ばんあし 「ふん。だれがなんていったって、この森で一番足のはやいのは、このワタ ボコリなんだ。あんな黄色くてほそ長いけものにいばられてたまるもん まえ よる かがみにむかっていう そして、てんのスナポコリが夜、はをみがく前に こと、ははこ一つでした。 「へん。だれがなんといおうと、この森一番のかけ足のめいじんは、このス あおじろ ナポコリなんだ。あんな青白くて、頭でつかちのやつにいばられちやめい わくだ。」 そして、ふたりが森でゆきあったときには、おたがいの顔もろくに見ない で、こんなことをいいます。 「やあ、これはワタボコリさん。わたしはたったいま、ちきゅうをひとめぐ かん りかけてきたところですけど、またまだ走りたりないっていう感じです ゝ 0 より・ きいろ あたま よもり・ ばん より・ かお み
やがて森の中ほどにさしかかると、スナポコリが石につますいて、ワタポ コリにさきをこされました。 けれど、つぎにはワタボコリがぶどうのつるに足をとられます。スナポコ リはこのときとばかりぬきかえしました。 しかし、森のはずれまで来たころには、ふたりはまた、もとどおりびった りとならんでいました。 けれど、かけづめにかけてきたふたりの足どりはよろよろで、ちょっと強 かぜふ い風が吹けば、たおれてしまいそうなたよりなさです。 まえ ふたりの前にある木立ちがだんだんと開けてきます。そして、そのむこう には、のかけっこのゴール、花キャベツのはたけが光っています。 ちから ふたりは、さいごの力をふりしぼってかけだすと、はたけの中にとびこん でいきました。 もりなか ・もり」 ひら あし あし なか つよ
コンガリが立ちあがっていいました。 「いっそのこと、ふたりにかけくらべをさせたらいいじゃないか ・もり かけっこのコ , ースは、森の北はしのチクタクの家から、南はしの花キャベ ツのはたけまでだ。そして、さきにキャベツをひっこぬいたほうがかちと い一つことにしよ、つよ。」 ということで、かけっこはあした、ときまり、ワタ。ホコリとスナポコリの家 には、じゃんけんでまけた、ももんがのビリビリが、つかいにやらされました。 いえまえ よる 夜があけて、いよいよかけくらべの日です。けれど、チクタクの家の前は、 大レ , ースがあるというのにひっそりとしていました。 。ヒストルをもったコンガリと、スナポコリ、ワタボコリの三にんがいるだ けです。 「おいきみ、足がガタガタしている。せ。そんなちょうしで走れるのかい。」 あし きた みなみ
ワタボコリは、はをくいしばっていいました。 「ぼくも目なんかまわってない。」 スナポコリもこたえます。 「これは、・ほくたちが、ちょっと走りすぎた、ってだけのことなんだ。」
しかがおすごしですか。 わる きようはなかの悪いものどうしのお話をおおくりします。 あなたのまわりにも、そんなひとたちがいるでしよう。わたしたち まッり の森にも、そんな動物たちがひとくみいました。 うさぎのワタボコリと、てんのスナポコリです。 うさぎのワタボコリが、朝おきて顔をあらうとき、かがみにむかってかな らずいうことばはこうでした。 森のうんどうかい - もり・ あさ どうぶつ かお はなし
森からの手紙は、これでおしまいです。 はな 花キャベツをかかえてにげた森のなかまたちのおかげで、ふたりが なかなおりしたことはいうまでもありません。 じぶんおな ふたりは、あいてが自分と同じだけ足のはやいすぐれた動物だ、と いうことに、はしめて気がついたのです。 でも、こまったこともお一、りました。花キャベツのサラダが大すき だったワタボコリとスナポコリは、あれから、花キャベツを食べよう とするたびに、きまって目をまわしてしまうのです。 では、またお手紙を出します。 げんき お元気で さようなら もり てがみ てがみ どうぶつ
ところが、そのとたん、花キャベツがいっせいに立ちあがると、ふたりの まえ 前からとことこにげだしたのです。 こりや、どういうわけなんだい。」 スナポコリはあっけにとられてつぶやきました。 「そりや、きみの目がまわってるっていうことだろう。」 ワタボコリが、かたでいきをしながらこたえます。 「ぼくには、キャベツがにげまわっているなんてふうにはみえない。」 「ふん。ぼくだって。だいたいキャベツがにげ出すはすがないじゃないか。」 ふたりはふらふらとキャベツをおいかけはじめました。 するとキャベッたちは、こんどは、ふたりのまわりをぐるぐるとまわりは じめたのです。 「。ほくは目なんかまわっちゃいない。」
「そうですかスナポコリさん。わたしはこれから、ちきゅうをふためぐりほ おも どかけてこようと思っていたところですが、こんなちつ。ほけなちきゅうを いくらかけてみてもきりがなさそうなので、やめることにしました。」 こんなぐあいですから、森の動物たちは、ふたりがいつまた、ばったり顔 をあわせるかと気が気ではありません。 そこである日、森の動物たちは、キツネのコンガリの家に集まってそうだ んしました。 わる 「ねえ、このままほっとけば、ふたりのなかは悪くなるばっかりだよ。なん とかしなくっちゃ。」 しししたろう。」 「でもなんとかするにはどうすれ。よ、 なかまたちのあいだからは、なかなかめいあんがうかびません。すると、 ひもりどうぶつ もりどうぶつ いえあっ かお