「なんだい、。 とこにもとんでないや。」 。ヒコが、ロをとがらせるとコンはにやりとわらいました。 「おい、もうとんぼがえりやったぜ。すまーとにおともなくな。」 「ぼくがひこうきさがしてるうちに、とんだの ? ほんと ? 」 ピコは、目をまるくし、それから大きなこえでさけびました。 「うそだい。ほんとはコンくん、できないんだろ。ほーら、みてごらんよ。 ぼくのとんぼがえり ! 」 。ヒコはかけだし、とびあがってはくるくるまわりました。 はやし かわ 「とんだら、林がみえる。川がみえる。林も川も、くるくるまわるよ。おー コンくん。つかまえてごらん。ひこうきにばけて、追っかけといで ! 」 「へい、ちびのあかん。ほは、はねてあそんでるがいいや。ぼくは、おあいて はごめんだよ。むずかしいべんきようや、しごとがあるからな。」 くち おお はやしかわ 166
ちちちちち ほら、もっととんでごらん。 こんどは海のむこうがみえるよ。 海をわたって、やってきたつぐみたちが、はやしました。 「モコちゃーん。」 山をの。ほってきながら、 ミミかよんでします 「ミミちゃん、海がみえるよう。」 モコは手をふりました。 「おいでよ、 ちゃんもみてごらんよ。そしてグラさんにおしえてあげよ あおうみ う。青い海だよう。りぼんのような海だよう。」 そうしてね、 うみ やま うみ うみ うみ 101
みどりの葉をつけて立っていました。 「かばの木、かばの木。ほら、ぼくの金ボタン、みてごらん。」 と、モコがよびました。 かばの木は、だまって、からだをゆすりました。 たか 「かばの木、どうしてだまってるの。みてごらん。・ほく、高くとべるよ。」 モコは、ぼーんととびあがりました。 「とんぼがえりだって、できるよ。」 モコは、くるんと、とん・ほがえりをうちました。 「どうだい、。 ほくのとぶとこ、みたろ。」 と、モコはいいました。 「おどろいたろ ? 」 でも、かばの木はやつばり、だまってからだをふるわせているだけでした。 きん
しいにおいのしてくるあしもとのかごを、きになるようにながめ ました。 「あのね、いちごなんかとってもすきだよ。」 と一、ろが、おじさんは、まだまだくびをふりました。 うさぎって、そんなやっかね。」 「へえ、そうかね。それでおしまいかい ( えい、なんてわからすやだろう ! ) じめん 。ヒコは、地面をけってさけびました。 「さあ、立つんだ。ぼくが手をつないであげるから、ぼくといっしょにとん でごらん。おもいきりはねてごらん。そうしたら、うさぎがどんなものか、 きっとわかるさ。」 。ヒコは、おじさんのりよう手をつかみました。 おじさんは、。ヒコにひつばられて立ちあがり、。ヒコといっしょに、林の中 はやしなか 175
のはら 野原もくるりと、 あたら 「新しい世界がねえ。」 グラはうたぐりぶかいちょうしでいいました。それから、よっ一、らしよと、 あなからはい出て、立ちあがりました。 そらあお ちかしつ 「地下室の中は、どこをみても土ばかり。外へ出りや、空の青てんじようと、草 。ほうぼう。そのほかにや、なにもみえんさ。べつにかわった一、ともなしさ。」 「グラさん、草ばかりって、きん。ほうげの花やしろつめくさの花がみえるで はやし しよう。ねえ、林やかばの木のダンスもみえないの ? 」 モコはびつくりしてたずねました。 とお 「グラさん、はねてごらんよ。。ほーんってとんでごらんよ。遠くがみえるよ。 さんかくやね おがわ はやし かばの林も、さらさら小川も、。ほくのうちの三角屋根もみえる。そのむこ せかい なか くさ いっかいてん、世界がかわるよ。新しい世界がみえるん っち せかい そと あたら せかい くさ
「ぼく、おとうさんとおかあさんをむかえにい こう。お月さんがあかるいか ら、夜になってもこわくないや。」 ある のはらやま モ「は野原を山のほう〈歩いていきました。野の草も、みずひきの花も、 月のひかりでぬれたようにひかっていました。 ある 「あれ、ぼくが歩いていくと、お月さんもついてくるよ。」 つき モコは月をみあげて、立ちどまりました。 「あれ、ぼくがとまったら、お月さんもとまったよ。」 そら モコは、こんどはかけてみました。走りながら空をみると、やつばり、月 もまけずにモコを追いかけてきます。 「あははは、お月さん、ぼくをつかまえてごらん。追いかけてごらん。」 モコははねあがってわらいました。 のはら モコは野原をはねたり、じぐざぐにかけてみたりしましたが、月はやつば つき よる つき つき つき くさ つき つき つき
おっこちました。 「ひどいよ、モコちゃん。ごらん、あんたがからだをゆすったから、いすが こわれちゃったよ。ばあさんのばあさんのばあさんからもらったりつばな ゆりいすが。」 おばあさんは泣きだしました。モコはこまってばらばらになったゆりいす をつかみました。すると、草のあいだにかけたクモが ( ンモックの上からう たいました。 0 0 0 くさ 139
「ぼくのはこうだ。みててごらん。」 ビコは、あしでつよくとん ! と土をけってとびあがりました。くるんと まわっていました。 「さあ、きみのばんだよ。」 「してもいいけど、このごろはべんきようがいそがしくて、あまりしてない んでねえ。」 コンは立ちあがり、 「あっ、ひ一、うき ! 」 そら と、むこうの空をゆびさしました。 「どれ、どこ ? 」 あおそら そら 。ヒコも、あわてて空をみました。けれど、青い空のどこにも、ひこうきの すがたはみえませんでした。 っち 164
「モコのむねにばくたんを、ですって ? 」 おかあさんは、目をまるくしました。モコはすすり泣きました。 おと 「とっくたっく、とけいの音がするの。ほら、みてよ、おかあさん、ぼくは 「まってね、モコ。」 おかあさんはモコをたきあげて、モコのむねにかおをくつつけました。 「わかった。とっくたっくとっくたっくなっている、これね ? 」 おかあさんは、かおをあげてわらいました。 「そのとけいなら、おかあさんももっていますよ。おちついて、おかあさん のとけいをきいてごらん。」 まあ、そんなことがあるものでしようか。モコはびつくりして、おかあさん をみあげました。おかあさんはわらいながらうなすきました。そこで、モコは
と、モコはいっしようけんめいでいいました。 まえ 「土にうめてごらんよ。でも、その前に、 うこときいてみてよ。」 「たねのことば ? 」 「そう、 しつカかばの木のいう一、とミミ ら、たねのいうことばだって、わかるだろ。」 「そうね、わかるかもしれないわ。」 みみちか は、さくらんぼのたねを耳に近づけました。それから、まるい目をもっ とまるくしました。モコはたずねました。 「ねえ、きこえる ? 」 おと 「まって : : : なにかきこえるみたいよ。ちっちゃな音が : 「ねえ、なんてきこえる ? 」 っち ちゃんきいたじゃないかたカ ちゃんのいい耳で、たねのい みみ