかいさいはん一〔 8 ) しようこ う証拠がはっきりしているので、事件は巡回裁判にまわされたところなんだよ。ここにたしか、 記事があったはすだ。」 ホウムズは新聞の日づけを見ながら、あちらこちらかきまわしていましたが、やっと一枚、し せつ わをのばしながら出して来て、小さく折って次のような一節を読みはじめました。 はうせきぬす 「コスモ。ホリクン・ホテルの宝石盗み出さる えんかんこうふ 本月二十二日、鉛管工夫ジョン・ホーナー ( 二六 ) はモーカー伯爵夫人の宝石箱から青い紅 こうはんふ ぬす ゆっめい 玉として有名な宝石を盗み出した罪によって、公判に附された。 しようげん とうなんとうじっ じむちょう ホテルの事務長、ジイムズ・ライグーは次のように証言している。私は盗難の当日、ホー てつごうし けしようしつ ナーをモーカー伯爵夫人の化粧室につれてゆき、ゆるんでいた鉄格子の二ばんめの棒をはんだ きよく つみ はくしやくみじん こう 2