わが国グ OO< には 1 どんな問題がありますか ? 0 (OfficiaI DeveIopment Assistance) とは、政府などが途上国の開発援助および 福祉の向上を目的としておこなう援助のことです。海外経済協力には、 OOLæ(Other OfficiaI FIows) 、 (Private FIows) などもありますが、 OQ< がその中心です。 日本は、アメリカと並ぶ援助大国となっていますが、六五 5 七〇 % は、インドネシ ア、インド、タイ、フィリピンなどの東南アジア諸国に向けられ、技術協力や無償資 金にくらべ政府貸付 ( 借款といわれている ) が六〇 % 近くになっています。 日本の O は、フィリピンのレイテ島開発、インドネシアのアサハン・プロジェ クト、タイの東部臨海開発などの例で、日本でも新聞紙上をにぎわして間題となって います。 もともと、途上国が産業開発をおこなうときには、まず、港湾、道路、発電所、ダ ムなどの産業基盤の整備をしなければなりません。日本のは、そうした産業基 盤整備のために供されます。しかし、基盤整備がおわって工業が操業される段階に なると、日本の大企業が現地法人をつくって事業活動をはじめるのです。 ・参考文献、日弁連『日本の公害輸 基盤整備事業のなかで、原住民は居住地を追いだされ、熱帯雨林や野生生物保護区、 出と環境破壊』 ( 日本評論社、一九九 文化遺産が破壊され、環境保全のうえでも深刻な間題があいついで起きているのです。 0 4
世界の環境法の動向 1 世界各国の主な環境基本法 アメリカ カナダ オランダ ポーランド タイ フィリピン インドネシア 韓国 中国 国家環境政策法 (NEPA) 環境保護法 一般環境法 総合環境法 環境保護及び保全法 国家環境質改善保全法 大統領令 環境管理基本法 環境保護法 環境政策基本法 環境保護法 1969 年 1990 年 1990 年 1979 年 1980 年 1978 年 1978 年 1987 年 1979 年 1990 年 1989 年 2 環境アセスメントに関する世界各国の主な法規 アメリカ カナダ 欧州共同体 イギリス ドイツ フランス オランダ スペイン タイ フィリピン インドネシア 韓国 中国 国家環境政策法 (NEPA) 環境アセスメント法 理事会指令 都市農村計画法 環境アセスメント法 環境影響調査基本法 総合環境法 環境影響評価に関する政令 国家環境質改善保全法 大統領令 環境管理基本法 環境保護法 環境政策基本法 環境保護法 1969 年 1992 年 1985 年 1988 年 1990 年 1976 年 1987 年改正 1986 年 1978 年 1978 年 1987 年 1979 年 1990 年 1989 年 62
そして、開発事業がどんどん進んでも、現地の住民には恩恵がないという状況も生ま・公害・地球環境年表 18 8 -4 年 れています。 ・愛知県新居で住友鉱業によ 「誰のための何のための O < か . と非難される理由の根本には、こうした O の る煙害 18 9 、 0 年 基本的な仕組みがあるのです。 ・足尾鉱毒事件 ・・アンダ弁護士 ( フィリピン ) は、「フィリピンは、 0 の三大受取り国の 1 10 年 一つ。日本の援助は、日本の経済政策の一環としておこなわれているのではないか」 ・岐阜県神岡町三井鉱山で煙 と述べています。 一 1 9 、 LO -4 年 O << の間題は、援助される途上国にも間題がないわけではありませんが、主とし ・第五福竜丸、死の灰事件 て援助する日本の側に大きな間題がある、援助する側の日本の国民が間いかけられて 1 、 - 一年 ・イタイイタイ病 田題ご、ということを考えてみる必要があります。 ・森永砒素ミルク事件 日本の O << は、 0 に関する基本法のないまま、「霧の中」でおこなわれていま ・この頃からスモン患者散発 す。援助の理念、目的、手続がまったく不明確なままなされており、国会でも外交上 川崎市で住民団体「川崎市 煤煙対策協議会」を結成 の秘密などを理由にして資料が公開されていないのです。 年 外務省は、一九八一一年から「経済協力評価報告書」を出すようにしてはいますが ・水俣病公式発見 在外公館からの報告で、事後評価としての客観性はなく、まして現地住民の意見が盛 1q0 - 、年 ・四日市市で気管支喘息の患 りこまれることなどはないのです。 者急増 真の海外援助をおこなうためには、の理念、目的、手続を定めた基本法が必 ・東邦亜鉛安中製錬所で煙害 要であり、同時に、や日本企業の現地法人による事業について、地球環境保全 19 、 1 年 ・サリドマイド事件 の立場から、環境アセスメントの義務づけなどが必要なのです。 4
また、一定の経済力を備えた日本が、途上国が貧困と環境間題でかかえている諸困 難について積極的に援助の手をさしのべ、全地球的視野にたって対処することが必要 です。そのためには、「環境基本法」のなかに国民参加の制度を保証することも重要で す。 化石燃料の燃焼時に、窒素酸化物が空気中に放出されます。大都市とその周辺では、 ・成層圏オゾン 自動車排ガスによる二酸化窒素 ( z 0 2 ) 汚染が深刻な状態になっています。 地上から二五キロメートルを中心 現在世界で、五億台の自動車がをまき散らして、地球の大気を汚しています 一五、五〇キロの高さにオゾン がたくさんあります。オゾンは太陽 が、今後中国やインドなどの人口の多い国々が先進国並の比率で自動車をもつように からの紫外線によって、酸素分子が なると、地球上の窒素酸化物汚染は並々ならないものになります。まず、先進国が車二個の酸素原子と結合して、オゾン が生成されます。二五キロより高い 依存の生活をやめて、ほかの交通手段に切り替えていく必要があります。そのために ところに行くにしたがって、酸素が 少なくなり、オゾンの生成も少なく は、窒素酸化物汚染の実態とその健康への影響を多くの国民が知る必要があります。 なります。また、それより地上に近 私たちが何気なく使っているティッシュべ ーも、原材料は熟帯の木材を伐採し づくと、やはりオゾンの生成が少な くなります て作られているのです。日本は熟帯の森林を次々と切り倒し、ちょうど、カイコが桑 ・地球温暖化 二酸化炭素ガスやフロンガス、メ の葉を食べるように、フィリピンの山を裸にし、インドネシア、マレーシア、タイの タンガスなど太陽光線を素通しして、 諸国の森林を破壊してきました。熟帯ばかりでなく、世界各地の森林を保全して、そ 地球表面を暖めます。一方、地球表 面からは絶えず赤外線の形で、熟が こに住む多様な生物を保護することが二一世紀に人類がこの地球上に生き残るために 宇宙へ向かって、放出されています。 必要不可欠なことです。さらに、今までのように、公害を垂れ流しにする工場を海外 二酸化炭素などの温室効果ガスはこ の赤外線を吸収する性質を持ってい に作ることを止めさせるためにも、「環境基本法」に住民本位の環境アセスメント法を ますから、温室効果ガスが増えれば、 5 大気の温度は上昇します。 明記させることが求められています。