太陽とキツネをむすぶもの ウサギ③は、クローバーやタンポポなど、植物を食べて 生きています。植物には太陽エネルギーがたくわえられて いますから、ウサギが草を食べると、太陽エネルギーがウ サギの体の中にはいります。ウサギは、その太陽エネルギ ーをつかって、息をしたり、体をあたたかくしたり、びよ んびよんはねたりします。そして、のこりのエネルギーで、 強い筋肉をつくったり、冬にそなえて脂肪をつくったりし ます。つまり、ウサギは、太陽エネルギーの一部を生きて いくためにつかい、のこりを体にためておくのです。 キツネ⑨は、ウサギやモリネズミ⑤など、えものをつか まえて食べます。キツネがウサギを食べると、ウサギが体 にためておいた太陽エネルギーが、キツネの体の中にはい ります。このように、太陽エネルギーは、太陽から植物へ、 植物からウサギへ、ウサギからキツネへと、つぎつぎとべ つの生きものに受けわたされていきます。 それでは、太陽エネルギーがどのように受けわたされて きんにく 0 ⑥ ⑨ や卵など、いろいろな食べものから栄養をとっています。 植物も動物も、だれかに食べられてしまいます。もし、 子どもが少ししかいなかったら、みんな食べられてしまう かもしれません。そこで、植物と動物は、子どもをたくさ んつくるのです。 生きものから生きものへと、エネルギーはつぎつぎと受 けわたされていきます。そして、そのエネルギーのみなも とが、太陽なのです。 いくかを、見てみましよう。左の絵の緑色の線をたどって みてください。緑色の線は、植物から、植物を食べる生き ものへ、植物を食べる生きものから、虫や動物をつかまえ て食べる生きものへとつづいています。植物でも動物でも、 生きものはみな、この線でむすばれています。 なかには、植物も食べれば、虫や動物も食べるという生 きものもいます。たとえば、シジュウカラ⑦は、小さな虫 やさい とヒマワリのたねと、両方食べます。人間も、野菜や肉 りようはう 27
植物を食べる生きもの ①いも虫とチョウ ②コロラド甲虫 ( こうちゅう ) ③ノウサギ ④ミミズ ⑤ハタネズミ 虫やほかの動物を食べる生きもの ⑥トガリネズミ ⑦シジュウカラ ⑧オオタカ ⑨キツネ 26
太陽が空にのばる高さは、季節に よって少しすっ変わっていきます。 そして、地球の生きものはみな、 その変化にあわせて生きています。 5 月 4 月 3 月幻日ころ 春分 3 月 7 月 夏至 6 月幻日ごろ
地球は、太陽のまわりをまわっています。そして、月は 地球のまわりをまわっています。ですから、太陽と地球と 月のならび方は、いつも同じではなくて、少しずつ変わっ ています。そして、太陽と地球と月のならび方が変わると、 地球から見える月の形も変わります。 太陽の光があたると、どんなものにも明るい部分とかげ の部分ができます。月も、太陽の光があたっていますから、 明るい部分とかげの部分ができます。月のかげの部分が地 球の方を向いている時、地球から月が見えなくなります。 しんげつ みかっ、き これを新月といいます。新月から 3 日ほどたっと、三日月 まんげつ になり、それから半月になり、最後に満月になります。満 月のあと、月はだんだんやせてきて、半月になり、 び新月にもどります。新月からつぎの新月になるまで、 か月より少し短い日数がかかります。 なぜ月は光るのだろう おくねん 月は、何十億年も前から、地球といっしょに太陽のまわ りをまわってきました。月の光は、地球の生きものにとっ て、とくべつ大きなはたらきをしているわけではありませ ん。けれども、夜に活動する動物や、わたり鳥にとって、 月の光は大切な道しるべになります。わたしたちも、暗い 夜に月のあかりがあると、なんだかほっとしますね。 月の光は、月が自分で出している光ではありません。月 つめ は太陽とはちがって、冷たくひえた星です。生きものも住 ばうえんきよう かんさつ んでいません。大きな望遠鏡で月を観察すると、月に山 や谷や石ころだらけの地面があるのがわかります。それな のに、月か光って見えるのは、太陽の光が月にあたってい るからです。月は、太陽の光を、ちょうど鏡のようにはね 返します。その光か地球にとどくのです。 はんげつ かがみ につすう 30
冬になると、生きものはみな、寒さから身をまもろ うとします。みなさんは、寒い日に外に出る時はどう していますか。きっと、オーバーを着たり、手ぶくろ をはめたりすると思います。では、動物たちは、どの ようにしているのでしようか。 は、寒くなると、羽をふくらませます。すると、 羽と羽のあいだに空気がたまって、外から寒さがはい ってくるのをふせぎます。わたしたちが羽ぶとんをか りゆう けてねるとあたたかいのも、これと同じ理由です。 ふゆげ ウサギは、秋になると、あたたかい冬毛が生えてき しばう たくさん食べて、体に脂肪をつけておけ ます。また、 ば、寒さをいくらかふせぐことができます。 けれども、もっと寒くなってくると、羽をふくらま せても、冬毛が生えていても、あまり役には立ちませ ん。そのような時は、動物はえさを食べて、体をあた
たいよう ちきゅう 太陽と地球 みなさんは、夕方、太陽がしずんでいくのを見たことがあるでしよう。その時、太陽はどんなふうに見えたで しようか。地球から見る太陽は、あまり大きくありません。そして、丸い形をしているように見えます。けれど も、本当は、太陽はものすごく大きな火の玉なのです。 太陽は、休むことなく、まわりを強い光で照らしています。その光は、地球や、地球のとなりの月にもあたり ゆうがた つよ やす ねつ ちか 太陽からちょうどいい距離をはなれたところにあるので、それで、植物や動物や人間が生きていけるのです。 しよく」 : つどう」 : つにんげん また、地球が太陽からもっと遠かったら、太陽の光と熱が地球にとどかなかったことでしよう。けれども地球は、 ます。太陽の光はとても強いので、もし、地球が太陽の近くにあったら、地球はもえてしまったことでしよう。 みどりいろ きよリ とお はんたい くら 生きものが、光とかげの中を通りぬけていきます。 きて、光の中にはいっていくと、朝になります。地球がまわるのといっしょに、あなたやわたしたちやすべての あさ が、明るい部分からかげの部分にはいっていくからです。そして、みなさんの住んでいるところがかげから出て ぶぶん ているからです。ひとまわりにかかる時問は、 24 時間です。昼が夜になるのは、みなさんの住んでいるところ しかん 昼と夜はこうたいにやってきます。それは、わたしたちの住む地球が、まるでこまのようにぐるぐるとまわっ は、いま昼です。反対がわは、光があたっていないので、暗くかげになっています。 , こは、いま夜です。 ひる よる 右上の、緑色をした地球を見てみましよう。太陽の光があたっているところが、明るくなっています。 , ,
太陽の光について 毎朝、部屋にさしこむ太陽の光は、い ったいどのようにして、わたしたちのも とにやってくるのでしようか。 しゆっぱっ 太陽の光は、太陽を出発してから地 なんびやくまん 球に着くまでに、何百万キロもの遠い 旅をします。ずいぶん遠い旅ですが、時 間はたった 8 分 30 秒しか、かかりませ ん。それは、光が信じられないくらいの 速さで宇宙①を飛ぶからです。 地球にとどく光は、太陽を出発した時 とはちがうものになっています。それは、 たいき 地球が大気とよばれる空気の層②につつ まれているからです。太陽の光は大気に ぶつかってはね返り、ほとんどが宇宙に もどっていきます。そして、わずかな光 だけが大気と雲の層④を通りぬけて、地 上⑤にとどきますもし、地球に大気 がなかったら、光力強すぎて、生きもの ③ は生きていることができません。 暗い夜がすぎて、太陽が部屋にさしこ んでくると、部屋は明るくなり、まわり のものが見えてきます。太陽の光は、ろ うそくや電球をどんなにたくさん集め たよりも、ずっと明るいのです。ですか ら、太陽をじかに見ると、目をいためて しまいます。 ④ 太陽の光がさすと、明るくなるだけで なく、あたたかくなります。さっき、太 陽の光が大気にあたってはね返る、とい う話をしましたね。その時、太陽の熱も いっしょにはね返って、のこりのわずか な熱だけが地上にとどきます。もし、そ うみ うでなかったら、暑すぎて、海がにえた ってしまうことでしよう。大気は、いっ ばうで、熱をはね返すだけでなく、地上 やく の熱を宇宙ににがさない役わりもしてい ます。車をひなたにおいておくと、車の 外より中の方があたたかくなりますね。 それと同じしくみです。 太陽の光の中には、わたしたちの体に しがいせん よくないものもまざっています。紫外線 もそのひとつです。ただ、紫外線は、大 気の中にオゾン層という特別な空気の層 ③があるおかげで、地上には少ししかは いってきません。紫外線は目には見えま せんが、紫外線があると、わたしたちの ひふは日やけをします。日やけをするの は、ひふが紫外線から体をまもろうとし ているためです。ひふが日にやけること で、もっと大きな害から体をまもってい るのです。 宇宙と太陽、地球とそのまわりの大気 おも は、どれもわたしたちには思いもつかな ひろ いほどの大きさと広がりを持っています。 そこで、このページの絵は、わかりやす くするために、かんたんにかきました。 まいあさへや あっ ① はや からだ くうき ② かえ カ { し、 でんきゅう あっ ⑤
ウナ・ヤーコプス (Una Jacobs) 円 34 年ドイツ北部バルト海に面したロストッ クに生まれる。ミュンヒェンの大学で、動物学、 植物学、地理学を学び、円 58 年理学博士の学 位をとる。後、数年間、家族とともにアメリカ に滞在。円 67 年ミュンヒェンに帰ってからは、 生物学分野の翻訳、および児童向けの本の執筆 を行う。円 75 年からは絵も描きはじめ、円 78 年以降自然をテーマにした絵本の著作に取り組 んでいる。このエラーマン社発行の「いとなみ シリーズ」でも、く地球〉く花〉くたねと果実 > ( あむすく既刊 ) などを担当している。 塚原真里子 ( つかはらまり 円 59 年東京生まれ。円 82 年早稲田大学第一文 学部卒業。現在はドイツ語の翻訳に従事。 訳者あとがき わたしたちには考えもつかないほどの大昔、太陽や地 球や月が生まれました。その時、地球はたまたま、いま 地球がある場所に生まれて、太陽のまわりをまわりはじ めました。その場所は、太陽から遠すぎもせず、近すぎ もしない、ちょうどいい場所でした 地球ができた時、地球の兄弟の星もいっしょに生まれ て、太陽のまわりをまわりはじめました。けれども、そ れらの兄弟星のなかで、木がしげつたり、花が咲いたり しているのは、地球だけです。魚が泳いだり、鳥が空を 飛んだり、動物と人間が歩いたり、ねむったり、起きた りしている星も地球だけです。あとの星はみな、太陽か ら遠すぎるか、近すぎるかして、生きものが生まれなか ったのでした わたしたちは、朝がきて明るくなったり、春がきてあ たたかくなったりするのは、あたりまえのことだと思っ ています。野原に花が咲くのも、すずめが空を飛んでい るのも、犬がひなたばっこをしているのも、ふつうのこ とだと思っています。でも、それはみな、大昔に地球か 太陽からちょうどよくはなれた場所に生まれたおかげな のです。そんなふうに考えると、わたしはとてもふしぎ 気持ちがします。みなさんはどうでしようか。 この本をほんやくするにあたって、多くの方々のお世 話になりました。心からお礼を申し上げます。 0 田月 1 1998 年 7 月 28 日初版発行 著著 ウナ・ヤーコプス 訳者一一塚原真里子 発い者一竹村呂子 発行所ー囿あむすく 〒 101 ー 0052 東京都千代田区神田小川町 3 ー 11 ー 2 ー 811 01998 TEL 03 ー 3293 ー 8689 振替 00150 ー 6 ー 114525 Printed ⅲ Japan 印刷・製本一精興社 ISBN 4 ー 900621 ー 05 ー 06 太陽の いとなみ 3 9 月 秋分 9 月 23 日こ・ろ に月 冬至 に月幻日ころ