中央部 - みる会図書館


検索対象: 明治の西洋館Ⅱ
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1. 明治の西洋館Ⅱ

セントを与えているが、全体の印象は堅苦し さを感じさせすむしろ軽快である。日赤の社 屋であったが、移築され現在小学校の講堂と して使われている。 57. 函館区公会堂 ( 函館市公会堂 ) 明治 43 年 / 小西朝次郎 / 木村甚三郎 / 国指定 重文 / 木造 2 階 / 北海道函館市元町 11 函館の町の大火 ( 明治 40 年 ) 後に建てられた 公共集会所。中央と左右の大きなペテ、イメン トがシンメトリーを強調し、その下にはそれ ぞれバルコ二一をのせたポーチを設けている。 2 階中央部にはべランダが拡がり、立ち並ぶ コリント式の独立柱が立体感に富んだフアサ ードをつくりあげている。左右の破風面の唐 草のレリーフが擬洋風の香りを漂わせている。 58. 弘前市立図書館 明治 39 年 / 堀江佐吉 / 堀江佐吉 / 木造 2 階ー 部 3 階 / 青森県弘前市富野町 明治 39 年 3 月に完成。斎藤主、堀江佐吉、石 戸谷末九郎、武田秀三郎、久保初太郎の寄付 による図書館。提案者の堀江佐吉は、後進の 人たちの手本となるよう立派な建築をと意気 込み、当初の規模を大幅に変更、建坪 100 坪、 双塔ルネサンス様式木造 3 階建とした。先に 完成した第五十九銀行本店とともに、当時の 弘前市民たちの目をうはい、賞賛をもって迎 えられた建物。昭和 6 年に堀江家に払い下げ られた以後、移築、移譲と転々としていたが、 現在、追手門広場に移築復原し郷土文学館と して再生、一般に公開されている。 59. 大宝館 大正 4 年 / 不詳 / 不詳 / 木造 2 階 / 山形県鶴 岡市馬場町 4 ー 7 、鶴岡公園内 大正天皇即位の記念に、鶴岡城跡の公園内に 建てられた多目的建築。図書館、物産陳列所 集会室等の機能を持っていた。屋根は入母屋 だか、総 2 階の壁に上げ下げ窓が並び、やや 張り出した中央部に密度があり、三つのペデ イメントに唐草風の蟇股、そして木骨式の胴 部の上にはバロック風の扁平ドームがのる。 60. 北海道庁舎 明治 21 年 / 平井晴ニ郎 / 直営 / 国指定重文 煉瓦造 2 階地下 1 階 / 札幌市中央区 北海道開拓のシンポルとして、赤煉瓦庁舎の 名前で市民に親しまれているこの建物は、ア メリカに学んだ日本人技師による設計である。 シンメトリーで堂々とした壁の上には、煙突 や屋根窓がアクセントをつける急勾配の屋根、 上昇感のある八角形ドームなど、アメリカの ヴィクトリアン様式の影響がうかがえる。 61 . 福岡県公会堂貴賓館 明治 43 年 / 三条栄三郎 / 岩崎組 / 国指定重文 / 木造 2 階 / 福岡市中央区西中洲 6 ー 29 明治 43 年、県の貴賓館として那珂川河畔に建 てられた。木造 2 階建てだが外壁に目地をと って石造風に見せ、様々なレリーフで壁面を 飾る。バルコニーの大きなアーチ窓。ペディ メント、ドーム状にふくらんだ屋根が凝縮さ れた中央部をつくり、八角尖塔が主屋の左右 対称性を破るアクセントとなっている。 62. 最高裁判所 明治 29 年 / 工ンデ・べックマン事務所 / 煉瓦 造 2 階 / 現存せす ェンデ・べックマン事務所設計の、壮大な大 審院庁舎が戦災で全焼し、その煉瓦造外壁を 利用して再建したもの。ドイツ古典様式を基 調としている。三宅坂に現最高裁判所ができ たのをきっかけに、昭和 50 年惜しまれて姿を 消した。設計担当はハルトング。 63 . 日本赤十字社本社 大正元年 / 妻木頼黄 / 煉瓦造 2 階 / 現存せず 妻木頼黄晩年の作品。妻木は大蔵省を土台に 活躍した明治建築界の巨匠で、辰野金吾とは ライバル的存在であったといわれている。外 壁のチョコレート色煉瓦と水平に流れる化粧 石 ( 花崗岩のドレッシング ) のリズミカルな 構成の中に、辰野とはまたちがう華麗な意匠 感覚をのぞかせている。 64. 京都郵便電信局 ( 中京郵便局 ) 明治 35 年 / 吉井茂則・三橋四郎 / 安藤組 / 煉 瓦造 2 階 / 京都市中京区三条東洞院 ルネサンスを母体に、各所に渦巻のモチーフ を配してバロック的な彫りの深さを加えてい る。 2 階窓上の櫛形ペテ、イメントの連続が街 路に華やかな景観を与える。外壁を保存した まま内部が新しい構造に生まれ変わっており、 話題を呼んだ。 65. 開港記念横浜会館 ( 横浜市開港記念館 ) 大正 6 年 / 山田七五郎・佐藤四郎 / 清水組 コンクリート・煉瓦・鉄骨煉瓦造 2 階地下 1 階 / 横浜市中区本町 1 ー 6 大正 6 年、横浜開港 50 周年を記念して、コン べによりデザインが決定された。赤煉瓦に石 を組み合わせ変化に富んだ華麗な外観をもつ。 入口の三連アーチの上には大きなアーチがの り、その上のペデイメントの頂部を破って工 ディキュラか立つ。隅部には時計台が高くそ びえ、ジャックの塔として親しまれている。 66. 大阪府立図書館 明治 37 年 / 野口孫市・日高胖 / 久保田小三郎 / 国指定重文 / 煉瓦・石造 3 階 / 大阪市北区 中之島 住友家の寄付により建設され、住友設計部の 建築家か設計にあたった。十字形平面で中央

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明治村に移築、保存された三重県庁舎と同じ 県技師の設計による。優美なプロポーション の三本コラムが支えるべテ、イメントには懸魚 が下がり鬼瓦がのる擬洋風だが、その下のフ リルのついたゆるやかなアーチが、威厳より もやさしさをもって迎えてくれる。 17. 津山高校 明治 28 年 / 不詳 / 不詳 / 木造 2 階 / 岡山県津 山市椿高下 寄棟屋根の中央にマンサード屋根を設け、そ の前部の切妻の軒にようらくを付けた時計台 が象徴的。設計者、施工者は不詳であるが、 端正で品格のあるルネサンススタイルに仕上 がっており、相当な力量の手によるものと推 察される。棟には鋳鉄製のシンプルな飾りが 付けられている。 18. 茨城県立商業学校 ( 水戸商業高校 ) 明治 37 年 / 駒杵勤治 / 不詳 / 木造平屋 / 水戸 市新荘 3 ー 7 中央入口に彫刻を施した木製の大きなアーチ、 その両側のファンライトの丸い桟が美しい。 深く目地をとって石造を模した 4 本の柱が垂 直性を強調し、彫りの深いコーニス、 2 つの 扁平なバロック風ドームが全体に重厚な印象 を与えている。現在は学校敷地内の片隅に移 築され、両翼はとりこわされている。 19. 土浦中学校 ( 土浦第一高校 ) 明治 37 年 / 駒杵勤治 / 石井権蔵 / 国指定重文 / 木造平屋 / 茨城県土浦市真鍋 4 ー 4 ー 2 両側の尖塔に挟まれた中央部には急勾配の切 妻破風にはら窓。その下に三連の尖頭アーチ。 それらのゴシックのモチーフを、薄い木の幕 板を張りつけて表現している。そのプロポー ションは、威厳よりも当時のロマンチシズム の方を強く感じさせる。水戸商業と同じ年に 106 同じ建築家によってつくられた。 20. 山形師範学校 ( 県立博物館教育資料館 ) 明治 34 年 / 不詳 / 不詳 / 国指定重文 / 木造 2 階 / 山形市緑町 2 ー 2 山形の教育の中心として生き続けてきた雄大 な建物。木造ながら石造風に漆喰で水平目地 をとり、ポーチはコラムにアーチ幕板、さら にようらくとにぎやかで、その上の密度のあ る 2 階壁面の上にはやや巨大すぎる櫛形ペテ、 イメントかのる。屋根上の時計台は和風の手 すりをもち、天守閣のような雰囲気も漂わせ る。がんばった擬洋風である。 21 . 奈良女子高等師範学校 ( 奈良女子大 ) 明治 42 年 / 山本治兵衛 ( 文部省 ) / 不詳 / 木造 2 階 / 奈良市北魚屋西町 正門の前に立っと正面に立ちはだかるのは、 中央に破風のついた大きな屋根の堂々とした 建物。チューダー風のハーフティンバーによ って装飾された壁やポーチは中世の香りを漂 わせ、名門女子大にふさわしい顔となってい る。 22. 佐倉中学校 ( 佐倉高校 ) 明治 43 年 / 久野節・後藤政ニ郎 / 島崎留次郎 / 木造 2 階 / 千葉県佐倉市弥勒町鍋山 18 明治 4 年の廃藩置県の後、旧藩主堀田家の教 育に対する熱意によって私立佐倉中学は創立 され、明治 32 年に県立に移る。その後もやは り堀田家の多大な寄付によりこの建物は建て られた。中央玄関の両脇には小さなドームを のせ、ペテ、イメントを飾った双塔が建ち、そ の間の屋根には丸い換気窓や軽快なテ、サイン 明治 43 年 / 不詳 / 不詳 / 国指定重文 / 木造 2 23. 米沢高等工業学校 ( 山形大学工学部 ) の小塔が印象的である。 階 / 山形県米沢市城南 4 ー 3 ー 16 東北で 2 番目、全国でも / 番目の高等工業学 校の誇りに満ちた壮麗な建物。正面の全長は 94m に及び、中央のマンサード屋根、両脇の 尖塔などによるフレンチ・ルネサンス様式に スティック・スタイルを併用して豊かな細部 をつくりあげる。シンメトリーでありながら どこかピクチュアレスクなにおいかする。 24. 桐生高等染織学校 ( 群馬大学工学部 ) 大正 4 年 / 新山平四郎 ( 文部省 ) / 不詳 / 木造 2 階 / 群馬県桐生市天神町 1 ー 5 織物の町桐生にある群馬大工学部の前身は、 官立の染織学校であった。下見板張りにべン キ塗り、装飾的な妻壁にフィ二アルをのせた 中世的な香りをもっスティック・スタイルで ある。垂直感があり、教会のイメージももつ ロマンチックな建物。 25. 深谷商業学校 ( 深谷商業高校 ) 大正 11 年 / 不詳 / 不詳 / 木造 2 階 / 埼玉県深 谷市原郷 80 左右対称、間ロの長い建物で連続する軒線を 中央の三角、両端の半円の破風で変化をつけ る。壁面は下見張りの柱型がリズミカルに垂 直性を強調する。引違い窓と上げ下げ窓が混 在しているが異和感はなく、中央ポーチの屋 根などにも大正期らしい既成にとらわれない 自由さを感じさせる。 26. 松山中学校 ( 松山高校 ) 大正 12 年 / 不詳 / 松沢善四郎 / 木造 2 階 / 埼 玉県東松山市松山町 1 ー 6 大正期になると洋風建築が各地に浸透し、形 や工法にも慣れ、当時海外からさらに新しく 入ってきたアール・デコ等のデサイン手法と 合わせて自由な折衷が試みられるようになる。 塔屋にはドームをのせたエテ、イキュラ ( 小神

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60. 北海道庁舎明治幻年平井晴ニ郎札幌市中央区 7 6

4. 明治の西洋館Ⅱ

、、ミ 30. 札幌農学校演武場 ( 時計台 ) 明治Ⅱ年ホイーラー 札幌市中央区

5. 明治の西洋館Ⅱ

円車島 : つき 独車禁止 6 匚福岡県公会堂貴賓館明治 43 年 三条栄三郎福岡市中央区

6. 明治の西洋館Ⅱ

。い二第ドを ッし . 0 , =. 信号中蚣会堂前 67. 大阪市中央公会堂大正 7 年岡田信一郎大阪市北区 83

7. 明治の西洋館Ⅱ

共通するディテール ( 隅柱のデサインは、西 田川郡役所とも同じ ) も多いが、 こちらはほ ば総 2 階の形をとるため、より西洋館のイメ ージカヾ強い。 47. 本庄警察署 ( 本庄市立歴史民俗資料館 ) 明治 16 年 / 不詳 / 角田富蔵 / 県指定重文 / 木 造 2 階 / 埼玉県本庄市中央 1 ー 2 明治初期の擬洋風建築による警察署のひとつ。 木造漆喰塗りでコーナーストーンを模し、上 下階の区切りに胴蛇腹をつけ、 窓にはペディ メントに似せて庇をつける。中央部には下階 入口にアーチと石造風に目地を入れた太い柱、 上階のバルコ二一では華やかなコリント風の オーダーが大きめのペデイメントを支え、擬 洋風だが後期ルネサンスのバラテ、イオ風の構 成を見せる。 48. 須崎警察署佐川分署 ( 青山文庫 ) 明治 19 年 / 不詳 / 不詳 / 木造 2 階 / 高知県高 岡郡佐川町上郷甲 356 ー 2 ポーチ、バルコニーはドリス風の丸柱、起り のついた破風は櫛型ペデイメントを思わせ、 壁面はシンプルだが軒と胴蛇腹は深く突き出 して外観を引き締めている。最近東京で流行 した交番は現代の擬洋風とも言えるデザイン だったが、どちらが永く愛されるだろうか。 49 . 登米警察署 ( 警察資料館 ) 明治 22 年 / 山添喜三郎 / 不詳 / 木造 2 階 / 宮 城県登米郡登米町下町 置場が復原されている。 また建物の一番奥には、当時の図面を元に留 ている。昭和 62 年、警察資料館として開館、 じデサインのイオニア式オーダーが採用され コニーやポーチの柱頭には、小学校とほば同 物。遠見台と呼ばれて親しまれた 2 階のバル 登米小学校の設計者山添喜三郎の手になる建 50. 麻生警察署 明治 36 年 / 駒杵勤治 / 不詳 / 木造平屋 県行方郡麻生町麻生 1135 建物の隅角部に正面入口をおき、そこに 茨城 堂々 とした神殿のモチーフ ( オーダーとペデイメ ント ) とアーチを重ね、その上のバロックド ーム風の屋根は小神殿に縁取られた屋根窓を もつ。シリンダー状の屋根換気窓カヾ両側にア クセントをつけ、重厚な上に華麗な建物とな っている。 に中庭をもっ十四角形の回廊付病室。細部の 角形、八角形と塔屋が重ねられる。その背後 正面は、 1 階に変形の八角形、その上の十六 / 木造平屋一部 4 階 / 山形市霞城町霞城公園 明治 12 年 / 筒井明俊 / 原口裕之 / 国指定重文 53 . 済生館 ( 山形市郷土館 ) てくれる貴重な造形である。 て、西洋館の時代にさしかかったことを示し ク。明治初期のきわめて早い時期の建物とし 建築であるが、入口の庇つきアーチがユ二 まこ壁など、あまりにも伝統的な要素の強い 洋館というには、全体のプロポーションやな 明治 2 年、新潟港開港当初の建物である。西 木造平屋 / 新潟市緑町 明治 2 年 / 不詳 / 礼助・弥七 / 国指定重文 52. 新潟税関 ( 新潟市郷土資料館 ) として利用しているため改装されている。 ていたのではないかと思わせる。現在幼稚園 対する人々のイメージは、ずいぶん今と違っ る愛らしいファンライト窓。当時の警察署に 。連続す 柱に支えられたポーチ、バルコニ いかにも火の見櫓のような望楼。やや鈍重な 生市京町 3 ー 3 、引接寺境内 明治 35 年 / 不詳 / 不詳 / 木造 2 階 / 福井県武 51 . 福井警察署 ( 丈生幼稚園 ) デサインは擬洋風らしさをもつが、その独創 的構成は様式を越えー種のコスモロジーさえ 感じさせる。明治 12 年に建てられた。異形の 病院。回廊に囲まれた静謐な中庭は西欧の修 道院を思わせる。 54. 札幌博物場 ( 北大付属植物園博物館 ) 明治 15 年 / べートマン・開拓使工業課 / 不詳 / 木造 2 階 / 札幌市中央区北 2 条西 8 丁目 明治 15 年、開拓使の札幌博物場として建築さ れる。直後、開拓使は廃され、明治 17 年、周 囲の敷地は札幌農学校付属の植物園となる。 2 階建て中央部の両側に下屋を設け、さらに 奥には袖廊があり、外観は一見三廊式十字平 面である。装飾は少ないが、トラスの見える 破風面を前面に押し出し、ようらくをつける。 頂部とポーチ欄間には開拓使のマーク、五稜 星カヾ見られる。 55. 函館県博物館 ( 市立函館博物館 2 号館 ) 明治 16 年 / 函館県 / 浜谷新助 / 道指定重文 木造平屋 / 北海道函館市青柳町 17 ー 1 、函館 公園内 函館公園の中に 1 号館とともに建つ開拓使関 係の博物館。どちらも小さな洋館だが、より シンプルな 1 号館に比べ、こちらの方は過剰 とも思えるほど積み重ねられた繰形をもつ軒 蛇腹、 4 連のアーチ窓、玄関の柱の奇妙な葉 形の柱頭と扁平な欄間のアーチ、その上の唐 風のレリーフなど、洋風への独特の努力が見 られる。 56. 日本赤十字社埼玉支部 ( 鎌形小学校 ) 明治 38 年 / 不詳 / 不詳 / 木造平屋 / 埼玉県比 企郡嵐山町鎌形 2230 正面玄関を中心に建物が左右対称にのびやか に広がる。中央、両翼、ポーチの破風は、各々 大きさやデザインが異なり、彫りの深いアク 109

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治初期の西洋館として、都内に残る数少ない 殿 ) が様々なスタイルの屋根飾りを従え、壁 中央部とポーチの破風はルールにとらわれな い自由な形となっている。 27. 東京医学校 明治 9 年 / 林忠恕 ( 工部省営繕局 ) / 不詳 / 国 指定重文 / 木造 2 階 / 東京都文京区白山 3 ー 7 ー 1 、小石川植物園内 明治初頭の官立の専門学校で、東大医学部の 前身である。昭和 44 年に現在地に移築された。 当初、屋根上は時計台であった。現在の外観 は明治 44 年に東大赤門脇に移築された時の改 造である。 2 階の外壁や車寄せに塗られた赤 と擬宝珠高欄などの寺社風と、窓上ペデイメ ントの洋風とが、大胆に構成されている。 28. 群馬県衛生所 ( 桐生明治館 ) 明治 11 年 / 伊藤安五郎 / 須磨代吉 / 国指定重 文 / 木造 2 階 / 群馬県桐生市相生町 2 ー 414 ー 6 当初この衛生所は医学校を併設して前橋に建 てられた。 E の字型の正面は対称形で 1 、 2 階共吹き放ち廊をめぐらす。外壁は下見張り だが廊の内側は漆喰塗りとし、列柱の柱頭や 破風まわりのデサインなど、無国籍的だが、 華麗である。昭和 3 年桐生市に移築、現在は 資料館となっている。 29 . 慶応義塾三田演説館 明治 8 年 / 不詳 / 不詳 / 国指定重文 / 木造 2 階 / 東京都港区三田 2 ー 15 ー 45 、慶応義塾大学 福沢諭吉の構想のもと、演説の場としての建 築である。建設にあたり、アメリカから種々 の図面を取り寄せて参考にしたといわれてい るが、外観は桟瓦葺、なまこ壁の伝統的な土 蔵造の手法が基調で、玄関ポ - チ、窓などを 洋風にまとめて折衷している。内部は中央吹 き抜け、 2 階の周囲が座敷になっている。明 30. 札幌農学校演武場 ( 時計台 ) 貴重な建築である。 に小説「桜の実の熟する時」で、学院風景を ている。学院の学生であった島崎藤村は、後 建てられたが、現在は同窓会館として使われ もっている。当時、アメリカ人教師館として な外観は、人をほっとさせるような親しみを カンコロニアルスタイルの建築。単純で清楚 下見板張り、白ペンキ塗りの典型的なアメリ 区白金台 1 ー 2 ー 37 明治 21 年 / 不詳 / 不詳 / 木造 2 階 / 東京都港 32 . インプリー館 ( 明治学院同窓会館 ) 現在地に移転復原。 館になっている。昭和 41 年に道路拡幅のため、 ピクチュアレスクで軽快な味わいのする西洋 ンバースタイルで再生している。結果として、 て被害を受け、 2 階部分を木造のハーフティ れた建築だが、明治 27 年の東京大地震によっ 2 階とも煉瓦造としてつくら 明治 23 年、 1 、 瓦造 2 階木造 / 東京都港区白金台 1 ー 2 ー 37 明治 23 年 / H. M. ランディス / 不詳 / 1 階煉 館 ) ロ′し、 31 . 明治学院神学部校舎 ( 明治学院歴史記今 出している。 メリカ風の西洋館のイメ - ジを十分にかもし 飾りに上げ下げ窓、やや大きな時計塔が、ア 館となっている。下見張りの大きな妻壁、軒 での心身訓練の場であった。現在は郷土博物 海道の地理上の、開拓、国防という目的の上 建物は、もと札幌農学校の兵学教練所で、北 北海道の愛らしいシンポルとして有名なこの 中央区北 1 条西 2 丁目 拓使営繕課 / 国指定重文 / 木造 2 階 / 札幌市 明治 11 年 / W. ホイーラー・開拓使工業局 / 開 細かく描写している。 33. 日本女子大学成瀬記念講堂 明治 39 年 / 田辺淳吉 / 清水組 / 木造平屋 / 東 京都文京区目白台 2 ー 8 明治 39 年竣工。設計は東大を卒業したばかり の清水組技師、田辺淳吉。田辺は、抜群の意 匠力を学生時代から認められていた逸材。田 辺特有の中世的な美しい煉瓦の外観は、関東 大震災により破壊され木造に改修されてしま ったため見られないが、内部空間には、きめ の細かい優雅な木の架構が連続している。 34. 東京音楽学校 明治 44 年 / 古宇田実 / 不詳 / 木造 2 階 / 現存 せず 当初はデサイン棟として建てられ、後に事務 局として使用。取り壊し決定後、一時は明治 村移築の話もあり、ていねいに解体、部材も 保管してあったが、残念ながら実現しなかっ た。もう一棟の明治建築でわが国最初の音楽 ホールであった奏楽堂は上野公園に移築保存 されている。 35. 第五高等中学校 ( 熊本大学資料館 ) 明治 22 年 / 山口半六・久留正道 / 徳永組 / 国 指定重文 / 煉瓦造 2 階 / 熊本市黒髪 2 ー 39 赤煉瓦の壁に日本瓦。コーナーとバンドの石 の配色が軽妙なおおらかな西洋館である。設 計図面は現在も熊大に残っており、図面も合 わせて重要文化財に指定されている。明治初 期の日本建築界はイギリス色が強かった。そ の中で、若くしてバリに留学、学位を得た日 本人最初の建築家山口は異色の人であった。 36. 西田川郡役所 ( 致道博物館 ) 明治 14 年 / 高橋兼吉 / 高橋兼吉 / 国指定重文 / 木造 2 階 / 山形県鶴岡市家中新町 10 ー 18 1 () 7

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43 . 宇土郡役所 ( 九州海技学院 ) 明治 35 年 / 不詳 / 不詳 / 木造平屋 / 熊本県宇 土郡三角町西港 木造建築でありながら石造建築を思わせる目 地入り白漆喰の壁が特徴的な西洋館である。 屋根の半円形換気ロ、ドーマー窓、吹き寄せ 柱をもっ華麗な玄関ポーチなど、格調高い中 にもエレガントなたたずまいで三角町西港を 見おろしている。 44. 赤穂村役場 ( 駒ケ根郷土館 ) 大正 11 年 / 伊藤文四郎 / 不詳 / 木造 2 階 / 長 野県駒ケ根市駒ケ根高原 設計は地元の伊藤文四郎博士。外観はアメリ カンコロニアルスタイル、内部装飾はルネサ ンス式を採用している。左右対称の清潔なさ っぱりとした西洋館である。昭和 46 年、新市 庁舎新築にともなって現在地に移築、郷土館 として親しまれている。 45. 鶴岡警察署 ( 荘内文化会館 ) 明治 17 年 / 高橋兼吉 / 高橋兼吉 / 県指定重文 / 木造 2 階 / 山形県鶴岡市家中新町 10 ー 18 屋根は 1 階が入母屋、 2 階が方形で各々正面 中央には鬼瓦、懸魚がっく破風をもった伝統 的造形であるが、軒の出は浅く、歯飾りのつ いた軒蛇腹を見せる。下見板張りの壁に付柱、 べデイメント付の上げ下げ窓、ポーチとその 上のバルコ二一にはファンライト付の出入口 と、洋風の装飾が無理なく納まり、完全な折 衷ではあるが、これ自体ひとつのスタイルと 呼びたいほどの密度と風格をもつ。 46. 鶴岡警察署大山分署 明治 18 年 / 高橋兼吉 / 高橋兼吉 / 木造 2 階 山形県鶴岡市大山 2 ー 23 ー 23 鶴岡警察署と同じ棟梁によって作られた。前 者よりスケールダウンして、簡素化している。 ている。擬洋風だが、和・洋どちらの要素も 穏やかだ。現在は民俗資料館となっているが、 展示内容の充実に圧倒される。必見である。 40. 西白河郡役所 明治 16 年 / 不詳 / 不詳 / 木造 2 階 / 福島県白 河市南湖公園内 明治 16 年、白河市道場小路に建てられたもの。 改築にあたり明治初期の貴重な洋風建築をぜ ひ残して欲しいという市民の声を受けて、南 湖のほとりに明治記念館として移築復原した 建物。正面部分と両側の部屋の 150m2 カヾ保存さ れて 0 、るカ : 、雨漏 0 丿や風揺れなどのために取 り去った中央の六角物見塔も復原されている。 北国ではこういった理由で物見を除去した例 は多かったようだ。内部には、福島を代表す る相馬焼のほか、全国各地の徳利類が展示さ れている。 山形県令三島通庸は近代化政策を推進し、県 下の建築の洋風化を積極的に奨励した。入母 屋屋根の 1 階から最上部の時計台まで順次セ ットバックをくり返すが、設計者の大工棟梁 には高層建物の構成の手がかりとして天守閣 をイメージしていたのではないかと思わせる。 37. 伊達郡役所 明治 16 年 / 不詳 / 山内幸之助・銀作 / 国指定 重文 / 木造 2 階 / 福島県伊達郡桑折町字陣屋 県令三島通庸が洋風庁舎の新築推進に、最も 力を入れていた頃のもので、町費だけで建て たという町民の熱意にあふれた擬洋風である。 トラス構造、下見板張りにペンキ、上げ下げ 窓、玄関ポーチとべランダ、正面中央の開口 部上の色ガラスをはめた扇形窓、復原された 塔屋等の洋風に、破風や瓦屋根、幕板等に堂々 たる和風が加味されている。 38. 東村山郡役所 明治 12 年 / 不詳 / 不詳 / 県指定重文 / 木造 2 階 / 山形県天童市大字天童甲 4103 ー 5 山形県の初期擬洋風建築。中央部のアーチ型 開口、バルコニー手摺の擬宝珠、雲形彫刻の 幕板、柱頭、礎盤付の八角柱など、どちらか と言えば東洋風の意匠。だがその堂々とした 立ち姿には、手さぐりながら新しいイメージ を求めた棟梁の努力が結実している。最上階 の塔屋は雪国に不向きで後年破損したが、復 原工事によって再建された。 39. 南会津郡役所 ( 奥会津歴史民俗資料館 ) 明治 18 年 / 牛田万造 / 不詳 / 県指定重文 / 福 島県南会津郡田島町大字田島字丸山甲 4681 中庭式閉鎖型の大きな建築である。正面棟の み 2 階建て。創建当初の記録に「鉄板葺」と あったり、他の郡役所の教訓を生かして塔屋 を設けなかったりと、積雪地らしい試みをし 41 . 神東神西郡役所 ( 神崎郡歴史民俗資料館 ) 明治 14 年 / 中島林平 / 不詳 / 木造 2 階 / 兵庫 県神崎郡福崎町 明治 14 年に郡役所として建てられた典型的な ルネサンス風の西洋館。同じ兵庫県の出石郡 役所ときわめて類似した雰囲気をもっている が、 2 階のべランダを有することで威厳が加 わっている。地元市民や研究者の熱意で歴史 民俗資料館として保存されている。 42 . 出石郡役所 明治 25 年 / 不詳 / 不詳 / 木造 2 階 / 兵庫県出 石郡出石町魚屋 下見張りに上げ下げ窓という洋風らしさの典 型的要素を備えた役所建築。全体はシンプル に抑制されているが、玄関ポーチの 4 本のコ リント風キャヒ。タルとべデイメントが、周囲 に対して堂々と威風を放っている。 108

10. 明治の西洋館Ⅱ

7. 小田学校 明治 14 年 / 不詳 / 不詳 / 県指定重文 / 木造 2 階 / 三重県上野市小田町 141 ー 1 全体の構成は明治初期擬洋風小学校に共通す る形式だが、ポーチのダブルコラムが上階の バルコーーに続き、そこでさらにその外側に もコラムを張り出して建て、起りのついた屋 根を支えているのが特徴的。玄関のアーチは 唐風の奇妙な形。内部は伝統的な畳敷きだが 教育はアメリカ式の自由なものであったとい 8 . 岩科学校 明治 13 年 / 菊地丑太郎・高木久五郎 / 高木久 五郎 / 国指定重文 / 木造 2 階 / 静岡県賀茂郡 松崎町岩科北側 442 地元の棟梁高木久五郎と菊地丑太郎によって 建てられた学校。玄関正面の唐破風とべラン ダ、なまこ壁とアーチ窓の組み合わせが特徴。 2 階西端の和室には、郷土松崎の生んだ名工、 入江長八の手になる鏝絵「千羽鶴」が描かれ ている。また長八の直弟子、佐藤甚蔵の作品 も多く、左官仕事に見応えがある。 9. 開明学校 明治 15 年 / 都築熊吉 / 都築熊吉 / 木造 2 階 愛媛県東宇和郡宇和町卯之町坪ヶ谷 幕末に藩塾として出発し、学制改革までは宇 和郷校としてこの地方の人材を育ててきた。 擬洋風による学校建築としては西日本最古で あるとされるが、全体はほとんど伝統的な形 で、それとわかるのはアーチ窓のある 2 階と 1 階吹き放ち廊の壁が多く、軒の出が浅いこ とぐらいだが、それでも当時は十分に新鮮だ ったに違いない。松本の開智学校とは姉妹校 である。 10. 高梁小学校 ( 高梁郷土館 ) 明治 37 年 / 不詳 / 不詳 / 木造 2 階 / 岡山県高 梁市柿木町 簡素ですっきりした好感のもてる外観である。 屋根窓の軒下に付けたようらくなどに、津山 高校と類似したデサインが見られる。校舎の 大部分は撤去されたが、職員室と講堂であっ た部分を保存し、高梁郷土館として活用され ている。江戸期の町人生活資料を中心に民具 が 3000 点あまり展示されている。 11 . 水海道小学校 明治 14 年 / 羽田甚蔵 / 羽田甚蔵 / 木造 2 階 / 水戸市緑町 2 ー 1 ー 15 、茨城県歴史館内 中央部に彫りの深いポーチとバルコ二 部がゆるやかなアーチになった上げ下げ窓の 並ぶ本体の上に松のシルエットの手すりを従 えたきのこのような八角鼓楼が乗る。外壁は 現在は下見板張りだが当初は漆喰塗りであっ たと言われ、細部のテ、サインとも合わせて、 洋風、和風というよりは唐風、禅寺風である。 寺がある意味での学校という役割を担ってい たことを考えると、初期の小学校がこのよう な形をとったことも理解しうる。 12. 登米高等尋常小学校 ( 教育資料館 ) 明治 21 年 / 山添喜三郎 / 三島秀之助・佐藤朝 吉 / 国指定重文 / 木造 2 階 / 宮城県登米郡登 米町寺池桜小路 6 明治 21 年に建てられた本格的な洋風学校で、 コの字型プランの中央部に白いバルコニ ポーチがあり、この校舎のシンボル的なエレ メントとなっている。全体から細部にいたる まで、簡明で質実堅牢、身の引き締まるよう な美しい学校建築である。設計は山添喜三郎、 明治初期に大工棟梁として日本人で初めて洋 行している。 13. 学習院初等科正堂 明治 32 年 / 不詳 / 不詳 / 国指定重文 / 木造平 屋 / 千葉県成田市大竹 1451 、房総風土記の丘 内 当初、学習院初等科の講堂として東京都四谷 尾張町に建てられた。昭和 12 年、印旛郡遠山 村に移築、以後遠山村尋常高等小学校講堂と して使用されたが、昭和 51 年成田市の県立房 総風土記の丘に再移築している。広間の前と 左右にべランダを設けて列柱を配し、のびや かで簡素ではあるが威厳も備えている。 14. 遷喬小学校 明治 40 年 / 江川某 / 中村錠太郎・高橋岩治・ 山根近治郎 / 木造 2 階 / 岡山県真庭郡久世町 久世 シンメトリーで左右に 2 つの切妻屋根をもつ フアサード、中央部はアーチの入口、屋根に は校章の入った円形の明かりとり、下見板と ハーフティンバー風の壁体上部など、実に明 快で立派な姿で建っている。内部の吟味され た材料による手の込んだ仕事も見事で当時の 大工の苦心がうかがえる。体育館の格天井は 迫力。 15. 福島県尋常中学校 ( 安積高校 ) 明治 22 年 / 不詳 / 不詳 / 国指定重文 / 木造 2 階 / 福島県郡山市開成 5 ー 25 ー 63 ルネサンス風の外観。木造 2 階建てで、外壁 は下見板張り。上げ下げ窓で、 2 階窓の上方 は軒蛇腹で飾ってある。隅切り形の玄関ポ - チカヾ特徴的。木部の外装はべンキ塗りである。 昭和 55 年原形復帰のための半解体修理が成さ れ現在に至る。 16. 第三中学校 ( 上野高校 ) 明治 33 年 / 清水義八 / 不詳 / 木造平屋 県上野市丸の内 三重 105