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検索対象: のんびりこぶたとせかせかうさぎ
137件見つかりました。

1. のんびりこぶたとせかせかうさぎ

「もういちどいいます。ばくだんくんはどこですか。『はー 手をあげてください。」 といいましたが、だれも手をあげませんでした。 「こまったそ、きっとばくだんくんはおどっているうちにじぶんがばくだん こぶただ、ということをわすれてしまったんだ。」 ました。 と、一ばんめのこぶたがいい 「そしてばくだんくんは、じぶんがほんとうのこぶただっておもいこんでし まったんた。」 ました。 と、二ばんめのこぶたがいい 「もしかすると、きみがばくだんこぶたかもしれないそ。」 、ました。 と、三ばんめのこぶたがいし 「そういうきみがばくだんこぶたかもしれないね。」 さん 、。』といって、

2. のんびりこぶたとせかせかうさぎ

とほかのどうぶったちをうながして、テーブルのまえにこしをおろしたので じゅっ とらときつねと二ひきのこぶたと十びきのうさぎたちは、テー。フルにむか うとさっそくごちそうをむしやむしやとやりはじめました。ねこもいっしょ に手をだそうとしましたが、 ( そうだ、そのまえにひとことあいさつをしなければな。 ) とかんがえて、またいすから一、しをあげました。 どうぶったちが手をやすめてねこのかおをうかがいました。 「いやいや、そのままでけっこう。どうか、たべながらきいてくれたまえ。」 ねこは、せきばらいをするとおもむろに口をきりました。 「しよくん、本日ここにこうしてめでたく、なかよし。ハーティをひらくこと ほんじっ くち 200

3. のんびりこぶたとせかせかうさぎ

といいました。 こねずみは、びつくりしたようなかおをしただけで、手をだそうとはしま せんでした。 きつねは、またいいました。 「しんばいしなくてもいいんだよ。これはとってもおいしいみかんなのだ。 をもいで、たべればいいのだ。 ) とかんがえて、 「ねすみ、ねずみ。」 といいながら、こねずみをよびとめると、 「きみにいし 、ものをあげよう。ほうら、みかんだ。うちへもってかえるとま ずくなってしまうかもしれないから、すぐにかわをむいてたべておしま 122

4. のんびりこぶたとせかせかうさぎ

をしなくてもだいじようぶなんだ。」 といいながら、手をつないでわになると、 「ぐるぐるぐるぐる。」 とおどりはじめました。 ばくだんこぶたもなかまにはいって、みんなといっしょに、 「ぐるぐるぐるぐる。」 とおどりました。 おかげで、おどりがおわったときには、どれがばくだんこぶたなのか、わ からなくなってしまいました。 こぶたたちはこまって、 「ばくだんこぶたくんはどこですか。へんじをしてください。」 といいましたが、だれもへんじをしませんでした。

5. のんびりこぶたとせかせかうさぎ

それからまたしばらくすると、おむかいにすんでいるとかげのおばさんが、 やま ーナツツを山もりにしたおさらをもって、うさぎの家へやってきました。 とかげのおばさんはおさらをもっていて手がっかえなかったものですから、 しつ。ほで、 「ばたばた。」 とドアをたたきながら、 「うさぎさんうさぎさん、うちでつくったドーナツツをもってきましたの。 すこしですけど、みなさんでめしあがってくたさいな。」 こえ と声をかけました。 「だれですかあ。」 と、なかからうさぎたちの声がしました。 「おむかいのとかげですわ。」

6. のんびりこぶたとせかせかうさぎ

てみせながら、 「なあに、ちょっとぐあいがわるくなってしまってね。」 「まあ、しんばいしないでくれたまえ。ただのかぜだとおもうから。でも、 ひょっとすると、はっしんチフスかもしれない。」 いました。 「なに、は 0 しんチフスだ 0 て ? それは、またたい〈んなびようきにな 0 たものではないか。」 そして、ここがわからないと一、ろなのですけれども、ねこは、きつねがす 0 かりうらやましくなってしまいました。 しろ ねこには、きつねがかぶ 0 ている白いずきんや、とろんとした目や、よわ よわしく手をふるようすなどが、な。せかとてもすてきにおもえたのです。 134

7. のんびりこぶたとせかせかうさぎ

きつねは、ちょっと目をぎろぎろさせてみせました。 「かわいそうにあいての人、ほんとうにじぶんがセッケンになったものとお あし もいこんでしまいました。手と足をちちめて、『ああ、からだがどんどんと けていく。こわいよう、たすけてくれえ。』というかおをします。すごいで すねえ。こわいですねえ。それみてわたし、さいみんじゅっというのはほ んとにおそろしい、おもいました。」 「さっきのとらが、そのさいみんじゅっにかかったときのようすとそっくり だというんですね ? 」 「そっくりですねえ。」 と、きつねがうなずきました。 「でもへんだなあ。」 ねこは首をかしげました。 ひと 178

8. のんびりこぶたとせかせかうさぎ

とさせるれんしゅうにとりかかりました。 それがうまくいくと、こんどはひげを、 「だらあん。」 とさせるれんしゅうにとりかかりました。 それがうまくいくと、ねこは、とろうんとした目を入り口のドアのほうへ むけて、よわよわしく手をふりながら、 「まあ、しんばいしないでくれたまえ、ただのかぜだとおもうから。でも、 もっとひょっとすると、ト ひょっとするとはっしんチフスかもしれない。 ラホームかもしれないのだ。」 といってみました。 ねこは、たいへんとくいな気もちになりました。そして、 ( はやくだれかこないかなあ。 ) ぐち 136

9. のんびりこぶたとせかせかうさぎ

うさぎはあわててごまかすと、手にもっていたかみをかさかさとひろげま した。 こぶたがのそきこんでみると、それはドクロのマークのついた地図でした。 「わかった。これはたから島の地図だね。」 「うん。でもたから島はどこにあるんだろう。」 ところがあたりをみまわしてみると、これまたふしぎ。いつのまにかふね しま のゆくてに、島がひとつ、。ほっかりとうかんでいたのです。 おまけに島のかいがんには、 『ここがたから島です』 とかいたかんばんまでたっているではありませんか。 よろこんだふたりは、シャベルをかついでポ 1 ートにのりうつると、たから 島にじようりくしました。

10. のんびりこぶたとせかせかうさぎ

ポプラ社文庫を座右におくる 日本の出版文化数百年の歴史からみて、今日ほど児童図書出版の世界が、あらゆる分野にわたっ て絢爛をきわめ、豪華を競っている時代はない」多くの先人が、えいえいとして築きあげた児童文 化の基盤に、後進の新鋭が、新しい魂の所産を孜々として積み上げてきた、その努力の結果がいま 美しく開花しつつあるといってよいと思う。 反面、自由な出版市場に溢れる児童図書の洪水は、流通の分野で混乱をおこし、読者の立場から え・は、欲しい本が手に入らないという変則現象を惹きおこすことになった。 加えてオイルショックに始まった諸物価の高騰は、当然出版物の原価に ( ネ返り、定価の騰貴を よび、読者を本の世界から遠ざけるマイナスを招いてしまった。 ポプラ社は昭和二十二年以来、数千点に及ふ児童図書を世におくり、この道一筋の歩みをつづけ て来た。幸い流通市場の強力な支援をうけ、また製作部門のささえもあって、経済界の激動をジカ に読者へ転化しない方策を講じて来たつもりである。しかし三十年の出版活動の中に生んた、世評 の高い諸作品が、ややもすれば読者の手に届かない欠陥のあることを憂い、ここに文庫の形式をと り、選ばれた名作を、史に読みやすく、廉価版として読者の座右におくることにした。 この文庫の特長は、児童図書の一分野に企画を留めす、創作文学、名作文学、実用書、少女文学 等、幅の広い作品を紹介し、多くの読者に、本に親しむ楽しさを堪能してもらうところにおいた。 ( 一九七六年十一月 ) ご批判と、変わらぬご愛顧をたまわれ・は幸いである。