854 の効力は , 原則として , 当事者のみを拘束し , 第三者である〔民 545 ・ 612 ②・ 625 ・ 676 〕。契約 契約を締結した当事者以外の者は , その契約の 者 ' 以外の者が , その法律関係の第三者となる。 第三者 1 意義ある法律関係の ' 当事 対抗できる場合が拡張された〕。 ことができる〔民案 5 Ⅱ。債権法改正 ' 案により , の要件の下に ' 相殺 ( 記 ) ' をもって A に対抗する 対債権 ( 例 : 貸付金債権 ) を有するときは , 一定 ばならない〔民執 156 〕。ただし , B に対して反 払うか〔民執 155 〕又は供託所に、供託 ' しなけれ られ〔民 481 , 民執 145 ①〕 , 差押債権者 A に支 の場合 C は , 自己の債権者 B への弁済を禁じ て有する預金債権を差し押さえるときの CO 不払を理由として , 買主 ( B ) が銀行 ( C ) に対し 民執 143 ~ 167 〕 , 例えば , 売主 ( A ) が売買代金の るときの C 。ハ債権差押えの場合〔民 481 ・ 5 Ⅱ , 権者 A が , B の C に対する債権を代位行使す 権 ' 〔民 423 , 民案 423 ~ 423 の 7 〕において , B の債 入れ又は譲渡する場合の C 。ロ ' 債権者代位 すなわち , B が C に対してもつ債権を A に質 イ債権を質入れ又は譲渡する場合〔民 364 ・ 467 〕 , 第三債務者という。第三債務者の例としては , 対して更に債務を負う者 C を , A との関係で ば , 債権者 A と債務者 B がある場合に , B に 第三債務者債務者の債務者を指す。例え 待婚期間再婚禁止期間 ' ればならないとき , その要件を ' 対抗要件 ' とい 対抗力を有するためには別の要件を満たさなけ いても当然には第三者に対する対抗力を有せず , 当事者間で効力を有するための要件を満たして より〔借地借家 31 〕対抗力を有する。法律関係が 〔借地借家 10 〕 , 建物の賃借権は建物の引渡しに が登記されている建物を所有することにより より〔民 605 〕 , 、借地権 ' は上地の上に借地権者 権の移転と呼ばれる。不動産の賃借権は登記に 渡しのない所有権の移転は , 対抗力のない所有 権譲渡特 3 〕。したがって , 登記を備えず又は引 ' 引渡し ' 又は登記が必要である〔民 178 , 動産債 動産の物権の変動が対抗力を有するためには 有するためには ' 登記 ' が必要であり〔民 177 〕 , が用いられる。不動産の物権の変動が対抗力を と。ある法律関係が対抗力を有するという表現 * 第三者 ' に対して効力を及ぼすことができるこ 対抗力ある法律関係を ' 当事者 ' 以外の がある。 対して委任の終了を対抗する旨の規定〔民 655 〕 る当事者からみて , 委任契約の他方の当事者に 規定〔民 509 ~ 5 Ⅱ〕 , ロ ' 委任 ' の終了事由に関わ たいこうり 第三者には及ばないが , ' 第三者のためにする 契約 ' は , この原則に対する例外である〔民 537 〕。 2 第三者の例意思表示の当事者である意思表 示を行う者とそれを受領する者以外の者〔民 94 ②・ 96 ②③ , 民案 93 ②・ 95 ④〕 , 物の所有権の 移転の当事者である譲渡人と譲受人以外の者 〔民 177 ・ 178 ・ 467 〕 , 、質権 ' ・・抵当権 ' の当事者 である質権・抵当権設定者と質権者・抵当権者 以外の者〔民 352 ・ 378 〕が第三者である。ただし , ' 物上保証人 ' となる者を , 当事者である債権者 と債務者以外の者であるとして , 第三者という こともある〔民 342 ・ 369 〕。また , 法人と理事を 当事者として , 理事と取引をした相手方〔一般 法人 77 ⑤〕 , 本人と代理人を当事者として , 代 理人と取引をした相手方〔民 99 ②・ 109 ・Ⅱ 0 ・ Ⅱ 2 〕 , 加害者である被用者とその使用者を当事 者として , 被害者〔民 715 〕を第三者と呼ぶ例も ある。しかし , 当事者以外の者が全て第三者に 当たるとは限らず , 多くの場合は , 当事者では ないがある法律関係と一定の関係にある者が第 三者と呼ばれる。例えば , 民法 177 条の第三者 は , 判例によれば登記の欠缺 ( ) を主張する正 当な利益を有する者に制限されている ( 大連判 明治 4 い 12 ・ 15 民録 14 ・ 1276 ) 。 3 承継人ある法律関係に関わる権利・義務に ついて当事者から移転を受けた第三者を承継人 という〔民 120 ・ 148 ・ 187 ・ 254 ・ 380 〕。権利・義 務の移転が契約による場合 , 移転を受けた第三 者を特定承継人 , 権利・義務の移転が ' 相続 ' ・ ' 包括遺贈 ' ・ * 合併 ' による場合 , 移転を受けた 第三者を包括承継人という。単に承継人という 場合は , 特定承継人を指すことが多い。特 定承継・包括承継 ' 第三者異議の訴え 1 意義 * 強制執行 ' の 目的物について , 所有権その他執行の排除を求 めうる実体法上の権利を主張する者が , 執行債 権者を被告として執行の排除を求める ' 訴え ' 〔民執 38 〕。強制執行は , 債務者の * 責任財産 ' に 対して行うべきものであるが , ' 執行機関 ' は , 動産の占有 , あるいは不動産の登記など責任財 産の外観を基準として執行を行う。これに対し て , 目的物について上記のような権利を主張す る、第三者 ' が執行の排除を求めるのが , この訴 えである。同様の趣旨から , 担保権の実行にも 準用される〔民執 194 〕。 2 効果この訴えは , 特定の * 債務名義 ' に基づ く特定の目的物に対する執行を違法にするとい う効果を生じさせる形成訴訟 ( 形成の訴え ' ) だとする考え方が通説である。この訴えの請求 認容判決が確定すると , 執行の停止・取消しの
303 者能力は本来 , 訴訟法独自の立場から定められ 者能力であるとして , この呼称があるが , 当事 能力を基礎としない * 訴訟法 ' の擬制による当事 者に認められる実質的当事者能力に対し , 権利 資することから認められた。 * 権利能力 ' のある 者として扱うのが簡便であり , 手続の安定にも 取引行為を営んでいる場合には , 訴訟上も当事 ない社団・財団でも , 統一体として社会活動や のに認められる当事者能力〔民訴 29 〕。法人格の * 財団 ' で * 代表 ' 者又は * 管理人 ' の定めのあるも 形式的当事者能力 * 法人 ' でない社団又は 形式的当事者訴訟当事者訴訟 ' る。デュー・プロセス・オプ・ロー 刑事裁判でも当事者の処分権を認めることがあ アメリカ法における * 有罪の答弁 ' 制度のように 要請から , 真実の究明には限界がある。また , いても , 人権保障の必要 , デュー・プロセスの ( 実体的真実主義 ' ) 。しかし , 刑事手続にお おいては , 実体的真実主義が強調されている や国家の刑罰権の確定を目的とする刑事訴訟に これに対し , * 職権探知 ' 主義をとる * 人事訴訟 ' いるのは , 形式的真実主義の現れとみられる。 いう。通常の民事訴訟が * 弁論主義 ' を採用して る必要がある , とする立場を実体的真実主義と まで職権で証拠を収集してでも真実の究明を図 な真実の追求を本旨とし , 裁判所に納得がいく 当事者の * 主張・立証 ' に任せずあくまで客観的 判断すればよい , とする立場を形式的真実主義 , いても , 当事者の立証の優劣で真実かどうかを ま真実として扱い , また , 争いのある事実につ ない事実は ( たとえ真実に反していても ) そのま おける * 事実認定 ' について , 当事者間に争いの 形式的真実主義・実体的真実主義裁判に を分け , 更に考究される必要がある。 な審査資料を用いて審査がされるかという問題 な事項に審査が及ぶかという問題と , どのよう あるとされることの意味については , どのよう 項にも及ぶ。そこで , 登記官の審査が形式的で 〔不登 61 〕を考えると , 登記官の審査は実体の事 て登記原因証明情報の提供が必要とされること 24 参照〕。もっとも , 権利に関する登記につい 式的審査主義をとったと理解されている〔商登 義をとり〔不登 25 〕 , * 商業登記 ' についても , 形 のうち , 権利に関する登記につき形式的審査主 限を有するとする。わが国では , * 不動産登記 ' 利関係と一致しているかどうかをも審査する権 的審査主義は , 更に申請された登記が実体的権 るものであるから , 事者能力 ' 形式的法治国家 区別の実益はない。当 法治国家 ' けいじしゅ 形式犯保護 * 法益 ' の侵害又は侵害の危 険を要件とする実質犯に対する概念。行政取締 法規違反の罪がこれに当たるものとして挙げら れる。保護法益の侵害又は侵害の危険を要件と しない犯罪であるとの理解に対しては , 何らの 法益侵害の危険もないのに犯罪の成立を認める ことは妥当でないことから , 抽象的な危険とも いえない軽度の間接的な危険を要件とする犯罪 であるとの理解が示されている。 形式法訴訟法 ' 刑事事件裁判所が刑罰法令の適用実現 に関する事件を取り扱う場合の総称。 * 第一審 ' , ' 控訴審 ' , ' 上告審 ' , ' 略式手続 ' 等 , 刑罰権の 存否について直接に判断する訴訟事件のほか , 令状請求 , ' 保釈 ' の請求 , 仮還付 ' の裁判の請 求 , ' 逃亡犯罪人引渡しの審査請求など , 派生 的ないし周辺的な事件も含まれる。 刑事施設懲役・禁錮・拘留の刑に処せ られた者 , 逮捕後に留置された被疑者 , 勾留さ れた被疑者・被告人 , 死刑確定者 , その他法令 で定める者を収容し , これらの者に対し必要な 処遇を行う施設〔刑事収容 3 〕。なお , 法に定め られた一定の場合を除き , これらの者を , 刑事 施設に収容することに代えて , 都道府県警察の 留置施設に留置することができる〔刑事収容 15 ①〕。行政官署としての刑事施設は , * 刑務 所 ' ・ * 少年刑務所 ' ・ * 拘置所 ' に分かれる。 刑事収容施設法平成 17 年法律 50 号。正 式名称は , 「刑事取容施設及び被収容者等の処 遇に関する法律」である。刑事収容施設とは , * 刑事施設 ' , 留置施設及び海上保安留置施設を 指す〔刑事収容 1 〕。 1 制定に至る経緯本法の成 立まで , わが国の行刑に関する基本法は , 明治 41 年制定の監獄法であった。昭和 55 年 , 法制 審議会が , 「監獄法の改正の骨子となる要綱」 を答申し , これを元に , 刑事施設法案が作成さ れ , 警察の留置場に関する規律を定めた留置施 設法案と共に国会に提出されたが , 成立に至ら なかった。本法は , 同要綱を基本としつつも , 平成 15 年の行刑改革会議による提言 , 平成 18 年の「未決拘禁者の処遇等に関する有識者会 議」の提言の内容をも取り込み , 刑事施設と留 置施設の両方を対象とする形で制定されたもの である。 2 法律の概要本法は , 各施設の収容対象者の 種別や , 刑事施設視察委員会及び留置施設視察 委員会の組織と権限等を定めた , 刑事収容施設 の管理運営に関する部分と , その被収容者の処 遇を定めた部分とから成る。被収容者の処遇に ついては , 受刑者 , 未決拘禁者 , 死刑確定者等
しよっけん 手続に職権主義が加味されることが多い。現行 の * 行政事件訴訟法 ' は , * 弁論主義 ' を基礎にす るが , * 職権証拠調べ ' 〔行訴 24 ・ 38 ①・ 41 ①・ 43 ・ 45 ④〕や , 職権による * 訴訟参加 ' 〔行訴 22 ・ 23 ・ 38 ①・ 4 い 43 〕に関する規定を置き , 職権主 義の要素を取り入れて , 弁論主義の是正を図っ ている。 職権証拠調べ裁判所が当事者の中出によ ることなく , 職権でする * 証拠調べ ' をいう。 ー民事訴訟法においては , 大正 15 年改正 ( 法 (1) により補充的な職権証拠調べが一般的に 認められたが〔旧民訴旧 261 〕 , 同条は , ' 弁論主 義 ' の徹底を企図する昭和 23 年改正 ( 法 149 ) に より削除された。現行民事訴訟法も一般的な職 権証拠調べは認めていない。もっとも , 個別に 職権証拠調べを認める規定はあり〔民訴 3 の 1 1 ・ 14 ・ 186 ・ 207 ・ 218 ・ 228 ③・ 233 ・ 237 〕 , * 鑑 定 ' については裁判官の判断能力を補充するも のであるという観点から , 職権鑑定の可否につ いて議論がある。なお , ' 職権探知 ' 主義が妥当 する訴訟手続では , 職権証拠調べが許容される 〔人訴 20 〕。 Ⅱ刑事訴訟法上 , 裁判所は , 事案の真相を 明らかにするため必要であると考えるときは , 職権で証拠調べをすることができる〔刑訴い 298 ②〕。しかし , 旧法と異なり * 当事者主義 ' を 採択した現行法の下では , 職権証拠調べは補充 的なものにとどまる。しかも職権証拠調べの決 定をするには , 当事者の意見も聴くべきものと されている〔刑訴規 190 ②〕。 Ⅲ * 行政事件訴訟 ' の審理は * 弁論主義 ' に従 って進められるが , ' 抗告訴訟 ' と * 当事者訴訟 ' において , 裁判所は , 客観的真実を究明するた めに必要があると認めるときは , 職権で ' 証拠 調べ ' をすることができる。ただし , 当事者の 公平を期するため , 職権証拠調べの結果につい て , 当事者の意見を聴かなければならない〔行 訴 24 ・ 38 ①・ 41 ①。行訴 43 ・ 45 ④も参照〕。 職権主義 ' 職権進行主義訴訟手続の進行面での主導 権を裁判所に認める原則。当事者進行主義に対 する。 I 民事訴訟法上 , * 期日 ' の指定・変更〔民訴 93 〕 , * 送達 ' 〔民訴 98 〕は原則として職権で行うも のとされ , 職権進行主義が採用されているが , 多数の事件を円滑・能率的に処理し , 他の手続 利用者に損害を与えるべきではないとの考慮に 基づく。ただ , 現行法は , 手続の進行に当事者 の同意や意見聴取を義務付ける場面も多く , 協 同進行主義ともいわれる。 702 者は合意や * 責問権 ' の放棄によってこれらの調 強行規定の遵守 , 適用実体法などである。当事 は , ' 抗弁 ' 事項を除い訴訟要件 ' , 訴訟法上の I 民事訴訟法上 , 職権調査事項に属するの る事項を職権調査事項という。 自ら進んで調査し判断すること。その対象とな またずに , 裁判所が一定の訴訟上の事項につき 職権調査 ( 事項 ) 当事者の異議や申立てを ' 職権主義 ' の語が一般である。 当する。刑事訴訟では , より広い概念として 判断や * 人事訴訟 ' 〔人訴 20 〕では , 職権探知が妥 るが , * 裁判権 ' など公益に関する * 訴訟要件 ' の れる。通常の民事訴訟では弁論主義が基本とな * 自白 ' にも拘束されず , ' 職権証拠調べ ' も許さ 判所は当事者の主張しない事実も顧慮でき , ばれ , ' 弁論主義 ' に対する。これによれば , 裁 責任を負うとする原則。 * 職権審理主義 ' とも呼 るにあたり , 自らその基礎資料収集の権能及び 職権探知裁判所がある事実の判断をす 訟参加 ' 意見を聴かなければならない。第三者の訴 じめ当事者及び当該第三者ないし他の行政庁の ることもできる。その場合 , 裁判所は , あらか せるという趣旨から , 裁判所が職権で参加させ 公益に関係する行政訴訟に関係者を広く参加さ しは他の行政庁の中立権も認められているが , れらの参加については , 当事者及び第三者ない 参加 ' を規定している。強制参加ともいう。 被告以外の行政庁〔行訴 23 〕の職権による ' 訴訟 の結果により権利を害される第三者〔行訴 22 〕や 職権訴訟参加 ' 行政事件訴訟法 ' は , 訴訟 例外 : 民訴Ⅱ 0 〕。 * 当事者送達主義 ' に対する。 現行民事訴訟法はこれを原則とする〔民訴 98 。 事者の申立ても必要としない立法主義をいう。 職権送達主義 ' 送達 ' を職権で実施し , 当 用いられない。職権主義 ' Ⅱ刑事訴訟法学では , 用語としてはあまり 探知 ' 職権探知主義と呼ぶのが普通である。職権 た職権で、証拠調べ ' を行うとの原則。現在では が , 当事者の主張をまたずに事実を探知し , ま 職権審理主義 I 民事訴訟法上 , 裁判所 う用語はあまり用いられない。 への移行が強調されるため , 職権進行主義とい 基本原理としては * 職権主義 ' から * 当事者主義 ' 進行はむしろ当然のことであり , また , 公判の 判長の権限としている。もっとも , 職権による 序・方法などの決定〔刑訴 297 〕を裁判所又は裁 * 公判期日 ' の指定〔刑訴 273 〕 , * 証拠調べ ' の順 Ⅱ刑事訴訟法上も , 職権進行主義がとられ ,
834 そしようて には * 訴えの取下げ ' があるものとみなした〔明民 訴 188 〕。このような体止制度は訴訟遅延の原因 となったので , 大正 15 年 ( 1926 ) 改正 ( 法 (1) に よりこれを廃止し , * 職権進行主義 ' を徹底した。 しかし両当事者が期日に欠席した後 3 カ月以内 に期日指定の申立てをしないときは , 訴えの取 下げが擬制され〔旧民訴 238 〕 , このことを実務 上なお体止満了と呼んでいた。改正後の ' 旧民 事訴訟法 ' の下でも , 欠席と期日指定の申立て を繰り返して訴訟を引き延ばす悪弊が絶えなか ったので , 現行民事訴訟法は , 両当事者が口頭 弁論期日若しくは * 弁論準備手続 ' の期日に欠席 した場合に訴えの取下げが擬制される ( 体止満 了 ) 期間を従来の 3 カ月から 1 カ月に短縮し〔民 訴 263 前〕 , 両当事者が連続して 2 回 , 口頭弁 論期日若しくは弁論準備手続の期日に出頭しな い場合にも , 訴えの取下げを擬制し〔民訴 263 後〕 , 期日の指定と欠席を繰り返す当事者の不 熱心な訴訟活動に制裁を課している。口頭弁論 期日に両当事者が欠席しても , 裁判所は審理の 現状及び当事者の訴訟追行の状況を考慮して相 当と認めるときは , 弁論を終結して * 終局判決 ' をすることができる ( * 審理の現状に基づく判 決 ' ) 〔民訴 244 〕。 訴訟手続の受継 (} 朝 1 意義中断中の民 事訴訟手続の続行を求める当事者の裁判所に対 する申立て。ただし , 例えば当事者の破産手続 開始により中断した ' 破産財団 ' に関する訴訟が * 破産管財人 ' によって受継される前に破産手続 が終了したときは , 破産者の受継の申立てをま たずに当然に受継したものとして扱われる〔破 44 ① 6 ) 〕。訴訟手続の中断 ' 2 受継申立権者及びその方式受継申立ては , 中 断事由のある当事者側の新追行者〔民訴 124 〕が 行うが , 申立てをしない場合には相手方も受継 を申し立て〔民訴 126 〕 , 訴訟の続行を図ること ができる。受継の申立ては原則として中断当時 訴訟の係属する裁判所であるが , ' 終局判決 ' 後 中断した訴訟については , 原裁判所に対してだ けではなく , 直接上訴裁判所に対しても受継の 申立てができる。 3 受継申立ての効果申立てが適法になされれば , 中断が解消し , 手続が再開される。申立てがあ ったときは , 裁判所は相手方に通知しなければ ならない〔民訴 127 〕。この通知により , 相手方 との関係でも中断が解消される〔民訴 132 ②〕。 裁判所は職権で受継申立ての適否を調査し , 理 由なしと認めればこれを * 却下 ' する〔民訴 128 ①〕。却下されたときは中断は解消されない。 申立てに理由があると認めるときは , 終局判決 前ならば , * 期日 ' を指定して手続の進行を図れ ばよい。終局判決言渡し後の中断の場合は , 受 継の適否にかかわらず明示の裁判をしなければ ならない〔民訴に 8 ②〕。受継を許す決定がなさ れれば , 決定の告知時から * 上訴期間 ' が進行し 始める〔民訴 132 ②〕。 訴訟手続の続行命令中断中の民事訴訟手 続につき当事者がいずれも受継 (); つの申立てを しない場合に , 裁判所が職権で手続の続行を命 じて , 中断を解消させる決定をいう〔民訴 129 〕。 訴訟手続の中断 ' 訴訟手続の受継 ' 訴訟手続の中止 1 意義民事訴訟の係属 中に , 訴訟の進行が困難又は不適当となった場 合に , 法律上当然に又は裁判所の * 訴訟指揮 ' 上 の処置によって手続の進行が停止すること。イ 裁判所の職務執行不能による中止 : 天災その他 の事故によって裁判所の職務執行が一般的に不 能となった場合には , 回復するまで訴訟手続は 当然に中止される〔民訴 130 〕。ロ当事者の故障 による中止 : 当事者が急に精神病となった場合 や天災等のため交通が途絶し裁判所に出頭でき ない場合に , 申立て又は職権で裁判所が中止の 決定をし , 取消決定によって終了する〔民訴 131 〕。 ハその他の中止 : 他の法令上 , 手続の 続行が中止される場合がある〔仲裁 46 ③ , 会社 引 2 ・ 515 , 会更 24 , 民再 39 , 民調 20 の 3 , 特許 168 , 新案 40 , 意匠 52 , 商標 56 〕。 2 効果中止により ' 期間 ' の進行は止まり , 既 に期間が進行していた場合であっても , 停止の 解消後 , 改めて全期間が進行する〔民訴 132 ②〕。 訴訟手続の中断 1 意義民事訴訟の係属 中に , 一方の当事者の側に訴訟追行を不可能又 は困難にする一定の事由 ( 中断事由 ) が発生した 場合に , 新追行者が訴訟に関与できるようにな るまでの間 , 手続の進行を停止して , 訴訟の * 対審 ' 構造を維持し , 当事者が手続に関与する 機会を実際に保障するための制度。法定の事由 によって当然に発生し , 新追行者から又はこの 者に対して相手方から手続の続行を申し立てる ( 訴訟手続の受継 (5 つ ' ) か , 若しくは裁判所 の ' 訴訟手続の続行命令 ' 〔民訴 129 〕によって解 消される。 2 中断事由次の事由が法定されている。イ当 事者の消滅 , 自然人の死亡 , 法人の合併による 消滅〔民訴 124 ①工②〕。ロ当事者の ' 訴訟能力 ' の喪失又は * 法定代理人 ' の死亡若しくは法定代 理権の消滅〔民訴 124 ① 3 〕。ハ当事者力い当事 者適格 ' を喪失したために訴訟から当然に脱退 する場合。受託者の任務終了〔民訴 124 ①④〕 , 資格当事者 ( 第三者の訴訟担当 ' ) の死亡その
登記簿 979 等級 ( 官職の ) 979 等級選挙 979 東京裁判極東国際軍事裁判所 ( 262 ) 当業者発明 ( 1080 ) 東京スモン事件過失 ( 122 ) 裁量権収縮 ( 49D 東京都公安条例事件公安条例 ( 348 ) 集団示威運動の自由 ( 609 ) 東京都ごみ焼却場事件△処分 ( 行政法上の ) ( 705 ) 同居義務 979 同行状 979 同行証人在廷証人 ( 479 ) 東光電気大崎工場事件経歴詐 称 ( 引 5 ) 当座貸越し 979 当座勘定規定 979 当座勘定取引契約 980 当座預金 980 動産 980 動産質 980 動産抵当 980 動産の先取 ( 新 ) 特権 980 投資一任契約 981 投資運用業 981 投資株主所有と経営の分離 ( 710 ) 当事国間対世義務対世的義務 ( 862 ) 投資顧問業△金融商品取引業 ( 276 ) 投資事業組合 981 同時死亡の推定 981 当事者 981 当事者公開 982 当事者恒定効 982 当事者恒定主義 ( 83D 当事者参加 982 訴訟承継 当事者自治の原則 982 当事者主義 982 当事者照会制度 983 当事者進行主義△職権進行主義 ( 702 ) 当事者尋問 983 当事者送達主義 983 当事者訴訟 983 当事者対等の原則 983 当事者適格 984 当事者能力 984 当事者の確定 984 当事者の更正権 - へ更正権 ( 375 ) 当事者の変更 985 投資者保護 985 投資者保護基金 985 投資自由化協定投資保護協定 55 ( 989 ) 同時傷害 986 投資助言・代理業 986 投資信託 986 投資信託及び投資法人に関する法 律△投資信託投資法人法 ( 987 ) 投資信託投資法人法 987 同時審判申出共同訴訟 987 同時選挙 987 投資その他の資産 988 同時存在の原則相続人 ( 813 ) 投資仲裁 988 同時提出主義法定序列主義 ( 1200 ) 同時廃止△破産廃止 ( 1077 ) 東芝ケミカル審決取消請求事件 不当な取引制限 ( Ⅱ 51) 東芝柳町工場事件解雇権の濫 用 ( 87 ) 東芝労働組合小向支部・東芝事件 △脱退 ( 878 ) 同時犯 988 投資ファンド 988 投資紛争解決国際センター 資仲裁 ( 988 ) 投資紛争解決 条約 ( 988 ) 投資紛争解決条約 988 投資法人 989 投資保護協定 989 道州制 989 盗取罪△財産犯 ( 472 ) △窃取 ( 778 ) 同情スト 989 鄧小平中国憲法 ( 913 ) 当初予算本予算 ( 1242 ) 同時履行の抗弁権 989 答申建議 ( 323 ) 統帥権 990 同性婚 990 統制処分 ( 労働組合の ) 990 当選争訟・当選訴訟 990 当選訴訟当選争訟・当選訴訟 同則主義一人物権 ( Ⅱ 42 ) 同族会社 991 逃走罪 991 訴訟 ( 990 ) 当選無効訴訟ーゝ当選争訟・当選 当選無効 9 引 当然保釈△権利保釈 ( 344 ) 当然の法理 991 当選人 991 ( 990 ) 東大梅毒輸血事件 ( 37 ) 到達主義 992 統治機構 992 統治権 992 統治行為 992 医療過誤 総合索引 同地払手形 ( 小切手 ) 993 盗聴△通信傍受 ( 937 ) 傍受 ( Ⅱ 92 ) 動的安全・静的安全 993 同等説条件説 ( 648 ) 統督 993 東南アジア諸国連合 993 導入預金 993 盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律 993 当番弁護士 993 投票 994 投票の秘密 994 盗品等 994 盗品等に関する罪 994 盗品等の有償処分あっせん罪 995 盗品等保管罪 995 盗品等無償譲受け罪 995 盗品等有償譲受け罪 995 し ( 川 89 ) 逃亡犯罪人引渡し 的制限 ( 247 ) 東宝・スパル事件 逃亡 996 答弁書 995 当分の間す 1385 動物占有者の責任 の責任 ( 995 ) 動物管理者の責任 道府県民税 995 道府県税国税・地方税 ( 430 ) 犯罪人引渡 競争の実質 995 動物占有者 ( 56D 道路交通法 997 登録免許税 997 登録商標商標権 ( 68D 登録実用新案実用新案権 登録質 997 登録国法旗国法 ( 190 ) 登録株式質一人登録質 ( 997 ) 登録意匠 - ム意匠権 ( 20 ) 登録 996 道路ー、道路法 ( 997 ) 様とするす ( 1374 ) 同様とするす△同じである・同 引 ( 1069 ) 東洋精米機事件排他条件付取 東洋酸素事件 - ーゝ整理解雇 ( 77D 同盟罷業 996 同盟政策安全保障⑨ 透明性 996 和条約 ( 46 ) ノ平和条約△ヴェルサイユ講 同盟及聯合 ( ) 国ト独逸 C イ ) 国ト 同盟一ゝ安全保障⑨ 本・謄本・複本 ( 956 ) 戸籍抄本 ( 443 ) 手形の原 本・抄本 ( 339 ) 戸籍謄本・ 謄本原本・副本・謄本・正
741 て , 当事者の一方又は双方が ' 口頭弁論 ' * 期日 ' に出頭せず , 又は弁論をしないで退廷した場合 に , 裁判所が , 審理の現状及び当事者の訴訟追 行の状況を考慮して相当と認めるときになしう る * 終局判決 ' をいう〔民訴 244 〕。ただし , 当事 者の一方が口頭弁論期日に出頭せず , 又は弁論 をしないで退廷した場合には , 出頭した相手方 の申出があるときに限りこのような判決が許さ れる〔民訴 244 但〕。当事者一方の欠席に対する 対処策として , 出席した当事者に弁論をさせ ( ただし , 最初の期日における当事者一方の欠 席の場合には , 欠席当事者が事前に提出した * 準備書面 ' に記載した事実も * 陳述 ' されたもの として扱う ) , 欠席当事者がこの陳述を自白し たものと擬制することを通じて , 訴訟が裁判を するのに熟した段階に至れば , 終局判決を下す ことは可能である〔民訴 158 ・ 159 ・ 243 ①〕が , 現 行民事訴訟法はこれに加えて , 裁判所がその時 点までの審理の結果に基づいて終局判決を下す ことも認めた。ただ , 同じ終局判決とはいえ , その基礎をなす審理の成熟性に差があり , * 控 訴審 ' における審理の範囲等において後者の方 が出頭した当事者に対し不利に働くこともある ので , 出頭した当事者の申出がないと審理の現 状に基づく終局判決は下すことはできないとさ れている。これに対し , 当事者双方の欠席の場 合の対処策としては , 当事者が I カ月以内に期 日指定を申し立てないときに * 訴えの取下げ ' を 擬制する ( 体止満了という ) ことも可能である 〔民訴 263 前〕。当事者双方が結託して欠席と期 日指定申立てを繰り返すことに備え , 当事者双 方が連続して 2 回期日を欠席したときも訴え取 下げを擬制する〔民訴 263 後〕。双方欠席の場合 , 次回期日の指定申立てをまっかネ弁論 ' を終結し て審理の現状に基づく判決を下すかは受訴裁判 所の裁量に委ねられるが , 双方欠席の場合 , 裁 判外で * 和解 ' 交渉が進展していることも多いか ら , 基本的には次回期日の指定申立てをまつべ きである。自由心証主義 ' 審理不尽 I 民事訴訟法上 , * 上告理 由 ' の 1 っとして大審院時代から常用されてき た用語。裁判所が十分に * 証拠調べ ' を行わず又 は * 釈明権 ' の行使が十分でないなど , * 事実認 定 ' の手続を十分に尽くさない違法。 * 理由不 備 ' ・、理由の食違い ' , 法令の解釈適用の誤り , * 釈明義務 ' 違反と選択的又は重畳的に用いられ ることが多い。内容が曖味で明文の規定もない ことから , 多くの学説は独立の上告理由とする ことに消極的だが , * 破棄 ' 事由として肯定する 有力説もある。 しんりよう Ⅱ刑事訴訟法上も , 裁判所が * 訴因変更 ' を 促すべき場合にしなかったとき〔刑訴 312 ②〕 , * 職権証拠調べ ' を行うべき場合にしなかったと き〔刑訴 298 ②〕 , * 釈明義務 ' を行使すべき場合 にしなかったとき〔刑訴規 208 〕などに , 審理不 尽が認められる。厳密にいえば , 審理不尽は独 立の控訴理由ではなく , 訴訟手続の法令違反あ るいは * 事実誤認 ' の 1 つの場合である。 侵略「侵略」は , その定義を巡って極 めて議論の多い概念である。 * 国際連盟 ' の下で は , 戦争を一般的に禁止した 1928 年の ' 不戦条 約 ' の成立を契機として , その定義が試みられ たものの成功するには至らなかった ( なお , 1933 年にソ連が周辺諸国と「侵略の定義に関 する条約」を結んでいる ) 。 * 国際連合憲章 ' で も , 「侵略行為」が * 国際連合 ' の集団的措置発 動の要件の 1 っとされた〔国連憲章 39 〕にもかか わらず , その定義を憲章に盛り込むことは意図 的に避けられた。その後 , ソ連を中心として 「侵略の定義」を作成する試みが再開され , そ の結果 , 1974 年の国際連合第 29 回総会で「侵 略の定義」に関する決議 ( 総会決議 3314 ( XX Ⅸ ) ) がコンセンサスで採択された。同定義は , 抽象 的定義方式と列挙方式とを併用して , 「侵略」 を国際連合憲章違反の * 武力行使 ' と一般的に定 義し〔侵略の定義 1 〕 , この武力の先制的行使は 侵略行為の一応の証拠を構成する〔侵略の定義 2 〕とした上で , 「間接侵略」 ( 外国に直接武力攻 撃を加える直接侵略に対し , 主として外国の反 政府団体への不法な支援等を指す ) を含む侵略 行為を構成する具体的な行為類型を列挙してい る〔侵略の定義 3 〕。もっとも , 具体的状況にお ける侵略の最終的な判定には安全保障理事会の 裁量権が認められている〔侵略の定義幻。 侵略の定義に関する決議侵略 ' つ療報酬広義には医師の診療行為に対 して支払われる対価をいうが , ' 健康保険法 ' 等 における診療報酬は , 療養に要する費用から 一部負担金 ' を控除した金額をいう。 ' 療養の 給付 ' を担当した ' 保険医療機関 ' 等に対して , 保 険者の委託を受けて , * 社会保険診療報酬支払 基金 ' 等が審査・支払を行う〔健保 76 等〕。具体 的には , 「療養の給付及び公費負担医療に関す る費用の請求に関する省令」 ( 昭和引厚 36 ) 等に 基づく出来高払点数単価方式によって算定され る。診療行為のそれぞれに点数が定められ , そ の総和に 1 点当たり 10 円を乗じた額が診療報 酬となる。近年では , 診断群分類別包括払方式 も導人されている。国民健康保険団体連合
天皇の行使することができる個別の諸権能を指 す。法律の裁可〔明憲 6 〕 , 帝国議会の召集・開 会・閉会・停会及び衆議院の解散〔明憲 7 〕 , ' 緊 急勅令 ' ・ ' 独立命令 ' の発布〔明憲 8 ・ 9 〕 , 行政各 部の ' 官制 ' 制定・文武官の任免〔明憲 10 〕 , 陸海 軍の統帥 ( 統帥権 ' ) ・編制〔明憲Ⅱ・ 12 〕 , , 宣 戦 ' ・講和・ ' 条約 ' 締結〔明憲 13 〕 , ' 戒厳 ' 〔明憲 凵〕 , ' 栄典 ' 〔明憲 15 〕 , ' 恩赦 ' 〔明憲 16 〕 , * 非常大 権 ' 〔明憲 31 〕などが大権事項とされていた。 大権事項大権 ' 代行ある職を占める者に事故があると き , 又は欠けたときに , 他の者が代わってその 職務を行うこと。例えば , 「副大臣は , ・・・あら かじめその省の長である大臣の命を受けて大臣 不在の場合その職務を代行する」〔行組 16 ③〕の 類いである。代行と似た用語に ' 代理 ' があるが , 代理が法律行為についての代理を指すのが通例 であるのに反し , 代行は , 法律行為だけではな く , 事実行為をも含めて代わりに行う趣意であ る。なお , 代行と同じ趣旨を表すのに , 「職務 を行う」〔内 9 〕又は「代理」〔自治 152 ①〕の語が 用いられることもある。なお , 天皇の ' 国事に 関する行為 ' について , 「臨時代行」の制度が認 められている〔国事代行幻。この代行は , 天皇 の、委任 ' に基づく代行であって , この点で , 上 述の代行と性格を異にしている。 対抗措置国際法における違法性阻却事 由の 1 つであり , 国際違法行為 ( 国際法違反 ) ( 国際責任 ' ) に対する反応としてとられる措 置であって , それ自体では違法であるが , 一定 の要件を満たす場合にはその違法性が阻却され る〔国家責任条文 22 〕。対抗措置は国際法違反国 に義務の履行のみを促すためにのみとることが でき〔国家責任条文 49 〕 , 均衡性の要件を満たさ なければならない〔国家責任条文 51 〕。古くは復 仇 ( き ) と呼ばれたが , 軍事的復仇は現代国際 法の下では禁止され , 対抗措置は非軍事的復仇 にほぼ対応する。 対向犯必要的共犯 ' 対抗要件 1 意義法律関係力い当事者 ' 間で効力を有するための要件を満たしていても , 当然には ' 第三者 ' に対する効力 ( ' 対抗力 ' ) を有 さず , 対抗力を有するためには別の要件を満た さなければならないとき , その要件を対抗要件 という。法律関係が当事者間で効力を有するた めの要件を成立要件といい , 対抗要件と対比さ れる。 2 物権変動の対抗要件、物権変動 ' の成立要件は , 意思表示 ' であり〔民 176 〕 , 不動産に関する物 権の得喪・変更の対抗要件 : お登記 ' 〔民 177 〕 , 853 受働債権の債権者に対して相殺を対抗する旨の 意思表示を行った ' 受働債権 ' の債務者からみて , 定めることがある。例えば , イ ' 相殺 ( 記 ) ' の 者からみて , 他方の当事者に対して対抗すると 法律関係を成立させる要件に関わる一方の当事 法律関係の効力が , その当事者に及ぶことを , 6 当事者間における対抗民法の規定には , ある がないため , 対抗要件は問題とならない。 有し , したがって , 特に別の要件を満たす必要 を満たしていると , 原則として当然に対抗力を 法律関係が当事者間で効力を有するための要件 これらの例では , とができない〔民 96 ③〕。 思表示の取消しは , 善意の第三者に対抗するこ ことができない〔民 94 ②〕。ハ ' 詐欺 ' による意 が無効であることは , 善意の第三者に対抗する 法人 77 ⑤・ 197 〕。ロ ' 虚偽表示 ' である意思表示 、善意 ' の第三者に対抗することができない〔一般 人の代表理事の、代表 ' 権に対して加えた制限は , 問題となるものとして以下の例がある。イ法 対抗要件が間題となる場合のほかにも , 対抗が ることができない ( 対抗することを得ず ) という。 第三者に及ぼすことができないことを , 対抗す 効力を有していても , その効力を当事者以外の いう。したがって , ある法律関係が当事者間で 事者以外の第三者に及ぼすことを , 対抗すると 5 第三者に対する対抗ある法律関係の効力を当 物の引渡しである〔借地借家 31 〕。 の建物について物権を取得した者に対しては建 家 10 〕 , 建物の賃借権の対抗要件は , その後そ されている建物を所有することであり〔借地借 権 ' の対抗要件は , 上地の上に借地権者が登記 得した者に対しては登記である〔民 605 〕。 ' 借地 抗要件は , その後その不動産について物権を取 4 不動産賃借権の対抗要件不動産の賃借権の対 なり , 対抗要件ではなくなった。吟債権譲渡 ' の際の譲渡裏書と証書の交付は効力発生要件と 権法改正 ' 案により , 指図債権 ( 指図証券 ) 譲渡 る民法の特例等に関する法律」 4 条参照。 ' 債 なお , 「動産及び債権の譲渡の対抗要件に関す 件は , ' 譲渡裏書 ' と証書の交付である〔民 469 〕。 その承諾で足りる。、指図債権 ' の譲渡の対抗要 譲渡の対抗要件は , 単なる債務者への通知又は 〔民 467 〕。ただし , 債務者に対する指名債権の による , 債務者への通知又はその承諾である 者に対する対抗要件は , ' 確定日付 ' のある証書 3 債権譲渡の対抗要件 ' 指名債権 ' の譲渡の第三 3 条参照。 対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」 である〔民 178 〕。なお , 「動産及び債権の譲渡の 動産に関する物権の譲渡の対抗要件は ' 引渡し たいこうよ
同一の事件について別訴が係属していないこと 〔民訴 142 〕 ( 二重起訴の禁止 ' ) や , * 仲裁合意 ' が存在しないことなどがある。もっとも , 後者 の場合は , 被告が仲裁合意が存在する旨を主張 した場合にのみ訴訟障害となる。 訴訟承継 1 意義民事訴訟法上 , * 訴 訟係属 ' 中に ' 訴訟物 ' の基礎をなす実体関係に変 動があったことにより * 当事者適格 ' あるいは紛 争の主体たる地位が当事者から第三者に移転し たことに基づいて , 新たに当事者となったその 第三者が従前の当事者の訴訟上の地位 ( 訴え提 起の効果や訴訟法律状態 ) を引き継ぐこと。 2 種類イ当然承継 : 承継原因の発生により法 律上当然に当事者の交代が生ずる場合。承継原 因は , 当事者の死亡 , 法人等の合併による消滅 など , ' 訴訟手続の中断 ' 事由から推知される 〔民訴 124 ①。ただし , 民訴 124 ②・ 30 ②〕。ロ訴 訟物の譲渡による承継 : 訴訟係属中に訴訟物あ るいは係争物の譲渡がなされた場合 , 例えば , 家屋収去上地明渡し請求訴訟の係属中に , 原告 が上地所有権を第三者に譲渡し , あるいは被告 が家屋所有権を第三者に譲渡した場合の処理に ついては立法例が分かれる。ドイツ法は , 係争 物の譲渡があっても従前の当事者適格をそのま ま認め , ' 判決の効力 ' を係属中の承継人にも及 ぼすという当事者恒定主義をとる〔ドイツ民事訴 訟法 265 ・ 325 〕。わが国の現行法は , 訴訟係属 中の承継人を , 承継人からの ' 参加承継 ' の申出 〔民訴 49 ・ 51 〕又は既存の当事者からの * 引受承 継 ' の申立て ( 引受参加ともいう ) 〔民訴 50 ・引〕に より当事者として訴訟に加人させて既存の当事 者の訴訟上の地位を引き継がせるという訴訟承 継主義をとる〔なお , 民保 58 ・ 62 〕。 訴訟条件 I 刑事訴訟法 1 意義訴 追を適法とし , 実体審理い実体判決 ' をするた めに必要な条件をいう。これが欠けることが判 明したときには , 直ちに実体審理を打ち切り , あるいは実体審理に人ることなしに , * 公訴棄 却 ' い管轄違い ' ・ * 免訴 ' の形式裁判によって訴 訟を打ち切らなければならない〔刑訴 329 ・ 337 ~ 339 〕。欠如していた訴訟条件を後から追完でき るかという点については , 議論がある。 2 種類イその存在が実体審理の要件となる積 極的訴訟条件と , その不存在が実体審理の要件 となる消極的訴訟条件 , 口一般的訴訟条件と , 特殊の事件にだけ必要な特殊的訴訟条件い親告 罪 ' の告訴など ) , ハ職権で常に調査される絶 対的訴訟条件と , 当事者の主張をまって初めて 顧慮される相対的訴訟条件 ( 例えば , ' 上地管 轄 ' ) , ニ条文に列挙された法的訴訟条件と解 8 引 争が行われた。新訴訟物理論 ' 請求の広がり , 同一性の基準について訴訟物論 等の基準となるという機能を有する。訴訟上の 囲〔民訴 246 〕 , 既判力の客観的範囲〔民訴Ⅱ 4 ①〕 止 ' に当たるかどうか〔民訴 142 〕 , 申立事項の範 ' 訴えの変更 ' 〔民訴 143 〕の有無 , ' 二重起訴の禁 本単位であり , * 請求の併合 ' 〔民訴 136 〕の有無 ②〕。訴訟上の請求 ( 訴訟物 ) は審判の対象の基 の記載により特定しなければならない〔民訴 133 階で * 訴状 ' における * 請求の趣旨 ' , * 請求原因 ' 134 〕等 ) 。訴訟上の請求の内容は訴え提起の段 ある ( 例外として * 証書真否確認の訴え ' 〔民訴 係の存否の主張でなければならないのが原則で が可能なように , 請求の内容は権利又は法律関 実体法に基づいて行われるから , 法律的な判断 断に * 既判カ ' が生ずる〔民訴 1 14 〕。その判断は 決 ' であり , * 主文 ' における訴訟物についての判 2 機能請求の当否を判断する裁判が * 本案判 が転化した。単に請求ともいう。 や ' 形成の訴え ' が認められるようになって語義 呼ばれるようになったが , その後、確認の訴え ' 張が権利主張の内容となるため訴訟上の請求と られていた時代には , 実体法上の * 請求権 ' の主 かって訴訟類型として * 給付の訴え ' だけが認め う。この主張される権利関係を * 訴訟物 ' と呼ぶ。 いい , 狭義には被告に対する権利主張のみをい に基づく裁判所に対する特定の判決の要求とを て , 原告の被告に対する一定の権利主張とそれ 訴訟上の請求 1 意義民事訴訟法におい 訴訟上の合意訴訟に関する合意 ' られている。総合法律支援法 ' の立替えについては , * 法律扶助 ' の制度が設け 対象とならない〔民訴 83 ①②参照〕。弁護士費用 付添いを命じた場合〔例 : 民訴 155 ②〕を除き , い。ただし , 弁護士費用は , 裁判所が弁護士の ' 送達 ' や ' 証拠調べ ' の費用を予納する必要もな 状 ' に印紙を貼用 ( 齲う ) しなくても受理され , う〔民訴 82 〕。救助決定を受けた当事者は , * 訴 決定は , 各審級ごとに申立てにより裁判所が行 82 ~ 86 〕。訴訟救助ともいう。訴訟上の救助の 合に , 裁判費用等の支払を猶予する制度〔民訴 について , 勝訴の見込みがないとはいえない場 はその支払により生活に著しい支障を生ずる者 及び追行に必要な費用を支払う資力がないか又 訴訟上の救助民事訴訟法上 , 訴訟の準備 訴訟状態訴訟法律状態説 ' いるのが通常である。訴訟要件 ' Ⅱ民事訴訟法上は , 訴訟要件という語を用 る。 釈上認められる非典型的訴訟条件に , 分類され そしようじ
539 にして濫用を防止しようとした〔条約法約 66 紛争当事国の調停手続への一方的な付託を可能 危ぶまれていたが , 本原則の適用を巡る紛争は , 的な決定機関の不存在から , この原則の濫用が れない〔条約法約 62 ②〕。なお , 国際社会の公権 務違反に由来する場合には , この原則は適用さ び事情の根本的変化が援用当事国の国際的な義 法約 62 ①〕。ただし , 国境を確立する条約 , 及 的に変更するものであることを要求する〔条約 り , かっ当該変化が条約上の義務の範囲を根本 存在が当事国の同意の不可欠の基礎をなしてお 的変化を当事国が予見しえず , 変化した事情の 付けるとともに , その援用に当たっては , 根本 約の終了又は条約からの脱退の根拠として位置 ウィーン条約 ' は , この原則を当事国による条 ることができるとする原則。 * 条約法に関する 件が失われ , 当事国は一方的に条約を終了させ 重大な変更が生じたときは , 条約の有効性の条 Ⅱ国際法上 , 条約を締結したときの事情に る。 32 条はこの原則を認めたものであるといわれ 587 の 2 ③等参照〕。また , * 借地借家法 ' 11 条・ を基礎にしている〔なお , 民 589 ・ 628 ・ 683 , 民案 若干の規定〔民 609 ・ 610 〕が , このような考え方 いうのがこの原則の内容である。わが民法では , ( 例えば * 賃料 ' 増額 ) を請求することを認めると に契約の解除又は将来に向けて契約内容の改定 する。したがって , 信義則を適用して , 当事者 約上の債務の履行を迫ることは著しく衡平に反 れが重大であるという場合に , 当事者になお契 ことのできないような原因で生じ , しかも , そ な社会事情の変動が後に当事者の責めに帰する らないが , 契約当時全く予見できなかったよう 展させた法理である。契約は守られなければな いて急激なインフレに当面して判例・学説が発 認める原則のこと。第一次大戦後のドイツにお っとして契約の消滅あるいは契約内容の変更を な変動に際して , ' 信義誠実の原則 ' の適用の 1 I 私法上は , 契約締結後の経済事情の重大 法上及び国際法で間題とされる。 じて変更されなければならないという原則。私 会的事情に変化があれば契約の内容はそれに応 前提として締結されるものであるから , その社 約 ' ) はその時の社会的事情を基礎とし , それを 事情変更の原則 * 契約 ' ( 国際法では * 条 慮させる趣旨である。 これによって , 当事者に損害賠償の方法等を考 決の違法を宣言することもできる〔行訴 31 ②〕。 * 終局判決 ' 前に * 中間判決 ' をもって処分又は裁 宣言しなければならない〔行訴 31 ①〕。裁判所は しじんかん (b) ・ 65 ①③〕。 * 国際司法裁判所 ' は , 漁業管轄権 事件 ( 管轄権判決 ) において , 条約法に関するウ ィーン条約 62 条の規定が一般国際法であるこ とを認定した ( ICJ 判 1973 ・ 2 ・ 2 Reports 1973 ・ 自招防衛自招侵害・危難 ' 自称無限責任社員、合資会社 ' の、有限責 任社員 ' で , 第三者に自己をネ無限責任社員 ' と誤 認させるような行為をした者。 * 自称社員 ' の場 合と同様に , 誤認に基づき合資会社と取引をし た第三者に対しては , その保護のため , 無限責 任社員と同一の責任を負う〔会社 588 ①〕。また , 合資会社又は * 合同会社 ' の有限責任社員が自己 の責任の限度を誤認させるような行為をしたと きも , 同様に , 誤認させた責任の範囲内で責任 を負う〔会社 588 ②〕。 市場類似施設 ( 市場 ) * 金融商品取引法 ' 上 の * 金融商品市場 ' に類似する施設 ( 市場 ) 。金融 商品市場は , 内閣総理大臣の免許を受けた者で なければ開設できず , 例外的に認可 * 金融商品 取引業協会 ' が開設する店頭売買有価証券市場 と認可を受けた金融商品取引業者が行う私設取 引システム〔金商 2 ⑧匯・ 30 ①〕が許容されてい る〔金商 80 ①〕。これら以外の市場類似施設での 売買等は禁止される〔金商 167 の 3 〕。同様の規 制は , * 商品先物取引法 ' にもある〔商取 6 〕。 自助売却債務者が給付義務を免れるた めに自ら弁済の目的物を * 競売 ' すること。 1 民 法上の自助売却債務者が * 供託 ' によって給付義 務を免れることができる場合に〔民 494 〕 , 目的 物が供託に適さないか , 滅失損傷のおそれがあ るか , 又は過分の保存費用を必要とするときに 限り , 裁判所の許可を得て自らこれを競売し , その代金を供託することができる〔民 497 〕。 2 商法上の自助売却商人間の * 商事売買 ' におい て , 買主の目的物の受取拒絶・受取不能の場合 に相当の期間を定めて ' 催告 ' した後に ( 「損傷そ の他の事由による価格の低落のおそれがある 物」については催告も不要 ) これを競売するこ と〔商 524 ①②〕。競売後の売主は , その代価を ' 供託 ' しなければならないが , 代金債権の弁済 期が到来していれば , 代価の全部又は一部を代 金に充当できる〔商 524 ③〕。同種の制度は・問屋 C. い ) 営業 ' 〔商 556 〕・ ' 運送営業 ' 〔商 585 ~ 587 ・ 591 ②〕・ * 倉庫営業 ' 〔商 624 〕・ * 海上運送 ' 〔商 757 , 国 際海運 20 ①〕等にも認められている。 私人間効力 ( 人権の ) 憲法の人権規定が私 人間の法的関係に対してもつ効力。第三者効力 ともいう。憲法が直接適用されるのは * 公権力 ' と私人の関係であり , 人権の性質上当然私人と
701 ハ * 訴訟資料 ' ・証拠資料の収集に関するもの 開始・終了に関するものを * 職権調査 ' ( 主義 ) , 進行主義 ' , ロ手続ないし具体的問題の審理の 体的には , イ手続の進行に関するものを * 職権 導権を裁判所に認める原則を総称したもの。具 I 民事訴訟において , 訴訟手続における主 種の権限を集中する原則をいう。 手続の主宰者として , これに審理についての各 職権主義一般に , 訴訟法上 , 裁判所を 職 ( 公務員の ) ' 分類官職・非分類官職 ' 成 26 年の改正 ( 法 34 ) で , それぞれ削除された。 改正 ( 法 108 ) で , * 地方公務員法 ' については平 定は , * 国家公務員法 ' については平成 19 年の 職階制は実施されず , 職階制に関する法律の規 の群が * 職種 ' である〔職階制Ⅱ①本文〕。ただし , 34 による改正前の ) 23 ⑤〕。職務が類似する職級 ( 平成 19 法 108 改正前の ) 29 ③ , 地公旧 ( 平成 26 法 扱われるものとされていた〔職階制 3 工国公旧 用され , その他 , 人事行政において同様に取り の任用試験が行われ , 同一の俸給表が等しく適 する職には , 同一の資格要件が定められ , 同一 による廃止前の ) 職階制 3 ・ 7 〕。同一職級に属 ると決定されたものの群をいう〔 ( 平成 19 法 108 職務の種類・複雑と責任の度が十分類似してい 職級 一般職 ' 国家公務員の職のうち , 員の ) ' 職種 ' 職級 ' 等級 ( 官職の ) ' ( 平成 26 法 34 ) により廃止された。職 ( 公務 般には条例未制定のまま , 地方公務員法改正 29 条例 45 ) を定めたところもあったものの , に「羽島市職員の職階制に関する条例」 ( 昭和 めることとされていたが , 岐阜県羽島市のよう た , 地方公務員の職階制については , 条例で定 務員の職階制に関する法律」も廃止された。ま 国家公務員法改正 ( 法 108 ) で廃止され , 「国家公 階制については , 未実施のまま , 平成 19 年の のとみなし」ていた。しかし , 国家公務員の職 かっ , この法律の要請するところに適合するも を本条その他の条項に規定された計画であって , 法律・・・第六条の規定による職務の分類は , これ 旧 29 条 5 項も「一般職の職員の給与に関する きる」ものとされ〔職階制附②〕 , 国家公務員法 れたが , 官職の格付は「逐次実施することがで 務員の職階制に関する法律」 ( 法 180 ) が制定さ なかったことなどから , 昭和 25 年に「国家公 力主義の徹底という現実条件が十分備わってい 度が定着し , 科学的な職務分類の前提となる能 2 導入と廃止わが国では , 年功序列の給与制 ととされた。 は * 人事委員会 ' が職階制の実施に責任を負うこ 員の場合には * 人事院 ' が , 地方公務員の場合に しよっけん を * 職権探知 ' 主義という。一般の民事訴訟では , 問題が当事者の私益に関することが通常なので , 原則として職権主義によらず , ロの点について は * 処分権主義 ' , ハの点については * 弁論主義 ' がとられている ( 当事者主義 ' ) 。ただ , 手続 の進行については , 他の手続利用者の利害にも 関係するので , 当事者の自由には任せず , 職権 進行主義によっている。また , * 人事訴訟 ' につ いては , 真実発見の高度の必要性があり , ' 判 決の効力 ' が第三者にも拡張されるので , 職権 探知主義が採用されている。更に , 通常の民事 訴訟においても , ' 訴訟要件 ' の存否や強行規定 の遵守の有無などの問題は職権調査の事項であ り , * 裁判権 ' など公益性の特に強い問題につい ては職権探知主義による。 Ⅱ刑事訴訟法上は , * 当事者主義 ' に対する 意味で用いられる。その具体的な現れ方には次 のようなものがある。イ * 公訴 ' が提起された 以上は , 事件について当事者の処分を許さず , * 裁判 ' によってだけ事件を終結させる ( 不変更 主義 ) 。ロ審判の対象・ * 証拠 ' について , 当事 者が請求・提出したものに限らず , 裁判所が自 らの判断で審理の対象を拡大し , あるいは * 証 拠調べ ' を行う (* 職権探知 ' 主義・ * 職権審理主 義 ' ) 。ハ訴訟の進行を当事者に任せることな く , 裁判所が職権で進行させる ( * 職権進行主 義 ' ) 。職権主義という場合 , これらの 1 つ又は 全部をいうが , その各々についても程度の差が あり種々の含意がある。現行刑事訴訟法は , 旧 法に比べて , 当事者主義を前進させ , 職権主義 を後退させているが , 当事者主義に徹している わけではない。イの点では , 検察官に * 公訴の 取消しを認める ( 変更主義 ) 〔刑訴 257 〕一方で , 被告人が有罪の答弁をしても審理の省略は認め ない〔刑訴 291 の 2 参照〕。ロの点では , * 訴因 ' の 制度が導入され , 審判の対象が検察官の主張部 分に限定されるばかりでなく〔刑訴 256 ③⑤・ 312 〕 , ' 職権証拠調べ ' も補充的なものとなって いる〔刑訴 298 〕 , 証人尋問は ' 交互尋問 ' 方式〔刑 訴規 199 の 2 〕によるのが通例となっているなど , 当事者主義が相当に浸透している。それでも ' 訴因 ' 変更命令の権限が , 残されている〔刑訴 312 ②〕。ハの点では , 裁判所の * 訴訟指揮 ' 権が 認められている ( 職権進行主義 ) 〔刑訴 294 〕が , 当事者は事異議の申立て ' をすることができ〔刑訴 309 ②〕 , この限りで , 当事者主義的であるとい うことができる〔特に , 刑訴 277 〕。 Ⅲ、行政訴訟 ' においては , 一般に , 審理の 対象となる事件が公共の利益に密接に関連する ので , 審理の客観的公正を期するために , 審理