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検索対象: (財)日本自然保護協会資料集第35 NACS-J エコツーリズム・ガイドライン
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1. (財)日本自然保護協会資料集第35 NACS-J エコツーリズム・ガイドライン

本を読んだだけでは得られない現場の人た 諸国漫遊エコツアー⑦ ちの生の声や感触を知って理解を深めてもら そんな趣旨で開催されたこのツ 0 アーに Z<<0co ー—も協力し、同行する機会 これからのエコツアーを考える を得ましたので、ここで成果を報告したいと 思います・。 レーゼ一一ガタアザラシ・ ウォッチングッアーをふりかえって ツアー初日、空港に集合した参茄者は男性 月ー 七名、女性八名の計一五名。ほとんどが社会 人で、休日を利用しての参加でした。今回参 今 N 浅井利当 りません。たんに自然の中に出かけて行って加した理由を聞いてみましたが、半数以上の まず、これまで本誌で何度もくり返してい ることですが ( 0 ツアー」の考えかたに野生動物を見たり、素晴らしい景観を見たり人が、 ついて確認してみます。 するだけで環境に対する配慮が欠けていた「ふつうの観光ツアーと違って、野生動物の 九〇年代に入て急速に「エコツアー」とら、エコツアーどころか逆に新たな環境問題保護の問題についても知ることができると 思ったので」 いう一一 = ロ葉が広まってきましたが、今の段階でになってしまいます。 と答えていました。 はまだまだプ 1 ムとしての色合いが強く、理また、現在では旅行会社もエコツアーに関 想的な形で定着してきたといえる状況ではあ心を寄せ、海外に植林に行くツアー、海外の実際このツアーでは、地元で調査・研究を 大自然に触れるツアーなどのをしていま続けている「ゼニガタアザラシ研究グループ」 すが、国内の環境問題を扱うというエコツの指導で、ゼニガタアザラシの生態を学ぶば ) アーはまだ見当たりません。 かりでなく、アザラシと地一兀漁業との共存共 では、「自然環境に与える影響栄をめざして設立された「えりもシールクラ をできるだけ少なくし、自然に触れて、自然プ」の協力を得て、えりもの町とゼニガタア 環境について学ぶ」エコツアーをいくつか実ザラシをとりまく保護問題を積極的に取り上一 げました。 践しています。 先日九月一二日から一五日に北海道襟裳 「えりもシールクラブ」は、地元観光業者、 ( えりも ) 岬で行われた、第五回ゼニガタアザ漁業関係者、自然保護団体関係者がアザラシ ラシ・ウォッチングッアーでは、ゼニガタアとの共存のしかたをいっしょに考える集まり ザラシの生態観察とともに、周辺の森や川をとして、一九九〇年に設立され、調査研究活 訪ねました。また、アザラシの食害に悩む地動、啓蒙普及活動を行っています。現在会員 元漁師の方々との懇談会を通して、ゼニガタ数は約三〇名、漁業に携わる石川昭氏が会長 アザラシの保護問題を考え、環境全体を理解です。 しよ、つとい、つツアーになりました。 ツアーで設けられた地元の漁師の人たちと 7 自然保護 Nov. 1992 N 。 366

2. (財)日本自然保護協会資料集第35 NACS-J エコツーリズム・ガイドライン

もらう。参加者の口から自然に出るのが効果的だが、現実には気付かない人も 多いのでガイド、添乗員が参加者にヒントを与えることも必要である。 10. 参加者や地元からのツアーの評価をフィードバックする 旅行終了後、参加者や地元からのツアーの感想や意見を収集し、自己評価する。 ツアーという同じ時を過ごした人でも、とらえかたはさまざまであろうし、他 の人の意見や感想を知ることは大切である。また、地域の人々や自然保護団体 等が見てツアーがどう評価されたかを知り、次のツアーにフィードバックする ことが重要である。

3. (財)日本自然保護協会資料集第35 NACS-J エコツーリズム・ガイドライン

3 . 工コツーリズムガイドライン 3 ー 2 ) 旅行企画者 ( 旅行会社・企画団体等 ) および、 ツアーコンダクター ( 添乗員 ) のガイドライン 「自然に親しむ旅行」から「自然保護につながる旅行」にしてゆく目的意識 9 も 2 0 名以下なら、主催者の意図することも全員に伝わるのではないだろうか。 同士のふれあいを楽しむことができる。ツアーを通して環境教育をする場合で ことにより、エコツアー参加者は、自然や文化に触れるだけではなく、参加者 し、参加者同志のミーティングでも全員顔と名前を覚えることができる。この を 2 0 名以下とすることにより、ツアーガイドの声は全員に行き渡るであろう ような 3 0 名 ~ 4 0 名の団体は自然へのインパクトがかなり大きくなる。人数 デリケートな地域に入ることが多いエコツアーにおいては、従来の観光旅行の 4 . 団体旅行の場合は、募集人員 2 0 名以下を基本とする である。 に、地域に詳しい研究者や自然保護団体の意見を求め、その意見を尊重すべき 団体が気づかない重要事項や、注意を払わなければならないことが多い。事前 工コツアーには、旅行者が野生生物に与えるインパクトなど、旅行会社や企画 3 . 企画段階で、地域に詳しい研究者や自然保護団体の意見を取り入れる むのは控えるべきであろう。 優先させる地域や受け入れ体制がある程度整っていない場所へは、ツアーを組 工コツアーを意識して十分考慮されたツアーであっても、利用よりも保護を 方が良い場所もあるはずである。 あったツアーを組むようになっているが、自然保護上あえてツアーを組まない 自然の豊かな場所に好んで行く傾向がある。そのため旅行会社もそのニーズに 考える必要がある。昨今では従来の観光地巡りに飽きた人が、秘境といわれる 旅行会社・企画団体はまず工コツーリズムの対象としても良い場所かどうか、 2 . 工コツーリズムの受け入れ体制が整った目的地を選ぶ ツアーに同行させるようにしたい。 を持っと同時に自然保護に理解があり、環境教育ができる力をもったガイドを つ。旅行企画者は、企画団体から「自然保護につながる旅行」とする目的意識 社や企画団体 ) の自覚と添乗員や現地ガイドによる環境教育が重要な意味をも を育むような旅行にするにはどうしたらいいか。それには旅行企画者 ( 旅行会 「自然に親しむ旅行」から、参加者が旅行を通じて、「自然保護への気持ち」 を持つ

4. (財)日本自然保護協会資料集第35 NACS-J エコツーリズム・ガイドライン

旅行者が、生態系や地域文化に悪影響を及ぼすことなく、自然地域を理解 し、鑑賞し、楽しむことができるよう、環境に配慮した施設および環境教育 が提供され、地域の自然と文化の保護・地域経済に貢献することを目的とし ( 注 1 ) 5 ドラインおよび提言を以下にまとめた。 スト、企画者、ガイド、受け入れ側などの協力が必要であり ( 注 3 ) 、そのガイ れは単に旅行者の自覚や旅行業者の工夫だけで達成されるものではない。ツーリ 自然と文化の保護、地域経済に貢献する社会的しくみが作られることであり、 とは、このような形態の「エコツアー」が繰り返し行われることにより、地域の うことなく、適切な人数の参加によるツアー形式」をさす。「エコツーリズム」 べく、自然地域の中において、環境、自然 ( 景観 ) 、野生動植物、生態系を損な 生動植物、生態系を理解し、鑑賞し、加えてそれらに関する倫理観を向上させる ちなみに、「エコツアー」の定義とは、「参加者が、環境、自然 ( 景観 ) 、野 ばならない。工コツーリズムとは、それらの諸条件を含む全体像である。 護」、「旅行形態」を目指すためには周辺の諸条件が整えられ、実行されなけれ めに、また「環境に配慮した施設」、 「環境教育」、「地域の自然と文化の保 で述べている「悪影響を及ばさず」、「自然地域を理解し、鑑賞し、楽しむ」た ーリズム」が成立するための社会的条件が書かれている。つまり、この定義の中 は、まず ( 1 ) 「エコツアー」の形式が取り上げられ、続いて、 ( 2 ) 「エコツ 件、ツアーの効果、成果などを含む全体像を指すべきだと考えた。上記の定義に ツアーの形式だけをさすのではなく、 ( 2 ) ツアー形式とそれを支える周辺の条 どを広く指す。これについては異論がないが、 「ツーリズム」と呼ぶ場合、 ( 1 ) 「エコツアー」の「エコ」は、エコロジー、生態、環境、野生動植物、生態系な てそれぞれの定義と相互関係について検討した。 「エコツーリズム」あるいは 次に、「エコツーリズム」と「エコツアー」というよく似た 2 つの用語につい 護地域および観光の実態をよく反映したものであると考えたからである。 各国の政府、 N G O 関係者によってまとめられたものであり、この地域の自然保 なぜなら、この定義は、 N A C S ー J が議長団の一員として加わり、東アジア 考とした。 ジア国立公園保護地域会議ワークショップ ( 1993.9 ) における定義 ( 注 2 ) を参 ェコツーリズムの定義を考察する過程において、検討会の委員は、第 1 回東ア 2 . た旅行形態 工コツ リズムの定義

5. (財)日本自然保護協会資料集第35 NACS-J エコツーリズム・ガイドライン

5 . 参加者に事前のオリエンテーションを実施する ツアーの出発前 ( どうしても不可能である場合には、初日の宿での夕食後等 ) ツアーの主旨や内容を紹介する機会を設ける。特に地元の人たち、自然保 護関係者と懇談する時間を設けることが望ましい。ある地域に出かけて「見た、 感動した」で終わらず、考える場を設けることもエコツアーには必要である。 地元にはさまざまな立場の人間がいるので、多角的にその地域の自然や文化を 考える事もできる。 6 . 工コツーリズムの主旨を理解した添乗員を養成する 現地ガイドは現地のみ、しかも決められた時間での契約である場合が多い。集 合場所から解散場所まで宿泊や食事を含め、もっとも参加者に近い関係にいる のが添乗員であろう。それゆえに、エコツアーの添乗員はエコツーリズムの主 旨を理解し、参加者を啓蒙する立場にあるといえよう。添乗員は参加者に対し、 最低限のマナー〔「とって良いのは写真だけ、残して良いのは足跡だけ ( でき れば足跡も残さない ) 」また、喫煙者は携帯灰皿持参等〕を指導することも必 要である。添乗員はその地域の自然と文化に強い関心を持ち、『エコツアーの 添乗員』であることを自覚する必要がある。 7 . その地域の自然と文化を熟知した地元のガイドを手配する 旅行会社の添乗員が、全世界に均等に精通することは難しい。また添乗専門の 派遣会社の添乗員でも、これから開拓される「エコツアー」に関しては戸惑う 点も多いのではないだろうか。そこで「エコツアー」には添乗員以外に、その 地域の自然と文化を熟知した地元のガイドをつけることを原則としたい。プロ のツアーガイドのシステムがない場合は、地元で自然保護に携わっている人、 N G O の関係者をガイドとして起用してはどうだろう。できれば皆に分かり易 く、楽しく案内してくれる人が望ましい ( 工コツアーは調査・研究ばかりでは なく、旅行を楽しみながら自然保護を理解しよう、という参加者もいるはずだ から ) 。旅行会社は地域の自然、文化に精通したガイドが地元に育つよう協力 しなければならない。 8 . 地元経営の宿を選び、地元産のみやげを推奨する 地元への経済的メリットを考える必要がある。地元経営の宿を利用し、自然に 悪影響のない地元産の土産を参加者に薦める ( 添乗員が一言薦めた土産を参加 者は選ぶ傾向にある ) 9 . 地元の人々とのコミュニケーションをはかる 地元の人にも自然保護に関心をもってもらえるようにする。意識して「こ 自然が残っているから来たのです」と空港職員、駅員、タクシー運転手、土産 物屋、宿屋に説明する。そのことで、あえて大きな観光施設を作らなくても人 は来る、金も落ちると思ってもらい、地元の人に地元の自然の価値を見直して

6. (財)日本自然保護協会資料集第35 NACS-J エコツーリズム・ガイドライン

「 N A C S ー J 工コツーリズムガイドライン」 発行にあたって 最後に、このガイドライン作成のため助成金をいただいた PRO NATURA に 参考になれば幸いです。 いたしました。この資料集が自然保護を目的としたエコツーリズムを企画・実施する際の が 1 9 9 2 年にまとめた「国立公園と保護地域における観光推進ガイドライン」等を掲載 らをまとめたものです。また、資料として、 IUCN 、 UNEP と WTO( 世界観光機構 ) 場からエコツーリズムのガイドライン作成のための検討委員会を設けました。本書はそれ NACS ー J はこのような経験から、エコツーリズムの本来の目的である自然保護の立 えりも町のゼニガタアザラシウォッチングッアーへの協力などを推進してきました。 しました。この他にも、自然に親しむ宿ネイチャーイン (Nature lnn) 登録制度、北海道 ' 9 1 年はスイス・アルプス、 ' 9 2 年にはスリランカへのツアーを実施し、報告書を刊行 制度を視察し、日本の自然保護にフィードバックするために実施された研修ツアーで、 た。過去に 2 回実施した、プロナトゥーラ・エコツアーは、自然環境保全のための組織・ NACS ー J はこれまで、エコツーリズムに関するさまざまな取り組みを行ってきまし リズムの定義が出され、生態系への配慮、環境教育の提供などが唱えられています。 中国で開催された、第 1 回東アジア国立公園保護地域会議のワークショップではエコツー 1 9 9 3 年に 地元住民や観光客に対して環境教育の場を提供する、としています。また、 の保全資金を生み出す、②自然保護と同時に、地域社会の新たな経済手段を創り出す、③ ン」によると、エコツーリズムが従来の観光と異なる点として、①途上国の自然保護地域 I U C N ( 国際自然保護連合 ) がまとめた「国立公園と観光保護地域の開発ガイドライ どを起こしかねないものまでが「エコツアー」を名のる心配が出てきました。 目的地となった保護地域には何の利点ももたらさず、ゴミの問題や地域文化への悪影響な れば既成の観光ルートに飽きた旅行者にものめずらしい場所への旅行を提供するだけで、 ー」に関する明確な規定やガイドラインは日本にはありませんでした。そのため、ともす が数多く企画・実施されています。しかし、これまで国内はもとより海外への「エコツア ですが、昨今の環境保護プームを反映してか、新しい旅のスタイルとしての「エコツアー」 研究・探勝する」ツアーとされています。もともと欧米の環境教育の中から生まれたもの 工コツーリズムは、「環境に与える影響を最小限に抑えながら自然に触れ、自然環境を より御礼申し上げます。 1 9 9 4 年 8 月 1 日 財団法人日本自然保護協会会長 国際自然保護連合日本委員会委員長 沼田 眞

7. (財)日本自然保護協会資料集第35 NACS-J エコツーリズム・ガイドライン

今月の ZIPANGU 資源を有効に活用できる外貨獲得の有力な手容をよく把握し、自然を観察することを通し方法になっているかを判断するための、ガイ ドラインを作ることにあります。 て、「保護」と「利用」のバランスを考えるとい 段と考えているようです。 z 0 ー—では、九一年にヨーロッ うように、「楽しむだけ」から一歩進んだ意 具につなげるために アルプス、九二年にスリランカでエコ・ツー 識をもって参加することが必要です。 リズムに関する視察研修を行いました。工 エコ・ツーリズムを迎える国の方から、 日本にもエコツアーの コ・ツーリズムのガイドラインについては、 ろいろな悩みなどを聞きましたが、参加する ガイドラインを 現在検討中です。 側にも落とし穴があります。 それはエコ ( エコロジ↓と名づけられる現在、日本では、エコ・ツ 1 リズムに対す環境庁も、九一一年度に「エコ・ツーリズム に関する検討委員会」を設けました。そして ことによって " 自然保護に役立っツアー。でる明確なガイドライン ( 基当がないまま、 エコ・ツーリズムの定義や世界的な動向につ あると暗黙の了解が生まれ、ツア 1 に参加し新しい旅のスタイルとして自然保護をうたっ いて、九三年度から四〇〇万円の予算を計上 さえすれば自然保護につながるという印象をたツアーが、次々と企画されています。今後 エコ・ツーリズムを実施するために、日本人はして本格的に検討することになりました。 抱いてしま、つことです。 環境庁のガイドライン作りには、旅行者が 自然や野生動物を堪能するツア 1 は数も種どのような行動をとればよいのでしようか。 類も豊富になり、誰でも参加できます。日本九一一年に ( 国連環境計画 ) と訪れることで環境にどのような影響が出るの 国内でも、旅行代金の一部を環境対策に用い 0 ( 世界観光機構 ) は、— 0 z ( 国際自然かといった追跡調査、それぞれの地域の自然 るという寄付金つきのツア 1 が、昨年話題に保護連合の協力により、「 Guidelines 【 Devel- や文化に関する資料の整理など、多角的な見 なりました。例えば、日本交通公社グル 1 プ opment National pa 「歹 and protected 直しが必要です。いろいろな立場から十分に は「サファリツアー」の収益をアフリカ象国際 A 「 eas ま「 Tourism ( 国立公園と観光保護地検討されることを期待したいと思っています。 私自身、国内外を含めてさまざまな地域に 保護基金日本支部に寄付、近畿日本ツーリス域の開発ガイドライン ) 」を発表しました。 トはカンポジアの「アンコ 1 ル遺跡を訪ねるこの報告書ではエコ・ツ 1 リズムが従来の観仕事や旅行で滞在しました。その経験から、 訪問地の人のくらしと自然を尊重し、「そこ ツア 1 」を九一年度から実施し、アンコール光旅行と一線を画している点として、 ワット遺跡救済委員会に寄付するなどです。①途上国の自然保護地域の保全のための資金の自然や文化などについて学ぶ」ことは、エ コ・ツ 1 リズムの実施における基本姿勢と言 エコ・ツ 1 リズムの収入による経済的な保を生み出す 障は、国を潤し地域の自然保護につながると②目然を保護しながら、地域社会の新しい経えると思います。 また、エコ・ツーリズムが地域にどのよう いわれます。しかし注意すべき点は、観光収済手段を創り出す 益が本当にその国 ( 地域 ) で自然保護のため 3 地元住民や観光客に対して環境教育の場をな経済効果をもたらしているかなど、一度訪 れただけでは見えにくい部分を知るために、 に有効に用いられているかということです。提供する 「繰り返し同じ地域を訪れる」「地域の環境の とくに途上国は産業基盤をもたない国が多などをあげています。 今後、日本でエコ・ツーリズムを進めるう変化を知る」ことも、エコ・ツーリズムのガイ一 、観光開発に期待をかけていますから、「エ ドライン作りにあたって、注目してほしいと ①から 3 にあげた コ・ツーリズムのすすめ」が環境破壊の推進えで重要な点の一つには、 になりかねません。参加者はまずツアーの内成果が得られるよ、つな、ツアーの種類や運営咸ています。 ( はせがわたくこ・国際担当一 Mar. 19 男 N 。 . 引 0 自然保護

8. (財)日本自然保護協会資料集第35 NACS-J エコツーリズム・ガイドライン

「これは大島でとれたんですよ。うちは漁 諸国漫遊エコツアー⑥伊豆大島 師ですからネ。うちの人がとってきて、それ をさばいてお出ししてるんです」 0 〃自然に近い〃のが ああよかった。友人によると、地元の人で にぎわっているような小さなお店はみんな大 島産の魚を使っているという。 < ・ , 工ュロジカル、かな 8 月 X 日 有川美紀子 月ー 今日も友人につき合ってもらって島の観光 毎月のように伊豆大島へ遊びに行く私に、 いよ」としか一言わなかったが、宿に着いて若巡りをした。『サンセットパームライン』と 今 N いう名前がついている海岸沿いの道を走る。 志村編集長が言った。「エコツアーという = = 〔奥さんに話を聞くと「うちでは農薬のついた 葉があ刀ま分普通の人が普通に旅したと野菜を出したくな〔ので、自家菜園を作 0 て左側に海と伊豆半島、そして富士山、右側に きに、どのくらいの割合で地元の経済に貢献無農薬野菜を出しているの」とのこと。なか山という見晴らしのいい道で、異常に短い間 できるんでようね。コツアーには、自殀 なかよい選択だったと思う。大島には民宿が隔でヤシの木が植えてある。道の始めではヤ を知るという要素のほかに、地元に利益をも一一〇軒余り、ペンションが数軒、旅館や中シも元気で「ウワア、ハワイみたい」なんて たらすという要素もありますし。それ、今度型ホテルが三〇軒余りあるけれど、やはり、言っていたが、北に行くに従って、ヤシの葉 の旅行で調べてみません ? 」。なるほど、と地元の人のお家にお邪魔しているような、民が全部落ちて、茶色い電信柱みたいになって いる風景を目にしてビックリしてしまった。 思った私は、いつもとちょっと違った旅をし宿のほうが落ち着く。そのほうが、お金も直 友人は「このヤシの木、一本一〇万円するん に、大島へ旅立っことになった。 接島に落ちると思う。 だって。でも、大島の気候に合わなくてこん 友人が迎えに来てくれて、島を案内してく 8 月 X 日 れる。いくつかの観光名所を回ったあと、昼なになっちゃうのよネ。町では観光客のため にきれいにしたつもりなんだけど、私たちの 午前九時、島に着いた。プロペラ機の食をとることになった。友人は元町港の近く Ⅱは今日は揺れずに着陸した。東京ー大島間 の魚料理の店に連れて行ってくれた。私は刺税金がこの立ち枯れの木だと思うと腹が立っ の空路はエアー・ニッポンが日に三便飛ばす身定食を注文する。おいしい / シコシコしわ」と、つぶやいた。観光客の側からしても、 と、新中央航空の九人乗りセスナ機がているし、一〇〇〇円でトコプシやカンパチわざわざこんな木を植えなくても海沿いの道 でも、これはそれだけできれいなのに、と思える。島に ある。は ' 伊豆諸島の三つの島々に飛の刺身が食べられるなんて・ : んでいるが、羽根が長く、滑走路も短く、高は本当に大島でとれた魚なんだろうか。実は、来る前にお会いした『大島の自然を守る会」 度も低く、 " 元祖飛行機。という感じがして海の向こうの伊豆半島の港から運ばれてきたのさんも、「あの道のところは昔、野草が 私は好きだ。ちょっと揺れるのがイヤだけど。のでは ? もっと考えると、南米とかアジア茂っていて、季節には花がじゅうたんのよう に咲いたものです。その景色を残したほうが、 まず、宿を決める。島には友人がいるのだのどっかから輸入されたものではないのか ? よっほど大島らしいのにね」とおっしやって が、彼らに聞いて、北部にあるという民宿そこでおばさんに聞いてみる。 いたのを思い出した。 に泊まることにした。友人は「ご飯がおいし 「この魚はどこの魚ですか ? 」 ①島の中西部から北に延びるサン セットパームラインは美しいが、 どこか人工的だ。 自然保護 0c い 992 N 。 .565

9. (財)日本自然保護協会資料集第35 NACS-J エコツーリズム・ガイドライン

今月の ZIPANGU 観察会はネイチャー・インの サービスのひとつ。 マ地元のガイドによる案内もエコ ツアーには。地元の人しかわ からない、危険な場所や自然への 配慮もいつばいある。土戓活性化 にもなる。 日光のボランティアの斉藤日出世さんは、地土地のものを最優先で仕入れます。有機農法一護 然 元で、自然写真の個展を開いたりしている方で自然乾燥米の「あきたこまち」や、地元の一 自 です。そして「どんな美しい自然の写真でも、名物料理、山の芋鍋の山芋など、親しい地元 自然をいためつけて撮影した写真は美しくなの農家から安心な食料を卸してもらっていま い」「心から美しいと思える写真を撮り続けす。地元の自然の恵みであるキノコ、山菜な一 どの天然物は、秋田ならではの最高のものが たい」と語っていたのが印象的でした。 手に入ります。でも、一番大切なのは心を込 一・エコツアーの醍醐味は 仕事柄、旅行者が旅行から帰ってきた時のめて料理することだという気がします。 自然の中に建っている私のロッジでは、街 満足感とは、いったい何なのかを考えます。 私は、どれだけその土地の人や食べ物、風景の中の家よりもずっと環境に気を配らなくて一、 はなりません。 などに深く接触できたか、深く理解したかが 満足感につながるのではないかと思っていま空き缶を減らすため、自動販売機を置くの す。とくに、その土地の人との交流が重要なをやめにして、引き取り方式のコーラ、ジュー 位置を占めるのではないでしようか。そしてス、ビールの瓶のみに変えました。それでも じっくりと旅行地を見るには「歩く」というお客さんが飲み物類を持ち込むので、掃除を すると空き缶がけっこう出ます。 要素が必要だと思います。 エコツアーは物見遊山的な旅行とは一線を下水処理場などない所ですので、調理場の「 画した意識をもつべきだと思います。大げさ流しの排水口には一番目の細かい網を設置 な言い方かもしれませんが、自分の心を高めし、油類はとくに神経を使って処理していま す。そして私のロッジのようなちつほけな宿 ゼる旅であってほしいと田」います。 泊施設でも、地域全体の排水と一緒にして処 1 ■エコツアーの受け皿づくり そうい、つエコツアーの醍醐味を、お客さん理する合併浄化槽を設置できるように、地元 に堪能してもらうためにはどうしたらよいの自治体に相談に行きたいと思っています。 また、残飯類処理のため、春から近くにコ か、私はロッジの改善を続けています。せつ かくの景観を損ねないよう、建物の壁と屋根ンポストを何台か設置できるように話を進め ています。 した。そのとき日光のボランティアの方たちを、自然の中で違和感のない焦げ茶色にし、 「自然を楽しんでもらうための施設が、じ 窓枠だけ白にしました。自然の中で目立たず、 の案内で、カメラマンの踏みつけによって問 題が起きている場所など、観光バンフレットお客さんにはどう目立たせるか ? この問題つは自然を一番傷つけている」と一言われない では気づかないような所も見てきました。そは、外壁にプランターを固定し、花を目の位よう、いつも自然環境に心配りをもち続けた いと思っています。 してここでも、心ない写真撮りとタバコのポ置より高い位置に置くことで解決しました。 ( やまおかはじめ・「ロッジ山の詩」経営 ) またお客さんに出している料理の材料は、 イ捨てが悩みの種であることを知りました。

10. (財)日本自然保護協会資料集第35 NACS-J エコツーリズム・ガイドライン

らの動物が死ぬより生きているほうが ずっと価値があることは明白である。保護地域での さらに、公園が集約農業に使われたとエコツーリズムの計画づくり すると同じく〇・八ドルにしかならな 世界中のどの国の政府も、自国の保 いが、公園が観光目的に使用されれば 年間一ヘクタールあたり四〇ドルの収護地域のために適切な管理計画をたて 入を得る計算になる。 なければならない。この管理計画には、 保護地域のあらゆる観光活動を調整す エコツーリズムが国の政策の中で高る明確なガイドラインと規制を盛り込 い優先権をもち、それが発展途上国なむべきである。また、保護地域での観 ら、観光事業を行う保護地域の付近及光やエコツーリズムという事象を包括 びそこに住む住民を含んでかなりの労した計画づくりの必要性もある。 力がつぎ込まれることになるだろう。 この計画づくりには、さまざまな部 普通こういう地域の住民は、能率の低門 ーーー政府、個人企業、地方住民と組 い経済手段しかもたず、非常に生活水織、自然保護 zoo 、国際機関など 準が低いのが特徴であるが、こういう を効果的、積極的に取り人れなけ 人々にとって、新しいしつかりとした ればいけない。国の観光会議の中で旅 経済手段となりうる。また、住民たち行・ホテル・レストランの業者、また、 が、その自然地域の最適な管理人となエコツーリズム活動にたずさわるその り保全者となり得る利点も含んでい 他のサービス投資家たちを奨励するの る。だから、彼らの暮らしは、そこのである。入場料、売店、寄付を奨励す 環境がどれくらい自然のままに保護さるなどエコツーリズムの財源確保のた れているかに大きく依存するといえめの適切な方法も取り人れなければな る。時に土地の住民は、生まれ育ったらない。エコツーリズムの計画づくり 土地 ( 景色、植物、動物 ) の自然に関の方法論には、道路、トレイル、輸送 して、祖先から受け継いだ重要で実用機関、ホテル、公園の維持と監視、マー 的な知識を持ち合わせている。だから、ケティングなどの要素も考慮されなけ これまでのリゾートホ 彼らはある程度のトレーニングを積んればならない。 で容易に正式な自然ガイドになりうるテルに対して、エコツーリズムセン のだ。多くの場合、地方の社会組織は、 ターの概念が推進されるべきである。 適切な管理トレーニングをうけた上このセンターには、旅行者に対してオ で、公園の観光サービスについての特リエンテーションをする自然解説セン 許事業者となり得るのである。 ターが含まれるべきである。 NACS-J の企画による 海外へのエコ・ツアー始まる ! NACS-J では、 1990 年度から PRO NATURA ( プロ ナトウーラ ) から受けた基金をもとに、全国の自然保護 ' ミミ、 = 豊、 活動および研究グループに助成する TPRO NATURA FUNDJ (). N. ファンド ) を設け、自然保護の科学的基 礎を明らかにし、国際的理解に沿った具体的な保全計画 : 、 を進めています。そしてこのたび、 PRONATURA と 共に世界の自然環境に関する研修の機会を専門家と関係 者に提供する「 PRO NATURA 工コ・ツアー」を企画 しました。工コ・ツアーは、 1991 年度から原則として毎 年 1 囘世界の自然環境保全のためのすくれた組織・制度一、 を視察し、日本の自然保護にフィードバックするための 研究・研修ツアーです。このツアーを行ってゆく中で、 工コツーリズム本来の姿を具体化し、公募や一般応募の 形式もとり人れた日本におけるエコツーリズムのスタン ダード作りもめざしたいと考えています。 第 1 回目の研修グループ作りにあたっては、ツアーの 主旨とテーマにあわせて、ふさわしいと思われる方々に 対してご案内状をお送りし、参加可能な方々によって研 修グループを構成する予定です。また、少人数のために コスト高になることから、今回は企画主催者より参加費 の半額を助成します。 今年度は、第 1 囘目としてヨーロッパアルプス高山帯 の自然保護区と国立公園体系・利用施設などの現状を視 察・研究し、スイスでは IUCN や WWF 本部への訪問も 予定しています。 期間 : 1991 年 9 月 11 日 ( 水 ) ~ 22 日 ( 日 ) 11 泊 12 日 参加人員 : 20 名 対象者 : 自然保護団体、動植物専門家・研究者、自然 公園施設管理者、山小屋経営者、報道関係者 自然保護 3 写真提供スイス政府観光局 1991.8. No. 351