めとして、北方系・山地性のチョウの好採集地マシジミが御代田町で採集禁止になっている。 がたくさんある。中でも山地の多い長野県、山 山梨県の一部の地域でミャマシロチョウ、ク 梨県等に好採集地が多い。 モマツマキチョウ、キマダラルリッパメが採集 長野県ではミャマモンキチョウ、ミャマシロ 禁止。 チョウ、クモマツマキチョウ、タカネヒカゲ、 新潟県糸魚川市小滝のヒメギフチョウとクモ べニヒカゲ、クモマべニヒカゲ、オオイチモン マツマキチョウが採集禁止。 ジ、コヒオドシ、タカネキマダラセセリ、ヤリ 富山県のクモマツマキチョウが全域で採集禁 ガタケシジミの一〇種が県の条例で地域を定め止。 す採集が禁止されている。またギフチョウが白静岡県では引佐町でギフチョウが採集禁止。 馬村、飯山市黒岩山、飯田市で、ヒメギフチョ 岐阜県谷汲村のギフチョウと、上石津町のキ ウが白馬村、山ノ内町、飯山市黒岩山で、アサ リシマミドリシジミ、ヒサマッミドリシジミが 採集禁止。 ヒロオビミドリ 近畿地方特産種はいない。 シジミ、キリシマミドリシジミ、キマダラルリ ツバメ、クロシジミなどの好採集地がある。紀 伊半島はナガサキアゲハ ミカドアゲハイシ ガケチョウ、タイワンツバメシジミ、ヤクシマ ルリシジミなど南方系の蝶の北・東限地である。 イシガケチョウま早 102

スジチョウ、ツマジロウラジャノメ、アサマシ が禁止されているものが北海道では普通種で、 採集できるというものもある。たとえば、コヒジミ、ツバメシジミなどは本州産のものとはか オドシやオオイチモンジやべニヒカゲ等は長野なり違った変異を示しているので、北海道へ行 県では高山蝶として採集が禁止されているが、 った折には特産種とともに採集してくるとよい ウスパキチョウ、アサヒヒョウモン、ダイセ 北海道では採集することができる。とくにコヒ ッタカネヒカゲ、カラフトルリシジミ、ヒメチ オドシは北海道ではいたるところにごく普通に ヤマダラセセリの五種は国の天然記念物に指定 産し、個体数も非常に多い。 カバイロシジミ、チャマダラセセリ等は本州されており、採集が禁止されている。 では産地が非常に局所的で採集しにくいが、」 東北地方ヒメギフチョウ、ゼフィルス類、 キマダラルリッパメ、キべリタテハなどの好採 海道ではわりと容易に採集することができる。 北海道産のヒメギフチョウ、コミスジ、フタ集地がある。知られていない好採集地もまだた くさんあると思われる。 ジャコウアゲハ、クロアゲハ、アオスジアゲ スミナガシ、ムラサキシジミ、キマダラル リッパメ、アオバセセリなど暖地性のチョウの 分布の北限地。 岩手県の幾つかの市町村でチョウセンアカシ ジミの採集が禁止されている。 コヒオドシ表と裏 100

蛹も、成虫のように逃げることはないが、それ ・幼虫・蛹 チョウの採集法ーー、卵 ~ ぞれ驚くほど巧妙に身を隠しているため、これ 成虫採集で完全な標本を得るのはなかなか難らの採集には成虫採集とはまた違った難しさと しい。完全な標本を得るには、卵、幼虫、蛹の面白さがあり、この採集を通して自然観察への 段階で採集して、飼育するのが一番である。し興味を呼び起こされることである。また、それ かし、卵・幼虫・蛹の採集はこの目的とは別の、らを成虫になるまで飼育する過程でも、自然の 素晴らしい副産物を与えてくれる。卵も幼虫も摂理の素晴らしさを見せてくれる。が、ここで は種類によって卵採集がよいものと、幼虫また は蛹採集がよいものがあるので、科ごとにおも な種について解説しておく。 一、アゲハチョウ科 の ウ ギフチョウとヒメギフチョウ ( 卵・幼虫採 チ 集 ) ギフチョウは四月中旬頃、生息地の食草カ フ ンアオイ類の葉の裏側に平均十数個の卵を生み オ つける。ヒメギフチョウは五月中旬頃ウスパサ ア イシンの葉裏にやはり十数個生みつける。孵化 した幼虫は集団生活をする。この卵か幼虫を採 3 1 1 2

キ 山形県ではチョウセンアカシジミが県の天然ウ、ミャマモンキチョウ、オオイチモンジ、べ 記念物に指定されて県全域で採集禁止にな「て = ヒカゲが県の天然記念物に指定され、全地域 いる。また、大石田町全域でギフチョウ、ヒメで採集禁止。神奈川県の藤野町全域でギフチョ ギフチョウが採集禁止になっている。 ウとキマダラルリッパメが採集禁止。栃木県宇 福島県三島町全域でキマダラルリッパメの採都宮市柳田緑地内のコムラサキ ( 黒色型 ) が採 集が禁止されている。 集禁止。 関東地方山岳地帯に好採集地が多い。分布中部地方ヤマキチョウ、ヒョウモンチョウ、 上、特に注目されるものに千葉県のルーミスシ コヒョウモン、ギンポシヒョウモン、フタスジ ジミ、神奈川県のキリシマミドリシジミ、ヒサチョウ、ムモンアカシジミ、クロミドリシジミ、 マッミドリシジミなどかある。 オオゴマシジミ、アサマシジミ、アカセセリな 群馬県ではヒメギフチョウ、ミャマシロチョ ど、近畿地方以西には分布しないチョウをはじ コヒョウモン表と裏 1 01

ない。食草・食樹の多寡が棲息分布調査の決め なぎ竿で叩いて回り、飛び立って再び止まった ところを採集するほうがよい。午前中早い時間手となるし、食草・食樹の周辺から離れないチ ならば、低い枝や下草に止まっていることもあョウも少なくないからである。 る。 ゼフィルスと呼ばれている二五種のシジミチ ョウを初めとして、シジミチョウの仲間には、 アオバセセリは日の出前から活動し、夕方に も活動する。ギフチョウ、ヒメギフチョウなど食草・食樹の回りで活動するものが多い。特に ンノキとミドリシジミ、オニグルミとオナガ は日が当たってから二 5 三時間が最も採集しゃ シジミ、クロウメモドキとミャマカラスシジミ、 オオヒカゲ、ヒカゲチョウ、シロオビヒカゲ、エゾノウワミズザクラまたはスモモとリンゴシ クロコノマチョウ、ウスイロコノマチョウなどジミ、ナンテンハギ ( 場所によってェビラフジ やタイツリオウギ ) とアサマシジミ、コマツナ は夕方活発に飛び回るが、非常に採りにくい。 これらは樹液や汚物や腐熟果に来たときが採りギとミャマシジミ、ツメレンゲとクロッパメシ ジミ、キリンソウとジョウザンシジミなどにこ やすい の傾向がある。 ◆食草・食樹 また、は吸水しているときなどたくさん採 卵・幼虫・蛹を採集する場合ほどではないが、れるが早がなかなか採れない種類は、食樹・食 成虫を採集する場合にも、そのチョウの食草・草のたくさんある所で待機していると、案外採 食樹を知っていたほうが良いことは言うまでもれるものである。

日本産蝶類一覧表 アゲハチョウ科 ( 加種 ) ギフチョウ ヒメギフチョウ ウスパシロチョウ ヒメウスパシロチョウ ウスパキチョウ ホソオチョウ ジャコウアゲハ べニモンアゲハ アオスジアゲハ ミカドアゲノ オナシアゲハ キアゲハ ナミアゲハ シロオビアゲハ モンキアゲハ クロアゲハ ナガサキアゲハ 本州 ( 以下、本 ) 低山地 ( 局所的 ) 四月上旬 前種より北方系四月中—五月上旬北海道 ( 以下、北 ) 本 本四国 ( 以下、四 ) イ山地地域変異顕著五月中—六月北 北海道のみ 前種同様陽光を好む六月 囚⑦大雪山系の高山六月中—七月北海道のみ 本 韓国産が持ち込まれて発生 本 ( 岩手秋田以南 ) 暖地に多い飛翔ゆるやか 以前は迷蝶一九六八年頃から定着八重山諸島 ( 以下、八 ) 本 ( 岩手秋田以南 ) 暖地では普通種 本四九州 ( 以下、九 ) 囚 ( 高知市 ) 南方では普通種 与那国島 一九七三年から与那国島で発生 九州以北 四—一〇月二—五回発生 全国 普通種四—十月一一—六回発生 沖縄 ( 以下、沖 ) 八 早に二型あり通年発生 本 ( 茨城新潟以南 ) ミカンの栽培地に多い 庭の花に来る五—九月二—三回発生本州以南 飛翔ゆるやか四—五月七—十月本 ( 南西部以南 ) 2 ラ 6

ツマべニチョウ、スミレ、カタクリとギフチョホシミスジ、フタスジチョウ、サカハチチョウ、 ウ・ヒメギフチョウ、ツッジとアゲハチョウ類、アカマダラ、ヒメアカタテハ、アカタテハ、タ ュリとアゲハチョウ類、アザミとヒョウモンチテハモドキ、アオタテハモドキ、メスアカムラ サキ、リュウキュウムラサキ、イシガケチョウ ョウ類などである。 などがよく花に集まる。 このほか、アゲハ類は、クサギ、ネムノキ、 ジャノメチョウ科では、まったく訪花習性の カラスザンショウ、オイランソウ ( フロック ないものも多いが、ジャノメチョウ、ヒメウラ ス ) などの花によく集まる。 シロチョウ類はアプラナ科の花をはじめ各種ナミジャノメ、べニヒカゲ、ツマジロウラジャ ノメ、シロオビヒメヒカゲなどはよく花に集ま の植物の花によく集まる。 シジミチョウ科ではゼフィルス類以外の多くる。 のチョウがマメ科植物の花をはじめとして各種セセリチョウ科は各種の植物の花に集まる。 環境の良いところに家や別荘のある人は、庭 植物の花に集まる。ゼフィルス類は普通はあま り訪花習性がないが、ときどき、クリ、ノリウにチョウの好む野生植物や園芸植物を植えてお ッギ、オカトラノオ、シシウドなどの花に来るくと良い。外来園芸植物の中で特に各種のチョ ウが好むものにブッドレア ( セイヨウフジウッ ことがある。 タテハチョウ科で訪花性の強いものはヒョウギ ) がある。これを一本植えておくと、夏から モンチョウ類で、各種の植物の花に集まる。そ秋にかけて次々に穂状の花を咲かせて絶えるこ のほか、アサマイチモンジ、イチモンジチョウ、とがなく、この時期に活動する訪花性の強いチ 108

園がある。 地方自治体 ( 県市町村 ) による天然 網走、ニセコ積丹小樽海岸、大沼、日高山脈 記念物疋、あるいは採集禁止の蝶 襟裳、下北半島、津軽、男鹿、早池峰、栗駒、 鳥海、南三陸金華山、蔵王、水郷筑波、南房総、 ( アゲハチョウ科 ) 明治の森高尾、丹沢大山、佐渡弥彦米山、越後・ギフチョウ 三山只見、能登半島、越前加賀海岸、妙義荒船山形県北村山郡大石田町全域 ( 町指定天然記 佐久高原、八ヶ岳中信高原、天竜奥三河、揖斐念物 ) 関ヶ原養老、飛騨木曾川、三河湾、愛知高原、 神奈川県津久井郡藤野町全域 ( 県指定天然記 若狭湾、鈴鹿、室生赤目青山、琵琶湖、明治の 念物 ) 森箕面、大和青垣、金剛生駒、高野竜神、氷ノ長野県北安曇郡白馬村 ( 村指定天然記念物 ) 山後山那岐山、比婆道後帝釈、西中国山地、北 長野県飯山市黒岩山 ( 市指定 ) 長門海岸、秋吉台、剣山、室戸阿南海岸、石鎚、長野県飯田市 ( 市指定天然記念物 ) 北九州、玄海、壱岐対馬、耶馬日田英彦山、祖福井県福井市 ( 市指定天然記念物 ) 母傾、九州中央山地、日南海岸、日豊海岸、奄静岡県引佐郡引佐町 ( 町指定天然記念物 ) 美群島、沖縄海岸、沖縄戦跡。 岐阜県揖斐郡谷汲村 ( 村指定天然記念物 ) 国定公園についての詳細は各都道府県庁に問 岡山県真庭郡川上村全域 ( 県指定 ) ・ヒメギフチョウ い合わせてみる必要がある。 山形県北村山郡大石田町全域 ( 町指定天然記 172