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検索対象: 楽しい昆虫採集
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1. 楽しい昆虫採集

品されたしというナポレオン三世治下のフランスからの要望に応えることにな って、急遽田中青年に命が下ったもので、彼は五人のお供をつれて、江戸郊外 から常陸、上総、下総、武蔵、相模などをめぐり、「虫捕御用ーをつとめたの である。そのときの採集用具も、漁師の用いる「さで網 , であった。しかし、 目の粗い強い網で蝶を捕るのは大変で、小さなシジミチョウなど、網を強く振 ればそれだけで翅が破れてしまう。 近代的昆虫採集がはじまったのは、十八世紀後半の西欧においてであるが、 たとえば一七六六年に出た『オーレリアン』 ( 蝶蛾趣味の人 ) という本の扉に TAURERIAN 』より 十八世紀の両手で使う捕虫網。 昆虫採集は、貴族の趣味であ った

2. 楽しい昆虫採集

ないという長所もあり、志賀製は先が鋭く、展 翅その他の標本作製の際に好んで使われる。人 針 頭 気のある有頭針の特徴は次の通りである。 無 志賀有頭針ステンレス製。やや小さ目の頭賀ら 志か 、左 は針と一体になっており、取れることはな 。優秀な国産品。 種賀バ カールスパート針伝統ある西ドイツ製有頭各志ス 針。針の性能は柔軟性があってきわめて優昆玉力 秀である。頭は大きめで扱いやすい。唯一 の欠点は頭がとれやすいことである。 オーストリア針通称ナイロンヘッド。頭は 大きく扱いやすいので標本を大量に扱う人 に好まれる。針は各号数ともやや太めであ るが、柔軟性もあり、頭も取れにくい。 針の号数どの昆虫に何号の針を使うかは人 によって好みがあるが、最近は昔に比べて全体 にやや細目の針を使う傾向にある。大体の目安 は表の通りである。 針の号数 00 号メイガなど小蛾類、小型のシジミチョウ類 0 号シジミチョウ類、小蛾類 1 号ゼフィルス類、小型シロチョウ 2 号モンシロチョウ、ギフチョウ、中型タテハチョウ 3 号アゲハ類、大型タテハ類 4 号オオムラサキ早 5 号ヤママュなど大型蛾 6 号これ以上はほとんど必要ない 234

3. 楽しい昆虫採集

いるところである。著者らは、あまりに特殊なことを除いて、知るかぎりのコ ツ、秘伝を、本書に記したつもりである。 たとえば蝶の翅の修理法、タマムシのように鞘翅の固い甲虫に針を刺す方法、 夜間採集において、適当な立木等がないときに白布を張る方法等、いずれも一 度人から教えられれば何でもないコツであっても、すべてのコッというものが そうであるように、ひとりではなかなか気がっかないことばかりである。こう いうことでも、教えてもらうためには数年間標本商に奉公するか、十数年も、 ひとりでたくさんの標本を破壊したり、指先を針で刺したりして、血のにじむ 苦労の末に体得するようなことである。人に教わることの大嫌いな、傷つきや すくプライドの高い虫屋諸氏に本書を贈りたいと思う。自分で買ってひとりで こっそり読んでいただきたい。

4. 楽しい昆虫採集

本を憎んでいて、まず「虫関係の方、今後一切お断り . というハガキを出し、 かたくなに門を閉ざしてしまう人もある。コレクションはむろんヒョーホンム シの栄養になる。 欧米の場合は、遺族がわりあい平気で標本を売り払うけれど、その点日本人 は生物の標本を商品化することにためらいを感じるようである。博物館が貧弱 な現状では、競売にでもかけて、一番欲しがり、一番大切にする人に引き取ら せるのが保存のための最良の方法のようにも思えるけれど、なかなかそう合理 もっとも書画骨董となれば遺族も目の色を変えて取りあいを 的には運ばない。 するのだから、単に博物標本の値打を知らないだけの話なのかも知れないが。 それとも、円高のおかげで大量に日本に流人した標本が、天災か何かでいっ ペん綺麗に焼けてしまえば、次の世代が、また新鮮な気持で蒐集を再開するか も知れない

5. 楽しい昆虫採集

人はなせ虫を捕るか 奥奕三郎 第 1 章

6. 楽しい昆虫採集

自分で作るほうが安上がりだし楽しい。折り方長期の採集旅行の場合は三角紙をたくさん用 は図の通りである。折りあがった三角紙は厚い意し、毎日採集品を整理する。データ記載のた 本の間に挟んで押しをして、折り目をしつかりめには、濡れても消えない油性のポールペンや フェルトペンがよい 。また日付スタンプ、スタ つける。 ンプ台を持って行くと便利である。 日帰りの採集の場合は、採集品を入れやすい 大型三角紙を必要なだけ用意する。採集品をす ◆三角ケース ぐに標本にせす、しばらく保管する場合は、日 三角紙を人れるケースで、金属製のものと革 付・採集地などのデータを記したちょうどよい 大きさの三角紙に入れ替える。チョウの入れ方製のものとがある。通常の採集ではどちらでも は、前翅前縁と触角が三角紙の底辺 ( 斜辺 ) に大差はないが、採卵用の母チョウやトンポなど、 いくようにする ( ↓頁、ガの図参照 ) 。この生かしておく必要のあるものを入れるには、革 触角の保護の製のもののほうがよい 入れ方が、チョウが動きにくく、 三角ケースは大型が使いやすい。特大のもの ためによい。 整理した三角紙標本は完全に乾燥 するまでは、通気性のよい箱 ( デスクトレーなは海外の大型種を採集するためのものである。 ど ) に防虫剤とともに人れて保管する。生乾きピンセットを入れられるものや、殺虫管を取り のものを密封容器に入れておくと、カビが生え付けられるものもある。大量の収穫があった場 たり、腐敗したりすることがあるので注意が必合、三角ケースにあまり詰め込むと標本が壊れ るので、別に箱を持ち歩いて、随時人れ替える 要である。 224

7. 楽しい昆虫採集

夕方、オサムシの出没しそうな所にピッケルし酢を用いればこの被害は少ないそうである。 ( スコップでもよいが、ピッケルのほうが作業たくさん虫が人ったコップには、何度も入る が楽である ) で穴を掘って、コップを口が地面可能性があるので、カルピス液その他の誘引物 と同じ高さになるくらいに埋めて、そこへ薄めを補充してそのままにしておくとよい 回収した虫はよく洗って二—三日陰干しをし たカルピス等の乳酸菌飲料を少々 ( 底に 1 てからタトウに人れて整形する。生きている虫 位 ) 注ぎ込む。翌朝、虫を入れる容器、ビニー も、できれば洗って数時間たってから毒ビンに ル袋と毒ビンとピンセットを持って仕掛けたコ ップを見回り、コップの中の虫を回収する。死入れるとよい んでいるのはビニール袋に、元気のいいのは別旅行先などでコップが手に入らないとか、足 りなくなったときには、穴を掘ってその中にカ ーを入れたビニール の、草やティシューベー ルピス液その他の誘引物をしませた脱脂綿を人 袋に入れる。 オサムシの出没しそうな所は、たとえば林縁、れ、フキなどの大きな葉をかぶせておくだけで 林道の両側、野原や畑の端、ごみ ( 生ごみ ) 捨も採ることができる。 オサ拾い山地の舗装道路の縁の字溝を見 場の周りなどである。 キツネ、タヌキ、アナグマ等にコップが掘りて歩くと、そこに落ち込んで出られなくなった 出されてしまうことがあるが、こんな場合はカオサムシを労せす採集することができる。あま りたくさんの収穫は見込めないが、思いかけな ルピス液の中に一味トウガラシを混ぜておくと、 い珍品がとれることもある。とくに多いところ ある程度防ぐことができるようである。粉末す リ 7

8. 楽しい昆虫採集

る。水棲昆虫を掬う網は、捕虫網よりも底の浅 ◆その他の甲虫 、水切りの良いものを自分でつくるとよい 灯火にも飛来する。 ◎ハンミョウ類 ( 二十三種 ) ◎エンマムシ類 ( 約八十種 ) 、シデムシ類 「道おしえ」とも呼ばれるハンミョウは、草の 少ない地面、砂礫地、路上、山道、河原、海岸 ( 約三十五種 ) 、 ( ネカクシ類 ( 約千五百種 ) 等 腐敗物やそこに集まるハエなどの幼虫を好み、 などにいて、人の気配を感じると飛び立って、 = 一—四先に止まり、近付くと、まるで道案内ごみ捨て場や動物の死骸によく集まる。シデム をするかのようにまた飛び立「て前方に止まる。シ類はオサトラップの要領で、中に腐肉を人れ 捕虫網で飛び立「た瞬間掬い捕るか、地面に止ておくとたくさん採れる。これらの虫は直接毒 ビンに人れずに、おが屑などを入れた別の容器 まっているところを上からかぶせて捕る。 ◎ゲンゴロウ類 ( 約百種 ) 、ミズスマシ類に採取して、しばらく生かしておいてから殺す とよい。エンマムシ、ハネカクシ類の中には、 ( 十三種 ) 、ガムシ類 ( 約八十五種 ) 等 小川などに棲キノコや朽ち木に集まるものもある。また河原 これらの水棲昆虫は、池、沼、 息するが、最近は農薬の影響で非常に少なくなや山林野の石の下にも潜んでいるので、石起こ ってしまった。なるべく農薬の影響の少ない生し採集もよい ◎オオキノコムシ類 ( 約百種 ) 、テントウダ 日の流れ 息地を見つけることが先決である。小 , の澱みや池や沼に、魚のアラなどをひもをつけマシ類 ( 四十二種 ) 、ゴミムシダマシ類 ( 約二 たネットに入れて放り込んでおくと集まって来百種 ) 、デオキノコムシ類 ( 約六十種 ) 等 139

9. 楽しい昆虫採集

関東・中部地方産の厳選した四十三種の蝶のにいたるまで非常に詳しく親切な案内書で、同 解説とその採集地案内。東京に住んでいる人な地へ採集に行く人には大いに役立つであろう。 らば、日帰りか、遠くても一泊すれば行ける所◎『ギフチョウか所めぐり』蝶研出版編集 ばかり、生態写真の撮り方、その他の資料が付部蝶研出版四八〇〇円 いている。 題名の通り、ギフチョウだけの詳細な採集地 ◎『信州の昆虫』松本むしの会編 ( 一九八案内である。五万分の一の地図と産地の拡大図 一 l) 松本むしの会一八〇〇円 が付いている。この本のみに頼っていると、シ 「採集地案内」ではなく、「観察地案内」と銘ーズンには多くの採集家が鉢合わせすることに 打たれているせいか、それぞれの地方に分布すなろう。 る昆虫が大まかに述べられているだけで、いわ ◎『新しい昆虫採集案内』 、Ⅲ京浜昆 ゆる生息地のポイントは示されていないが、自虫同好会編 ( 一九七一—一九七三 ) 内田老鶴圃 力で新たなポイントを探したい人には参考にな新社各巻一六〇〇円 る。編者の狙いもその辺にあるのであろう。 二十年前の昆虫採集の全盛時代に、専門家や 「昆虫採集と関連法令」と「長野県産蝶類分布ヴェテランのアマチュアたちによって書かれた 表」が付いている。 すばらしい案内書であるが、残念ながら採集地 ◎『沖縄八重山蝶採集ガイド』蝶研出版編集の情報が古すぎて現状と合わなくなってしまっ 部 ( 一九八五 ) 蝶研出版二九〇〇円 たところか多い。これは、ここ十数年間にいゝ 採集地の地図はもちろん、交通や食事や宿泊に観光開発や宅地開発が進み、いかに自然環境 160

10. 楽しい昆虫採集

めてもよいし、また、展翅テープの端を二、 = 一⑥羽の付け根の位置がちょうど展翅板の高さと 度折り畳んで強くして、そこを数本の留め針で一致するように調節してから、テープをもちあ げて羽をテープと展翅板の間に人れ、テープを 留めてもよい ) 。 ④右利きの人は展翅するチョウの胴体を左手の押さえる。このとき、展翅板の板の表面と、チ 親指と人差し指でもち、右手に昆虫針をも「て、ヨウの羽と、テープとがびったり隙間なく重な チョウの羽に息を吹きかけて開かせてから、胸っている状態がよい ( 写真⑤ ) 。 部背面の真ん中から、針を体軸に対して直角に、⑦有柄針または先の鋭い昆虫針で片側 ( 右利き の人は左側から始めたほうがやりやすい ) の前 垂直に刺す ( 写真④ ) 。針はほば前脚と中脚の間 あたりに出てくる。チョウの胴体を針の上部一一一翅の付け根の太い翅脈を引っ掛けて少しずつ上 分の一位まで引き上げて、針がどの面から見て方へ引き上げていく ( 写真④ ) 。このとき左手は も垂直にな「ているかどうかを確かめ、もし傾テープを引「張るように押さえているが、羽が 明う いていたら刺し直す。この針の刺し具合が非常 す 繚儲 を プを に重要で、これがうまくいっていれば、以下の 一羽 テで 操作が非常にやり易くなる。 し用 ⑤チョウの胴体が展翅板の溝の中央にはまるよ 刺使 うに針をベフ板に対して直角に、垂直に刺す。」、・ 垂テ き ( を翅 立ロ このときも針は縦から見ても横から見ても垂直 針展 胸 でなければならない