すそ だって、裾を引きずる女には、それよりもっと世話をやくがな。家族はまったくいないのかい」 「はい います」と彼女はいった。「その一人といっしょに暮らしてました。ヴィックス・ハーグで おばさんといっしょでした。二年前に父が死んだ時、おばさんの所へ行ったゆですわ。それまでイ ンディアナポリスにいました。しかし、アルスチャスクナで教師の仕事を見つけたのです。という せんたく のは、おばさんは未亡人で、多くの家族を養うため洗濯を引き受けてましたのでーー」 「何を引き受けたって ? 」と彼は尋ねた。「洗だって ? 」彼はまだ腰かけたまま跳びあがり、し れた髪で目を開いて片腕をつき、体を後ろにのけそらせた。今では彼は彼女がテントのなかへ持っ て来てたものが何であったか、黒人の青年をやって彼女を彼のところへ案内させることによって、 アイシャム老人が何をすでに語ろうとしていたか、わかったのだーー・青白い唇、青ざめ、死んだよう に見えるが病気ではない腮、黒くて悲劇的であり先のことまで知っている目、おそらく千年か二千 年もすれば、アメリカでは、と彼は思った。しかし、今はちがう ! 今はちがう ! 彼は叫んだ、大き くはないが、驚きと哀れみと怒りにみちた声で。「あんたは黒ん坊だな ! 」 「そうです」と彼女はいった。「ジェイムズ・ビーチャムーーー名前があったけど、テニーのジムと は、わたしのおじいさんですわ。わたしはあなたをアイザックおじさんって 呼ばれてましたが いったでしよう」 「で、あの男は知ってるのか」 、え」と彼女はいった。「知ったところで何の役にたったの」 「しかし、あんたは知ってたじゃないか」と彼は叫んだ。「しかし、あんたは知ってたしゃな、
その日は誰もオールド・ べンを撃たなかった。誰もその姿を見なかった。少年が十一歳の夏のあ の日にそれを見たことのある林間の空地の百ャード以内のところで、犬どもはそれを跳び出させた のである。少年は四分の一マイルと離れていなかった。彼は大どもの声を聞いたが、そのなかに自 分の知らない声、したがってライオンの声を聞きわけることができなかった。それで、彼はライオ ンはそのなかにいないと思い、信じた。犬どもが今まで聞いたことのないほど速くオールド・ を追いかけて行くという事実すら、また甲高い弱い、 ヒステリーじみた声が今ではなくなっている という事実すら、彼の誤った考えを正すには十分でなかった。・彼はその夜、サムが、ライオンは跡 をつけるときは、けっして声をたてないといってくれるまで理解できなかった。「奴はオールド・ のど うな べンの喉にくらいつくときには唸るだ」とサムはいった。「けんど、叫ぶことはしねえ。あの二イ ンチのドアに跳びかかったときもそうだったた。そいつは奴の・血の・なかに・ある青・い犬の・賊の・・せ・・え だ。何といったけな」 「エアデールたよ」と少年はいった。 ライオンはそこにいた。河にあまり近いところで跳び出させたのである。その夜十一時頃 : フーン はライオンといっしょにもどってくると、ライオンはオールド・ べンの逃け道を一度ふさいだが、 猟大どもが進まなかったので、オールド・ べンはふり切り河に入って何マイルも泳いでくだり、自 分とライオンは十マイルほど土手をくだり河を横切って反対側にの・ほったが、もう暗くなりたし、 , 丁ール、ド・ べンが水からあがってきた臭いの跡にぶつからなかった、といった。ただし二人が浅瀬 四を通って河を渡ったときに奴がまだ水のなかにいたらなあ、ということであった。それから、プー
0 た。しかし、大の吠え声を聞いた。三日目の朝だ 0 たーーーどこからかわからなく、ほとんど聞き わけられない眩きのようなものであったが、そんなに多くの犬が一せいに走る声など聞いたことは なか 0 たけれど、彼にはそれが何であるかわか「ていた。そのきに似た声は大きくなり、別々の いとこ 明瞭な声となって、しまいには従兄が所有する五匹の犬をほかの大どもから呼び分けられるように な「た。「さあ、銃をちょ 0 と上に傾け、撃鉄を起こして、じ 0 と立 0 ていなせえ」とサムがい 0 しかし、まだそれは彼が撃つべきではなか「た。謙虚さがあり、すでに彼はそれを学んでいた。 また忍耐を学ぶことができるであろう。彼はまだ十歳で、その上ほんの一週間すぎたばかりであ 0 た。その一瞬は過ぎ去 0 ていた。ほんとうに鹿を、煙のような色をして、早い速力で体を伸ばしき 「て消えた雄鹿を見たように彼は思 0 た。犬の声が絶えたときでも、森林が、灰色の孤独がまた響 いているようであ 0 た。遠くから陰うつな森林と灰色で半流動体の朝を伝わ「て、二発の銃声が聞 こえた。「もう撃鉄をおろしなせえ」とサムがいった 彼はそうした。「そのことはあなたにもわかっていたね」と彼はいった。 「そうだ」とサムはい 0 た。「撃たねえときにどうするか、おまえさまに覚えてもらいてえ。人間 や大が殺されるのは、熊や鹿を撃っ時が終わったあとだ」 「ともかく、あれは奴じゃなか 0 た。熊でもなかった。ただの鹿だ 0 た」と少年はい 0 た。 「そうだ」とサムがいった。「ただの鹿だっただ」 つぶや ルド・べンのこと。
102 、え、知りません」と少年はいった。 「ラバから落ちたのではありません。何のせいでもな かったのです。サムはプーンが熊に跳びかかったときにはラ。ハを降りてました。それから、・ほくた ちが顔をあげると、サムは地面に倒れていたんです」ブーンはまだ河の真中にいてテニーのジムに どなっていた。 「さあ早く、ちくしよう ! 」と彼はいった。「あのラバを連れてこい 「ラバをどうするんだ」とド・スペイン少佐がいった。 ブーンは少佐を見あげることもしなかった。「おらはホークの土地へ医者を呼びに行くだ」とあ の静かな声でいった。その顔は鮮血が少しずつ薄くなって、すっかり落ち着いていた。 「おまえこそ医者が必要だ」とド・スペイン少佐がいった。「テニーのジムがーー」 「おらなんかええだ」と。フーンはいった。、彼はド・スペイン少佐の方へ向いた。その顔はまだお はらわた 「こいつの臓物がみんなはみ出てるのが見えねえですかい」 だやかで、声だけが一段高かった。 「ブーン ! 」とド・スペイン少佐がいった。二人は顔を見あわせた。ブーンはまるまる首一つだ けド・スペイン少佐より背が高かった。少年ですら今は少佐より高かった。 「このくそ臓物め・ーー・」 「医者を呼んでこなくちゃならねえ」と・フーンがいった 「よし」とド・スペイン少佐がいった。テ = ーのジムが水からあがってきた。馬と片輪でない方 がけいただぎ のラ、、 ( はすでにオールド・べンの臭いを嗅ぎ、動揺して崖の頂まで突進し、テニーのジムを引きず った。ようやくジムはそれを止めつなぎ、連れもどすことができた。ド・スペイン少佐は磁石の革 ( 1 ) サムは負傷でも病気でもなかった。
101 下っていた。みんなはいっしょに熊ののどからライオンのロをこじあけた。「ゆっくりとやれよ、 はらわた 「こいつの臓物がみんなはみだしているのが見えねえのかよ」彼 ちくしよう」とプ 1 ンはいっこ。 は上着を脱ぎはじめ、あの静かな声でテ = ーのジムに話しかけた。「あのポートを引っぱってきて くんろ。その土手から百ャード下にあるだ。おらは見た」テ = ーのジムは立ちあがり、出かけて行 った。それからたった。で、テニーのジムが叫んだか叫んだためか、それとも彼がたまたまちらっ と見たのかどうも思い出せなかったが、テニーのジムがかがみ、サム・ファーザーズが踏みつけら れた泥のなかに顔をつけて動かすに倒れているのを彼は見たのである。 ラバがサムをふりとばしたのではなかった。彼はプーンが走る前からもサムが倒れていたのを覚 えていた。サムにはまったく馬から落ちた跡は何もなく、彼とプーンがあお向けにすると、その日 は開いていて、ジョウ・べイカーと二人でよく話しをしていたあの言語で何かいった。しかし、サ ムは動けなかった。テニーのジムが小舟を引いてきて、河の向こう岸からド・ス。〈イン少佐にわめ いているのが聞こえた。プーンは自分の狩猟服の上着にライオンをくるみ小舟まで運びおろし、そ びも れからみんなはサムを運びおろしてもどり、テ = ーのジムの犬の紐で片目のラバの鞍の前輸に熊を しばりつけ、小舟まで引きずって乗せ、テニ 1 のジムに馬と二頭のラバを泳ぎ渡らせるのをまかせ へさき こ。ド・スペイン少佐はプーンが少佐を越えて跳びおりると、小舟が土手につかぬ前にその船首を 「うむ」。それから少佐は水のなかに人 つかまえた。少佐はオールド・べンを見て静かにいった、 り、かがんでサムに触った。サムは彼を見あげて、ジョウ・べイカーと話していたあの古い言語で 何かい「た。「おまえは、どうしたのか知らないのか」とド・スペイン少佐はい 0 た。
「待って」と少年はいった。「・ほく銃をとってくるーー」 「いらねえ」とサムはいった。「奴はもう動けねえだ」そのとおり動けなかった。横になり、サ たけだけ ムがその頭とやつれた体に触っても、動くことなく黄色の目を開けていた。その目は猛々しくもな く、けちな悪意もなく、冷たい、ほとんど非情ともいえる、何か自然のカのような敵意があった。 サムを、また丸太の間からのそいている少年をも、見てさえいなかった。 サムはまたそれに餌をやりはじめた。最初はそれが薄いスー。フをなめられるように、彼が頭を持 ちあげねばならなかった。その夜、彼は犬の届くところに肉切れの入った薄いスー。フの鉢を残して おいた。翌朝、鉢はからになっており、犬は腹ばいになり頭をあげ、サムが人ると黄色の目でじっ とドアを見ていた。その黄色にはまったく変化はなく、跳びあがるときでも、依然として声をたて なかった。跳びあがった狙いは依然として体の衰弱による邪悪なものであり、それと筋肉が共同し たた たのである。だからサムは棒でさっと叩いて納屋から跳び出しドアをびしやっと閉した。その時、 犬は足を下におろす間もないくらいに、また跳びあがり、二週間の絶食がなかったかのようにドア に体当たりしはじめたのである。 その日の昼に、誰かがキャンプの方角へわめきながら森を通って来た。・フーンであった。・フーン はやって来て丸太の間からしばらく、また腹ばいになり頭をあげ、黄色の目を眠そうにまばたき何 ふとう も見ていないはかでかい犬を、いわば不撓不屈の精神をのそいた。「こうした方がええんだ」とプ ンよ、つこ。 「この畜生めにオールド・ べンをつかまえさせに行かせろ。あいつにこれをかから せるだ」プーンは少年の方にその日焼けで赤くなった顔と高いおでこを向けた。「おめえは荷物を ねら
ミリー嬢の芝生を通って、泥棒みたいに家屋 そこで、その次の夜、真夜中すぎに、四人の男がエ のまわりをこそこそして、煉瓦の土台や地下室の人口を嗅いであるき、一人は肩にさげた袋から手 彼らは地下室のドアをこじ開けて、石灰をまき、離れ屋にもみな同 で種をまく動作をくり返した。 , ー嬢がそこに明りを じようにした。彼らがまた芝生を通ると、暗かった窓に明りがともり、エ、 背にしてすわ「ており、胸を張「た胴体は偶像のそれのように不動であ 0 た。彼らはそお 0 と芝生 を横切り街路に並ぶなんばんさいかちの影のなかへ逃けこんた。一、二週間後に、その臭いは消え 人々が彼女にたいしてほとんうに気の毒に思い出したのは、その頃であ「た。わたしたちの町の の人々は、彼女の大おばの老ワイア〉トがとうとうす 0 かり気が狂「たことを思い出し、グリアソ 嬢などにはびったりし 一ン家は実際の価値以上に少々高慢であると信じた。町の若者は誰もエミリー 「ていなか 0 た。わたしたちはそれまで長い間、彼らグリアソン家の者たちを一枚の活人画のよう ー嬢が白い服でほっそりした姿を包み、父親が前景に両脚を広 に思っていた。その背景にはエミリ げた影法師となり、背を彼女に向け馬の鞭を握り、この二人が後ろに開いた玄関のドアによ 0 て 枠取られていた。だから、彼女が三十歳にな 0 てまだ独身でいたとき、わたしたちはかならずしも 喜ばなか「たが、やはりそうかと思 0 た。その家系に狂気があ 0 たとしても、ほんとうに結婚の機 会が具体化すれば、彼女がそれを全部しりそけてしま「たはずがなか 0 たのである。 うわさ 彼女の父親が死んだとき、屋敷たけが彼女に残された遺産だという噂が広が 0 た。ある意味で、 人々は喜んた。とうとう彼らは、 = ミリー嬢をあわれむことができたのである。一人ぼ「ちで乞 217 こ 0 むち
% その朝、彼は大どもの最初の叫び声を聞いた。ライオンはすでに姿を消しており、サムとテニー くら のジムがワゴンを引いてきたラバや馬に鞍をつけていた。彼は鼻をくんくんいわせたり鳴らしたり しながら互いに交差し獲物の臭いを嗅ぎまわる猟犬を見守った。しまいにその大どもも見えなくな った。それから、彼とド・スペイン少佐とサムとテニーのジムは馬に乗ってそのあとを追い、二百 ャードも離れていない前方の湿った霜の溶けつつある森林から第一声を聞いた。彼がすでに知って いた甲高くみじめで、ほとんど人間みたいな声であった。ほかの猟大らも加わって、暗い森林が騒 騒しく鳴り響いた。それから彼らはさらに馬を進めた。彼にはあの大きい青大が鼻を突き出して進 む姿が、またあの熊も、四年前のあの日に見た、信じられないほど速く大たちの先を突進し、走っ ているラ・ハさえはるか引き離して、風で吹き倒された森を横切って行った巨大な機関車のような姿 が、実際に見えるように思われた。彼は猟銃の音を聞いた、一発であった。森林はすでに開いてお けんそう 彼らは銃を撃った男の前を通った り、速く進んだ。喧噪は前方でかすかになり薄れていった。 , スウオン・ハ 腕を突き出して、顔はやつれ、叫ぶ小さく黒い口から腐った歯が散らばっているのが見える沼地民で あった。 彼は猟犬どもの騒々しい吠え声が調子を変えたのを感じると、前方二百ャードにその姿が見えた。 熊が向きを変えたのであった。ライオンが止まらずに跳びこみ、熊がそれを打ち払い、甲高く叫ぶ 猟大たちのなかへ突進し、ほとんど即座に一匹を殺して、ぐるっと回り、また走るのが見えた。そ れから彼らは流れるような大たちの群れのなかに入った。彼はド・スペイン少佐とテニーのジムが ( 1 ) 南部の山間地に住な貧しい白人たちで、南部農園貴族の対極に位置する。
叫ぶのと、犬どもを回れ右させようとしているジムの単絶がビストルのように鳴るのを聞いた。そ れから、彼とサム・ファーザーズは二人だけで馬に乗「ていた。猟犬の一匹が、それでもライオン 、ほかの猟大と比 についていった。その声を彼は聞き分けた。それは、一年前でさえ判断力はなく べれば、まだだめな若い猟大であ「た。おそらく、勇気とはそういうものだろう、と彼は思 0 た。 「右だ」とサムは彼の背後でいった。「右だ。できりゃあ、奴を河から離さにゃあならねえ」 彼よサムと同しようによくそこを通る小道を知っていた。 今や彼ら二人は籐ゃぶのなかにいた。 , ( 彼らは下生えから出て、ほとんど正確に入口を見出した。それを行けば、籐ゃぶを横切って河の上 にある高い開けた尾根に出るであろう。彼はウォルター・ユーウ = ルのライフルの単調な。 ( ンとい 「いや」とサムはいった。「おらにはあの猟犬の声が う音を聞いた。それからもう二発聞こえた。 聞こえる」 かけあし 二人は。 ( チ。 ( チ、シ = ウと音をたてる籐の屋根のない狭いトンネルから外へ出て、なお馬を駆歩 させ木のない尾根へのぼった。その下には濃い黄色の河が、灰色の流れる光のなかで何も映すこと なく、動いていないように見えた。今ではもうあの猟大の声も聞こえた。走ってはいなかった。そ すき の声は高い狂ったようなキャンキャンという叫びであり、プーンが、木綿の鋤馬の手綱のひもで背 彼よくるっとふり向き、二人のところまで 中に古い銃をぶらぶらさせながら崖の縁を駆けていた。 , ー 駆け寄り、少年のラに、彼の後ろに跳び乗った。「ちきしよう、あのポートめ ! , と彼は叫んだ。 ライオンは奴にくつつきすぎてるだー 「そいつは向こう岸にあるだ ! 奴は真直ぐ河を渡ったー ライオンがくつつきすぎてて、撃てやしねえかった ! さあ、進むた ! 」 あの小せえ猟犬もだー ふち
「じゃ、あの人を自由にしたら」と少年は叫んた。「あの人を自由に ! 」 従兄はぶあいそに笑 0 た。それから笑いをやめた。すなわち、笑う声をやめた。初めから、それ は笑いではなか 0 た。「彼を閉じこめる檻は、「 ' キャスリン家しゃないよ」と彼はい 0 た。「彼は 野生の人間だ 0 た。生まれたとき、彼の父母両方の血はすべて、白い小部分をのそき、飼いならさ れたためず 0 と昔にわれわれの血からなくな 0 てしま 0 たいろんなことを知「ていたのだ。あんま り昔のことだ 0 たので、われわれはそれらのことを忘れてしま 0 たばかりか、われわれ自身の種の 源を守るために群れをなして住まねばならないのだよ。彼は戦士であるばかりか、酋長の直系の息 子だ 0 た。それから彼は大人になり、いろんなことを学びだした。突然ある日、彼は裏切られてい たたこと、戦士や長たちの血が裏切られていたことを発見したのだ。自分の父親によ「て裏切られ 老たというわけではないんだ。と彼は急いでつけ加えた。「彼は自分と自分の母を奴隷として売りと 古ばしたことでドウ 1 ムに恨みを抱いてはたぶんいなか「たろうな。なぜなら、それ以前にすでに危 害が加えられていたことと、彼の母親から彼に与えられた黒い血によ「て裏切られたのは、彼とド ゥームの両方にある、あの同じ戦士たちゃ長たちの血なのだということを、彼はたぶん信じたか らだ。黒い血によ 0 て、また彼の母親によ「て故意に裏切られたのではなく、奴隷の血ばかりか、 その奴隷の血をさらに奴隷としていた血を少しばかり彼に伝えた彼の母親によ「てやはり裏切ら れたのだよ。彼みずからが、彼の戦場であり、みずからを征服する場であり、彼みずからの敗北の 陵墓だ 0 た。彼の檻はぼくらじゃないよ , と「 ' キャスリンはい 0 た。「彼に何かをしろとか、す るなとか命令して、彼がそれに注意を払うように仕向けた人はいるかい。君のお父さんでもパディ