9 うれしいんだもん さむくなったので、モコの家ではストー。フをつけました。 おとうさんが、屋根にはしごをかけて、えんとつをつけました。 「おとうさん。」 モコが下からいいました。 「そこから、なにがみえる ? 」 とお はりがねでえんとつをゆわえていたおとうさんは、立ちあがって、遠くをみ るまねをしました。 ちゃ 「ミミちゃんちがみえるよ。ミミ ちゃんちのおばあさんが、一、たつでお茶を のんでるよ。はくさいのおつけものを食べてるよ。」 した 103
ビコは、 いばってこたえました。 「もちろん、とんだりはねたりすることさ。びよんびよん、とてもたかくと べるよ。」 「なに、びよんびよんはねるのかね。ふむ、はねるはなーに。はねるはばっ すると、きみはばっこゝ、。 おじさんは、おどろいた一、えをだしました。 「ちがうよ。ばったじゃないよ。」 。ヒコは、あわてていいました。 「いい、力し ぼくの耳は長くて、とてもいい耳だよ。どんなおとでもきこえ るんた。」 みみなが 「耳が長いんだと。ふむ、耳の長いはだーれ。耳の長いはろーば。 みみなが みみなが みみ みみなが 171
おそるおそる、おかあさんのやわらかなむねに、耳をあてました。すると : とっノ \ たっ / 、とったつど、 とつど、たっ ~ 、とったっ おと おかあさんのむねからも、たしかにとけいの音がひびいてくるのです。 「どうして ? どうしておかあさんもなの ? 」 モコはびつくりしてたすねました。 「おかあさんだけじゃないわ。おとうさんも、と「くた 0 くとけいをも「て るわ。おばあさんもも 0 てるわ。うさぎだけじゃない、きつねも、りすも、 小鳥たちも、みんな一つすっ、 このとけいをもってるの。」 「ばくだんじゃな、 とけいだけなんだね。よか 0 た。じゃ、ぼく、はれつ げんき しないや。じゃ、ぼく、まだ元気でとんぼがえりできる。 ちゃんとも、 あそべるんだ。」 ラ」とり・ みみ
さっきびちびちはねていたさかなは、もうこおってガラスのように、こお りのかけらがひかっていました。 , も一つ、、っち 「。ほうや、どこの子だね。一、んなところへなにしに来たんだい。 かえ で へお帰り。くらくなると、ここいらはこわいふくろうが出るんだよ。こな いだも、ねすみの子がさらわれたよ。」 おしさんは、ほおひげをこすりながらいいました。 「。ほうやは、まだ一、わいめにあったことがないのかい。そんなら、よけいに 気をおつけ。」 モコはこたえました。 かえ 「・ほくもう帰るよ、おじさん、さよなら。」 げんき みぎ あしちから モコは元気よくまわれ右をしました。足に力をいれて、かけだしました。 112
そら つ、こちどりのビーヨさんみたいに、空がすきで、葉っぱやがすきた 0 たんだ : モコははなをすすりました。 夜になりました。 かえ おとうさんはとなり村のおじさんのうちへ出かけたまま、まだ帰りません。 「そうだ、かいちゅうでんとうをつけて、わるい虫をみつけてやろう。」 そと モコはかいちゅうでんとうをもって、外へ出ました。外はもうくらくなっ ていました。 ほんとうに虫がみつかるかしら。 モコはかいちゅうでんとうのボタンをおしました。ばっとあかりがっきま した。モコはかきねのつゆ草をてらしました。夜なので、つゆ草の花はみな よる むし むら くさ そとで よる むし くさはた
クモのハンモックにはダイヤモンドのつゆの玉がきらきらひかっていまし た。モコはくもにたのんで、こわれたいすをその糸でしつかりまいてくつつ けてもらいました。こおろぎおばあさんはよろこんで、いすに一、しかけまし た。クモはダイヤモンドのとくべつ大きいのをひとつわけてくれたので、よ けいきれいになりました。そこで、草でこおろぎばあさんはきげんよくぎ 0 ちらこのうたをうたいだしました。クモはハンモックの上で、モコはふかふ か足のいすの上で、ぎっちらこのうたをききました。あなたのところに、こ のうたがきこえませんか。そして、あなたのいすはどんないす ? かあさん のひざのいすでこおろぎのうたきいているのはだあれ。 あし ゆれゆれクモのすハンモック ダイヤモンドよきらきらひかれ うえ は おお たま 140
かたち 中を、川はどこまでもつづいていました。川の波が、もりあがった形にこおっ て、ところどころに、一、うさぎがまるくなっているようにみえました。モコ はこおりのこうさぎをとびこえました。 うみ 海はまだかしら。 もみの林がみえてきました。 おと モコのはくいきが、白くしゅうしゅうと音をたてました。 あお 海はまだかしら。青いりぼんの海はどうしているかしら。 かわみち 日がくれてきました。あたりはすこし、うすぐらくなりました。川の道は とお まだつづいています。なんて遠いのでしよう。モコは、 くたびれて、心ぼそ かわ なか くなりました。そのとき、むこうに : 川のまん中に、毛皮のぼうしをかぶつ たかわうそのおじさんのすがたがみえました。 「なにをしてるのかしら。」 なか うみ ひ かわ はやし しろ うみ かわなみ けがわ こころ 109
のはら こもこさせながら、野原をかけて、林にきました。 林のかばの木は、もう白い花をつけて、風にふかれていました。 「あれ、だれだろう。」 むこうの川のふちをみた。ヒコは、目をまるくしました。 「あんなとこにだれかいるよ。大きなむぎわらぼうしをかぶって、くろいめ がねなんかかけている。だれだろう。コンくんのおとうさんでもないし、 もぐらのグラさんでもない。 りすのコリさんでもないし、いったいだれか、 みて一、なくちゃ。」 。ヒコは、川のほうへまっすぐかけていきました。 むぎわらぼうしのおじさんは、草の上にこしをおろして、うまそうにたば こをすっていました。あしもとには、あたらしいしゃべるが二ほん。それに、 くさ 草の葉っぱをかぶせたかごが一つ。 はやし かわ かわ しろはな おお くさうえ はやし かぜ 168