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検索対象: 立ち直りつつある少年たち 第3集-少年院で学ぶ若者たちの手記
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1. 立ち直りつつある少年たち 第3集-少年院で学ぶ若者たちの手記

私は社会の人々に多くの迷惑をかけ、現在、人吉農芸学院で生活しています。 家庭裁判所で、「中等少年院送致」と言い渡された時、「何で俺が少年院なんかに行かな ければいけないんか、他にも悪い奴がいつばい ) しるのに : : 」と不満を抱いていました。 また、「いろいろとすることがあるのに、少年院なんか行っても何にもならん、一年間が虹 駄になるだけだ」と、そんな考え方だったのです。 少年院生活が始まり、新入時教育期間の前半までは不安定で、その日の気分次第で生活 していましたが、少年院の目的、基本的な生活の仕方、学習、集団生活に向けてのオリエ ンテーションなどいろいろと学んでいくうちに、「一生懸命に頑張って立派な人間になっ て帰ろう」と真剣に考えるようになり、自然と前向きの生活ができるようになりました。 先生方の期待や信頼も厚かったようで、新入生の世話係もよくさせてもらいました。体 力向上の運動や集団行動訓練など、薬物使用などで体力が弱っていた私にとって大変っら 町耳べの決な

2. 立ち直りつつある少年たち 第3集-少年院で学ぶ若者たちの手記

ものは、生きた本当の証にはなりえません。だからといって、生きた証を以前の非行に求 める事も間違いだと思います。もしも、非行が生きた証になるのでしたら、私には生きた 証が多すぎます。そして、それを人間の価値とするならば、私は完全な「ダメ人間」でし かありません。 ここで結論を出すとすれば、私の人間としての価値は、今後の人生で、他人に対して生 きた証をどれだけ残すかにかかっているわけです。しかし、私が今まで何度となく非行を くり返してきて、両親はもちろん、他の人たちは、私が生きた証を残そうとしても、それ を認めてくれるでしようか。今は無理です。信用を無くしてしまった人間を、世間の人は そう簡単に認めてはくれません。ですから、私の今後の人生の第一歩として、周りの人の 信用を取り戻さなくてはなりません。 私は今、普通に生活している人には通ることのない回り道をしているわけです。しかし、 その長い道のりを行かなければ、私に明日は見えてこないのです。ですから、私は、この ん 学学院に入院してから退院するまでの長いようで短い院生活を、人生の長い年月の中の一コ 院マとして、過去のあやまちとして消し去ってしまうのではなく、これからの人生の糧とし 少て、そして、新しい人生の出発点として、深く心にきざみ、忘れる事なく、今後の人生の 辞書として、間違 0 た行動を取りそうな時や、集団生活の中で行き詰「た時など、大いに

3. 立ち直りつつある少年たち 第3集-少年院で学ぶ若者たちの手記

の涙を無にしないためにも、必す立ち直って、私が父の分まで母を助け、一家の柱になれ るような男になります。 今度こそ私は、母や家族に誓います。今まで迷惑や心配をかけた分、人並の人間になっ て今までの苦労をとりのぞいてあげます。 今までは、してもらうばかりで何一つ母に子供としてしてやったことはありませんが、 また、今後は、病弱な母をいたわり、明るく楽しい家庭を作り直すというのが、今の私 の決意です。 「母の日」には一本のカーネーション、それがやれるような素直な自分になりたい。 教官のコメント 母親と兄弟二人の母子家庭である。母親と長男は、スナック店員として、 それぞれ別住所で生計を立てている。 少年は、家族の者に対して、非常に親和的であり、特に母親に対しては、 思慕の念を強く持ち、将来は同居したいと考えている。母親の方としては、 少年が独立して生計を立てることを望んでおり、両者の考えに開きがある。 そのギャップをどう克服するかが課題である。

4. 立ち直りつつある少年たち 第3集-少年院で学ぶ若者たちの手記

ノ 08 教官のコメント 当院二入の少年であるが、前回は表面的には無難に、本音を出さすに生活 したため、短期間での再入につながっている。少年自身も、今回は正直な自 分を出したいと努力しているようである。 自分はちつばけな弱い人間であり、その弱さが失敗の原因であることを直 視し、それを踏まえた上で、やはり同じ弱い人間である不良仲間たちとの絶 縁を図ろうとしている。表面的な強さやかっこ良さではなく、人間としての 真の強さを目ざして。

5. 立ち直りつつある少年たち 第3集-少年院で学ぶ若者たちの手記

746 う状態でした。 この事故のあと僕が考え、思っていたことは、「被害者の方にも過失はあるんだ」と、と んでもないことを考えていました。あの人が、夜の雨の降っている時に大の散歩なんてし ていなければ、僕は処分されることもなかったのに、という殺人鬼のような考えを、本気 で考えていました。このような考え方が平気で、できたのは、僕は、働きもしないのに車 を買ってもらい、親をだまして、お金を出させるといった生活を、当然のようにやってき たからでした。 僕は、今まで、このように身勝手な生活を送「ていながら、自分の好き勝手な運転や暴 走族まがいの走り方で自分が事故を起こすかもしれないということや、事故を起こすこと で、家族や周囲の人々に迷惑をかけたり、目の前の被害者は、悲惨な姿に変わり果ててし まいました。そして、両親は、みるみるやせていきました。それ以上に遺族の方々は悲し みのどん底に突き落とされたことだと思います。被害者の姿、両親のやつれ果てた姿を見 ても、「俺は運の悪い不幸者だ」と自分の立場だけをなげいているだけでした。 僕は、もうこれ以上、殺人鬼のような生き方を続けたくはありません。相手の立場や被 害者の遺族の方々の今の苦しみ悲しみ、僕にだって考えることは出来ますし、僕は、これ からの人生を他人の痛みが分かる人間として生きたいと思います。

6. 立ち直りつつある少年たち 第3集-少年院で学ぶ若者たちの手記

青葉女子学園女子 私の家庭は、祖母・父・母・姉と私の五人家族です。父も母も特別偉い人間でもなけれ ごく普通の両親です。祖母も姉もごく普通の人です。そんな ば、特別悪い人間でもない、 平々凡々な家庭の中から、どうして少年院送致にまでなってしまった私のような人間が育 ったのでしようか 私は思うのです。非行の道へ入ってしまう人たちの中で、家庭環境が原因の一つとなる 人も少なくないと思います。しかし、その家庭環境というものは、二つに分けることがで きると思うのです。一つは、よく聞く環境の悪さ、例えば、片親とか、酒乱の親をもつな 家ど悪い環境の中で育ち、非行の道へ入ってしまう人と、環境が良いために、わがままにな 、、ト一丁の道へ入ってしまう人とに分けることかできるのではないでしようか。 母ってしましョ彳 父 私は、どちらかといえば、後者の方で、自分勝手な事ばかりをしていたために、非行の 道へ入ってしまいました。 私の家庭

7. 立ち直りつつある少年たち 第3集-少年院で学ぶ若者たちの手記

748 び一」第 0 0 い ~ 0 り 0 をいい ( ・い第 0 い。幻 0 物 ? 0 いいこ 10 い . いっ 0 い : ついこ■ 0 ・当い一 ( 、ム ( : 0 曰 ( 「「いい ' 「ツ ( はら↑」・こ ( い 1 い 0 ドご 7'5- ぐ・「〔 5 人、ズふ〔 ) ト当 ( 、・「のこ朝ごミ「 ? 二し 15 非行に走って 」紫、明女子学院女 ~ 一「 , 、「二び「」】ブ「、一谷う」 2 ・ ) 3 一べ - ~ け「」 00 一「 ) ヴ ( 心「う」 0 いっ C„′ 0 第 0 気っ C•. つい OCm っ ( ゾっ .0 つ見びい、 : 0 い 今の私という人間は、遊んでいた頃の私に言わせれば、「、ンヤミな奴」でしかないと思う。 何故ならば、非行から足を洗おうとしているからだ。不良にしてみれば、普通になろうと している人ほど弱い人間に見えてしまうものだ。私自身もそう思っていた。この世の中で は、自分たちが不良であることが、強い人間なんだと錯覚していたところがある。 ゞ、ことだとい、フことに気付いた。そして、私を心配してく でも、私は不良そのものカし れる人かいることも知った。 私は、夜の大通りを毎日のように出歩き、夜の遊び友達も沢山できて、いわゆる「通り の人間」となった。ケンカもよくやったし、女の暴走族もやっていた。そのうちに、私は つつばるということに対して、誇りを持つようになっていた。曲っていることも、カで正 しくしてしまう。もう、周りを見るだけのやさしさのかけらもなくなり、ただの醜い生き 物になっていた。自分の弱さを、非行に走ることでごまかしていた私にとって、人を傷つ

8. 立ち直りつつある少年たち 第3集-少年院で学ぶ若者たちの手記

あります。 僕が小学生のころ、両親は、毎年夏になると決まって旅行に連れて行ってくれました。 僕の家族にとって、毎年旅行に行くというのは大変なことなのです。それは、前にも書い たように、両親や妹には不自由なところがあり、しかも両親はろうあ者ということで、道 に迷ってしまった時など人に聞くことができないし、また、ホテルに泊まる時も苦労しな ければいけないということもあります。まだまだほかにたくさん困ることがあったと思い ます。そういうことは、全部僕がしてあげればよかったのだけど、そのころはまだ幼いと いうこともあり、助けてあげられなかったのを覚えています。 そういう困ることがたくさんあっても、両親は僕や妺のために、どこへでも連れていっ てくれたことが、僕にとって、とても良い思い出となっています。スキーや海にも連れて 行ってくれるなど、とても楽しい思い出をたくさん作ってくれた家族に、今、とても感謝 しています。そして、そういう旅行中に手話で話しているところを、他人から変なふうに 家見られても気にせす、僕たちのことばかり考えてくれた両親に対して、とても自分は、ば 母かな人間だなあと思います。 父両親が僕のことを大切にしてくれたにもかかわらす、非行に走り、少年院に来てしまい ましたが、自分が、どれだけ親不幸な人間で、こんなことをする人間は一番最低だと、今、

9. 立ち直りつつある少年たち 第3集-少年院で学ぶ若者たちの手記

る気持ちではなくて、後退する気持ちを理解してくれていたのです。 その結果、今の私には、後海と口惜しさと、二度目の少年院生活という取り返しのつか ない現実以外、何ひとっ残っているものはありません。 こうして落ち着いて、かっての遊び仲間たちのことを考え、自分自身のことを考えると、 私はなんて貧しく、無駄な対人関係を、そして無駄な日々を送ってきたのだろうと思うの です。自分の今までしてきたたくさんの悪い行為を反省していることはもちろんですが、 それ以上に人を見る目を持っていなかった自分や、悪友と私には「遊び」というつながり しかないということに、うすうす気が付いていながらも、離れられなかった自分の弱さに、 今はただただ口惜しさと、後悔しか残っていません。 私は今、二度目の少年院生活を送っていますが、かっての遊び仲間たちへの絶縁の決意 を固めています。もう一一度と以前のような自分にはならないために、そして、もう一一度と 人 友誰一人として悲しませず、迷惑をかけぬよう、強い自分になるつもりです。 生 とても弱虫な人間なので 私は決して強い人間ではありません。一人では何もできない、 先 す。しかし、今は弱い人間でも、悪友と絶縁するこれからの生活、目の前に広がる厳しい 強い自分を目指して学院生活に取り組んでいます。そして 学社会の現実に目をそむけない、 ル私を応援してくれている家族と一緒に頑張り、後悔のない人生を送って行くつもりです。

10. 立ち直りつつある少年たち 第3集-少年院で学ぶ若者たちの手記

276 された作文となっております。人間の逆境に置かれた時の心境が読み取れる のではないかと思います。