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検索対象: 北限のアオサギを守る ウトナイ湖サンクチュアリに舞う
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1. 北限のアオサギを守る ウトナイ湖サンクチュアリに舞う

ひなたちは , 親鳥のかえりを , 首をのばして待っている につちゅう 湖面で魚をとらえて飛びたっ親鳥 す。ひな鳥がまだ小さいうちはロうっしでエサをあたえますが , 大 って , 川や沼で , 工ビ , ドジョウ , フナ , カエルなどをとってきま ぬま アオサギは昼間性の鳥ですから , 日中はオス親もメス親も出はら らうかんせい もありません。 ーこまで成長すると , もうカラスにおそわれる心配 をはじめます。 食べ , ふ化後 1 カ月もたっと , 巣のヘリに立って , 羽ばたきの練習 成長していきます。親鳥がせっせと運ぶエサを , うばうようにして

2. 北限のアオサギを守る ウトナイ湖サンクチュアリに舞う

す きくなってくると , 飲みこんできた魚などを巣の上にはき出して , けいかいしん らよくせっ す あたえます。警戒心の強いアオサキ、は , 直接ひな鳥の待つ巣にはお りません。かならす巣の近くの木におり , あたりのようすをうかが います。じっと空を見つめ親鳥の帰りを待っていたひなたちは , い っせいに「グワァ グワァー」と鳴いて , エサをせがみます。そ れでも親鳥は 30 分も , ときには 1 時間も近くの木にとまって , あた りのようすをうかがいます。 かんさつ よく観察していると , 親鳥の長い首がピク , ピク動くことがあり ます。きっと飲みこんできた魚がまだ生きていて , のどの中であば す れているにちがいありません。やっと巣に帰ってきた親鳥のロばし を , エサをはき出すのを待ちきれないひながくわえてしまうことも あります。こうしてやんちやで元気のいいひな鳥は , みるみる大き くなっていきます。 す コロ しげ ーの木々もようやくこんもりと生い繁り , 夏がきました。 す えだ ひな鳥たちは巣にしっとしていられなくて , 羽ばたきながら枝から えだわた えだ す 枝へ渡り歩くようになりました。親鳥も巣の近くの枝にとまり , ェ ひこうくんれん サでひな鳥をつり , 飛行訓練をさせます。こうして毎日 , 少しすっ くんれん 訓練をつんだひな鳥たちは , からだの大きさもおとなの鳥と見まち すだ がうほどに成長し , つぎつぎと巣立っていきます。ふ化からもう 2 げじルん らルうじゅん カ月もたった , 7 月中旬から下旬にかけてのことです。 りつばな若鳥に成長したアオサギの子どもたちは , おとなにまし 23

3. 北限のアオサギを守る ウトナイ湖サンクチュアリに舞う

ります。見つけにくいということは , もともと数が少ないというこ とですから , ピラミッドの下の動植物がいなくなったら , それだけ せつめっ 早く絶滅するということになります。 しぜんかい 自然界の試練にたえて てき アオサギコロニーの敵はカラスだけではありません。木をつたわ ってのは、ってくるヘビもそうです。それに , 夏の初めにふく大風も , アオサギたちにとっておそろしいもののひとつです。 あけの とくに明野の場合は , 林の木もまばらで , それだけもろに強風を あらし 受けることになります。嵐のあくる日にコロニーにいくと , 巣ごと ひなが地上に落ちていたりして , 目もあてられないことがよくあり ます。もう 40 センチほどの大きさに成長したひな鳥が , 林の草むら のあちこちに落ちて死んでいるすがたを見ると , なんともやりきれ ない思いがします。親鳥は巣から落ちたひな鳥には目もくれません。 親鳥のロばしをはさんでえさをもらう ( 撮影・斎藤ただし ) 巣といっしょに落ちて死んだひな鳥

4. 北限のアオサギを守る ウトナイ湖サンクチュアリに舞う

ぬま キロから 40 キロも離れた川や沼 , 水田にまで飛んでいかなければな らないこともあります。 野鳥の中にはシギやチドリのように , 卵からかえるとすぐに自分 でエサをさがすことができるものも少なくありません。ですが , ア オサギのひなの場合は , 飛べるようになるまでに 2 カ月近くもかか すだ ります。アオサギのひなは , 親鳥のように大きくなるまで巣立ちが できないのです。砂地の巣で生まれるシギやチドリは , いつまでも きけん 巣にいては危険です。それにくらべ , 高い木の上に巣があるアオサ ギは , それだけ安全だからゆっくりしていられるのでしよう。 5 月のなかばになると , あちこちの巣の中から、「ピイ , ピイ , ピ そうがんきよう イ」とひな鳥の鳴き声が聞こえてきました。遠くから双眼鏡でのぞ いてみると , ときどきひな鳥が巣から頭をのぞかせています。首を のばし , 親鳥によく似たするどい目で空をしっと見ているひな鳥の ん。それでも 3 月から , わたしの町から すがたも見えます。 おどろ 週に 1 ~ 2 度の割合で観察に通っているの かんさつかよ こまでは遠いので , 毎日通うわけにはいきませ かよ ですが , 来るたびにひな鳥の成長の早さに驚かされます。きっと , とま 苫小牧は北海道にあっても , 1 年しゅうほとんど雪のないところ んて , ちょっと信しられません。 るのでしよう。それにしても , あんなに大きくなっても飛べないな お父さん鳥が運んで来てくれる大きなフナを , 腹いつばい食べてい

5. 北限のアオサギを守る ウトナイ湖サンクチュアリに舞う

草むらに落とされたひな鳥 くれたにちがいありません。 ひな鳥は目をとしていま した。近づくと , 親鳥によ く似た大きな目をあけ , れまた大きな口ばしをひら き , ばくりととしました。 同じことを 2 ~ 3 度くりか てき えしました。敵を追いはら おうとしているのでしよう はんしやてき か。それとも , 親鳥がエサを運んできてくれたと思い , 反射的にロ をひらいたのでしようか。目とロばしこそ大きいですが , 首はまだ いかにも生まれてまもない赤んばうといった感しがし 弱よわしく , ます。体長 15 センチほど。ふ化して , 3 ~ 4 日といったところでし ようか。わたしはそおっとだきあげて , セーターにくるみ , あたた めました。あの高い巣にもどすことはとてもむりです。巣立ちする まであと 2 カ月近くもかかるこのひな鳥を , うまく育てられるでし ようか。こんな心配をしながら帰りじたくをしているうちに , アオ サギの赤んは、うは動かなくなってしまったのでした。 わたしは , 野生の中に生きる生きものたちのきびしい現実をまの あたりに見 , は、うぜんと立ちつくしていました。弱いものが食われ しぜんかい る。これがきびしい自然界の仕組みであることも事実なのです。小 すだ

6. 北限のアオサギを守る ウトナイ湖サンクチュアリに舞う

アオサギ なかま つばさ サギを注意して見ると , 頭に長いひものよう もっとも美しい鳥だといわれています。アオ 飛ぶと , この上面と下面の色の対照があざやかで , サキ、の仲間でも たいしよう なかま です。いつばう , からだの下面は白く , 黒いたてのすしがあります。 合で青みがかって見えることから , アオサギという名がついたよう たっします。オスもメスも , からだの上面は灰色ですが , 光線の具 も大きなサギで , 全長約 93 センチ , 翼をひろげると 160 センチにも サギ , ダイサギ , アオサギなどです。その中で , アオサギはもっと 日本にいるサギの仲間は , ゴイサギ , コサギ , アマサギ , チュウ なかま すがたは新鮮な驚きをもたらしてくれたのでした。 しんせんおどろ っているものと思っていたわたしに , 雪の上を舞うあのアオサギの という鳥でした。サギといえば , この季節にはあたたかい地方に渡 わた て飛んでいったあの鳥は , ツルではなく , サギの仲間で , アオサギ なものがついていることに気づきます。それ が ( 撮影・斎藤ただし ) 雅で気品のあるものにしているようです。 きひん は青黒色の飾り羽で , かざばね この鳥をいちだんと優 ゆう