展翅 - みる会図書館


検索対象: 楽しい昆虫採集
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1. 楽しい昆虫採集

てばらばらになってしまう。 死んでから展翅したほうがよい ◎ムラサキシジミやトリバネアゲハのまを軟 ◎展翅したチョウの羽が展翅板からはみ出し てしまった場合は、側面に留針を斜めに刺して化するときは、羽にしみが付きやすいので、と おくと保護することができる。 きどき取り出して軟化状態を見ながら早めに展 ◎セセリは、セミやハチの場合と同様に前翅翅したほうがよい ◎フタオチョウ類は羽の筋肉が特別硬いので、 と後翅に引っ掛ける部分があって、前・後翅が 連動するので、展翅の際にもこれを利用すると前翅の少し前の部分を重点的にくずして、羽が 前後によく動くようにする必要がある。 簡単である。 ◎軟化するときには、あまり大量にしないで ◆標本の修理 確実に展翅できる数だけにすること。うつかり はすれたり折れたりした触角の修理について 展翅をし忘れると、カビだらけになるか、腐っ ④カッターで部品をカットする 192

2. 楽しい昆虫採集

翅前縁が一直線になるようにして、前翅は後翅 とつりあうようにすればよい。テープも何でも よいが、羽が反り返らないように先のほうも覆 っておくほうがよい 幼虫の標本はアルコール漬け標本 ( 跚頁参 照 ) がよい。羽化殻の標本は、水に浸けて柔ら かくして、成虫の抜け出した穴を閉じ、脚の整 形をして乾かすと美しい標本ができる。 展 ◆半翅目 片 の ミンミンゼミやヒグラシなど緑色のセミは、 セ 酢酸エチルの毒ビンに長時間入れておくと、黄する場合は、ペフ板や発泡スチロールでセミ専 色に変色してしまうので注意すること。 用の溝幅の広い展翅板を作るとよい。セミは前 セミ類の脚の整形は前脚が頭部から少し見え後の羽が連動する性質があるので、羽を引き上 る程度、中脚と後脚は体の線に沿って僅かに見げるときにこれを利用する。図のように片側の える程度でよい。セミの脚は乾燥すると非常に羽だけ展翅するのもおもしろい 折れやすいので、無理に整形する必要はない。 ッノゼミ類、ヨコバイ類は台紙貼り標本にす 昆虫針は胸部中央よりやや右よりに刺す。展翅る。 セミの標本 2 。 7

3. 楽しい昆虫採集

ンプ台等が必要である。三角紙はチョウの大きに楽しい作業である。が、一頭につき五分から さにびったり合ったものがよく、前頁④図のよ十分くらいの時間がかかるので、忙しいときや うに三角形の底辺 ( 斜辺 ) に触角と前翅前縁を標本がたくさんあるときなどは、非常に忍耐の いるつらい作業になることもある。展翅を人に そろえて人れる。こうすると、中のチョウが動 、触角が折れにくいからである。整理頼んだり、展翅された標本を買えば、この過程 した三角紙標本は防虫剤とともに箱に人れて保は省略できるわけだが、それでは本当のコレク また、 存する。箱は紙箱でも木箱でもよい。デスクトションの楽しみを味わうことはできない。 レーという茶色の書類箱もよい。長期保存には展翅をたくさんやると、知らす知らずのうちに 防虫の点からもタッパーウェアやプリキ缶等のチョウに対する観察眼や認識が深まるものであ 密封容器がよいが、生乾きの標本を入れるとカる。自分でやることを強くおすすめしたい。 チョウの体が柔らかいうちに展翅するのを ビが生えたり、腐ったりするので完全に乾いて から人れること。 「生品展翅」、通称「なまてん」といし 乾燥した標本を柔らかくして展翅するのを ◆展翅 「軟化展翅ーという。展翅には人によっていろ いろのやり方があって、どの方法がよいと一概 チョウの標本作製の過程で最も重要なのが展 翅である。展翅板をはじめいろいろな道具をそに一一一口うことはできないが、次にその一例を紹介 する。 ろえて、採集したチョウや、飼育したチョウ、 あるいは買ってきたチョウを展翅するのは、実 181

4. 楽しい昆虫採集

一口 展刺 生直 明おフ板の上に横たえ、前翅・後翅の付け根のとこ 透お ( をろを鋭い針で何度もつついて筋肉を壊し ( 写真 プ羽 ⑩ ) 、反対側も同様にして、羽が抵抗なく水平 ドる に開くようになるまでこれを行う ( 羽の筋肉を ポま 用こ ツ一カッターで切る方法もあるが、これは相当熟練 工み 木し に翅してコツがわかってからにしたほうが無難であ る ) 。 シジミ類のように、羽に水がつくとしみになる④生展翅の場合と同じ要領で胸部背面から垂直 ものがあるので、これらのチョウには注射はさ に昆虫針を刺す ( 写真⑩ ) 。 け - にほ一つ、か 4 玉い ⑤小皿に木工用ポンドをとり、すこし水でうす ③軟化したチョウをポール紙等の台紙またはペめて、針でつついた羽の付け根に塗り付け、十

5. 楽しい昆虫採集

ルをカットとしたものを使ってもよい。脚を展 カメムシ類は脚と触角の整形だけでよい。昆 翅板の上に出して整形することもある。いすれ 虫針は胸部中央やや右よりに刺す。 にしても脚はあまり横にひろげないほうが美し タガメ、タイコウチなどは整脚だけでよいが、 ハチの中脚は後方に伸ばすが、アプとハエ 展翅したものも一つくらいあるとおもしろい の中脚は前方へ伸ばすほうが自然である。展翅 ◆膜翅目と双翅目 と展脚がうまく同時にできないものは、裏面展 ( チ、アプ、 ( 工の標本は、昆虫針は胸部中翅をして、脚を整える方法もある。 央部かやや右よりに刺し、展翅・展脚をする。 ◆直翅目と網翅目 ハチ類の羽は前後翅が連動する性質があるので 、ヾッタ科、キリギ スズムシ科、コオロギ科ノ これを利用する。脚の整形は、なるべく溝は幅 リス科などを含む直翅目、カマキリ科、ゴキプ の広い展翅板を使って溝に綿を詰め、その綿の リ科などの網翅目、およびナナフシ目に属する 上で行う。綿の代わりにペフ板や発泡スチロ 1 昆虫は腐敗しやすく、変色しやすいので、これ チ を防ぐことが標本作製の最も重要なポイントで ある。 下 ゝ 0 ヾッ々 / まず内臓を除去しなければならなし ア 科、キリギリス科のものは、次頁の図のように 頭部と胸部の境目 ( 上部 ) から腹部の方へピン 展翅展脚 208

6. 楽しい昆虫採集

肉を除去したり、アセトン、アルコールなどで出して乾燥させる。あまり長く浸し過ぎると虫 色止めをして急速乾燥させるとか、ショウジョ体がもろくなる。また、アセトンは引火性が強 いので、取り扱いには十分な注意が必要である。 ウトンポなどは、腹部を開いて内臓を取り出し、 ホルマリンを流して色止めするといった方法で乾燥させる一つの方法は、タッパーウェアな ある。要は腐敗変色を防ぐために急速脱水・乾ど密封できる容器の底にシリカゲルなどの乾燥 燥させる必要があるわけであるから、真空乾燥剤を敷きつめて、その上に三角紙標本を並べ、 冷蔵庫に二週間ほど入れておくのである。この や冷凍乾燥装置があればやってみるとよい アセトンによる方法は簡単で、かなり効果が ようにして乾燥したものを、最近は展翅せすに ある。アセトンを適当な密封容器に移して、そ横向きのまま標本箱に収めることが多い。横向 の中に三角紙に包んだままのトンポを、大きさき標本の場合に注意したいことは、前後翅が重 によって半日から二日間くらい浸した後、取り ならないようにすること。頭部を右に九〇度ね じって、両方の複眼が見えるようにしておくこ となどである。胸部に針を打って留めてもいし し、透明なセロファンの三角紙に入れて三か所 ほど針で留めておくのもよい 展翅する場合はもちろん展翅してから乾燥さ せる。溝に余裕のある展翅板を使うが、チョウ の場合のような面倒なことは何もなく、羽は後 トンボの標本 206

7. 楽しい昆虫採集

生品展翅小型のシジミやセセリは死ぬとすが、チョウは展翅板からはすすと、どうしても ぐに体が硬くなってしまうので、採集したその羽が下がる傾向があるため、傾斜型のほうが美 日のうちに展翅しなければならない。中型以上しい標本ができる。平型は主として裏面展翅 は翌日でも大丈夫である。ただし、体が柔らか ( 後述 ) に使う。展翅をするときの机は斜面机 いうちにタッパーウェアなどの密封容器に人れ、がよいが、なければ辞書などを枕にして、展翅 カビよけに正露丸を数粒人れて冷蔵庫に保存す板と目の角度を直角に近づけるとやりやすい れば、一週間位は大丈夫である。また冷凍庫で②展翅テープ用紙 ( ワックスペー ーやトレー 凍らせ、これを解凍すれば半年後でも体が固まシングペー ー ) を展翅板の溝に当てて、板幅 らず、生品展翅ができる。 に合わせて縁のところで折り畳み、カッターで 準備するものは、傾斜型展翅板、展翅テープカットする。これを展翅板一本につき二枚ずつ 用紙、カッター、両面テープまたはセロテープ、作る ( もちろん既製品の展翅テープを使っても 昆虫針、柄付き針、留針、ピンセット、脱脂綿、よいが、幅の狭いものはいろいろ問題がある。 など ( ↓鸚頁以下参照 ) 。 市販のものでは透明なテープが最もよい。展翅 ①ます展翅するチョウの大きさに合った展翅板中でも羽の表面を観賞できるからである ) 。 を選ぶ。つまり展翅板の溝がチョウの胴体より③展翅板の上端木ロ部に両面テープを貼ってお も少し幅広く、チョウの羽を広げたとき展翅板き、展翅テープを展翅板の板幅とびったり重ね から羽がはみたさないものがよいわけである。 合わせて上端を折り曲け、木ロ部の両面テープ 展翅板には傾斜型展翅板と平型展翅板とがあるにしつかり貼り付ける ( これはセロテープで留 182

8. 楽しい昆虫採集

裏面展翅 ( 通称「うらてん」 ) をする。裏展翅展翅後の管理展翅標本は生展翅の場合で一 には表面の平らな平型展翅板を使う。生展翅の —二か月、軟化展翅の場合で一か月以上自然乾 この間、ヒメマルカツオプシ 場合は針を逆に、腹部 ( 脚部 ) のほうから背面燥させるとよい 部へ刺して、裏面を上に向けて展翅する。 ムシやナガヒョウホンムシやゴキプリから標本 軟化展翅の場合は通常通りに表で展翅して、 を護るために、展翅板は防虫剤とともに戸棚や 展翅板からはすしてから針を抜き、反対側から箱の中に保管して、ときどき点検する必要があ 針を刺し直して、針がくるくる回らないようにる。油断すると、敵は容赦なくやってくる。そ ポンドで留めておくという方法もある。表のほしてゴキプリなどは一番高価なものを真っ先に うが展翅が簡単だし、軟化展翅は針が抜きやすねらってくる。 いからである。 展翅はずし標本が十分乾燥したら、よく晴 れた湿度の低い日を選んで展翅はずしをする。 特に軟化展翅をしたものは雨の日や湿度の高い 日にはずすと後に狂いが生ずる原因となるので 本 標 避けたほ一つかよい 展 れ わ ①留針を抜くときは、頭を回しながら抜く。真 っすぐに引き抜くとテープが一緒に持ち上がっ 190

9. 楽しい昆虫採集

分に染み込ませる ( 写 (@) 。染み込まないとき⑦以下の手順は、生品展翅とおなじであるが、 は針でつつき込めばよい。 展翅用の接着剤とし羽や触角の整形は生品展翅の場合よりもむしろ ては、水に溶ける、乾くと透明になって使った楽である。ただし軟化展翅の場合、触角はしば 跡が目立たない、展翅のやり直しがきく、などしば付け根からはずれていたり、途中で折れて いたりすることがあるので、湿り気を与えてか の理由から木工用ポンドが最も優れている。 ⑥チョウの頭部をピンセットではさんでぐるぐら太いものは指で、細いものはピンセットとピ る回して首の運動をしてから、展翅板にのせる。ンで真っすぐに伸ばして、展翅テープの下に人 首の運動を怠ると、触角の整形がやりにくくなれて留針で留めておく。腹部が下がらないよう る。また、展翅板は、羽の付け根に糊を使ったに溝に型に留針を打つか、脱脂綿を詰める。 関係上、それがくつつかないように生展の場合 軟化剤を注射して展翅する場合 よりも溝幅の広いものを使う。 188

10. 楽しい昆虫採集

てトラブルを起こすことがある。特に触角を留④データのない標本には学術的な価値がない めてある針を抜くときは慎重にしないと触角をはずした標本には必ず正確なデータの入ったラ ラベル ベルを付けるよう心がけねばならない。 折ってしまうことがある。 は展翅をするときに作っておいて、それを展翅 ②テープは慎重にはがす。標本を引き抜くとき は、針をちょっと動かしてみて、触角や羽が展板にとめておくのがよいが、展翅テープにデー 翅板とくつついていないかどうか、腹部が脱脂タを書いておいたような場合は、展翅はずしを ま 綿とくつついていないかどうかを確かめてみる始める前にラベルを作らなければならない たラベルを作ってあっても展翅はずしの際にラ 必要がある。触角の一部がくつついているとき は、アルコールでちょっと湿らせてからはずす。ベルを取り違えることがあるので、くれぐれも 針が抜けないときはピンセットの中間部で針を注意する必要がある。 挟んで引き抜くとよい ◆展翅のコッと注意 ③触角のはずれていたものや折れていたものは、 ◎展翅上達の方法としては、ます、人の展翅 展翅板の上で修理をする。標本を展翅板から少 し浮かして、角度を変えておいて、触角の付けした標本をたくさん見ることである。 ◎採集品や飼育品を生展翅する場合はチョウ 根にポンドを付けて頭部に取り付けた後、触角 の中間部を留針を型に打って支えて、方向やが完全に死んでからにしないと、触角を動かし 角度を調節する。折れた触角はポンドまたは瞬たり、腹部を持ち上げたりすることがあって見 苦しい標本になるので、冷凍庫に入れて完全に 間接着剤でつないでから、頭部に取り付ける。 191