楽器 - みる会図書館


検索対象: 森からのてがみ
10件見つかりました。

1. 森からのてがみ

「わあ、チクタク。きみはいつのまにこ がっき んなすてきな楽器を手にいれたんだ がっき おんがく 「この楽器がなかったら、きようの音楽 会はきっとこんなにうまくい力なカ たよ。」 もり・ 森のなかまたちは、おおさわぎしなが らチクタクのまわりに集まってきました。 がっき 「ねえチクタク、よかったらきみの楽器 とぼくの。ハイオリンをとりかえっこし 、ゝ 0 「そんなのないよ。。ほくのたいこととり あっ

2. 森からのてがみ

「ふうん。ぼくがるすをしているあいだに、森のなかまたちは、こんなこと け・い . か冫、 を計画してたのか。」 おんがくかい チクタクは、音楽会と聞いて、むねがわくわくしてきました。 おんがくかい けれど、この音楽会にさんかするためには楽器をもっていかねばならない ようです。 がっき : これからおおいそぎで楽器を見つけなけりや 「ということは : : : つまり : ならないってことだな。」 お ケツを日よけがわり チクタクは、まだはんぶんしかどろの落ちていないバ で がっき にかぶると、さっそく楽器をさがしに森のおくへ出かけました。 すると、すこしいったところで、 シャララン シャララン もり もり がっき み ひ

3. 森からのてがみ

かえっこだ。」 「だめだめ。ぼくのカスタネットのほうがずっとすてきだからね。ねえ、カ スタネットとこうかんしよう。」 なか 森の中はとたんにそうそうしいことになってきました。 じぶん チクタクは、自分のみす。ほらしいもちものが、こんなにひょうばんになる おも とは思ってもみませんでした。 がっき 「じゃあ、だれの楽器ととりかえっこしようかなあ。」 どうぶつ チクタクはうきうきして、動物たちの楽器を見くらべました。けれどもす ぐに気がかわりました。 がっき 「やつばりやめた。そりゃあきみたちの楽器もたしかにすてきだけどね。で も、。 ( イオリンやカスタネットでどろをかいだすわけこよ、 冫。し力ないもの。」 あまみず そうしてチクタクは、中にたまった雨水をざあっと流すと、 ハケツをさも もり , なか がっき

4. 森からのてがみ

おと と、つぎにはそれにあわせてどこからともなく、たくさんの楽器の音がわき あがってきたのです。 チクタクは、はっとしてからだをお一、しました。 すると、どうでしよう。 まえ ひかり 雨あがりの光がさしこむクヌギの木の前で、森じゅうの動物たちが、い しんに楽器をひいているではありませんか。 すいかずらのつるをはった。ハイオリンをひくもの。 かんばの木のかわをはったたいこをたたくもの。 竹の。ヒッコロをならすもの。 どんぐりのカスタネットをたたくもの。 あけびの実のマラカスをふっているもの。 こえ あたまうえ 動物たちの頭の上では、小鳥たちまでもが声をあわせて歌っています。 どうぶつ あめ たけ がっき 、」とり もり どうぶつ うた がっき

5. 森からのてがみ

チクタクは、近くの切りかぶにこしをかけて、ためいきをつきました。 がっき おと 「音を出すものはこんなにたくさんあるのに、楽器になるものはなんてすく ないんたろう。」 すると、チクタクのはなさきに、。ほっんとつめたいものがあたりました。 雨です。 ノ、ろくも そら こすえの切れ目から見える空は、いつのまにか黒い雲におおわれ、きぬ糸 のような雨を、。ほっり。ほっりと落としはじめています。 「まったく、 いやんなっちゃう。」 ちか チクタクは、すぐ近くのクヌギの木のうろににげ一、むと、だんだんとはげ しくなってくる雨をうらめしそうに見あげました。 おんがくかい がっき 「これじゃあ楽器なんか、とても見つかりつこないや。それどころか音楽会 だってできやしない。」 あめ あめ ちか あめ

6. 森からのてがみ

チクタクは手をひっこめました。 ある チクタクはまた歩きだしました。するとこんどは、 ハ一フパ一フ ハ一フ。ハ一フ あたまうえ おと 頭の上で、ようきな音が聞こえます。 「やあ、これはいいそ。」 見あけると、それはきよねんなった、とびら おと の木の実がかわいては。せる音です。 がっき 「ようし。これをぼくの楽器にしよう。」 でも、木のぼりのできないチクタクが、どう やってとびらの実をとったらいいでしよう。 チクタクはこれもあきらめました。

7. 森からのてがみ

おと きれいな音が聞こえました。 ばん 見ると、すぐ耳もとで、一本のささやきぐさが、たくさんのさやをかぜに ならしています。 がっき 「こりゃあすてきだ。ぼく、これを楽器にしようっと。」 チクタクはす 0 かりうれしくな 0 て、ささやきぐさに手をだしました。す ると、 「だめ″】」 おおごえ さやの中から大声が聞こえました。よく見れ。は、一びきのくもがチクタク をにらみつけています。 「ここはあたしのうちなんだ。あんただ 0 てじぶんの家をか 0 てにも 0 てい かれたらめいわくだろう。」 「ごめんね。そんなつもりじゃなかったんだ。」

8. 森からのてがみ

0 たいせつ あたま 大切そうに頭にかぶってしまいました。 てがみ 森からの手紙は、これでおしまいです。もぐらのチクタクは、あれ からしばらくして、またあたらしいトンネルをほるために、土の中に もぐってしまいました。 いまごろ、チクタクとそれからあのブリキでできた、でこぼこの、 雨の日にはすてきな音を出す楽器は、地面のすっと下のほうで、どろ まみれになっているにちがいありません。 てがみ それではまたお手紙を出します。 げんき どうそお元気で。 あめ ↓り・ だ さようなら けいぐ っちなか

9. 森からのてがみ

あおぞらみ ほんとうに、なん日ぶりで青空を見たことでしよう。 もぐらのチクタクは、どろは一、びでよごれほうだいになった。ハケツを、家 まえ の前でごしごしとあらっていました。 い。はらのえだ するとチクタクは、げんかんさきにおおいかぶさっている、 に、白い紙きれがひっかかっているのに気づきました。 手にとって見ると、そこにはこんなことが書いてあります。 おんがくかい たる四月四日の午後、クヌギの木の下で、おまちかねの音楽会を開き ます。 みんな、めいめいの楽器をもって、さんかしてください。 : ? それは、ひょっとしたらきようじゃないかしら。」 「四月四日 : しろかみ にち がっき した ひら

10. 森からのてがみ

森のなかまたちは、あのティン、トン、タタンというリズムにのせて、い 0 おんがく しようけんめい音楽をかなでているのです。 おと 。しナしだれがひいているんだろう : : : 。」 「でも、あの音よ、つこ、 チクタクはうろの中からからだをのりだしました。すると、すぐそこに見 だ おと がっき つけたのです。あの、ふしぎな音を出す楽器を ティントンタタン ティントンタタン それはさ 0 き木のねもとにぬぎすてておいた、チクタクの。 ( ケツでした。 、バケツがなっていたのです クヌギのこずえから落ちる雨のしずくに ティントンタタン ・トン・ ティン・ やがて、さいごのひとしずくが落ちて、えんそうは終わりました。 なか お あめ お み