と 戸川幸夫 さんりばんや まっかいど、つ 力いかん 三里番屋は、北海道のオホーック海岸にある小さな村で、 みずうみ サロマというみすうみ ( 湖 ) と、オホーックの海にはさまれ ています。家のかず ( 数 ) は、二、三十戸ばかりしかありませ ん。オホーックの海と、サロマ湖のあいだは、さし ( 砂嘴 ) すな といって、なかい砂はまで、くぎられています。 しかし、その一ぶぶんがきれて、海とつながっているの で、オホーック海のさかなやアザラシは、そこから、じゅ うに、みすうみに出いりしています ここは、また、アザラシやワシのおおいところです。 ふゅ ですから冬になると、 ンタさんとよばれるりよ、つした ■このものがたりについて 三里番屋の子どもたち さんりばんや 力し うみ で かず 0 、つみ が うみ ゆき むら お
トッカリは、犬のようになれて、プータマの でした。 夏がやってきました。 つれてきたとき、プータマとおなじせたけぐらいだった トッカリの子は、すっかり毛がかわって、プータマよりす っと大きくなりました。 、つみ トッカリは、親たちか、まだ小さいころにト毋にひきず , り・ こんで、およぎをおしえるものです。が、プータマのバオ 、つみ イには、だれもおよぎを、おし、えなかったので、海に、は いろ、フとしません。そのために、目をわるくしました。 、つみ 、みす 海のしお水につけてやらないからだと、おしえられて、 プータマは、それから、湖でおよがせました。 さいしょは、むりにおしえこみました。やはり、トッカ なっ おお おや みずうみ いい友だち レ」よも
、つみ ひょうげん 右手の氷原は、海ではありません。ひょうめんがかがみ 、つみ のよ、フになめらかで、すみわたっています。海ならば、あ りゅうひょう とからあとから、おしつけてくる流氷で、ごっごっしてい るはず , でした。 それにしても、これは大きな湖でした。 っ・刀い / ) 、つ 、北海道一 まわりが七十二キロ、ひろさが百五十平方キロ につ′ル ばんの、そして、日本で四ばんめの湖でした。名まえは、 サロマ湖です。 みち しいます。 すなの道は、二十六キロの長さがあると、 はばは、ねもとで五百メートル、先では十六メートルあ ります。 まいとし、あらしがくると、そこのすなが、たたきつけら ゆき こおり れます。そのため、春になると、雪と氷が、どっととけて、 みぎて 2 はっ勾 ひやく おお みずうみ ひやく みすつみ
いるのです。 葉っぱのないオのなかには、オ 、カ - し ジロワシがすみ、海がんでは、お なかをすかしたカラスがさわぎ ました。 そ、フい、つ、まず・しいぶらくを しゅうてん いくつかすぎると、終点に、さむ ざむとしたぶらくがありました。 どてつ さかな ) とる道旦 ( から、さけ・、 にちょ、つひん おかし、日用品、なんでもあっか う、小さな雑貨屋一けんをふくめ ここが、三里番屋でした。 ざっかやいっ さんりはんや はや
オホーックの春と夏は、みじかい。でも、秋は、もっと みじかいのです。 プータマのバオイは、さらに、ひとまわり大きくなり、 たくましさかくわわってきました。 これは、じぶんのカで、湖の中から生きたさかなをと ら、えてノ、、フ、とい、フこと ) おば、んたからでしよ、フ。 だれも見たわけではないのですが、プータマのバオイは みずうみ 、つみ ちかごろ、湖だけではあきたらなくなって、海へと出あ 小さなわかれ み ちから なっ みずうみなか あき おお
くろ みち 黒く、しめったすなの道が、オホーック海につつこむよ うに、ずうっとつづいています。 みち ひょうげん 道の右がわには、はてしないひろがりの、白い氷原があ り・ました。 みち 左がわは、道にせめこむように、クマザサのかべがあり ます。そのおくに、えだの先にしがみついたかれ葉が、 おと カサカサと音をたてるなみ木がありました。ぶきみに まかりくねっていて、かいこつがおどっているよ、フです。 ひだリ さん みぎ はん や しろ
、つみ 丿の子は、海にすんでいる動物なので、すぐにうまくおよ 」ました。 みず プータマも、バオイをおよがせるために、水にはいりま した。そして、プータマも、およぎをおばえたのです。 およぎをおば、んても、バオイは、じぶんからえさをとる ことは、しりません。いつも、プータマから、さかなをも らっていたからです。 プータマのバオイにとっては、制は、あそぶところであっ て、生きるばしょではないのです。 はらがヘると、バオイは、のこのことあがってきて、プ ータマにはなをならして、えさをもとめるのでした。 「どもなんね、あんちゃん」 プータマのはなしをきいて、 どうぶつ みずうみ
るいているよ、フでした。 にち プータマをしたって、まい日もどってきていたのが、秋 のはじめごろから、なやを、たびたびあけるよ、つになりま した。 しんばいそうなプータマを見て、チャッチャは、 「しんばい : ねえ」 と、せつめいしてやりました。 ふゅ さむい久、にまけないために、トッカリは、秋の、フちに、 たくさんたべだめをしておくのです。そのためには、こ 、つみ の湖のさかなだけではたりません。それで、海に行くので す。 「トッカリはな、プータマ」 くち ハアも、そばからロをそ、えます・。 みずうみ あき あき
「あん ? 「も、つじき、氷かくるじ、ん。制は、びっちりこおってしま 、フから、バオイももぐらんねべサ。も、つおっきいから、 とても、さかなをもらってきてはやれないだよ」 プ . ータマは、ぎノ、つとしました。 ど、フしよ、つ・ 、つみ ししました。 あんちゃんは、海にはなしたらいいべ、と、、 ふゅ プータマのバオイだって、ほかのトッカリのように、冬の りゅうひょう あいだは流氷にくつついて、なんとか生きていけるでし レま、つ . 。 、つみ けれど、トにはなしてしま、つと、も、フプータマのところ やせい にもどってこなくなるかもしれません。すっかり、野生の 生きものになりきってしまうかもしれません。 こおり 0 みずうみ
戸川幸夫動物ものがたり 全 1 5 巻 一、つものヾニ ) 山形県地方に栄えた最後日本大・高安大と オ・そ素朴さを愛した人々の心の、 選 厳しい自然の中でくり広げられる・羽のタカ 自 と、飼育に心血を注ぐタカ匠の愛情物語。 ②たかの王さま 村人から白いサル神とおそれられた野生サル のリーダーの激しい生き方を描く。 ⑨白いさるの神さま 北海道の原野で、寒さと飢えにせめられなが ら生きるカラスの群れの物語。 からすの王さま 尾びれの欠けたマッコウクジラ・カタビレが レムの王となるまでの激闘物衄当 ⑨海の王のものがたり 4 流氷がおしよせるオホーックの寒村を背景に 少年とアザラ、ンの感動的なふれあいを描く。 隆三里番屋のあざらし 2 光 やさしかった飼 主の家をめざして、ただひた すらに数【日キロの道を走る名大・太郎 ⑩太郎、北 ( かえる 知床半島のぬしといわれる大わしと、老リよ うしの心のふれあいを描く感動篇′ . 編本⑩たたかう大わし ニ ) 那須の山奥からやってきた子ギッネを、大都 会のまん中で飼う動物すきの一家を描く。 齲⑨子ぎつねものがオ , 第隹 ある日、とっぜんまよいこんできた大型大を レカいな人間たちのドラマ めぐっておこる、 2 、 ⑩ほえない犬 学田 おれまがったキバをもっゾウの群れのリーダ ・おれきはの波らんの一生を描く 警⑩ぞうの王さま 動集 ニ北海道の大自然の中で生きるキタキツネ一家 と、その美しさを愛す人間とのふれあい′ . ⑩キタキツネのうオ 金色の毛をもつばっか リに人間にねらわれる 大ぐまのかこくな生き方を描く。 金毛の大ぐま を珠 本た しも、つとがあぶない / 少年は、はじめて銃 くいトラ をとリ、人く しト一フにね、らいん」っけた . -rx- 海道には、たくさんのおおかみかいました。 それが、ぜんめっする哀れな物語。 ⑩さいごのおおかみ