ヒステリーの 8 ヒステリーの (--«e は、セックスの反応が多くあらわれ、むしろ快感をともなわずに悲劇に終 わる傾向がある。 E-«<E-* の絵そのものも劇的なものが多いが、ヒステー患者のつくる物語は全体 がドラマティックである。あまりに感情的で、物語をつくっている途中で泣き出したり、わめい たり、叫んだりするヒステリー患者もある。性的な物語は、抑圧された性の願望が多く、秘密に かくし続けてきた性の内容などが、一気にあらわれることもまれではない。エデイプス願望とし ての親子物語が、ヒステリー には多くあらわれやすいが、意外に調子のよいなめらかな対人関係 を示す反応も少なくない。言葉の表現は素朴で、下品で、荒つばい。 ヒステリー性性格者の多くは、攻撃的で、虚栄心だけが強い。 e«<e でも自分を自分以上に見 せびらかしたいために、他人をだましたり、他人にだまされたり、暗示にかかったりという物語 の傾向が認められる。幼児期の自己万能感の強い性格からとも考えられるが、自己中心的で、勝 手な態度がテストでも観察される。そのため、物語の内容はお芝居じみてくる。 ヒステリー になる人の性格の中には、この型とはまた別に、非常に暗い感情を持ち、に おいて攻撃や性的反応がはっきりとした形では認められないこともしばしばある。また、ヒステ ) ーのようにあらわれてくるものに、器質性の病気をもった人のテスト結果があるが、詳しく調 べることによって、ヒステリーであるかど、つかを鑑別することができる。 200
* ロールンヤツ、 ・テストの症例 実際のケースを二、三紹介してみよう。 ケース①ー・・・ーヒステリー性性格の女性のロールシャッハ反応 二十三歳の女性。大学が終わって仕事がなく、家事の手伝いをしている。ロールシャッハ・ ストによって、ヒステリー性性格を疑われたケースである。 図版 2 ーーー骨盤のようにみえる。 図版 3 ーー二人の女性が向き合っている。 ( そのあとで、二人が炎の中で踊っている、足を広げ 法ているという Sex 反応に近い反応がみられる ) 診図版 4 ーーモンスターみたい。足が大きく、顔が火星人、人間とは思えない。 の ら図版 8 ーーー豹が怒って足をつつばっている。 ( もう一つは骨盤という反応。この骨盤は人間の解 者剖反応につながる ) 療 治図版ーー線香花火がポッと開いたところ。 ( もう一つは枯葉、木の葉という反応 ) の こうしてこのケースは、第 8 から第までのカードに対して拒否や失敗を示した。これは感情 ④の状態に不安定な問題があることを示しており、ヒステリー反応をおこしやすい、ヒステリー性 性格が考えられる。骨盤の二個の反応なども、そのことを裏付けている。もちろん FC に対して、 CF + C 反応が優位であった。 9
人間反応は、当然人間への興味・関心を持ち合わせているかどうかをみるもので、平均四前後 の人間運動反応がみられる。運動してない人間も、人間反応の中でとらえられる。どんな人間が どんな意味をもって登場しているのか、その内容がやはりここでも問題となる。人間同士がケン 力して血を流しているという反応は、攻撃感情の激しい深層世界を表現している。架空の人間反 応、非現実的な人間の反応などは、空想力の豊かな面を示しているが、あまりに多く出過ぎると、 対人関係において関係付けをしやすい深層心理をもっていると考えられる。また、妄想的に考え やすい性格の人にも、このように架空の人間反応があらわれると考えられる。人間反応があまり に多いときには、病気とはいえないが人間に異常な関心をもち過ぎていることも考えられる。 解剖反応は、人間の解剖反応と動物の解剖反応に分けられるが、多発した場合は、色彩反応と 結びつけて、ヒステリー状態、ヒステリー性性格を考える。また、わがままで自己中心的な性格 などをこれによって診断することができる。病気としてのヒステリー に直接結びつかないことも あり、心気的性格も解剖反応によって分析することができる。 実在しないお化けや幽霊、怪獣、実際には考えられないような動物は、いずれも幻覚や妄想・ 空想と対応していると考えられる。あまりに象徴的に説明される内容は、非現実的世界の意味付 けであることも多い。ロールシャッハ ・テストに言語化された反応は、人間にとってさまざまな 特色のある意味合いを示してくれる。
無意識の世界 フロイトという人の名前を聞いたことのある人は多いだろう。彼はオーストリアの精神病理学 者で、人間には無意識の世界があると考えて、精神分析学を体系づけた。ここでは、フロイトの 話を中、いにして、無意識ということをわかりやすく説明しよう。 * 無意識の世界はかくされている フロイトは、ヒステリー患者の治療にあたりながら、無意識は人間の意識にあらわれない心の 過程であることを確信するようになった。彼は、海の水にたとえて無意識の世界を説明している。 海には、表面から海底まで海水が充満している。海面の水が意識の世界で、前意識の世界という ものがちょうど中間にあり、海底が無意識の世界にあたるのである。そして彼は、ヒステリーは、 この海底の無意識がせりあがって海面に顔を出してしまった状態だと考えたのである。 しかし、一」 今日では、無意識の世界、あるいは深層心理の世界を否定するものは誰もいない。 の素晴らしい発見は、その当時は世界中に波紋を投げかけ、評判の悪いこともあった。フロイト
らの病院を回って、さまざまな検査をうけたが異 常は発見されなかった。 母親が高血圧で、遺伝的なことも考えられた。 一般に、本態性高血圧の人には、精神状態の不安 定な人が多いのである。 彼女は不安を感じやすかったり、人に敵意を抱 いて攻撃的になったりする傾向が強かった。緊張 しやすく、神経質で興奮しやすいこともわかって きた。検査や治療もうけながら医者とけんかをす ることもあって、未成熟な面をもっヒステリー性 性格が問題であった。このような性格のために、 ストレスが加わりやすくノイローゼになって、そ れが身体の症状に出たという点では心身症ともい える。両親に甘やかされ過ぎて育ち、何かあると すぐ夫に依存的になり、また両親に頼る傾向が強 かった。夫の浮気も、 << さんのこうした性格に原 因があったのかもしれない。さんは父親にべっ よ 02
るかわからない不安の状態の中で、まっしぐらに つきすすんできた時代であって、虚栄的でもあっ たし、目立ちたいという考えも強かった。国際的 にみれば、それは日本人だけの自己中心的なわが ままというふうに映り、経済摩擦などの外交問題 にもつながっている。しかし、いま低成長期を迎 えて、ヒステリーの時代は終わりをつげ、日本人 の精神構造や性格は、軽いうつの時代に入った。 社会全体が軽いうつの時代に入るとともに、個 人・個人においても実際に体験としておちこんで いる人が多い。シラケ世代とか無気力とかという ことがいわれたり、ビジネスマンのお酒の飲み方 にしても、わりにわずかな時間でサッときりあげ て家庭に帰る、抑うつ型の飲み方になってきてい る。とくに女性は、一か月のうち一週間くらい軽 いうつを体験して、次の週にまたちょうどよいと ころへ戻ってくる人が多い。
性的性格異常としてとりあっかわれやすい。サド・マゾや露出は、夫婦の性生活や性のよろこび を味わう方法である限りは異常ではないが、のそきや露出をヒキガネにして、さまざまな異常行 動が犯罪につながるとすれば、異常人格者の性の異常ときめつけられるかもしれなしメ 、。殺人を犯 したサディストが、死体を切り刻み、快感をおばえるような場合には、その残忍さの背後に性の 異常さがあると考えられる。 ②自己顕示型の性格異常 この性格は、自分を自分以上にみせびらかしたい傾向が普通以上に強く、虚栄的で見栄坊で、 暗示にかかりやすくだまされやすい。派手でわがままで自分勝手なところがつねに平均以上で、 ヒステリー性性格ともよばれている。うそっきでホラ吹きで欺瞞者であるところから、軽犯罪と 結びつきやすく、万引を続ける少女や暴走族少年のなかにもっとも多いといわれている。家出、 アルコール依存などがキッカケで不良仲間に誘われてしまうひとたちにも、この性格異常者が多 いと考えられる。 ③狂信型の性格異常 日本の政治家の中にみられるタイプで、信念や思想に狂信的にとりつかれ、誇大に言いふらし たり、好訴的によく訴えたりする。客観的に正しくないことでも自己主張がはげしく、意見が合
だとい、フことになるわけである。、っそとは、そ、フい、つ広がりをもっている。 無意識という面で考えてみると、夢など時間や空間を超越したものも、真実に相違するという 限りでは、うそという解釈もなりたつ。そうした意味で、どこからどこまでがうそで、どこから がうそではないという境界はつくれないのである。 うそは、自我が危機に面したときに、その危機から逃れようとして、あるいは、のり越えよう として、自我の防衛の心の働きの結果生じる。また、真実や事実を直視することができない、意 志がきわめて弱い場合にも、事実を曲げるという形でうそが使われる。この点で、うそをつきや すい性格というものを考えてみると、ヒステリー性の性格や自己顕示性の強い性格があげられる。 、いこれらの性格では、話をおもしろくしたいためにとか、同情をかいたいためにとか、いずれにし 異ても自己中心的な欲求や願望の充足から、必然的にうそが多く使われるのである。 む ひ * むかし昔のうそ発見法 、も 私たちの生活にとって問題となるうそは、反社会的なうそであり、犯罪にかかわるうそである。 誰犯罪にかかわるうそは、「天地神明に誓って無関係」だとか「盗んだのではなくて、借りるつも ①りだった」とかのように、犯意や事実の否認や隠ぺい・歪曲などとなってあらわれる。とくに否 認は、部分的なものから全面的なものにわたって、空想虚言型・女性型・羞恥型・不誠実型・強 かんもく 情型・反抗型・緘黙型などいろいろあって、犯罪の真相解明を困難にしてしまうことが多い。
感をたえずもっている。まさにおちこみ型のひどい人をいう。疑い深く、不平不満が絶えなくて 反抗的でいつも不機嫌である。校内暴力や家庭内暴力にもこの型の性格異常者が多い。とりわけ 現代の社会変化は、この抑うつ者を多発させるメカニズムをもっているといえる。無力となるよ うなうつよりも、攻撃や暴力をともなう抑うつ者の激増が特徴的である。 ⑦発揚情性型の性格異常 平均をこえて活発すぎ、楽天家で深刻さがない。軽率で興奮しやすく、けんかずきですぐ怨み をもつ。暴走族の少年には、この型にヒステリー性性格が加わったものがもっとも多いと考えら れる。恐喝、窃盗、暴力犯、傷害などの犯罪をみると、この型の性格異常に他の型が合併した場 合がもっとも多いようである。ほがらかすぎて無分別となると、意外な異常心理〈とかんたんに 発展する。 ⑧爆発型の性格異常 この型は、興奮人とクレベリンによって記載された。まさに爆発的に興奮し、暴力をふるう、 アルコール酩酊と合併するといっそうはげしくなり、そのために刑法犯を犯すことはよく知られ ている。程度がさらにはげしくなるような場合には、責任能力さえもおかされていることもまれ ではない。暴力、傷害、殺人、反抗、破壊は、この型の性格異常者によってもっとも多くひきお
歳の女性のものである。過保護で育ったために、わがままで自己中心的、ヒステリー性性格と診 断された。太字の文章を完成させる形をとっている。 「私の気持はよくわからない。何かいつも何かに追いかけられているみたいな、心配でもあるよ うな、やな感じ」「私の家ては明るく振る舞わなければ父母が心配する。何か不安なの。何もか も忘れるところがほしい」「私のてきないことは、好きな人の嫌がることができない。嫌われる のがいやだから」 この女性は、不安で何となくいやな感じという反応が特徴的で、繰り返して示されている。嫌 われたくないという自己顕示的な性格があらわれている。できたらすべてを忘れる所があればい いという反応には、彼女の性格の意味がよくあらわれている。 もう一つ、性の同一化が不全な人の (-noe を紹介しよう。 「私がひそかに思うことは、もちろん女性であることである。もし私の母が死んだら、自分はも うだめになってしまうと田 5 う。私の母が家にいなくなったら、家族はばらばらになると思う」 被験者は十七歳の男性である。母親への固着が極めて強く、女性的なものが優先して、自分を 男として認識することができないことが明らかに示されている。女の子だと思っている。性同一 化の不全な傾向を中心に、自我同一性の障害も考えられる。思春期の危機を迎えたときに、男性 性を数年の間に獲得することができなかったのである。同性愛願望も強く、それを抑圧している 傾向も目立っている。ちなみに、ロールシャツ、 ノ・テストでは、対人不安や超自我の恐怖が葛藤