251 ら受けたであろう額 1200 万円を限度として , は全額の配当を受け , B は同時配当が行われた が甲地のみを競売したとき ( 異時配当 ) には , A 万円のうちから 1000 万円の配当を受け , ロ A 円 , 乙地から 1200 万円 , B は甲地の残額 1200 るとき ( 同時配当 ) には , A は甲地から 1800 万 いる場合に , ィ甲・乙両地が同時に競売され 甲地の上に B が川 00 万円の 2 番抵当をもって A が被担保債権 3000 万円の 1 番抵当をもち , 時価 3000 万円の甲地と 2000 万円の乙地の上に きるものとされている〔民 392 ・ 393 〕。例えば , 産について共同抵当権者に * 代位 ' することがで 上記の負担部分を超える分については他の不動 とができるが , その不動産の後順位抵当権者は , 権者はその代金から債権全部の弁済を受けるこ 意の不動産を選択して * 競売 ' したときは , 抵当 じて債権の負担を分け , 口また抵当権者が任 に配当するときは , 各不動産は , その価格に応 整する必要がある。イ各不動産の代価を同時 る。そこで , 後順位抵当権者相互間の利害を調 産上の後順位抵当権者の利害が大きく影響され 債権者の権利行使の仕方によって , 各抵当不動 2 共同抵当の代価の配当共同抵当においては , 利であり , 実際にも広く行われている。 ぞれ債権の全額を担保しているので債権者に有 〔不登 83 ②〕。共同抵当では各抵当不動産がそれ 旨の登記及び共同担保目録によって公示される 総括抵当ともいう。登記上は , 共同担保である として数個の不動産の上に設定された * 抵当権 ' 。 共同抵当 1 意義同一の債権の * 担保 ' とされている〔著作Ⅱ 7 〕。 請求権などの行使は , 単独ですることができる 及び自己の持分に係る損害賠償・不当利得返還 みのそろわないときに不利なので , 差止請求権 までも全員の合意を必要としては , 各人の足並 〔著作 64 ・ 65 〕。しかし , 権利侵害の救済の場合 著作権の行使は著作者全員の合意を必要とする の下に認められているが , * 著作者人格権 ' 及び 作権の持分の譲渡・質入れは他の共有者の同意 者の死後 50 年までとされている〔著作 51 〕。著 間は , 創作時から始まり , 最終に死亡した著作 る点で異なる。共同著作物の * 著作権 ' の存続期 これは各人の著作部分ごとに分離して利用でき ているにすぎない結合著作物をも指称するが , はみられず , それぞれ独立した著作物が結合し 物の形態を呈するが , その創作自体に共同行為 説とその挿絵等のような , 外観上は 1 個の著作 著作物に対置される概念である。広義には , 小 もの〔著作 2 ①囮〕。合著作物とも称され , 単独 人の寄与部分を分離して個別的に利用できない きようどう 乙地が競売されたときに ' 優先弁済 ' を主張する ことができる。 3 根 ( ね ) 抵当権の特則根抵当権については , そ の設定の登記と同時に共同担保である旨の登記 をした場合に限って上記の共同抵当に関する規 定が適用される〔民 398 の 16 〕が , その前提とし て , 根抵当権の極度額 , その担保する債権の範 囲及び債務者は , 全ての不動産について同一で あることを必要とする〔民 398 の 17 ①参照〕。 根抵当権 ' 共同被告人 * 被告人 ' を異にする数個の刑 事事件が併合審理された場合の数人の被告人。 数人の被告人が I 通の * 起訴状 ' で起訴される場 合もあれば , 弁論の併合の手続〔刑訴 313 ①〕に より併合される場合もある。共犯者その他犯罪 事実が重なり合う被告人については , * 立証 ' の 共通 , * 事実 ( の ) 認定 ' や * 量刑 ' の統一など併合 審理の利点がある。しかし , 被告人の防御が相 反する等 , 被告人の権利保護のため必要がある ときは , 弁論を分離しなければならない〔刑訴 313 ② , 刑訴規幻 0 〕 ( 弁論の分離・併合 ' ) 。 共同不法行為 1 意義例えば , 数人が共 謀して暴行を働いた場合や , 石油コンビナート ( パイプラインでつながって原材料を供給し合 う工場群 ) を構成する複数の工場の排煙が合し て被害を与えた場合のように , その数人あるい はその複数の工場がそれぞれ単独にではなく , 一定要件の下に各自が全額について ( 「連帯し て」 ) 責任を負う * 不法行為 ' 〔民 719 〕。各自の独 立の不法行為〔民 709 〕が競合してなされた場合 ( 判例は , このような場合も , 共同不法行為と 呼んでいる ) ( 例えば , 最判平成 13 ・ 3 ・ 13 民集 55 ・ 2 ・ 328 。交通事故と医療事故がいずれも死亡と いう不可分の結果を招来し , この結果について相当 因果関係を有する場合 ) と違って , 次述のように 各自の個別的因果関係の要件が緩和される。 2 種類と要件イ前例の共謀による暴行やコン ビナート公害 ( 裁判例 ) のように , 共同不法行為 者の間に緊密な関連共同性がある共同不法行為 ( 狭義の共同不法行為 ) 〔民 719 ①前〕と , ロ複数 工場の廃液のうちどの工場の廃液が損害を生じ させたのか分からない場合のように , 共同行為 者中のいずれが損害を発生させたかが不明な場 合の共同不法行為 ( 加害者不明の共同不法行為 ) 〔民 719 ①後〕とがある。イの場合の要件として , かっての通説は , 各人の行為がそれぞれ独立に 不法行為の要件を満たし , かっ , それらの行為 に関連共同性のあることが必要と解し , その関 連共同性については , 主観的共同は不要であり 客観的共同で足りるとしていた。これに対して ,
人事院 , 内閣府などがある。なお , 、地方自治 法 ' は , 地方支分部局を国の * 地方行政機関 ' と呼 んでいる〔自治 156 ④〕。 国の財産等についての国家承継条約国 家承継 ' 国の指定代理人国を当事者又は参加人と する訴訟において , 国を代表する法務大臣によ って * 訴訟代理人 ' に指定された職員〔法務大臣権 限 2 〕。 * 行政庁 ' による指定の場合がある〔法務大 臣権限 5 〕。法令上の訴訟代理人の一例。 国の事務平成 12 年 4 月施行の ' 地方分 権 ' 改革 ( 平成Ⅱ法 87 ) 以降においては , 国の機 関が直接に処理をする事務 ( 直接執行事務 ) をい う ( 例 : 事柄の性質上から認められる度量衡の 制度 , 法律が国の機関に配分した事務 ) 。ただ し , 広義においては , 「国が本来果たすべき役 割」に着目して定められている * 法定受託事務 ' 〔自治 2 ⑨①〕を含めることも考えられる。分権 改革以前においては , 地方公共団体の機関が管 理・執行する * 機関委任事務 ' も国の行政機関が 執行する事務とともに国の事務と観念された。 改革後は , 狭義の「国の事務」は , 大幅に縮減 され , ' 地方自治法 ' 上 , ' 自治事務 ' と法定受託 事務は共に ' 地方公共団体の事務 ' であり , 法定 受託事務にも例えば * 条例 ' 制定権が及ぶ。 国の不作為に対する違憲確認訴訟憲法が 立法等の一定の作為を国に命じているのに国が それをしない場合に , その不作為が * 違憲 ' であ ることの確認を求める訴訟。立法の不作為が問 題となる典型的な場合は , 「健康で文化的な最 低限度の生活」〔憲 25 ①〕を保障する法律が制定 されていない場合である。このような場合 , 裁 判所に出訴できるか否かによって , ' 生存権 ' が 具体的権利性をもつかどうかが決まる , と論じ られてきた。それ以外の一般的な立法の不作為 については , * 国家賠償法 ' 1 条による立法行為 の違法性に基づく賠償請求として争われる。 立法の不作為 ' 国の不法行為責任 1 国の不法行為責任の法 体系公務員の不法行為によって損害を受けた 私人は , 国又は公共団体に対して損害賠償を求 めることができる。このことは , 憲法 17 条に 明記され , 実施するための法律として国家賠償 法が制定されている。同法と民法によって , 国 の不法行為責任を問う仕組みが整備されている。 ' 大日本帝国憲法 ' 下においては , 権力的な行政 活動によって私人が損害を受けた場合には , 国 は責任を負わないという法理 ( 国家無答責 ) が支 配的であった。これを改めたのが , 憲法 17 条 である。国家賠償法 1 条 1 項は , * 公権力 ' の行 283 効力を否認することによって行政活動の是正を 追及することができる。取消訴訟は当該処分の 訴訟 ' を利用するほか , 国家賠償法 I 条責任を が発動された場合に , 処分の名宛人は , * 取消 3 1 条責任と取消訴訟違法な営業許可取消処分 一元的審査を行うものが多い ( 職務行為基準説 ) 。 上遵守すべき法的義務に反していたかといった これに対して , 裁判例では , 加害公務員が職務 見解が学説には多い ( 公権力発動要件欠如説 ) 。 れなければならない。この審査を二元的に行う ているなどの違法性が審査され , これが肯定さ に , 行政活動が法律の定める発動要件に違反し 責任を認める上では , 公務員の故意・過失の他 場合の国家賠償責任の最大の特色である。 1 条 9 ・ 5 ・ 534 ) 。この点が , 民法 715 条と比較した 裁判所は認めていない ( 最判昭和 30 ・ 4 ・ 19 民集 して被害者が国家賠償を請求することを , 最高 が求償することができる。加害公務員を被告と 重過失が存在するときに限って国又は公共団体 団体が敗訴した場合に , 加害公務員に故意又は 又は公共団体を被告として請求し , 国又は公共 ている。 1 条 I 項に基づく責任に関しては , 国 じた損害についても , 国家賠償責任が認められ ため , 規制権限を行使しなかった結果として生 務員の積極的な作為のみならず , 不作為も含む 置管理活動は含まれない。公権力の行使は , 公 活動 , 国家賠償法 2 条の対象である営造物の設 賠償法上の「公権力の行使」には , 純粋な経済 「公権力の行使」よりも広い意味をもつ。国家 ( 広義説 ) 。つまり , 行政事件訴訟法が定める * 通達 ' なども含むものとして解釈されている 国公立学校における教育活動 , * 行政指導 ' , 使」は , 行政行為のような権力的活動のほか , 味をもつ。国家賠償法において , 「公権力の行 概念が , 国家賠償法と民法の適用を区別する意 民法 715 条による。このように , 公権力の行使 き , 「公権力の行使」に該当しない場合には , 国又は公共団体にその賠償を請求することがで 受けた場合には , 国家賠償法 1 条 1 項に基づき の行使」に該当する活動によって私人が損害を 2 国家賠償法 1 条による責任公務員の「公権力 715 〕が認められている。 の私経済活動による民法上の不法行為責任〔民 同法 2 条に基づく責任のほか , 国又は公共団体 行為責任として , 国家賠償法 I 条に基づく責任 , を明らかにしている。現在では , 行政上の不法 生じた損害について国又は公共団体の賠償責任 項は , 公の営造物の設置管理の瑕疵 ()• ) により が負うことを明記している。他方 , 同法 2 条 1 使によって生じた損害の責任を国又は公共団体 くにのぶほ
総合索引 歩合外務員一・ゝ外務員 ( 108 ) 商品外務員 ( 682 ) ファイナイト保険Ⅱ 19 リース ーゝ ファイナンス・リース ( 1324 ) ファイルローグ事件 ( 169 ) ファクタリング 1 Ⅱ 9 ファシズム 1 Ⅱ 9 ーゝ間接侵害 ファンド・トラストーゝ特定金銭 信託い 00D 不意打ち条項 1119 フィランソロビー 的責任 ( 184 ) フィリバスター ( 19D 企業の社会 議事妨害 へ王権神授説 ( 68 ) フィルマー ーゝロックい 363 ) 封印破棄罪 1 Ⅱ 9 富喜丸事件相当因果関係 ( 817 ) 不法行為 ( Ⅱ 57 ) 封鎖 1120 風説の流布・ヘ不公正取引規制 ( 金融商品取引法における ) ( Ⅱ 30 ) 風俗警察Ⅱ 20 風俗犯Ⅱ 20 夫婦財産契約 1120 夫婦財産制Ⅱ 20 夫婦養子Ⅱ幻 フェア・ユースⅡ 21 夫役にえ ) 現品 11 幻 フェミニズム法学 1121 社会的危険性 ( 587 ) フェリ ーゝ新派刑法学 ( 736 ) へ犯罪学 ( 1088 ) 犯罪社会学 ( 1088 ) フォイエルバッハ功利主義法 学 ( 404 ) 罪刑法定主義 ( 462 ) ー - ゝ新派・旧派 ( 735 ) 心理強 制説 ( 740 ) ーゝ犯罪学 ( 1088 ) フォーラム・ショッピング 1 1 幻 フォーラム・ノン・コンビニエン 64 不可侵権一ゝ外交特権 ( 81) 附加税ー、独立税・附加税 ( 1 田 3 ) 不可争力 ( 行政行為の ) ー、行政行 為の効力 ( 233 ) 付加年金老齢年金 ( 1362 ) 不可罰的事後行為Ⅱ 23 不可罰的事前行為△不可罰的事 後行為 ( Ⅱ 23 ) 不可分給付不可分債権・不可 分債務 ( Ⅱ 23 ) 不可分債権・不可分債務Ⅱ 23 不可分性 ( 担保物権の ) Ⅱ 24 不可分物ーゝ可分物・不可分物 ( 149 ) 不可変更カ ( 行政行為の ) △行政 行為の効力 ( 233 ) 賦課方式Ⅱ 24 布川事件Ⅱ 24 附款Ⅱ 24 不干渉義務干渉 ( 167 ) 不完全手形 ( 小切手 ) Ⅱ 24 不完全履行Ⅱ 24 不規則寄託ーゝ消費寄託 ( 678 ) 不起訴処分 1125 不起訴の合意Ⅱ 25 付記登記Ⅱ 25 武器の使用Ⅱ 25 普及主義破産 ( 1075 ) 不況カルテルⅡ 25 不均一課税 1125 復氏 ) Ⅱ 25 福岡県青少年保護育成条例事件 青少年健全育成条例 ( 76D 副業Ⅱ 26 副検事 - へ検察官 ( 327 ) 複券主義Ⅱ 26 複合運送契約Ⅱ 26 複式ホフマン式計算法 ン式計算法 ( 1238 ) 福祉国家Ⅱ 26 ホフマ スⅡ 22 フォルストホフ 給付行政 ( 213 ) フーカー 不解散罪 ーゝ契約説 ( 314 ) 多衆不解散罪 ( 876 ) 賦課課税方式 1122 付加価値税Ⅱ 22 付加価値割外形標準課税 ( 80 ) 付加期間不変期間・通常期間 ( Ⅱ 56 ) 付加給付Ⅱ 22 付加金Ⅱ 22 不確定概念 ( 行政法上の ) Ⅱ 23 不確定期限ー - ゝ期限い 87 ) 付加刑ー、主刑・付加刑 ( 620 ) 賦課決定 1123 不可抗力Ⅱ 23 福祉サービス利用援助事業Ⅱ 27 福祉事務所Ⅱ 27 副市町村長Ⅱ 27 福祉年金Ⅱ 27 福祉の措置Ⅱ 27 福島県教組事件△賃金の全額払 い ( 929 ) 福島県青少年健全育成条例事件 青少年健全育成条例 ( 76D 服従義務 ( 公務員の ) Ⅱ 27 副署 1127 復職Ⅱ 27 覆審 1127 覆審的争訟ーへ始審的争訟・覆審 的争訟 ( 540 ) 複数議決権株式一人議決権 ( 株主 の ) ( 186 ) 一株一議決権の原 則 ( Ⅱ 09 ) 複数政党制Ⅱ 27 複製権Ⅱ 28 復籍Ⅱ 28 複選制Ⅱ 28 副総理Ⅱ 28 副大臣Ⅱ 28 復代理Ⅱ 28 復代理人復代理 ( Ⅱ 28 ) 副知事Ⅱ 28 復任権一ゝ復代理 ( Ⅱ 28 ) 複本手形の原本・謄本・複本 ( 956 ) 副本 - へ原本・副本・謄本・正 本・抄本 ( 339 ) 複本交付請求権 1128 服務Ⅱ 29 服務規律Ⅱ 29 複名手形Ⅱ 29 複利Ⅱ 29 袋地 - ム囲繞 ( 鷲 ) 地 ( 31) 不敬罪Ⅱ 29 父系優先血統主義ー、血統主義 ( 319 ) 府県制Ⅱ 29 付合Ⅱ 29 不行為訴訟Ⅱ 29 附合契約 - ム約款 ( 1286 ) 不公正取引規制 ( 金融商品取引法 における ) Ⅱ 30 不公正な取引方法Ⅱ 30 不公正ファイナンスⅡ 31 不控訴の合意Ⅱ 31 誣告 (±に ) 罪ーゝ虚偽告訴罪 ( 26D 不告不理の原則Ⅱ 31 不在者Ⅱ 31 不在者投票Ⅱ 31 負債性引当金継続企業の前提 ( 307 ) -- ゝ退職給付引当金 ( 860 ) 不作為△作為・不作為 ( 497 ) 不作為債務 -- ゝ作為債務・不作為 債務 ( 498 ) 不作為についての不服申立て 不作為による国家賠償責任Ⅱ 32 不作為による作為犯不真正不 作為犯 ( Ⅱ 33 ) 不作為の違法確認の訴えⅡ 32 不作為犯Ⅱ 32 不作為命令Ⅱ 32 フジ興産事件就業規則 ( 60D 懲戒 ( 917 ) 不実す 1387 附従契約 - へ約款 ( 1286 ) 付従性Ⅱ 32 不遵守手続予防原則 ( 1313 ) 不招請勧誘の禁止Ⅱ 33 不使用取消審判△意匠法 ( 20 ) 一人商標法 ( 682 ) 不承認主義ステイムソン主義 Ⅱ 32 ( 747 )
1 158 ふほうじよ が原則である〔民 722 ①・ 417 〕が , ' 名誉 ' 毀損に ついては特別の規定〔民 723 〕がある ( 名誉回復処 分としての ' 謝罪広告 ' ) 。損害賠償には , 、財産 的損害 ' の賠償と ' 精神的損害 ' の賠償 ( 、慰謝料 ' ) とがある。賠償の範囲については , 特別の規定 はないが , 債務不履行の場合〔民 416 〕に準じて 相当因果関係説によるのが通説・判例 ( 大連判 大正・ 5 ・ 22 民集 5 ・ 386 く富喜丸事件〉 ) である ( 相当因果関係 ' ) 。しかし , 近年 , 保護範囲 の判断によって賠償の範囲を決めるべきである とする保護範囲説や , 拡大された損害について は , 第一次損害と危険性関連があるかどうかを 判断基準とすべきとする危険性関連説が主張さ れている。被害者にも過失があるときには、過 失相殺 ( 記 ) ' できる〔民 722 ②〕。不法行為による 損害賠償請求権は , 損害及び加害者を知った時 から 3 年 , 不法行為の時から 20 年で時効によ って消滅する〔民 724 〕 ( 消滅時効 ' ) 。、債権法 改正 ' 案では , 人の生命・身体を害する不法行 為については , 上記それぞれにつき 5 年 , 20 年とされている〔民案 724 の幻。 Ⅱ国際私法上 , 加害行為地と結果発生地と が異なる隔地的不法行為の場合の、準拠法 ' が間 題となるところ , 不法行為によって生ずる債権 の成立及び効力は , 原則として , 結果発生地法 により , その地での結果発生が通常予見できな いものであったときは ' 加害行為地法 ' によると されている〔法適用 17 〕。これは , 原則として , 不法行為はその結果が発生した地と最も密接に 関係すると考えられるものの , 加害者となり得 る行為者に無用な萎縮効果をもたらすことがな いように , 通常予見可能性がない地の法により 不法行為責任を負わされることがないようにし ていると説明される。 ' 生産物責任 ' 及び名誉・ 信用毀損については特則がある〔法適用 18 ・ 19 〕。 もっとも , 不法行為の当時 , 当事者が法を同じ くする地に ' 常居所 ' を有していたこと , 当事者 間の契約に関連してその不法行為が行われたこ とその他の事情に照らして , 明らかに上記に定 める地よりも密接な関係がある他の地があると きは , その地の法による〔法適用 20 〕。また , 当 事者は , 事後的に不法行為の準拠法を変更する ことができるが , 変更によって第三者の権利を 害することとなるときは , その変更をその第三 者に対抗することができない〔法適用 21 〕。なお , 準拠法となる外国法上 , 不法行為の成立・効力 が認められても , 日本法が認める範囲にのみそ れを認めることとする累積適用が規定されてい る〔法適用 22 〕 ( 累積的連結 ' ) 。これは ' 特別留 保条項 ( 条款 ) ' と呼ばれ , 例えば , 不法行為準 拠法が懲罰的損害賠償 ( punitive damages) を 認めるアメリカの州法であり , それが私法上の ものであるとされても , 日本法により効力が制 約される結果 , 日本の裁判所がこれを命ずるこ とはない。 不法条件「殺人をしたら 100 万円やろ う」という場合のように , 条件の内容である事 実そのものが不法性を帯び , その結果 , それを 付した法律行為全体が不法性を帯びる場合の条 件をいう。不法条件つきの法律行為は無効であ る〔民 132 前〕。なお , 「殺人をしなければ 100 万 円やろう」というように , ' 不法行為 ' をしない ことを条件とする法律行為も , 当然にしてはな らない行為を特にしないことを条件とするので あるから法律上保護するのは無意味であって , やはり無効である〔民 132 後〕。条件 ' 不法領得の意思、財産犯 ' のうち領得罪 ( ' 窃盗罪 ' ・ ' 強盗罪 ' ・ ' 詐欺 ' 罪い恐喝罪 ' ・、横 領罪 ' ) の ' 実行行為 ' の構成要素で , ' 故意 ' を超 える主観的超過要素 ( 通説 ) 。窃盗罪につき , 大 審院は , 「窃盗罪ハ不法ニ領得スル意思ヲ以テ 他人ノ事実上ノ支配ヲ侵シ他人ノ所有物ヲ自己 ノ支配内ニ移ス行為」と解し , そこにいう不法 領得の意思を , イ「権利者ヲ排除シテ他人ノ物 ヲ自己ノ所有物トシテ」 ( 権利者排除意思 ) ロ 「其経済的用方ニ従ヒ之ヲ利用若クハ処分スル ノ意思」 ( 利用処分意思 ) と定式化し ( 大判大正 4 ・ 5 ・ 21 刑録 2 い 663 ) , 最高裁も , これを踏襲 した ( 最判昭和 26 ・ 7 ・ 13 刑集 5 ・ 8 ・ 1437 等 ) 。イ は , 対象物を一時的に無断使用する意思しかな い場合を不可罰とする意義がある ( 使用窃 盗 ' ) 。ロは , 対象物を ' 毀棄 ' ・隠匿する意思し かない場合を毀棄罪にとどめる意義がある。 れらの要件は , 領得罪のうち移転罪 ( 奪取罪 ) に 通有し , 例えば詐欺罪にも同様に妥当する ( 最 決平成 16 ・ 1 い 30 刑集 58 ・ 8 ・ 1005 ) 。他方 , 非 移転罪 ( 横領罪 ) における不法領得の意思は , 判 例上「他人の物の ' 占有 ' 者が ' 委託 ' の任務に背 いて , その物につき権限がないのに所有者でな ければできないような処分をする意志」と定式 化され ( 最判昭和 24 ・ 3 ・ 8 刑集 3 ・ 3 ・ 276 ) , 上記 イと同様に使用横領の場合のほか , その他人 ( 委託者本人 ) のためにする意思であった場合に 否定されるが , 上記ロの要素を必要としない点 は学説上評価が分かれる。 父母両系 ( 血統 ) 主義血統主義 ' 不磨の大典、大日本帝国憲法 ' の本文に先 立つ「憲法発布勅語」中に出てくる言葉で , 「現在及将来ノ臣民ニ対シ此ノ不磨ノ大典ヲ宣 布ス」という文脈から大日本帝国憲法そのもの
240 * 不法行為 ' として賠償責任が生じる ) 。 共団体の私経済的活動については , 民法上の の損害賠償責任が一般的に定められた ( 国・公 に基づく責任〔国賠 2 〕について , 国・公共団体 不明確であった公の営造物の設置・管理の瑕疵 く責任〔国賠 1 〕及び , 従来民法の適用があるか れ , 従来 , 無責任であった公権力の行使に基づ 任を定め , これに基づき , 国家賠償法が制定さ 本国憲法 17 条は , 国・公共団体の不法行為責 2 日本国憲法下における行政上の不法行為責任日 は , 日本国憲法制定によることになる。 責任原則が妥当しており , これが克服されたの が , 権力行政の分野においては , なお , 国家無 から民法の不法行為法の適用が認められていた 国・公共団体の私経済的活動については , 従来 責任がしだいに認められるようになった。他方 , 以来 , 非権力行政については , 国・公共団体の 瑕疵 (t 、 ) を巡る市の損害賠償責任が認められて 1088 ) において , * 公物 ' ・ * 営造物 ' の設置保存の 年の遊動円棒事件 ( 大判大正 5 ・ 6 ・ 1 民録 22 ・ を問うことはできないとされていたが , 大正 5 づき , 公法活動においては , 国の不法行為責任 法 ' の下では , 伝統的な公法と私法の区別に基 服されていった。わが国においても , * 明治憲 ため , いわゆる国家無責任の原理は , 各国で克 には十分な救済が得られないことが問題となる がり , 被害者も , 当該公務員に資力がない場合 任のみを問う場合には , 公務の萎縮 ( ) につな 理がみられた。しかしながら , 公務員の個人責 * 公法・私法 ' の区別に基づく公権力無責任の法 おける行政裁判所と司法裁判所の管轄の区別 , ているような主権無責任の法理や , 大陸法系に 「国王は悪をなしえず」という法諺 (}2) に表れ 行為責任については , 歴史的には , イギリスの 行政上の不法行為責任 1 沿革国の不法 続に対する特徴が認められる。 なく不当をも争うことができ , この点に司法手 か , 処分又は不作為について , その違法だけで 易迅速に間題が処理されるという利点があるほ 3 特色行政上の不服中立ては , 訴訟よりは簡 和 25 法 151 ) 36 ②〕等の名称が付されている。 〔自治 255 の 4 〕 , 再検査の申立て〔植物防疫法 ( 昭 て〔公選 202 ② , 自治 74 の 2 ⑦等〕 , ' 審決の申請 ' 〔公選 24 ・ 202 ① , 自治 74 の 2 ④等〕 , 審査の申立 政不服審査法上のそれと区別して , 異議の申出 こうした特殊な不服申立てについては , 行 特殊な不服申立ての手続が認められる場合があ な行政の行為については , 特別の法律によって 3 種の不服申立てを用意する〔行審 2 ~ 6 〕。特殊 調査の請求 ' ・ * 審査請求 ' ・ * 再審査請求 ' という ぎようせい 3 救済の範囲の拡大日本国憲法の下では , 行政 の不法行為責任は広く認められることとなった が , 国家賠償法は , ' 過失責任主義 ' を採用して いるため〔国賠以違法無過失の行為について は救済されないことになる。立法において , 特 定の事項について , * 無過失責任 ' を定めるもの がみられるが ( 刑事補償法 ( 昭和 25 法 1) ・予防 接種法 ( 昭和 23 法 68 ) 等 ) , 解釈論としては , 国 家賠償法 1 条の「過失」の客観化 , 「過失」の 推定などにより , 救済の範囲を拡大することが 試みられており , また , * 国家補償 ' の統一的把 握の観点から , * 損失補償 ' の原理と共通な「平 等」の理念に基づき , 無過失責任あるいは * 結 果責任 ' を主張する見解も存する。 国家賠償法 ' 国の不法行為責任 ' 行政処分行政行為 ' 処分 ( 行政法 上の ) ' 強制処分法定主義 * 捜査 ' において強制の 処分は , 法律に特別の定めのある場合でなけれ ば用いることができないこと〔刑訴 197 ①但〕。 旧刑事訴訟法 ( 大正Ⅱ法 75 ) にも同様の規定が あり , 当時 , 捜査機関は例外的にのみ強制処分 を行う制度に対応していた。現在では , 憲法の 手続法定原則〔憲 31 〕の下で , * 罪刑法定主義 ' と 同様に , 対象者の重要な権利・自由を侵害・制 約する強制処分の内容と手続を , あらかじめ国 会の * 制定法 ' で定めておかなければならない趣 旨であるとの理解が有力である。逮捕 , 差押え , 捜索など既存の強制処分は全て法定され , 原則 として * 令状主義 ' の規制を受けているが , 処分 の実行に対する手続的規制とは別個独立の強制 処分に対する規制である。捜査 ' 強制捜 査 ' 行政審判行政審判は , ' 行政委員会 ' 又 はそれに準じた行政機関が * 準司法手続 ' などに より行う審判作用であり , 学問上の用語である。 1 つは , 行政機関に対する不服申立ての一種で あり , 個別法の規定に従い , 独立性を保障され た行政機関が対審構造の下で不服の処理を行う。 鉱業権設定申請に対する処分に不服のある者が 公害等調整委員会に対して行う裁定申請〔鉱業 133 〕 , 国家公務員の不利益処分について , ' 人 事院 ' が不服申立処理に当たる手続がその例で ある。なお , * 独占禁止法 ' において , * 排除措 置命令 ' や課徴金納付命令にかかる手続では * 公 正取引委員会 ' による審判手続が採用され , 代 表的行政審判であったが , 平成 25 年独禁法改 正 ( 法 100 ) で審判手続は廃止され , ' 抗告訴訟 ' によることとされた。 2 つは , 行政決定の事前 手続において利用される。放送免許の取消し等
662 しようじほ 定利率が年 5 分であるところ , それに 1 分上乗 せしたものである。ところが , * 債権法改正 ' 案 により , イ国内銀行の貸出約定金利 , 中小企 業事業基準金利その他の金融取引全体の状況を 踏まえ年 3 分にするとともに , 口市中の金利 の変動を法定利率に適切に反映させるため , 定のルールの下に法定利率が変動する形に改め られた。商事法定利率が民事法定利率より 1 分 上乗せされていた理由は , 商法制定当時 , 営利 を主眼とする商行為に関しては欧米諸国の立法 例においても民法上の法定利率に年 1 % を加え ている場合が多かったこと , 各地の商業会議所 も同様の内容を答申していたこと等によるとさ れる。学説上も , 商取引においては民事取引よ りも金銭の需要が多く , 元本の利用により多く の収益を上げられるはずであることが挙げられ ていた。ところが , 市場金利に連動した民事法 定利率の導入により , 商事法定利率を民事法定 利率に上乗せする理由の合理的説明が難しくな り , 更に , 現実の問題としても , 情報化が進展 し , 市場が発展した現在においては , 商取引で あるからといって , 民法上の法定利率より高い 運用利回りを得る蓋然性が高いとはいい難い。 そこで , 商事法定利率の廃止が提案されること となった。 商事保証 * 商人 ' A の営業資金の借入れ について B ( 商人でも , 非商人でも構わない ) が * 保証 ' する場合や , 銀行が取引先のために保証 する場合などのように , * 主たる債務 ' 者の * 商 行為 ' によって生じた債務の保証及び保証行為 そのものが商行為である場合の保証。商事保証 においては , 主たる債務と * 保証債務 ' が , 別々 の日に成立し , また別々の行為によって発生し たときも , 反対の特約がない限り , * 保証人 ' は 主たる債務者と連帯して責任を負う〔商 511 ②。 なお , 民 452 ・ 453 対照〕。商人の営業債務に関す る責任を厳格にして履行の確実性を保障し , そ の信用を高めるためである。なお , 主たる債務 者と各保証人とが連帯関係に入るだけでなく , 保証人が数人ある場合には , 保証人間にも連帯 関係が成立するので , いずれの場合にも , 催 告・検索の抗弁 ( 催告の抗弁権 ' 吟検索の抗 弁権 ' ) は認められない〔民 456 ・ 452 ・ 453 〕。 使用者 * 労働契約法 ' は , その使用する 労働者に対して賃金を支払う者〔労契 2 ②〕 , * 労 働基準法 ' は , 事業主又は事業の経営担当者そ の他その事業の労働者に関する事項について , 事業主のために行為する全ての者〔労基 10 〕とす る。 * 労働組合法 ' については , 労働契約上の雇 用主でなくてもその労働者の基本的な労働条件 等について雇用主と同視できる程度に現実的か っ具体的に支配 , 決定できる地位にある場合に は使用者に当たるとする判例がある ( 朝日放 送事件 ' ) 。 使用者委員労働委員会 ' 使用者責任 1 意義ある事業のために他 人 ( 被用者 ) を使用する者 ( 使用者 ) は , その被用 者が事業の執行について第三者に加えた損害を 賠償しなければならない〔民 715 ①〕。使用者に 代わって事業を監督する者も同様である ( 代理 監督者責任 ) 〔民 715 ②〕。これを使用者責任とい つ。 2 根拠使用者が被用者の * 不法行為 ' について 責任を負う根拠につき , 立法者は , 使用者の選 任・監督上の過失に求めていたようであるが , 最近はむしろ使用者は被用者を使って利益を得 ているのであるから , 損失もまた負担させるの が * 衡平 ' に適するとする * 報償責任 ' の考え方を 基礎にして , 代位責任とする説が通説である。 * 危険責任 ' や * 企業責任 ' の考え方をとる者もあ る。 3 適用使用者責任の適用領域は不法行為の全 般にわたるが , 法人の代表者の不法行為につい ては , 特別の規定が置かれている〔一般法人 78 ・ 197 , 会社 350 〕。また , 公権力を行使する公 務員がその職務の執行について不法行為をした 場合には , * 国家賠償法 ' 1 条により国又は公共 団体が責任を負う。なお , 自動車事故による人 身損害については * 自動車損害賠償保障法 ' が適 用されるから , 使用者責任による必要はない。 4 要件民法 715 条によって使用者が被用者の 不法行為について責任を負うためには , 被用者 の行為が「事業の執行について」なされたもの でなければならない。事業の「執行について」 に当たるかどうかについて , 判例は , 会社の庶 務課長が株券用紙を用いて株券を偽造した事件 をきっかけとして , 行為の外観上職務の執行と みられる場合であるとする , いわゆる外形標準 説をとり , 広く解するようになった ( 大連判大正 15 ・ 10 ・ 13 民集 5 ・ 785 ) 。最高裁判所は , より具 体的に , 当該行為が被用者の分掌する職務と相 当の関連性を有し , 被用者が使用者の名で権限 外の行為を行うことが客観的に容易な状態に置 かれている場合には , 外形上の職務行為に該当 するものと解した ( 最判昭和 40 ・ II ・ 30 民集 19 ・ 8 ・ 2049 ) 。判例は取引行為的不法行為のみなら ず , 事実行為的不法行為にも外形標準説を適用 しているが , 学説は , 前者には外形標準説が当 てはまるが , 後者には当てはまらないとし , 使 用者の危険の領域にあるかとか , 被用者の職務
33 の講義が行われたのは東京大学においてである。 なお , 慶應義塾大学における中南米・カリブ諸 国の法律に関する講義は「ラテンアメリカ法」 と呼ばれている。 違法・不法・不当 1 違法と不法違法も 不法も , 行為が具体的な法規に違反していたり , 社会的相当の範囲を逸脱して実質的に法秩序に 反するなど , 何らかの不利益な法的効果を伴う ものをいう。イ民法上は , 違法は禁止規定や 取締規定など具体的法規に違反する場合だけで なく , 、公の秩序・善良の風俗 ' など法の理念に 違反する場合をも含む広い意味で用いられる。 不法は合法の反対概念であり , 違法とほぼ同義 に用いられるが , * 不法行為 ' といわれる場合の ように違法より狭い意味で使われることが多い。 ロ刑法上は , 不法は , 実質的に法秩序に反す る状態を指し , 違法は , 不法のうち , 犯罪とし て類型化され , 実定法上も法秩序に反するもの を指す趣旨に区別して用いられることがある。 2 不当不当は , 法には違反していないが制度 の目的からみて適切でないことをいう。例えば , 裁量権のある者が権限の枠内で不適切な裁量を した場合には , 違法ではないが不当であるなど という。 違法行為吟適法行為・違法行為 ' 違法執行 * 民事執行 ' において , * 執行 機関 ' の執行処分が手続規定に違反すること ( 吟 不当執行 ' ) 。違法な執行処分に対しては , 執行 手続内の簡易な救済手段として , * 執行抗告 ' 〔民執 10 〕又は * 執行異議 ' 〔民執Ⅱ〕の申立てをす ることができる。 違法収集証拠排除法則 刑事訴訟を規律す る法規に違反して収集された * 証拠 ' について * 証拠能力 ' を否定し , 訴訟から排除するルール のこと。 ' 拷間 ' による * 自白 ' や令状なしに差し 押さえた * 証拠物 ' の場合などはその典型的な例 である。証拠収集が適法に行われなければなら ないことはもちろんであるし , 憲法や刑事訴訟 法が * 証拠能力 ' の否定を明言している場合 ( 例 えば , 拷問による自白〔憲 38 ② , 刑訴 319 ①〕 ) に は , 排除することに問題はない。これに対して , 明文がない場合 ( 例えば , 令状なしの * 押収 ' ) に ついては , 実体的真実発見を強調する立場から 証拠能力を肯定し , 違法な収集活動をした警察 官等に対する制裁は別途考慮すればよいとされ る時期が続いたが , 現行法下の学説は , 適正手 続を尊重して証拠の排除を主張した。やがて判 例もこれを受け入れ , 最高裁判所は , 違法な所 持品検査により覚醒剤を発見し差し押さえた事 案について , 「令状主義の精神を没却するよう いほうせい な重大な違法」があり「違法な捜査の抑制」の 見地から必要なときは証拠能力を否定する旨を 一般論として判示した ( 最判昭和 53 ・ 9 ・ 7 刑集 32 ・ 6 ・ 1672 ) 。その後 , 証拠収集に先行する逮 捕手続に重大な違法があるとされた事例で , そ の先行手続と証拠が「密接に関連する」として 排除している ( 最判平成 15 ・ 2 ・ 14 刑集 57 ・ 2 ・ 12D 。証拠禁止 ' 違法性いろいろな意味に用いられるが , 一般には , * 違法 ' と同じで , 法秩序に違反する こと , すなわち , 一定の行為をした人間が法に よって消極的評価を受け , 何らかの法律上の制 裁や不利益を受ける地位にあることをいう。 I 民法 1 意義広い意味では , * 法律行 為 ' ・ * 準法律行為 ' などの適法行為に対して , * 不法行為 ' 及び * 債務不履行 ' などの違法な行為 の属性をいう。狭い意味では , 不法行為及び債 務不履行の要件の 1 っとして , * 故意 ' ・ * 過失 ' ( 不法行為の場合 ) あるいは「責めに帰すべき事 由」 ( 債務不履行の場合。その意味は故意・過 失又はそれと同視すべき場合 , とされる ) とい う主観的要件に対置された客観的要件とされ , 広い意味での違法行為の要件のうちで違法行為 をした者の心理的・意思的要件 ( 主観的要件 ) ( 故意・過失 ) を除いた客観的な要件を指す。た だし , 近年 , 不法行為の領域では , 故意・過失 を主観的要件 , 違法性を客観的要件とする考え 方 ( 従来の通説 ) を否定し , 故意・過失を違法性 の要素を含んだ統一的な要件とする考え方が有 力になっている。 2 違法性と権利侵害かっては不法行為は権利と いう具体的な名称をもった利益を侵害しなけれ ば成立しないと解されていたが ( 雲右衛門事 件 ' ) , それでは不法行為の成立する範囲を狭く し被害者の救済に欠けるので , * 大学湯事件 ' 以 来 , 学説・判例は , 民法 709 条の「権利侵害」 とは「違法性」を表すものにほかならず , 法律 上保護される利益を違法に侵害すれば不法行為 が成立すると解するようになった。同様の結果 は , 「権利侵害」の「権利」を広く解すること によっても得られる ( 権利拡大説 ) が , 通説は , 違法性説をとり , 被侵害利益の種類・性質 ( 、所 有権 ' や ' 知的財産権 ' など物権的なもの , * 債権 ' や営業権など債権的なもの , 身体や貞操や名誉 など人格権的なもの等 ) と侵害行為の態様 ( 刑罰 法規違反 , 取締法規違反 , 、公の秩序・善良の 風俗 ' 違反 , * 権利濫用 ' など ) との相関関係から これを判定すべきだとした ( 相関関係説 ) 。しか し , このような違法性説に対しては , 最近 , 有 力な批判がある ( 下記 3 ) 。これに対して , 709
総合索引 不当な行政行為瑕疵に ) ある 行政行為 ( 120 ) 不当な拘束条件付取引ー・ゝ拘東条 件付取引 ( 38D 不当な差別対価 - ー、差別対価 ( 504 ) 不当な差別的取扱いⅡ 51 不当な取引拒絶ー、取引拒絶 ( 103D 不当な取引制限Ⅱ 51 不当な取引の誘引Ⅱ 52 不当な排他条件付取引 - へ排他条 件付取引 ( 1069 ) 不当表示Ⅱ 52 不当利得Ⅱ 52 不当廉売Ⅱ 53 不当労働行為Ⅱ 53 不特定物ー - ゝ特定物・不特定物 ( 1003 ) 不特定物売買種類売買 ( 633 ) 66 不法原因給付Ⅱ 56 不法行為Ⅱ 57 不法条件Ⅱ 58 不法領得の意思Ⅱ 58 父母両系 ( 血統 ) 主義一、血統主義 ( 319 ) 不磨の大典Ⅱ 58 不明確ゆえに無効の理論 漠然 船井電機事件 ( 888 ) 船荷証券Ⅱ 54 一、団体交渉権 船荷証券統一条約Ⅱ 54 不妊手術Ⅱ 54 不能犯Ⅱ 54 不納付犯脱税犯 ( 878 ) 負ののれん一ゝのれん ( 1065 ) 不平等選挙Ⅱ 55 プーフェンドルフ契約説 自然法 ( 543 ) ( 引 4 ) 不服申立てⅡ 55 不服申立前置Ⅱ 55 プフター、概念法学 ( 107 ) プープル主権一へ人民主権 ( 738 ) 部分意匠Ⅱ 55 部分運送Ⅱ 55 部分核実験停止条約Ⅱ 56 不文憲法Ⅱ 56 部分社会の法理Ⅱ 56 部分地上権区分地上権 ( 285 ) 部分年金厚生年金保険 ( 377 ) 部分判決判決・決定・命令 い 084 ) 不文法へ成文法・不文法 ( 769 ) フーベル国際礼譲 ( 422 ) 法規分類説田 89 ) 不変期間・通常期間Ⅱ 56 不変更主義ー、変更主義・不変更 主義 ( Ⅱ 77 ) 普遍主義国際犯罪 ( 419 ) 国家管轄権 ( 444 ) 普遍的国際組織△国際組織 ( 416 ) 普遍的国際法一般国際法 ( 27 ) 不法ー、違法・不法・不当 ( 33 ) 一人不正・不当・不法す ( 1387 ) 不法監禁 1156 不法共犯論 - へ惹起 ( ) 説 ( 597 ) 性のゆえに無効の理論 ( 1075 ) 不融通物ー、融通物・不融通物 ( 1298 ) 付郵便送達 - へ書留郵便に付する 送達田 0 ) フューチャーズ先物取引 ( 497 ) 不要因証券ー - ゝ無因証券 ( 1259 ) 扶養家族手当家族手当 ( 127 ) 扶養義務Ⅱ 59 扶養義務の準拠法に関する法律 Ⅱ 59 扶養控除Ⅱ 59 不要式行為・ - 、要式行為・不要式 行為い 304 ) 不要証事実ーゝ公知の事実 ( 384 ) 扶養請求権Ⅱ 59 扶養料Ⅱ 60 - へ自然法 ( 543 ) プライスー、硬性憲法 ( 375 ) 軟性憲法 ( 川 40 ) プライバシーⅡ 60 プライバシーの権利一 - 、プライバ シー ( Ⅱ 60 ) プラクトン一、学説 ( Ⅱ 2 ) プラグマティズム法学Ⅱ 60 プラックストンⅡ 60 プラックリストⅡ 60 プラトン安楽死 ( 9 ) 正義 ( 75D - ムノモス ( 1065 ) △法 哲学い 204 ) ーゝ法の支配い 208 ) フランク ( ジェローム ) リアリ ズム法学 ( 13 ! 8 ) フランク ( ライハルト ) 中止未 遂 ( 914 ) フランクフルト憲法ドイツ憲 法 ( 972 ) フランクリンアメリカ独立宣 言 ( 7 ) プランコ判決公役務 ( 35D フランス憲法Ⅱ 60 フランス人権宣言Ⅱ 61 フランス民法Ⅱ 61 プランダイスプランダイス・ ルール ( Ⅱ 61) プランダイス・プリーフ立法 事実 ( 1328 ) プランダイス・ルールⅡ 61 プランテンノーグ・テストⅡ 61 不利益供述強制の禁止一人黙秘権 ( 1276 ) 不利益処分Ⅱ引 不利益取扱い ( 使用者の労働者に 対する ) - へ不当労働行為 田 53 ) 不利益な事実の承認Ⅱ 61 不利益変更の禁止Ⅱ 62 振替株式 -- ゝ社債 , 株式等の振替 に関する法律 ( 593 ) 振替機関Ⅱ 62 振替休日Ⅱ 62 振替口座簿Ⅱ 63 振替社債 - 人社債 , 株式等の振替 に関する法律 ( 593 ) フリー・キャッシュ・フロー 目 63 振込指定Ⅱ 63 振込め詐欺特殊詐欺 ( 998 ) プリザベーション・クローズーゝ 租税条約 ( 840 ) 振出しⅡ 63 振出地Ⅱ 63 振出人Ⅱ 64 振出日Ⅱ 64 プリトライアルアメリカ民事 訴訟法 ( 7 ) ー・ゝ前払式支払 プリペイドカード 手段 ( 1243 ) 武力攻撃事態ーゝ防衛出動 ( Ⅱ 86 ) 武力行使 1164 武力紛争法ーゝ国際人道法 ( 415 ) フリンジ・ベネフィット給与 所得 ( 幻 5 ) フレキシプル・タイムフレッ クスタイム ( Ⅱ 64 ) プレスの自由一人出版の自由 ( 628 ) ー新聞の自由 ( 737 ) フレックスタイムⅡ 64 プレッシャー・グループスⅡ 64 フレッドベリー事件ーゝ並行輸人 ( Ⅱ 72 ) プレトン・ウッズ会議、ヘ国際通 貨基金 ( 417 ) 国際復興開発 銀行 ( 419 ) プレビシットⅡ 64 プレファレンシャル・ショップ ーゝショップ制 ( 703 ) プレミアムオプション取引 ( 72 ) 保険料 ( 1223 ) プロイスウェーバー ( 45 ) プロイセン憲法ドイツ憲法 ( 972 ) プローカーⅡ 64 プログラム規定Ⅱ 64 プログラム著作物 ( 927 ) プログラムの登録 ( 927 ) プログラム発行Ⅱ 65 著作物 著作物 プロ私募機関投資家 ( 181)
1 156 ぶぶんかく 送には含まれない ( 相次運送 ' ) 。運送品の引 継ぎのためには , * 荷送人 ' が第 2 の運送人と運 送契約を締結するか , 第 1 の運送人その他の者 が , 荷送人の代理人又は ' 運送取扱人 ' として , 第 2 の運送人と運送契約を締結することが必要 である。 部分核実験停止条約正式には「大気圏内 , 宇宙空間及び水中における核兵器実験を禁止す る条約」という。 1963 年 8 月 5 日に米英ソ 3 国外相がモスクワで署名 , 川月 10 日に発効 ( 中国 , フランスは未加入 ) 。わが国は 1964 年 に批准した ( 昭和 39 条 10 ) 。前文と 5 カ条から 成り , 大気圏内 , 大気圏外及び水中での核実験 を禁止した。開放条約〔部分核実験停止条約 3 〕で , 期限は無期限。地下核実験を除いたとはいえ , 核兵器不拡散の観点から画期的であった。その 後 , 地下核実験を含む全ての核実験の禁止が国 際社会の課題と認識され , 1996 年 9 月に包括 的核実験禁止条約 ( CTBT ) が国際連合総会で採 択された ( 未発効 ) 。核拡散防止条約 ' 包 括的核実験禁止条約 ' 不文憲法不文法の形式をとる * 憲法 ' 。 * 成文憲法 ' に対する語で , 慣習憲法ともいう。 諸国家の憲法のほとんどが * 成文法 ' の形式をと り , 現在 , 不文憲法の主要国としてはイギリス があるだけである。しかし , イギリスにも人身 保護法 ( 1 6 79 ) , 王位継承法 ( 1 701) , 議会法 ( 191D などの憲法的規律が断片的ながら成文化 されているところから , より正確に憲法典をも たないという意味で , 不成典憲法と呼ぶことも ある。なお , 「憲法」の項に掲げた [ 表 : 憲法 の分類 ] をみよ。 部分社会の法理市民社会とは区別された 自律的な社会・団体 , すなわち部分社会におけ る紛争には * 司法権 ' は及ばないとする法理。判 例は , * 地方公共団体の議会 ' , 国立大学などの 公的機関 , 宗教団体 , 私立大学 , 、政党 ' , 工場 自治会 , * 弁護士会 ' , * 労働組合 ' などの私的団 体に及ぶ。裁判所は全面的に司法審査を否定し ておらず , ' 除名 ' 処分など一般市民法秩序と直 接の関係を有する場合 , 内部規範が * 公序良俗 ' に反するなどの特段の事情がある場合 , 宗教上 の教義の解釈にわたらないような場合などには 介入している。この法理については , * 特別権 力関係 ' 論の装いを新たにした復活である , 各 種の社会・団体の目的・性格・機能及び紛争の 特性・多様性を無視している , などの批判が浴 びせられており , 一定の範囲の活動については 自律が認められるとしても , 個別の根拠 ( ' 地方 自治 ' の保障 , ' 教育の自由 ' , ' 大学の自治 ' , * 結社の自由 ' 等 ) から説明すべきであるという 学説が有力である。 部分年金厚生年金保険 ' 不文法成文法・不文法 ' 不変期間・通常期間 ' 法定期間 ' のうちで , 裁判所の裁量による伸縮が許されていないもの を不変期間といい〔民訴 96 ①〕 , それ以外のもの を通常期間という。前者は主に裁判に対する不 服申立期間である〔民訴 285 ・ 313 ・ 332 ・ 342 ①・ 357 等〕。不変期間には遠隔の地に住んでいる者 のために期間を付加することが認められている ( これを付加期間という ) 〔民訴 96 ②〕。また , 当 事者が , その責めに帰することのできない事由 で不変期間を遵守することができなかった場合 には , その事由が終わってから 1 週間内にその * 訴訟行為 ' の * 追完 ' をすることが許されている 〔民訴 97 〕。 不変更主義変更主義・不変更主義 ' 不法違法・不法・不当 ' 不法監禁 1 意義不法に人を監禁する こと。監禁罪として 3 月以上 7 年以下の懲役に 処せられる〔刑 220 〕。逮捕監禁罪 ' 2 違法性「不法に」というのは , 住居侵人罪 〔刑 130 〕における「正当な理由がないのに」と 同様に , 一般的な違法性の要件を確認のために 規定したにすぎず , 本罪固有の構成要件要素で はない。監禁が法令に基づき適法に行われる場 合などに本罪の違法性が否定される。 3 行為監禁とは , 一定の場所からの脱出を困 難にして , 移動の自由を奪うことをいう。脱出 が絶対に不可能である必要はなく , 物理的又は 心理的に著しく困難であれば足りる。移動の自 由を奪う手段には法文上制限はない。出入口が あっても看守者がいるとか , 被害者が容易に知 ることができないようにしてあれば監禁である。 暴行・脅迫によらなくてもよく , 被害者をだま して錯誤を利用する場合や , 情を知らない警察 を利用して被害者を留置させるのも不法監禁に 当たる。監禁罪は * 継続犯 ' である。なお , 本罪 の加重類型として * 人質強要罪 ' 〔人質 1 ②〕など がある。 不法原因給付 1 意義賭博に負けて支払 った金銭や , 殺人を依頼して支払った金銭のよ うに , 不法な原因に基づいてされた給付〔民 こでいう「不法」は , 恩給担保の禁止 708 〕。 規定〔恩給Ⅱ〕に違反して恩給証書を交付するな ど , 単に * 強行法規 ' に違反する程度のものでよ いのか , それとも * 公序良俗 ' 違反に限るかは争 いのあるところであるが , 単に強行法規に反し て不適法であるだけでは不法原因給付とはなら
1 123 て初めて発生する。 ' 船員法 ' にも同趣旨の規定 がある〔船員Ⅱ 6 〕。 不確定概念 ( 行政法上の ) 法律が * 行政行 為 ' の発動を * 行政機関 ' に授権する際に , いかな る条件の下であれば発動できるのかという・法 律要件 ' の規律について , 抽象的で多義的な概 念を用いる場合があり , かかる概念を不確定概 念という。例えば , 善良の風俗を害するおそれ ( 風俗営業許可の停止等の要件〔風俗 26 ①〕 ) , 上 地を収用する公益上の必要 ( 土地収用の要件〔収 用 20 川〕 ) といった規定である。要件面で不確 定概念が用いられた場合に , 行政裁量を認める 趣旨であるかが長らく争われてきた。最高裁判 所は , 外国人の在留許可に関して法律が要件で 「在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当 の理由」と不確定概念を用いる点について , 広 汎な事情の考慮を法務大臣に委ねる趣旨の授権 規定であると解釈して , 行政裁量を肯定した ( 最大判昭和 53 ・ 10 ・ 4 民集 32 ・ 7 ・ 1223 ) 。 不確定期限期限 ' 付加刑主刑・付加刑 ' 賦課決定 * 賦課課税方式 ' による ' 国税 ' につき , 、納税義務 ' の内容を確定する税務行政 庁の処分〔税通 32 ①〕で , 賦課決定通知書を納税 者に送達することによって行う〔税通 32 ③〕。賦 課決定による * 課税標準 ' 又は税額が過大又は過 少であることを知ったときは , 税務行政庁は課 税標準及び税額を変更する決定を行うことがで きる〔税通 32 ②〕。これを再賦課決定という。賦 課決定をする権限は , 原則として 5 年 , 偽りそ の他不正の行為により税額を免れた場合等は 7 年の * 除斥期間 ' に服する〔税通 70 。なお , 税通 71 参照〕。 不可抗力例えば , 災害による交通遮断 のため履行地に赴けず債務を履行できなかった とか , 異常な大雨に地震が重なってダムが決壊 し損害を与えたなどのように , 外部から発生し た事実で , 取引上あるいは社会通念上普通に要 求される一切の注意や予防方法を講じても , 損 害を防止できないもの。不可抗力があると , 、債務不履行 ' や ' 不法行為 ' による責任を免れる と解されており , 義務の免除や軽減を受ける場 合もある〔民 275 ・ 609 , 商 576 ・ 832 等〕。しかし , 金銭債務の不履行については , 不可抗力をもっ て抗弁とすることができないから〔民 419 ③〕 , 全額について責任を負わなければならず , また 、責任転質 ' の場合にも転質した債権者は不可抗 力によって生じた損失についても責任を負う 〔民 348 〕。このほか不変期間が延長されるとい う効果が生じることもある〔手 54 ・ 77 ①④ , 小 ふかぶんさ 47 〕。 不可侵権外交特権 ' 附加税独立税・附加税 ' 不可争力 ( 行政行為の ) 行政行為の効 カ ' 付加年金老齢年金 ' 不可罰的事後行為 * 法条競合 ' ないし * 包 括一罪 ' の一類型。・状態犯 ' の場合 , 事後 ( 犯罪 終了後 ) の行為であって , それだけを切り離し てみれば別罪を構成するようにみえても , 元の * 構成要件 ' の違法評価に包含されているため一 罪として処罰されるものをいう。例えば , 窃盗 犯人が * 盗品等 ' を損壊しても , 、器物損壊罪 ' を 構成しない。盗取行為によって生じた違法状態 は , 当該物を損壊してもこれによって格別の変 化を生じないからである ( なお , 横領罪において 判例変更により不可罰的事後行為を否定した最大判 平成 15 ・ 4 ・ 23 刑集 57 ・ 4 ・ 467 参照 ) 。ただし , , 共罰的事後行為 ' と表現される場合もあり , 事 後行為 ( 器物損壊 ) は不可罰なのではなく , 結果 として窃盗に吸収されているだけで , どちらか 一方での処罰のみ ( ただし , どちらでも可能 ) を 許容している場合にすぎないとする理解もある。 これらに対し , 盗んだ預金通帳と印鑑を利用し て銀行から預金の払戻しを受ければ , 銀行との 関係で詐欺罪が成立し , 併合罪となる。事後行 為として不可罰 ( 共罰 ) にとどまるか , 別罪を構 成するかは , 判例によれば , それが別個新たな * 法益 ' を侵害するものかどうかによって決定さ れる ( 最判昭和 25 ・ 2 ・ 24 刑集 4 ・ 2 ・ 255 等 ) 。な お , 不可罰的事前行為と呼ばれるものがある ( 共罰的事前行為とも呼ばれる ) 。これは , 殺人 予備と殺人のように , 準備行為も可罰的である が , 主な可罰的行為が成立すれば , 独立して処 罰する必要のないものをいう。 ' 吸収関係 ' の一 場合とするのが通説である。 不可分債権・不可分債務例えば , 自動車 1 台の引渡しなどのように , 分割して実現する ことのできない給付 ( 不可分給付 ) を目的とする 多数当事者の債権・債務。上記の例のように , 性質上不可分なものと , 当事者の意思表示によ って不可分なものとがあるとされている〔民 428 〕。しかし , ' 債権法改正 ' 案は , 不可分債 権・不可分債務が成立する場合を , 債権の目的 がその性質上不可分である場合に限定した〔民 案 428 ・ 430 〕。もっとも , 不可分債権は実際上 大きな機能をもっていない。不可分債務におい ては , 債権者は 1 人の債務者に対して又は総債 務者に対して同時に若しくは順次に全部の請求 をすることができる〔民 430 ・ 432 〕ので , 債権の