そら 空は、いつのまにかうすねすみいろのくもにおおわれて、しとしと と、つめたい雨が、どうろをぬらしはしめたのです。うさぎは、だんだん くつがとおっていきました。 ぬれてゆき、そのそばをたくさんの人の ときどき、うさぎにつますくくつもあります。うさぎの足をふみつけ てゆくくつもあります。ちょっとのあいだに、うさぎはすいぶんきた なくなりました。 あめ ひと あし
にち さて、この、つさぎを、まい日見に / 、るこどもかありました。 それは、やせつばちの小さな女の子で、いろあせたふくをきてい ました。かみのけはくしやくしやで、かおもよごれていました。けれど も、その目は、あこがれでいつばいでした。この子は、ショーウインドー のうさぎが、大すきだったのです。 おんな 女の子は、ガラスにべったりはなをつけて、うさぎのふつくりした み 耳や、ピアノをひく手を見つめていました。そして、ときどき、 こえで、 「、つさ、さん と、よんでみるのでした。するとそのたびに、うさぎの耳がびくりと 、フごくよ、つにおも、んました。 みみ み おんな みみ
、つさぎは、つなすいて、ショーウインドーのまえまであるいてくると、 ガラスをこすりはじめました。りよ、つ手できゅっきゅっと、まるでガラ スみがきをするように。ともちゃんも、はんたいがわからまねをします。 いきをかけながら、いっしよ、つけんめいこすります。 ガラスに、はつはと すると、ガラスはまるでこおりがとけるように、つすくなっていって やがて、うさぎの手とともちゃんの小さな手が、びったりくっ ついたではありませんか。 「うわあ、ガラスがなくなってしまった」 ともちゃんは、目をまんまるにしました。、つさぎは、、つなすいて、 つき 「そう。月のひかりで、とけてしまったのさ」 そうい、つと、びよんとそとにとび出しました。それから、ともちゃん の手をしつかりとにぎって、 「さあいこ、つ。月かしすむまで、ばくはじゅうだよ」 いったのです。 つき
「さあ、いそいでいそいでみつあみだ」 、フさぎは、はりきってほしのひかりをあみはじめました。まるで女 の子のおさげをあむように。ほしのひかりのみつあみは、どんどん ながくなります。ともちゃんもいっしんに ミシンをかけます。ミシンは、 カタカタとかろやかになり、いっかすてきなマントが二まいでき あがりました。そのえりもとに、うさぎのあんだぎんのリポンをぬいっ けると、これはもうすばらしいできばえです。 おんな
ところかそのとちゅうでうさぎ ま医、ゆ、つに からだがおもくなり、 すとんとじめんにおちてしまった のです。 どうろにおしりをぶつけて、うさ ぎは、かおをしかめました。気がつく と、も、つマントはありません。 「たいへんだ」 、つさぎは、とひあかりました。 「たいへんだ。月がしずんだんだ。 ショーウインドーのガラス、ふさが ってしまうぞ」 つき
いくらなんだって、あんなきたなくなったうさぎをかざるわけには いかないもの」 みせひと そういいながら、店の人は、ショーウインドーの中をすっかりかた いかざりつけをしたのです。 づけました。そして、あたらし ショーウインド ーの中は、ゆきげしきになりました。あたたかそうなコ にんざよう いく人もならべられました。 ートをきたこどもの人形が、ゆきの上に こどもたちのそばには、 小さなそりがおかれました。 なか うえ なか ま一
うさぎは、空にむかって、かた手をのはしました。そして、こんなうたを うたったのです。 ほしのひかリよおちといて くもの糸よリなおほそく きぬ糸よリもつややかに ひかってひかっておちといて そら すると、どうでしよう。ほしのひかりがひとすし空からつうっと みきて おちてきて、うさぎの右手にとどいたではありませんか。うさぎは、また うたいます。 ほしのひかリよおちといて ゃなきの糸よリやわらかく ープの糸よリかがやいて いそいていそいておちといて
そうしてふたりは、どれほど空にうかんでいたでしようか。いっか しろ かたむき、ひがしの空が、ほおっと白くなりました。 つき 「たいへんだ , 月がしすむ」 と、、つさかさけびました。 みせ 「月がしすんだら、このマントはきえてしまうよ。それからお店の ショーウインドーのガラスもふさがってしまうんだ」 「エレベーーターにどりましよ、つ」 ともちゃんはふりむいて、エレベーターをさがしました。が、エレベ ーターは、もうどこにも見えません。かぜにとはされてしまったの つき でしようか。月のひかりにとけてしまったのでしようか。かげもかたち もないのです。 「しかたがない。 いでよ」 つき つき このままゆっくりおりていこう。ちゃんとついてお
みせ 女の人は、店の中にかけこんで、あのうさぎをもってきました。 「もうこないって、やくそくしてくれたら、これ、あげるわ」 ともちゃんは、につこりわらって、 「うん ! やくそくする」 と、、つなすきました。それから、よごれた、つさぎを、つけとって、しつかり とだきました。 くち 赤いかさの中で、ともちゃんは、うさぎの耳に口をつけました。そして、 ささやいたのです。 「、フさぎさん、これからはず . っと っしょよ」 するとうさぎは、女の子のうでの中でほっとあたたかくなり、こ くんと 小さくうなすいたのでした。 あ おんなひと おんな みみ
「それしや、わたしはミシンのしたくをするわ」 ともちゃんは、ミシンのふたをあけて、あぶらをさします。糸をミ シンに かけて、はりのぐあいをたしかめて、そして、月のひかりのう すいぬので、マントをこしらえはじめたのです。 うさぎは、ともちゃんにたすねます。 つき 「月のひかりのマントには、どんなボタンがにあうかなあ : : : 」 「そ、つねえ : ともちゃんは、しばらくかんがえてから、につこりわらっていいました。 「ボタンよりもリポンかいいわ。ほしのひかりをあんで、ぎんのリポンを つくりましよう。そうして、それをマントにぬいつけて、えりのと ころでむすびましよう」 ) ) 0 「そりやしし あたらしいデサインだ」 「ええ。空のようふくやさんにびったりのふくよ」 つき