1 スかいった。 わたしはりようてで、 そっとテンポンをだきあ げる。ゴールデンレトリ ーのバ 1 スと、アフリ カぞうのテンポンの目は、 とてもよくにている。わ たしを、うっとりさせる かんがえぶかい目なの。 それにちょっとたれ目。 め
1 スの目が、わたし の目をのぞきこんでいる。 わたしをすこしばかりみ なおしたみたい。 ほんというとね、わた しのクラスのとなりのせ きの、まなぶくんのおか げなんだ。 まなぶくんは、どうぶ つがくしやになるんだっ
にしてなんかいなかった。むしろ、なにかをおも いだすように目をつぶって、しばらくかんがえて くろ いた。それから、ふたたび黒い目でわたしをみつ めると、はなしはじめた。 にち じかん 「ぞうというのは、一日に十六時間もたべなけれ おお ばならないの。からだが大きいってこともあるけ ど、しようかがはやいってこともあるんだ。おと なはね、一日に百五十キログラムぐらい、たべる んじゃないかなあ」 「あのう、わるいけど」 にち
んもののアカシアをおくるよ」 てがみには、そうかいてあった。 「ばくは、アカシアのみがだいすきなの。たらふ くたべて、ねむくなって、そして目がさめたら、 めぐみちゃんのへやにいたってわけ」 テンポンは、ぶらりとハナをゆらしてから、目 をつぶった。 「アフリカにかえりたい ? 」 そうげん 「そりや、かえりたいよ。草原をふいてくる風や、 そうげん 草原のはるかむこうにしすむたいようや : かぜ
ね」 「たべることより、たいせつなことがあるとおも ったのさ」 テンポンのかおや目が、わたしには、とてもか スカしきおいこん しこそうにみえてきた。バ でいった。 の ? 」 じかん 「そういうことに、時間をつかいたいとおもった 「そうだよ」 オしせつじゃないっていうんだ 「たべることは、こゝ
たよ一つに ) っこ。 「ばくは、たぶん、もう、 おお これより、大きくはなら ないんだ、よね ? 」 かんがえかんがえいい なから、さい」には、一つ わ目づかいでバ 1 スは、 わたしにきいた。 「そうね、たぶん、そん なところね」
「このごろ、はかっていないけれど、三十三キロ ぐらいかなあ」 ースはまた、うわ目つかいで、わたしをみた。 「ところで、テンポン」 「なんだい ? 」 「どうして、テンポンは、そんなに小さいの ? 」 小さいってことを、テンポンがきにしなければ ししが、とおもいながら、わたしはきいた。 「それがさ、ふしぎなんだ」 テンポンは、小さいなんてことを、すこしもき
るわ」 わたしはたちあがって、ぞうのテンポンを、た かくたかくあげた。 「そう、ばくたちは、ずっとのともだちになろう。 でも、めぐみちゃん」 「なあに」 「もう、アカシアの木のところに、おろしてくれ ない ? こんなにたかいと、目がまわるんだよ。 オカしところに : なにしろ、ばくたちそうは、こゝゝ は、なれていないからね」
「でも、それからまもなくだった。ある日、ひる ねからさめると、へんなものが目にはいった。み おばえがあるんだけど、わからなかった。でも、 しばらくして、あまくて、なっかしいにおいのそ れが、なんだかわかった。おかあさんのおつばい だったんだよ。ばくは、そのとき、おかあさんの むねでねていたからね。でも、そんなに大きなお つばいは、みたことなかった」 そこでテンポンは、アカシアのみを口にほうりこ んで、ムシャムシャやってから、またはなしだした。 くち おお
ースが、テンポンのはなしに、わりこんだ。 「そういうはなしじゃなくてさ、どうしてテンポ ンが小さくなってしまったか、ということをきき たいんだけど : ぞうのテンポンが、ふきげんそうに、目のあい だにしわをよせた。 「だからね、ばくは、一日のほとんどを、たべて くらすってことが、どうにもがまんできなくてね。 じかん 朝がたになって、一、二時間、よこたわってねる ほかは、ばくたちぞうは、たべるか、えさをさが あさ にち