「ありがとうございます。ありがとうございます。」 うさぎはペこペことおじぎをすると、大いそぎでそとへとびだしました。 ところがいくらもいかないうちに、うさぎはまた、しんばいでたまらなく なりました。 そのとき、むこうのほうからたぬきのタヌエモンさんがあるいてきました。 こえ タヌエモンさんはうさぎに気がつくと、大よろこびで声をかけました。 「やあやあ、うさぎさん、このたびは、いろいろとありがとう。はつはつは。 しや、めでたいめで これもひとえにみなさまのおかげです。はつはつは。、 となたです ? 」 「えつ、なんですか。あなたはいったい、。 「いやだなあ、わすれたりして。タヌエモンしゃありませんか。ほら、この しかい たびめでたく市会ぎいんせんきょにとうせんした、たぬきのタヌエモンで おお おお
できいてますけどね。きつねの先生のほうが、じようずでしんせつだって。」 「なあんですって。」 うさぎはかんかんにはらをたてて、びよーんととびあがりました。 「にんげんよりどうぶつのほうがじようすですって ? ちえつ、ばかな。し まのところはまだ、にんげんのほうがずっとえらいにきまってるじゃあり し力い ませんか。そんなことで、よくも市会ぎいんたなどといっていられますね。 ちょっ。ふつ。」 タヌエモンさんはすっかりめんくらって、。ほかんとしています。 うさぎはかまわずに、ふりふりとしながら家へもどってきました。 こうしてまた、夜になりました。 ゅめのきかいのせんたくばさみをおたがいのまくらにとりつけて、うさぎ とこぶたは、べッドにもぐりこみました。 よる せんせい
すよ。」 「あっそうそう。タヌエモンさんでしたつけ。あなた、きつねのおいしやさ んをごそんじですか ? 」 「しってますしってます。」 「あの先生のちゅうしやはきくでしようか、きかないでしようか。どうでしょ う ? 」 「そりゃあきくでしよう。なにしろあの先生は、わたしにとうひょうしてく ださいましたからなあ。はつはつは。」 「ふーん ? 。ほくにはどうも、きくとはおもえないんだけど。それじゃ、き つねのおいしやさんとにんげんのおいしやさんとでは、どっちがじようす だとおもいます ? 」 「さあ、わたしもよくはしりません。でも、ひょうばんなら、あちらこちら せんせい
きょにとうせんしたのです。 「どうだいこぶたくん。これでやっと、ぼくたちどうぶつもにんげんとかた をならべることができるようになったんだ。。ほく、もううれしくってさ。 一、ぶたくんだってうれしいだろ ? 」 「そうだなあ。そういわれてみると、なんとなくうれしいような気もちもす るみたいたねえ。」 こぶたはしかたなさそうにへんじをして、ふわーっとあくびをしました。 それをみると、うさぎはじれったそうなかおになって、しんぶんをとんと んとたたいてみせました。 「こぶたくんこぶたくん。このタヌエモンさんたけどね、もしもこのタヌエ モンさんがキャベツだとかにんじんたとか、そういうくたらないゅめをみ ていたとしたら、市会ぎいんにとうせんできたとおもうかい ? もちろん
うさぎはきびしい目つきで、こぶたのかおをみつめました。 「よくもまあ、きみはそんなくだらないゅめをみれるものだね。そういうく だらないゅめばかりみているから、・ほくたちどうぶつがにんげんからばか にされるんだ。はすかしいとはおもわないのかい ? 」 「だってしかたがないよ。ぼく、キャベツがだいすきなんだもん。」 「そんなこといえば、。ほくたってにんじんがだいこうぶった。だけど。ほくは、 にんじんのゆめをみたことなんかいっぺんだってありやしない。ぼくがみ おんかくかい ーテイだとか、そういうじようとうのゆめ るのは、音楽会だとかダンス。 ( はかりなんだそ。あっそうそう、ちょっとこれをみてごらん。」 うさぎは手にしていたしんぶんをこぶたにわたしました。 , てこには、 たぬきのタヌエモン氏
しかい 市会ぎいんせんきょにとうせん というニュースが、大きくのっていました。 っ こぶたとうさぎの家のあるア = マン市は、にんげんとどうぶっとがい まち しょになってつくった町でした。どうぶったちもいまでは、むかしとはちがっ かいしゃ て、会社につとめたり、お店をひらいたりしてくらしていました。 でも、市会ぎいんというたいせつなやくめについたどうぶつは、まだ一び きもいませんでした。 いままでにもせんきよがあるたびに、いろいろなどうぶつがりつこうほを して、えんぜっをしたり、ビラをまいたりしました。しかしやはり、にんげ んのカのほうがつよく、どのどうぶつもおしいところでらくせんしてしまい ました。 ところがこんど、たぬきのタヌエモンさんがはじめて、市会ぎいんのせん ちから おお みせ
でき 0 こない。だれがなんて 0 た 0 てでき 0 こありやしない。ではみなさ しかい ん、い 0 たいなぜタヌモン氏は、市会ぎいんにとうせんできたのであり ましようかワ・」 きゅうにうさぎのはなしかたが、えんぜっのようなちょうしになりました。 「それは、タヌ = モン氏がまいばんまいばん、音楽会やダンス。 ( ーティのゆ めをごらんにな 0 ていたからであります。そのようなしようとうなゅめば かりをごらんにな 0 ていたおかげで、市会ぎいんにもとうせんすることが できたのであります。そこでこぶたくん、きみにひとつおねがいがある。」 「なんたいおねがいって ? 」 おんがくかい 「きみにも・せひ、音楽会かダンスパ ーティのゆめをみてもらいたいんだ。よ かったら、こんばんからはじめるとしよう。」 「こんばんから ? 」