1157 ず , さらに倫理に反するほどの不法性がなけれ ばならないとするのが多数説である。 2 効果法律上無効な行為に基づいて給付され たものは , 元来 , 、不当利得 ' 〔民 703 〕として返 還されなければならないはずであるが , 不法原 因給付の場合には返還を請求できないとされて いる〔民 708 本文〕。それは , もしこのような給 付の返還請求を認めると , 結局 , 裁判所が不法 な行為をした者に助力を与えることになるから である。しかし , 例えば , 一方の急迫に乗じて 他方が暴利をむさぼる場合のように , 不法の原 因が専ら受益者の側にあるときは , 返還請求を 認めても裁判所が不法な行為者に助力すること にならないので , 返還を請求することができる とされている〔民 708 但〕。 不法行為 I 民法 1 意義及び種類 例えば , 不注意で他人を傷つけたり , 他人の物 を壊したりすると , 行為者はそれによって生じ た損害を賠償しなければならない。このように ある行為によって他人に生じた損害を賠償する 責任が生じる場合に , その行為を不法行為とい う。・契約 ' と並んで重要な債権発生原因である。 民法は 709 条に ' 過失責任主義 ' に基づく不法行 為の一般的規定を置き , 714 条以下に ' 過失 ' の ' 挙証責任 ' を転換し , あるいは ' 無過失責任 ' を 認める特殊の不法行為の規定を置いている。 2 一般の不法行為の成立要件イ加害者に ' 故 意 ' ・過失があること。ロ ' 権利侵害 ' 又は法律 上保護される利益の侵害 (* 違法性 ' ) があること 〔民 709 〕。平成 16 年改正 ( 法 147 ) 前の民法 709 条は , 被侵害利益として権利侵害のみを規定し ていた。この点につきかっての判例は , 侵害さ れる権利の意味を厳格に解し , 法律上何々権と 名付けられるようなものでなければ損害賠償の 対象にならないとした ( 雲右衛門事件 ' ) が , その後 , 法律上権利と名付けられていなくても 保護に値する利益であればよいとして「権利侵 害」の要件を広く解するに至った ( 大学湯事 件 ' ) 。そして , その後の通説・判例は , 民法 709 条にいう権利侵害は違法性のことをいうの だと解し , 行為に違法性があれば不法行為は成 立すると考え , 違法性の有無を判断するには , 行為の態様と侵害される利益とを相関的に考察 しなければならないと解してきた。しかし , のような違法性論を再検討し , 違法性の独立要 件性を否定してその要素を過失要件の中で判断 すべきだとする学説 ( 新過失論 ) が有力になって いる。平成 16 年の改正 ( ロ語化 ) は , この議論 には踏み込むことなく , 709 条によって保護さ れる被侵害利益は権利又は法律上保護される利 ふほうこう 益であるとの判例・学説上異論のないところを 改めて , 現行の条文とした。ハ加害行為と損 害との間に ' 因果関係 ' が存在すること。ニ、責 任能力 ' があること〔民 712 ・ 713 〕。ただし , これ は被害者が証明すべき積極的要件ではなく , む しろ加害者がその不存在を証明することで免責 を主張できる消極的要件である。 3 特殊な不法行為の成立要件イ責任無能力者 ( 幼児や責任弁識能力を欠く者など ) の監督義務 者は , 責任無能力者の行為について賠償責任を 負うが , 監督義務を怠らなかったことを立証す ると責任を免れる〔民 714 〕。過失の挙証責任が 転換された・中間的責任 ' である。なお , 責任能 力のある未成年者の不法行為であっても , 監督 義務者に監督上の過失があり , それと未成年者 の不法行為とに間に相当因果関係があれば , 監 督義務者は民法 709 条により不法行為責任を負 う , とするのが判例・学説である。ロある事 業のために他人を使用する者は , 被用者がその 事業の執行について第三者に加えた損害を賠償 する責任を負う ( 使用者責任 ' ) 。被用者の選 任・監督について相当の注意を払ったことを立 証したときには , 免責されると規定されている 〔民 715 〕が , 判例上この免責を認めることはほ とんどない。ハ上地の工作物 ( 建物など ) の設 置・保存に瑕疵 ( つがあることによって他人に 損害が生じたときには , まず占有者が賠償の責 任を負い , 占有者が必要な注意をしたときには , 所有者が最終的に責任を負う〔民 717 〕。占有者 の責任は過失の挙証責任が転換された中間的責 任であるが , 所有者の責任は無過失責任である ( 工作物責任 ' ) 。ニ動物の占有者は , その動 物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。 ただし , 相当の注意をもって管理したことを立 証すれば免責される〔民 718 〕。これも中間的責 任である ( 動物占有者の責任 ' ) 。ホ数人が共 同の不法行為によって他人に損害を加えたとき には , 各自連帯して賠償責任を負う〔民 719 〕 ( 共同不法行為 ' ) 。へそのほか , 特別法による ものとして , 自動車運行供用者の責任〔自賠 3 〕 ( 自動車損害賠償保障法 ' ) , 使用者の災害補 償責任〔労基 75 ~ 87 〕 ( 労働者災害補償保険 ' ) , 鉱害賠償責任〔鉱業 109 ~ Ⅱ 6 〕 ( 鉱害賠償 ' ) , 原 子力事業者の責任〔原賠 3 〕 ( 原子力損害賠償責 任 ' ) , 大気汚染及び水質汚濁発生事業者の責任 ( 大気汚染防止法 ' 水質汚濁防止法 ' ) , 製 品に欠陥がある場合の製造業者等の責任 ( 製 造物責任 ' ) 〔製造物 3 〕などがある。 4 効果被害者は , 加害者に対して・損害賠償 ' 請求権を取得する〔民 709 〕。金銭賠償によるの
こっかばい 有化国の国内法に照らした妥当な補償でよいと した点 , * 天然資源に対する永久的主権 ' を再確 認した点など , 開発途上国の主張を網羅的に盛 り込んだ。先進国の多くは決議の採択にあたっ て反対ないし棄権に回った。 国家賠償法昭和 22 年法律 125 号。 1 意 義国又は公共団体の、損害賠償 ' 責任に関する 一般法。日本国憲法 17 条は , * 明治憲法 ' 下で 認められていなかった * 公権力 ' の行使に基づく 損害の賠償責任を認め , その具体的要件につい ては法律の定めるところに譲っている。そこで 制定されたのが本法である。 2 内容イ公権力の行使に基づく責任 : 公権力 の行使にあたる公務員が , その職務を行うにつ いて , 故意・過失によって違法に他人に損害を 加えたとき , 国又は公共団体が損害賠償責任を 負い〔国賠 1 ①〕 , 他方 , 公務員個人については , 直接被害者に対して責任を負わず ( 最判昭和 30 ・ 4 ・ 19 民集 9 ・ 5 ・ 534 ) , 故意又は重過失の存 する場合にだけ , 国又は公共団体が当該公務員 に対して ' 求償権 ' を行使できる〔国賠 1 ②〕。ロ 営造物責任 : 道路・河川その他の公の、営造物 ' の設置・管理に瑕疵に ) があったために他人に 損害が生じたときに , 国又は公共団体が賠償責 任を負う〔国賠 2 ①〕。民法 717 条の上地工作物 の設置・保存の瑕疵に基づく損害賠償責任に対 応するものであるが , 占有者の免責は認められ ておらず , 一種の * 無過失責任 ' が規定されてい る。ハその他 : 施設の管理者と費用負担者が 異なる場合等の賠償責任者に関する規定〔国賠 3 〕 , 外国人に関する相互保証主義を定める規定 〔国賠 6 〕が置かれている。また , 本法の規定に よるほか消滅時効・過失相殺 ( 記 ) 等については 民法の規定が適用され〔国賠 4 〕 , 他方 , 民法以 外の他の法律に別段の規定があるときは , その 定めによる〔国賠 5 。他の法律の例 : 自賠 , 刑補〕。 行政上の不法行為責任 ' 国の不法行為 責任 ' 国家報告制度国際人権法 ' 国家法人説 1 概念 ' 国家 ' を法学上は * 統 治権 ' をもつ * 法人 ' とみる学説。 19 世紀ドイツ において , アルプレヒト (WiIheIm Eduard AIbrecht, 1800 ~ 76 ) , ゲルノヾー (Karl Friedrich WilheIm von Gerber, 1823 ~ (1) , * イエリネッ ク ' らによって説かれた。彼らは , ' 王権神授説 ' に対抗すると共に , * 国民主権 ' の原理に立った ' 社会契約説 ' にも反対し , 国家に国家であるが ゆえの権威を承認した。主権論としての、国家 主権 ' 説に対応する。 2 歴史的意義この理論は , その発生当初は , 448 たが , 現在では相対 ( 又は制限 ) 免除主義に基づ れ , 多少の例外を除いて広範に免除が認められ 範囲について , かっては絶対免除主義が適用さ して , 国家免除が認められる。国家免除の適用 であるとされる。国家及びその公有財産等に対 免除は , 国家主権 ( 主権 ' ) ・、主権平等 ' の結果 管轄権に服することは免れることをいう。国家 あっても , 同意なくして被告として外国の裁判 いて , 自ら原告となって訴えを提起することは 国家免除国家が外国の国内裁判所にお 基づく国家補償として位置付けられる。 ( 損失 ) を補填しようとするもので , 結果責任に 害を及ぼす結果を生ぜしめた場合にその損害 国家作用の適法・違法の区別にかかわらず , 被 て広く捉える意義は , この谷間の領域につき , の領域が生じることとなる。「国家補償」とし れによっても救済がなされない国家補償の谷間 在し , したがって , 損害賠償・損失補償のいず はその出発点を異にし , 別個の法制度として存 任主義を基に構築されたものであるため , 両者 的思想を基底として , 道義的責任主義・過失責 のであるのに対し , 損害賠償は , 近代個人主義 的公平負担主義の実現を目指して構成されたも 損失補償は , 団体主義的思想を基底として社会 意・過失を要件として責任が定められている。 権力 ' の行使による損害については公務員の故 基づき制定された ' 国家賠償法 ' によって , ' 公 上の不法行為責任 ' であり , 日本国憲法 17 条に 作用によって不法な損害を生じた場合の、行政 あるのに対し〔憲 29 ③〕 , 後者は , 違法な国家 の犠牲 ' ) を全体の負担において補填するもので 合法的に損失を生じた場合に , 当該損失 ( * 特別 されており , 前者は , 適法な国家作用によって * 不法行為 ' に基づく * 損害賠償 ' の 2 分類に区分 法行為に基づく * 損失補償 ' ( 狭義の国家補償 ) と る金銭的補填を総称したもの。伝統的には , 適 が及ぼされた場合に , その損害に対してなされ 国家補償行政作用によって市民に損害 憲法理論に大きな影響を与えている。 く , 憲法は国民主権主義に転換したのに今なお に , 第二次大戦後もこの説を批判する発想が弱 に対抗する役割を担うことができた。そのため 当時の状況の下では , この説も神権説的国家論 ' 美濃部達吉 ' の、天皇機関説 ' が著名であるが , 守る役割を担ったと評価されている。日本では , そのためこの理論は , ドイツの * 立憲君主制 ' を 民主権説との相違を際立たせるようになった。 紀前半にかけての歴史の発展は , この理論の国 理として意味があったが , 19 世紀末から 20 世 ドイツに伝統的な古い国家理論に対する批判原
訴訟手続の中止 834 訴訟手続の中断 834 訴訟手続の停止 835 訴訟手続の法令違反 835 訴訟当事者能力当事者能力 ( 984 ) 訴訟に関する合意 835 訴訟能力 835 訴訟の目的ーゝ訴訟物 ( 837 ) 訴訟判決 836 訴訟引受け引受承継 ( 1100 ) 訴訟費用 836 訴訟物 837 訴訟物の価額 837 訴訟物の譲渡ー - ゝ訴訟承継 ( 83D 訴訟法 837 訴訟法上の形成の訴え 837 訴訟法律関係説 837 訴訟法律状態説 837 訴訟要件 837 ソース・ルール 838 租税 838 租税会計税務会計 ( 770 ) 租税回避 838 租税危害犯 839 租税客体 - 。人課税物件 ( 125 ) 租税国家 840 租税債権 840 租税債務納税義務 ( 1062 ) 租税債務者 -- ゝ納税義務者い 062 ) 租税重課措置 ( 840 ) 租税条約 840 ー、租税特別措置 租税滞納処分滞納処分 ( 租税 の ) ( 865 ) 租税秩序犯一人租税危害犯 ( 839 ) 租税特別措置 840 租税の種類 840 租税の納期限 い 06D 租税の納付 ( 1064 ) 納期限 ( 租税の ) 納付 ( 租税の ) 租税の賦課・徴収 841 租税犯 841 租税法 841 租税法律主義 841 租税優遇措置租税特別措置 ( 840 ) 租税優先権 841 租税類別措置租税特別措置 ( 840 ) そそのかし一 - ゝ共謀・そそのか し・あおり・企て ( 255 ) 措置ー、福祉の措置 ( Ⅱ 27 ) 措置入院 842 措置法 - ム法規 ( Ⅱ 89 ) 措置要求ーーゝ勤務条件に関する行 政措置の要求 ( 273 ) 訴追裁量 842 47 訴追免除刑事免責 ( 305 ) 即決裁判手続 842 即決和解起訴前の和解 ( 197 ) 続行命令ー。、訴訟手続の続行命令 ( 834 ) ゾーニングー、地域地区制 ( 896 ) その他・その他のす 1383 その他資本剰余金 843 その他有価証券評価差額金 843 その他利益剰余金 843 ソフォクレスーゝ悪法も法なり ソフト・ロー 843 疎明証明・疎明 ( 685 ) 空知太神社事件砂川政教分離 訴訟 ( 748 ) ソルべンシー・マージン 844 ソ連憲法ロシア憲法 ( 1362 ) ソロン - ム立法者 ( 1328 ) 村市町村 ( 549 ) 損益共通契約 844 損益計算書 844 損益相殺 ( 記 ) 844 損益通算 845 損壊 845 損害 845 損害額の認定 845 損害担保契約 845 損害賠償 846 損害賠償者の代位 846 損害賠償請求権の査定 846 損害防止義務 846 損害防止費用 847 損害保険 847 損害保険代理店 - へ保険代理店 損金一ゝ益金・損金 ( 62 ) 損金経理 847 尊厳死 847 損失保証一 - ゝ損失補填 ( 848 ) 不当勧誘 ( 金融商品取引の ) ( Ⅱ 48 ) 損失補償 847 損失補償基準 848 損失補墳 848 損傷者負担 848 尊属・卑属 848 尊属殺違憲判決ーゝ違憲判決の効 カ ( 15 ) 尊属殺人尊属に対する罪 ( 849 ) 尊属に対する罪 849 存否応答拒否 849 係文三民主義 ( 510 ) ( 122D 存立危機事態 -- ゝ防衛出動 ( Ⅱ 86 ) 総合索引 た ( 773 ) 委任 ( 372 ) 第三者委任禁止条項ー、交渉権の 第三者異議の訴え 854 第三者 854 第三債務者 854 険者 ( 228 ) 第 3 号被保険者 - 強制加人被保 待婚期間一ム再婚禁止期間 ( 470 ) 対抗力 854 対抗要件 853 対向犯必要的共犯 ( Ⅱ 08 ) 対抗措置 853 代行船長一、船長 ( 793 ) 要件 ( 853 ) 対抗することができない一人対抗 等の ) ( 353 ) 対抗買付け公開買付け ( 株券 代行 853 大憲章マグナ・カルタい 243 ) 大権事項 -- ゝ大権 ( 852 ) 大権 852 代決 852 体系的解釈 - 、法の解釈 ( 1207 ) 退去制 852 怠業的行為 852 怠業 852 代休 852 大規模訴訟 852 大規模小売店舗立地法 852 △大規模小売店舗立地法 ( 852 ) 事業活動の調整に関する法律 大規模小売店舗における小売業の 民主制 ( 867 ) 代議制議会制 ( 179 ) - ム代表 代議士 851 部分核実験停止条約 ( Ⅱ 56 ) ける核兵器実験を禁止する条約 大気圏内 , 宇宙空間及び水中にお 待期期間 8 引 大気汚染防止法 851 代価弁済 851 大学湯事件 850 大学の自治 850 対価関係 ( 手形の ) 850 大会社 850 代位弁済 849 第一審 849 事務 ( Ⅱ 99 ) 第一号法定受託事務法定受託 険者 ( 228 ) 第 I 号被保険者強制加人被保 代位訴訟責任追及等の訴え 代位訴権一ゝ債権者代位権 ( 465 ) 代位 849
845 2 控除額控除される利益の範囲は , 一般に損 害発生の原因である事実と * 相当因果関係 ' にあ るものと説かれているが , 損益相殺とは , 損害 賠償の額を具体的に計算する際に , どれだけの 金額を控除すれば生じた損害を回復するという 損害賠償の目的を達成することになるか , とい う考慮に基づいて決定される問題であるから , 控除される利益の範囲は , その利益をもたらし た法律関係の趣旨・目的を考慮して個別的に決 定されることになる。なお , 損益相殺といって も民法上の * 相殺 ' 〔民 505 ~ 512 〕とはその機能を 全く異にしていることはいうまでもない。 損益通算 * 所得税 ' の * 総所得金額 ' 等を 算定する前に , 各種所得の金額の算定上生じた 損失の金額を , 他の種類の所得の金額から所定 の順序で控除すること〔所税 69 ①〕。各人の総合 的な所得を把握する総合所得税の考え方に立脚 するとされる。控除 ( 通算 ) できる損失は , 不動 産所得・ * 事業所得 ' ・山林所得・ * 譲渡所得 ' か ら生じたもののみに限られ , 他の所得種類 , 特 に * 雑所得 ' の計算上生じた損失は , 他の種類の 所得と通算できない。損益通算後でもなお残る 損失は純損失の金額と呼ばれ , 一定の要件の下 で 3 年間繰越しが認められる〔所税 2 ①・ 70 〕。 生活に通常必要でない資産に係る損失につき , 損益通算上制限があるほか〔所税 69 ②〕 , * 居住 用財産の買換え ' 等の場合の譲渡損失〔租特 41 の 5 〕など , * 租税特別措置 ' 法上も損益通算につき 様々な特例がある。 損壊文書以外の物の効用を害する行為 をいい , 広義の毀棄の一種である。刑法は , 建 造物・艦船については建造物損壊罪〔刑 260 〕 , それ以外の動産・上地については * 器物損壊罪 ' 〔刑 2 引〕を規定するほか , 上地の境界標の損壊 行為のうちの一定のものを * 境界損壊罪 ' 〔刑 262 の幻として処罰している。判例・通説によれ ば , 損壊とは , 必ずしも物理的に破損する行為 に限らず , 広く , 物をその用法に従って使用す ることを事実上不可能にする行為 , あるいはそ の使用価値を減少させる行為をいう。労働争議 の手段としてのビラ貼り行為や美観を著しく損 なう公衆便所外壁への落書きも , 容易に回復で きる程度を超えれば , * 軽犯罪法 ' 上の犯罪〔軽犯 1 3 〕としてではなく , 建造物又は器物損壊罪 になるというのが判例である ( 最決昭和 4 い 6 ・ 10 刑集 20 ・ 5 ・ 374 , 最決平成 18 ・い 17 刑集 60 ・ い 29 ) 。毀棄 ' 損害 * 損害賠償 ' という法律効果を生じ させる要件の 1 つであるが , その意義を巡って は学説上に 2 つの立場が対立している。イ第 そんがいた 1 の立場は , ある人にとって不利益であると観 念される一定の事実そのものが損害であるとす るものである ( 損害事実説 ) 。それによれば , 例 えば , 死亡や負傷という事実そのものが損害で あると説かれる。ロ * 金銭賠償 ' を原則とする 民法の下では , 損害賠償を請求するには , これ らの事実は金銭に評価されなければならないが , この金額を損害とするのが第 2 の立場である ( 差額説 ) 。例えば , 死亡による損害は生存して いたなら得たであろう給料と入院費用とである という場合などがこの意味での損害となる。判 例・通説は損害を口の意味で用いているとされ る。なお , 損害は , * 財産的損害 ' ・ * 精神的損 害 ' , * 積極的損害・消極的損害 ' , 通常生ずるで あろう損害・特別の事情によって生じた損害 ( 相当因果関係 ' ) などに分類される。 損害額の認定民事訴訟において , 被告に 原告に対する * 損害賠償 ' を命じるためには * 損 害 ' の額を認定 ( 算定 ) する必要がある。損害額 の認定は当事者の * 主張・立証 ' に基づいてなさ れるが , その性質が * 事実の認定 ' の問題である のか , それとは異なる金銭的評価の問題である のかについては理解が分かれる。民事訴訟法は , 「損害が生じたことが認められる場合において , 損害の性質上その額を立証することが極めて困 難であるときは , 裁判所は , 口頭弁論の全趣旨 及び証拠調べの結果に基づき , 相当な損害額を 認定することができる」〔民訴 248 〕という , 損 害賠償請求権者の主張・立証の負担を軽減する 趣旨の規定を有しているが , 先の理解にも関連 して , その性質・適用範囲・適用の仕方等につ いては見解が分かれる。 損害担保契約例えば , A が一定の事業を 行うにあたって , A がその事業に失敗するなど 将来被るかもしれない損害を B が担保する旨 の契約を AB 間で結ぶことがある。また , A が C を雇用するにあたって , C のため A が被る かもしれない一切の損害を B が担保すること を約する契約を AB 間で結ぶこともある ( 身元 引受け ) 。このように , ある者 (A) が一定の事 項又は事業などから受けるかもしれない損害を 他の者 ( B ) が填補する契約を損害担保契約とい う。損害担保契約の中には , 上記の例のうち , 事業のための損害担保契約のように , 主たる債 務者に該当する者が具体的に定まらず , したが って保証との類似性が少ないものもあるが , 身 元引受けのように , 主たる債務者に該当するも の (C) が具体的におり , 保証と類似するものも ある。しかし , 損害担保契約は , 保証と異なり , 主たる債務の存在は要件でない。例えば , 身元
846 ある物又は権利の価額の全部の賠償を受けたと 損害賠償者の代位債権者が債権の目的で 求について裁判できる。 て , 有罪言渡し後 , 申立てのあった損害賠償請 軽減される。刑事裁判所は , 一定の犯罪につい 損害賠償請求に利用でき , 立証の負担が大幅に 罪被害者等は , 一定の場合に刑事手続の成果を 手続に付随する措置に関する法律 ' により , 犯 罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事 人に有利な情状として考慮される。また , ' 犯 償すると , 起訴裁量の際又は刑の量定の際 , 犯 Ⅱ犯人が被害者に損害の全部又は一部を賠 者の代位 ' 国家賠償法 ' ( 損益相殺 ' ) 。賠償額の予定 ' 損害賠償 害からその利益を控除して賠償額が定められる と同じ原因により利益をも受けたときには , 損 失相殺 ( つ ' ) , また , 被害者が損害を受けたの うにして定まった賠償額は減額されるし ( 過 ればならない。被害者に過失があれば , このよ 価して損害額を算定するという手続を踏まなけ 基準によって定められた範囲の損害を金銭で評 謝罪広告 ' ) から , 損害賠償をするには , 上記の られるのは例外的な場合に限られる〔民 723 〕 ( 償であって〔民 417 ・ 722 ①〕 , ' 原状回復 ' が認め 果関係 ' ) 。損害賠償の方法は原則として金銭賠 定めるのが妥当であると解している ( 相当因 は不法行為についても民法 416 条を基準として 不法行為については規定しないが , 通説・判例 務不履行についてだけ規定しており〔民 416 〕 , 賠償されるかという問題については , 民法は債 因果関係のある損害のうち , どこまでの損害が 積極的損害・消極的損害 ' ) , 賠償の対象となる。 損害であると消極的損害であるとを間わず ( * 精神的損害 ' であるとを問わず , また , 積極的 り , 因果関係があれば ' 財産的損害 ' であると 事実との間に ' 因果関係 ' があることが必要であ 行・不法行為などの損害賠償義務を生じさせる 2 範囲・方法賠償される損害は , 債務不履 れる。 て生じた不利益を填補する ' 損失補償 ' と区別さ 行為に基づいて生ずる点で , 適法行為に基づい 償の義務は , 債務不履行・不法行為という違法 害がなかったのと同じ状態にすること。損害賠 ・損害 ' が生じた場合に , その損害を填補して損 履行 ' ・ ' 不法行為 ' などの一定の事由に基づいて 損害賠償ー民法 1 意義 ' 債務不 る B は , なお損害担保債務を負う。保証 ' 場合には , c は債務を負わないが , 担保者であ することができない事由で A に損害をかけた 引受けの場合に , C が病気その他その責めに帰 そんがいば きは , その物又は権利が賠償をした債務者に当 然に移転することをいう〔民 422 〕。例えば , 他 人から預かった物を盗まれた場合には , 預かっ た者は預けた者に対して寄託契約上の返還義務 の不履行に基づく損害賠償責任を負わなければ ならないが , 盗品の価額を全部賠償したときに は , 盗品の所有権は法律上当然に賠償した者に 移転する。もし , これを認めないと , 債権者は 目的物に代わる全額の損害賠償を受けた上にな お目的物を所有することになって , 受けた損害 よりも多くの利益を得るという不当な結果にな るからである。民法は ' 債務不履行 ' に基づく * 損害賠償 ' についてだけ規定しているが , 多く の学説は , この制度の趣旨が損害賠償一般につ いても妥当するという理由で , * 不法行為 ' の場 合にも類推適用を認めている。 損害賠償請求権の査定 1 意義、破産 ' 手 続・再生手続・更生手続い特別清算 ' 手続にお いて , 裁判所が , 債務者たる法人の理事 , 取締 役等の * 役員 ' の責任に基づく * 法人 ' の損害賠償 請求権の存在・額を決定手続で簡易迅速に決定 する制度〔破 178 ・ 179 , 民再 143 ・ 144 , 会更川 0 ・ 101 , 会社 545 ・ 899 〕。 2 手続役員責任査定の決定は , ' 破産管財 人 ' ・ * 再生債務者 ' 等 ( 再生手続で管財人が選任 されていない場合には再生債権者も ) ・ * 更生管 財人 ' ・清算株式会社の申立て又は職権に基づ いてする。申立ての際には , 責任の原因となる 事実を * 疎明 ' しなければならない。裁判所は , 役員を ' 審尋 ' しなければならず , 役員責任査定 決定及び申立てを棄却する決定には理由を付さ なければならない。 3 異議の訴え役員責任査定決定に不服がある 者は , 決定の送達を受けた日から 1 カ月内にそ の決定の変更・取消しを求めて異議の訴えを提 起することができる。異議の訴えがその期間内 に提起されず , 又は却下されたときは , 役員責 任査定決定は給付を命ずる、確定判決 ' と同一の 効力を有する。査定の裁判を認可し , 又は変更 した判決は , ' 強制執行 ' に関しては , 給付を命 ずる判決と同一の効力を有し , 、仮執行 ' 宣言を 付すことができる。 損害防止義務 ' 損害保険 ' において * 被保 険者 ' が損害防止に努める義務。保険がついて いるからといって損害の発生・拡大を放置して は * 保険者 ' が損失を受けるので , 損害保険にお いては * 保険契約者 ' 及び被保険者が損害を防止 する義務を負うこととした〔保険 13, 商 815 ②〕。 無保険の場合と同じ程度に損害の防止に努め , それにもかかわらず生じた損害だけが真に保険
847 の対象となる損害であるという考え方に立つ。 保険者は , 損害防止が正当に行われなかったた めに生じ , また拡大された損害については , 損 害賠償の請求ができ , これと保険金支払義務と を相殺 ( 記 ) して残額だけを支払えばよい。損害 防止に要した費用は * 保険金額 ' とは別に保険者 が負担する〔保険 23 ①②〕 ( 損害防止費用 ' ) 。 損害防止費用火災が発生した場合の消火 の作業のために要した費用など , ' 保険事故 ' が 発生したときに , それによる損害を防止するた めに必要又は有益であった費用。 * 保険契約者 ' 及び * 被保険者 ' は * 損害防止義務 ' を負うが , 損 害防止によって * 保険者 ' は利益を受けるから , 保険者がこの費用を負担する〔保険 13 , 商 815 ②〕。しかし , * 保険約款 ' では保険会社がこれ を負担しない旨を定めている場合が多い。この 約款の効力については公益上の理由で無効とす る見解もあるが , 保険者は損害防止費用を含め て * 保険金額 ' までしか責任を負わないという約 款は , 有効と認めるのが通説である。 損害保険 1 意義 * 保険契約 ' のうち , * 保険者 ' が一定の偶然の事故 ( * 保険事故 ' ) によ って生ずることのある損害を填補することを約 するもの〔保険 2 〕。保険者のリスク負担に対 する対価として , * 保険契約者 ' は保険事故の発 生可能性に対応した * 保険料 ' を支払う〔保険 2 3 〕。例えば , 家が火事で焼けたとき , その実 際の損害額を査定した上で * 保険金 ' が支払われ るように , 現実に生じた損害だけを填補するこ とを目的とする点で , 定額保険と異なる。損害 保険の例として * 火災保険 ' ・運送保険・ * 責任 保険 ' ・ * 信用保険 ' ・自動車保険・ * 海上保険 ' な ど各種の保険がある。 2 被保険利益の必要性通説は , これを文字どお り損害を填補することを本質的内容とする契約 と解し , 損害を受けるおそれのある利益 (* 被保 険利益 ' ) の存在が絶対に必要であり , この被保 険利益の価額い保険価額 ' ) が保険者の責任の最 大限であって , この範囲内で * 保険金額 ' が決め られなければならないとする ( 超過保険 ' 重複保険 ' ) 。これに対し , 被保険利益は絶対に 必要というわけではなく契約の適法性を担保す る手段にすぎないとする相対説も有力である。 3 効果保険者は保険事故が発生した場合に , 保険金を支払わなければならない。しかし , 戦 争危険や保険加入者側の * 故意 ' ・ * 重過失 ' によ る損害については免責され〔保険 17 〕 ( なお , * 地 震免責条項 ' の項を参照 ) , * 告知義務 ' 違反の場 合には契約を解除でき〔保険 28 ①〕 , 因果関係不 存在の場合を除き保険金を支払う義務を負わな そんしつほ い〔保険 31 ②①〕。損害額を算定するときは , 損 害発生の地における発生時の価額によって定め る〔保険 18 〕。保険者が保険金を支払うと , * 保 険代位 ' が認められる〔保険 24 ・ 25 〕。なお , 保険 契約者及び * 被保険者 ' は ' 損害防止義務 ' を負う 〔保険 13 〕。 損害保険代理店保険代理店 ' 損金益金・損金 ' 損金経理法人の * 所得 ' の計算において , * 損金 ' の額に算人するために , あらかじめ法人 の確定した決算〔法税 74 ①〕において費用又は損 失として経理すること〔法税 2 匿〕。 ' 減価償却資 産 ' の償却費〔法税引①〕 , 各種 * 引当金 ' 等の内部 取引〔法税 52 ・ 53 〕等について要求されている。 これらの費目については損金経理がなされない 限り , 、納税申告 ' において損金として計上する ことは認められない。外部取引と異なって課税 上適正な経理をコントロールする必要があるた め株主総会の手続が期待されている。 尊厳死回復の見込みがなく死期の迫っ た患者に過剰な延命措置を施さず自然の死を迎 えさせることをいう。 * 安楽死 ' の場合と異なり , 患者に耐え難い苦痛があるわけではない。患者 の自己決定が尊重されるが , 患者が自己の意思 を表明できない状態にあることも多く , 刑法上 , 延命措置中止の * 違法性 ' が阻却されるかが問題 となる。事前になした尊厳死を選択する書面 ( リビング・ウイル ( living will) ) の有効性も 間題となる。 損失保証損失補填 ' 不当勧誘 ( 金 融商品取引の ) ' 損失補償 1 意義適法な * 公権力 ' の行 使によって加えられた ' 特別の犠牲 ' に対し , 公 平の見地から全体の負担においてこれを調節す るための財産的補償をいう。上地収用に対する 損失補償 , 農地の強制買収の対価の支払などが その例で , 適法行為に基づく財産権の侵害 ( む しろ , 法自身が侵害を予定し又は命じている場 合が多い ) に対する補償である点で , * 不法行 為 ' に基づく * 損害賠償 ' と区別される。 2 根拠 * 明治憲法 ' は , 補償に関する一般的規 定を欠き〔明憲 27 ②〕 , 個々の法令中に補償を認 める規定が存在するにすぎなかったが , 現行の 日本国憲法は , 財産権を公共のために用いるに ついて , * 正当な補償 ' を要求し〔憲 29 ③〕 , 損失 補償制度の一般的根拠を置いた。現行実定法で は , ' 土地収用法 ' を始めとして様々な法律が , 損失補償規定を置いているが , 法律に補償規定 が欠けている場合については , 憲法 29 条 3 項 に基づく直接請求権発生説 , 違憲無効説の 2 説
566 3 自動車損害賠償責任保険 ( 自賠責保険 ) 本法は , は無過失責任に近くなっている。 を証明することは極めて困難であり , 実質的に 免責を認める裁判例があるが , 一般には無過失 バーの追越し事故などについて , 運行供用者の 被害者の飛び出し事故やセンターライン・オー ので * 中間的責任 ' の 1 っとされる ) 。例えば , れる〔自賠 3 但〕 ( 過失の立証責任が転換している の障害がなかったこと , を証明すれば , 免責さ ったこと , ハ自動車に構造上の欠陥又は機能 又は運転者以外の第三者に * 故意 ' ・ ' 過失 ' があ 行に関し注意を怠らなかったこと , ロ被害者 供用者側で , イ自己及び運転者が自動車の運 動車損害賠償責任 ) 〔自賠 3 本文〕。ただし , 運行 って生じた損害を賠償しなければならない ( 自 他人の生命又は身体を害したときは , これによ に供する者 ( 運行供用者 ) は , その運行によって 2 責任の要件自己のために自動車を運行の用 る。 任保険 ' を強制して , 被害者の救済を図ってい い責任を負わせると同時に一定額について ' 責 る。自動車の * 運行供用者 ' に ' 無過失責任 ' に近 いことから制定された法律。自賠法と略称され など被害者に十分な救済を与えることができな 709 〕によったのでは , 過失の立証が困難である ' 過失責任主義 ' に基づく民法の一般原則〔民 号。 1 意義自動車事故被害者の激増に伴い , 自動車損害賠償保障法昭和 30 年法律 97 者の救済に役立てている。 車保有者は , この上乗せ保険にも加入して被害 任意加入の賠償責任保険があり , 大多数の自動 を上回る場合にその超過分の支払を目的とする 3 任意保険実際の賠償額が強制保険の保険金 の後遺障害の保険金の引上げなどが行われた。 業 ) 。平成 14 年 4 月に政府再保険の廃止 , 重度 で加害者に求償する〔自賠 72 ・ 76 〕 ( 政府保障事 き逃げなどについては , 政府が立替払して , 後 て , 適宜 , 政令により変更される〔自賠 13 〕。ひ 限度額は , 物価変動や賠償水準の変化に合わせ 120 万円と最高限度額が定められている。この による損害は 3000 万円 , 傷害による損害は ので , 後遺障害による損害は 4000 万円 , 死亡 はなく , 基本的な部分の補償を目的としている 保険は被害者の損害の全部をカバーするもので ( ノーロス・ノープロフィット ) 〔自賠 25 〕。この 内で , できる限り低いものでなければならない 率的な経営の下における適正な原価を償う範囲 保険 ' の保険料率及び責任共済の掛金率は , 効 車が出ないようにしている〔自賠 5 ・ 9 〕。 ' 責任 しないと車検が受けられないことにして無保険 じどうしや 責任保険をつけなければ自動車を運行の用に供 することができない ( 強制保険 ) ものとして , 賠 償資力の確保を図り〔自賠 5 〕 , 被害者が保険会 社に対し保険金額の限度で直接損害賠償額の支 払を請求することを認めることにより〔自賠 16 〕 , 迅速確実な救済を図っている。なお , 自賠責保 険には限度額があるから , 責任額がその限度額 を超える場合 , 任意保険があるときにはそれに よるが , それがないときには責任を負う者の一 般財産から弁済を受けるほかない。自動車 損害賠償責任保険 ( 共済 ) ' 自動車抵当自動車抵当法に基づいて , 自 動車を目的として設定される * 抵当権 ' 。動産の 占有を債権者に移転せずに ' 担保 ' に供すること を認める * 動産抵当 ' の一種である。自動車抵当 権の設定は , 自動車登録ファイルへの登録によ って第三者に対抗することができる〔自抵 5 ①〕。 児童自立支援施設 * 児童福祉法 ' 上の * 児 童福祉施設 ' の 1 っ〔児福 7 〕で , 不良行為をし , 又はするおそれのある * 児童 ' 及び家庭環境その 他の環境上の理由により生活指導等を要する児 童を入所・通所させて , その自立を支援するこ とを目的とする〔児福 44 〕。平成 9 年の児童福祉 法改正 ( 法 74 ) により , 教護院が名称 , 内容とも に変更されたもの。 * 少年法 ' 上は , * 保護処分 ' の 1 っとして , * 家庭裁判所 ' の決定による児童 自立支援施設送致〔少 24 ①圄〕が認められている。 児童手当児童手当法に基づいて支給さ れる手当。児童手当法は , * 児童 ' 〔児手 3 ①〕の 養育による支出の増加に対応するとともに児童 福祉の側面から , 家庭生活の安定と児童の健全 な育成及び資質の向上を目的としている〔児手 1 〕。全国民を対象とする単一の制度であるとい う特徴を有する。 3 歳未満の児童又はこれを含 む 2 人以上の児童を監護する父・母又はその他 の監護者に対し月単位で支給される〔児手 4 ~ 6 〕。 平成 21 年秋の政権交代により子ども手当が創 設されたものの財源確保ができず , わずか 2 年 で廃止され , 受給者や支給額を見直した児童手 当に移行した。児童扶養手当 ' 吟特別児童 扶養手当 ' 児童ディサービス事業障害児通所支 援 ' 児童の権利に関する条約児童 ( 18 歳未満 の全ての人〔児童の権利に関する条約 1 〕 ) の権利を 保障するために , * 国際連合総会 ' が 1989 年Ⅱ 月 20 日に採択した条約。 1990 年 9 月 2 日発効。 わが国は 1994 年に批准した ( 平成 6 条 2 ) 。前文 及び 54 カ条から成り , 国際連合総会が採択し た 1948 年の * 世界人権宣言 ' 1959 年の「児童
355 序又は善良の風俗 ( 公の秩序・善良の風俗 ' ) 裁判官全員一致の意見で , 審理の公開が公の秩 衆に対し一時的に禁止すること。受訴裁判所の 公開停止法廷における審理の傍聴を公 環境基本法 ' 公害 ' など , 原則的に環境基本法に受け継がれている。 理法 ' 公害健康被害の補償等に関する法律 ' ) 被害の救済〔公害基幻 , 環境基 31 〕 ( 公害紛争処 成〔公害基 19 , 環境基 17 〕 , 公害紛争の処理及び の設定〔公害基 9 , 環境基川〕 , 公害防止計画の作 び悪臭 ) 〔公害基 2 ① , 環境基 2 ③〕 , ' 環境基準 ' 汚濁・上壌の汚染・騒音・振動・地盤の沈下及 対する施策は , 「公害」の定義 ( 大気汚染・水質 ( 平成 5 法 92 ) 1 〕。しかし , 本法が定めた公害に 基本法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律 たに制定されたことにより , 廃止された〔環境 た ( 法 132 ) が , 平成 5 年Ⅱ月に環境基本法が新 公害の激しかった時代の昭和 42 年に制定され 環境を保全することを目的として〔公害基 1 〕 , の総合的推進を図り , 国民の健康の保護と生活 害防止に関する責務を明らかにして , 公害対策 定める法律で , 事業者や国・地方公共団体の公 公害対策基本法公害対策の基本的事項を の審理手続に関しても , 公開の保障はない。 れない。 ' 準起訴手続 ' や ' 再審 ' の請求について 備 ' や * 勾留質問 ' のような付随的な手続は公開さ ' 絶対的控訴理由 ' となる〔刑訴 3773 〕。 * 公判準 期日の手続が公開の原則に違反した場合は , の 2 ② , 刑訴規 222 の 9 3 〕の手続である。公判 の裁量的な取消しについての口頭弁論〔刑訴 349 留理由開示 ' 〔憲 34 , 刑訴 83 ①〕 , 及び * 執行猶予 ' る * 公判期日 ' の手続〔憲 37 ① , 刑訴 282 ①〕 , * 勾 のは , 被告事件についての審判手続の中心とな Ⅲ刑事訴訟において , 公開が必要とされる る〔民訴 312 ② 3 〕。 66 ①参照〕 , その違反は、絶対的上告理由 ' とな る口頭弁論について公開主義がとられ〔民訴規 判決の言渡しのほか ' 受訴裁判所 ' の面前におけ Ⅱ民事訴訟では , 憲法上の要請に応えて , 常に公開しなければならない〔裁 70 〕。 止できないし〔憲 82 ②但〕 , ' 判決の言渡し ' は , となっている事件については , およそ公開を停 罪 , 出版に関する犯罪又は ' 基本的人権 ' が問題 の 7 ① , 不正競争 13 ①も参照〕。ただし , 政治犯 ことができる〔憲 82 ②本文。人訴 22 ① , 特許 105 訴訟では、公判期日 ' の手続 ) の公開を停止する 例外的に対審 ( 民事訴訟では ' 口頭弁論 ' , 刑事 がある場合は , 裁判官の全員一致の決定により , ①〕。・公の秩序・善良の風俗 ' を害するおそれ 法廷で行うとして , この原則を明言する〔憲 82 こうがいは を害するおそれがあると認めた場合に限られる。 判決の言渡し及び一定の事件については絶対に 公開を停止できない〔憲 82 ② , 裁 70 〕。公開 ( 審理 ) 主義 ' 公害等調整委員会上地調整委員会に代わ って , 昭和 47 年 , 公害等調整委員会設置法 ( 法 52 ) により総理府の外局として設置された委員 会 ( 現在は総務省の外局 ) 〔公害調委 2 〕。 * 公害 ' に 係る紛争の迅速かっ適正な解決を図るとともに 鉱業 , 採石業又は砂利採取業と一般公益等との 調整を図ることをその主たる任務としている 〔公害調委 3 〕。この委員会の主たる所掌事務は , イ * 公害紛争処理法 ' の定めるところにより , あっせん , 調停 , 仲裁及び裁定を行うこと , ロ 鉱業法その他の法律及び「鉱業等に係る土地利 用の調整手続等に関する法律」の定めるところ により鉱区禁止区域の指定 , 鉱業権の設定に関 する不服の裁定等を行うこと , ハ都道府県知 事が拒否した事業認定につき国上交通大臣に申 請が行われたときに意見を述べること , 国上交 通大臣の事業認定に関する処分又は収用委員会 の裁決についての審査請求について意見を述べ ること , である〔公害調委 4 〕。なお , 都道府県 は , 条例で定めるところにより , 都道府県公害 審査会を置くことができる〔公害紛争 13 〕。 公開の聴聞聴聞 ' 鉱害賠償鉱山活動から生ずる損害の賠 償については , 民法の過失責任の原則〔民 709 〕 ( 過失責任主義 ' ) による場合には , 被害者が 加害者の過失を立証することが困難などの理由 から , 被害者の救済は容易でない。そこで , か って鉱山からの公害や陥没事故が間題になった ときに旧鉱業法 ( 明治 38 法 45 ) に * 無過失責任 ' の 規定が導人され ( 昭和 14 法 23 ) , これが現行鉱 業法 ( 昭和 25 法 289 ) に受け継がれた。同法によ ると , 鉱物の掘採のための上地の掘削や , 坑 水・廃水の放流などによって他人に損害を与え たときには , 鉱業権者又は租鉱権者は過失の有 無にかかわらず責任を負う〔鉱業 109 ①〕。また , 賠償方法については ' 金銭賠償 ' のほか , 一定条 件の下に ' 原状回復 ' も認められている〔鉱業 1 Ⅱ ②〕。そのほか , 賠償についての基準〔鉱業 112 ①〕・ ' 賠償額の予定 ' 〔鉱業Ⅱ 4 ①〕・ ' 供託 ' 〔鉱業 Ⅱ 7 ~ 121 〕・ * 和解 ' の仲介〔鉱業 122 ~ に 5 〕などの 制度が設けられている。富山県神通川のイタイ イタイ病に関する損害賠償訴訟や宮崎県土呂久 ( つのひ素中毒に関する損害賠償訴訟において は , 鉱山排水や排煙による被害であるとして同 法が適用された。 公害犯罪処罰法人の健康に係る公害犯
むがいつう 無害通航権沿岸国の平和・秩序・安全を 害しない限り , その・領海 ' において , 全ての国 の船舶に認められる通航権〔海洋法約に。なお , 領海約 14 ①〕。沿岸国の領域主権と通商・航行 の自由による利益との調和の結果である。 1958 年の領海及び接続水域に関する条約の , 無害通 航に関する規定〔領海約 14 ~ 23 〕を経て , 更に * 国際連合海洋法条約 ' は , その基本的枠組みを 維持しつつ , 「通航」を独立に規定する〔海洋法 約 18 〕とともに , その後の国家実践の発展を踏 まえ , より詳細かっ具体的な規定を置いた〔海 洋法約 17 ~ 32 ・ 45 ・ 52 〕。通航とは , 不必要な停 船・投錨にび ) を伴わない領海内の通過又は * 内 水 ' への出入りのための航行を指す。無害性に ついては , 船舶の種類・装備等を基準とする船 種別規制や通航の具体的態様を基準とする行 為・態様別規制の考え方があったが , 国際連合 海洋法条約は , 通航が沿岸国の平和・秩序・安 全を害さないことと一般的に規定し , 更に , 有 害とみなされる例として武力行使や武力による 威嚇 , 武器の使用 , 漁業活動 , 故意のかつ重大 な汚染行為などを列挙している〔海洋法約 19 。な お , 領海約 14 ④〕。沿岸国は無害通航に関する 国内法令を制定し , 無害でない通航を防止する ために自国領海内で必要な措置をとることがで きるが , 有害な通航の場合を除いて外国船舶の 無害通航を妨害してはならない。軍艦の無害通 航権については , 解釈上の対立が依然として残 っている。通過通航権 ' 無過失責任 1 意義損害の発生につき , * 故意 ' ・ * 過失 ' がなくても * 損害賠償 ' 責任を負 うこと。 * 過失責任主義 ' に対する。 2 無過失責任の必要性近代法は個人の活動の自 由を保障するため , 過失責任主義を原則として 採用した〔例 : 民 709 〕。しかし , 鉄道・自動 車・航空機のような高速度交通機関の発達 , 鉱 業・電気事業・石油コンビナートなど危険な設 備をもち , あるいは有害な排出物を出す大企業 の発達は , 各種の危険を創出し , 多数の被害者 を生み出した反面 , 過失の立証を困難にした。 このような状況の下で過失責任主義を貫くこと は , 事実上被害者の救済を拒否することにつな がる。そこで , 過失責任主義を克服し , 無過失 責任を認める立法が次第に増加しつつある。 3 無過失責任の論拠無過失責任論の根拠として 主張されているものは , * 危険責任 ' の考え方と * 報償責任 ' の考え方とである。前者は , 危険を 作り出す者はそれから生じた損害を賠償しなけ ればならないという考え方であり , 後者は , 利 益を上げる過程で他人に損害を与えた者はその 1260 われたが , 合憲であるというのが最高裁判所の 16 工〕。かって , 無期懲役の合憲性が判例で争 って * 仮釈放 ' を許すことができる〔刑 28 , 更生 は , 行政官庁 ( 地方更生保護委員会 ) の処分をも 年を経過した後 , 「改悛朝、 : し ) の状」があるとき 錮 ' とともに ' 無期刑 ' の一種〔刑 12 〕。ただし , 川 拘禁の期間を定めずに言い渡される。 * 無期禁 無期懲役終身の期間にわたる懲役刑で , 無議決権株式議決権制限株式 ' る〔刑 28 , 更生 16 工〕。 の処分をもって ' 仮釈放 ' を許すことが可能にな があるときは , 行政官庁 ( 地方更生保護委員会 ) だし , 10 年を経過した後 , 「改悛 ( し ) の状」 及び ' 無期禁錮 ' の 2 種類がある〔刑 12 ・ 13 〕。た 、有期刑 ' に対する語。わが刑法上 , * 無期懲役 ' る , 終身拘禁を内容とする ' 自由刑 ' をいい , 無期刑拘禁期間を定めずに言い渡され に減軽することができる〔少 51 〕。禁錮 ' きときは 10 年以上 20 年以下の有期禁錮 ( 懲役 ) は無期禁錮 ( 懲役 ) に減軽し , 無期禁錮に処すべ 保護処分優先主義により , 死刑に処すべきとき 2897 がある。なお , 18 歳未満の者については , して , 最大判昭和 33 ・ 9 ・ 10 刑集 12 ・ 13 ・ 係で無期禁錮の合憲性を認めた最高裁の判例と ' 勤労の権利 ' を規定した憲法 27 条 1 項との関 ' 仮釈放 ' を許すことができる〔刑 28 , 更生 16 ①〕。 行政官庁 ( 地方更生保護委員会 ) の処分をもって を経過した後 , 「改悛 ( し ) の状」があるときは , ととも : ご無期刑 ' の一種〔刑 13 〕。ただし , 川年 拘禁の期間を定めずに言い渡される。無期懲役 無期禁錮終身の期間にわたる禁錮刑で , 上の不法行為責任 ' に製造物責任法 ( 法 85 ) が制定された。行政 に関する立法が望まれていたところ , 平成 6 年 する事故につき無過失責任としての製造物責任 が定められている。なお , 近年 , 製造物に起因 る事業者の責任〔大気汚染 25 , 水質汚濁 19 〕など 者の責任〔原賠 3 〕 , 大気汚染・水質汚濁に対す は , 鉱害賠償責任〔鉱業 109 ~ Ⅱ 6 〕 , 原子力事業 に ) に対する所有者の責任〔民 717 〕が , 特別法で しては , 民法上は工作物の設置・保存の瑕疵 責任〔自賠 3 〕が定められている。無過失責任と 等が , また特別法では , 自動車、運行供用者 ' の 的責任 ' ) として , 民法では ' 使用者責任 ' 〔民 715 〕 4 適用領域無過失責任に近い過失責任い中間 考えられている。 任 ' には , 信頼責任の考え方も人っている , と 拠を置く場合も少なくない。また , 、製造物責 いう考え方である。しかし , 両方の考え方に根 利益の中から損害を賠償しなければならないと
848 償として , 離職者補償が必要とされる場合があ 権利者に雇用されている者が職を失う場合の補 る補償として , 少数残存者補償があり , 土地の しい損失を受ける少数残存者に対して与えられ 集落内の大部分の者が移住することにより , 著 例えば , ダムエ事などの結果 , 生活共同体たる * 生活再建措置 ' を講ずべきであるとしている。 の基礎を失う者がある場合には , 必要により ついては , 同要綱では , 事業の施行に伴い生活 ( 事業損失 ' ) としている。ハの生活権補償に 超える場合には , 別途損害賠償の間題になる ては取り上げず , 社会生活上受忍すべき範囲を 生ずる損害等については , 損失補償の項目とし 事業施行後における日陰 , 臭気 , 騒音等により 業損失について , 同要綱では , 事業施行中又は として項目から外している。ロのいわゆる事 では , 精神損失は社会生活上受忍すべきである 等の名目で補償される例もみられたが , 同要綱 去ることに関する精神的苦痛等に対し , 「謝金」 の精神損失については , 先祖伝来の上地を立ち 損失 , ハ * 生活権補償 ' などが間題になる。イ た。補償項目の中では , イ精神損失 , ロ事業 取得に伴う損失補償基準要綱」が閣議決定され 指すため , 昭和 37 年 6 月 29 日に「公共用地の 用地の取得に伴う損失補償の統一と適正化を目 きがみられたため , その不統一を是正し , 公共 業間の損失補償の項目・内容・手法等にばらっ 場合の具体的な補償内容・補償額の基準。各事 加えられた * 特別の犠牲 ' に対し損失補償を行う 損失補償基準適法な行政の活動によって 事業損失 ' 国家補償 ' 古典的補償観念の拡大も考えられている。 のについては , 国家補償の谷間の問題として , 下で , 概念としてはこのいずれにも属さないも 4 その他損失補償・損害賠償の 2 つの制度の る場合が生じている。生活権補償 ' 再建措置 ' 等の新たな内容の補償が必要とされ 等価交換が原則であったが , 今日では , ' 生活 しても , 沿革的には , 財産権の価値についての 17 ・Ⅱ・ 1 判時円 28 ・ 25 ) ) , また , 補償の内容と 「特別の犠牲」に当たらないとした ( 最判平成 の区域内の上地に課せられた建築制限について , も生じており ( 長期間にわたり , 都市計画道路 しているため , 補償の要否の判断が困難な状況 おいては , 侵害の対象・態様が多様化 , 複雑化 って決定される ( 特別の犠牲 ' ) 。現代国家に 当該損失が「特別の犠牲」に当たるか否かによ 3 補償の要否・内容損失補償の要否については , ている ( 最大判昭和 43 ・Ⅱ・ 27 刑集 22 ・ 12 ・ 1402 ) 。 が存する。判例は前者をとっていると考えられ そんしつほ る。なお , 平成 13 年の上地収用法改正 ( 法 103 ) により , 同要綱を基礎にして , 補償基準が政令 化されることになった〔収用 88 の 2 〕。損失 補償 ' 損失補境 * 有価証券 ' の売買その他の取 引について顧客に損失が生ずることとなり , あ るいはあらかじめ定めた額の利益が生じないこ ととなった場合に , 金融商品取引業者がその全 部又は一部を補填すること〔金商 39 ①〕。平成 3 年に * 一任勘定取引 ' を伴う営業特金 ( * 特定金銭 信託 ' ) との関係で大間題となったいわゆる証券 不祥事を機に , 同年の証券取引法 ( 現 * 金融商品 取引法 ' ) 改正 ( 法 96 ) により , 証券会社の禁止行 為とされた。同改正前から損失保証による勧誘 行為は禁止されていたが , 改正法は事後の損失 補填を中心に構成されているため , 従来の損失 保証は損失補填の事前約束ということになった 〔金商 39 ①工〕。ほかに損失発生後における補填 の約束〔金商 39 ①②〕 , 事後の一方的損失補填 〔金商 39 ① 3 〕と合わせて 3 種の行為類型が定め られた。刑事罰 ( 法人の最高罰金刑は 3 億円 ) の 定めがある〔金商 198 の 3 ・ 207 ① 3 〕。これら損 失補填を要求した顧客も罰せられる〔金商 39 ②・ 200 〕。また , この場合 , 顧客又は情を知 った第三者の得た財産上の利益は没収される 〔金商 200 の幻。なお , これら損失補填の禁止 規定は証券事故であることにつき内閣総理大臣 の確認を受けている場合には適用されない〔金 商 39 ③〕。なお , 損失補填に対しては , * 独占 禁止法 ' の * 不公正な取引方法 ' の行為類型である 「不当な利益による顧客誘引」〔不公正告⑨〕の適 用も問題となったことがある。 損傷者負担 * 公用負担 ' の一種。特定の公 の事業の施設を損傷する行為をなした者に対し て課せられる。広義においては , 原因者負担に 含まれるため , 現在では , 特にこれを規定した 例としては , 下水道法 18 条があるのみである。 負担の内容は , 金銭給付義務が通例であって , これを損傷者負担金と呼ぶ。原因者負担 ' 尊属・卑属 * 血族 ' の中で , 自分より先の 世代にある者 ( 父母・祖父母など ) を尊属といい , 後の世代にある者 ( 子・孫など ) を卑属という。 * 姻族 ' についてはこの区別は法律上規定されて いない。法律上は主として直系尊属・直系卑属 が間題となる。例えば , ' 相続 ' において , 直系 卑属は第 1 順位の相続人であり , 直系尊属はこ れに次ぐ〔民 887 ・ 889 〕。傍系の尊属 ( おじ・お ば ) や卑属 ( おい・めい ) が問題となることは少 ない〔養子について , 民 793 〕。なお , 、親等 ' の項 に掲げた [ 図 : 親族関係 ] を参照せよ。