とり 「おや。また、ばあやは鳥ごやをしめわすれたんだね。 ましこ。 と、おかあさんがしし そのとおりです。まどからみると、わかります。ひろいなかにわの おくに、鳥ごやがあって、戸のあいているところだけが、まっくろに 四かくにはっきりみえています。 「フェリックスちゃん。おまえ、鳥ごやの戸をしめにいってくれるかい しました。 と、おかあさんがフェリックスにいさんにい、 とり 「おかあさん。ばくは、鳥のせわをするために、ここにいるのとちがうよ。 とり にわとり

とき、むちにするえだをおって、はつばをとって、とげをのこしま した。おかあさんは、まっすぐあるいてきます。ばうふうとおなじで、 もうにげることは、できません。 「びしやりとやられるぞ。 と いって、にいさんは、はらつばのはしまでにげていきます。そして、 かくれて、目だけだしてみています。 にんじんはにげません。おくびようだけれど、どんなことでも、はやく かたをつけたほうかいい とおもっているからです。それに、きよう は、とてもゆうきがあります。 マチルドは、ぶるぶるふるえながら、だんなさんが、しんでしまった おくさんのように、しやくりあげてないています。 「マチルド、しんばいしないで ししよ。かあさんは、ばくだけしか、おしお ( 109 )

と おとうさんは、やつばり、手で、にんじんをふせいで、そばによせつけ ないようにしました。 「にんじん。おまえは、耳にはさんでいるべンで、しまいには、わたしの 目に、あなをあけるんだろ。わたしにキスするときだけ、 , とこかへ しまっておけないのかい ごらん。わたしは、ちゃんと、タバコを口か らとっているだろう。」 しいました。 「ごめんなさい。おとうさん、ばく、ほんとにうつかりしてたよ。このペン、 しつまちがいをおこすかもしれない。まえにも、だれかにちゅうい されたんだけれど。このペン、ばくの耳にうまくはさまるもんだか ら、ついはさんどいてわすれてしまったんだ。せめて、ペンさきだけ でもはずしておかなければいけないね。 ああ、ばく、ほんとに みみ みみ くち ( 83 )

めくらにでもなってしまったように、まっくらです。つめたい んじんのからだをつつんで、どこかへつれて、いきそうです。 きつねか、おおかみがでてきて、ゆびや、ほおに、、 しきをふきかけそ うで、いっそのこと、鳥ごやにねらいをつけて、かけだすほうがま とり しだとおもって、にんじんは、鳥ごやにむかってかけだしました。そし て、手さぐりで、鳥ごやの戸のかぎをつかみました。 けつけっこけっこ。 にわとりは、にんじんの足おとに おどろいて、さわいでいます。 「さわぐな。ばくだよ。」 にんじんは、戸をしめて、手と足に はねがはえたように、さっととんで A 」り レ」り あし あし ( 12 )

この本は、「にんじん , というあだなを、おか あさんにつけられた、男の子のはなしです。に んじんのようにあかいかみのけだったからです。 けれども、かみのけがあかくておかしいと いっても、ふつうには、お かあさんがじぶんの子に、あだなをつけるでしようか。そのようなこ とは、めったにない ことです。 それが、ほんとにあったら、その男の子はどうするか、どうなるか。 それをかいたのがこの本です。あなたのおかあさんは、あなたをか わいがってくれるでしよう。あなにはしあわせだから、かわいそうなに んじんのはなしをよんで、つよくりつばになって たさい はしがき おとこ おとこ

( じぶんぐらいの男の子は、 ビストルがすきだ。おとう さんは、子どもをよくしつ てるから、きっと、ビストル のおみやげだろう。 ) 「ばく、ビストルのほうが とにんじんは、おもいきって しいます。 「おとうさん。かくしてもだめ だよ。ちゃんとみえてるよ。 にんじんは、すこしふざけ おとこ ( 48 )

ちびさんだから、先生は、きみが、 も一つこしをかけていると、おも いちがいしたんだよ。 にんじんからおとうさんへ ナいすきなおとうさん。 一つちに、パリにおでか ち力し 。ヾリけんぶ けになるそうですね ( したしので つは、ば / 、、ほんとこ、 すが、こんどは、こころだけおとう さんについていってたのしみを がっこ 5 わけてもらいます。学校をやすむ せんせい ( 93 )

つめて、ロをあけて、じっとそのか をーをーを - ーま新みー灰いを・ ふたつの目が、じぶんをさがして 「にんじん。そこにい とききます。 にんじんは、こめかみにちからが いって、いきがつまって、くるしくなって、さけびだしそうです。 いったんだろ。 「いないね。どこへ ・ ) 、、ってしま一つと、にんじんは、さっきのらくな さがしにきた人力し しせいになります。そして、また、いろいろなことをかんがえつづけます。 ひと 0 くち め 0 るの ? ( 101 )

じぶんのかんがえ おとうさんと、にいさんと、ねえさんと、にんじんが、ストープにあたって にん います。ストープには、ねのつし 、た、きりかぶがもえています。四人は、 ねるまでのじかんを、ストープのそばで、はなしあっています。 にんじんは、おかあさんがしないから、えんりよしないで、じぶんのか んがえをいっています。 「ばノ、は、と一つさんとか、かあさんとかい 一つ、从ひカーカキーし、、 + ー かんがえていないよ。だから、とうさん。ばくは、とうさんがとても すきなのは、とうさんだからすきなのではなくて、ともだちとして、 すきなんだよ。ほんとのところ、とうさんには、おとこおやのねうちは ( 117 )

おお おとうさんが、いちばんしまいの パンをたべました。 それをみて、アガートは、戸だなのほうへとんでい 0 て、まだき 0 てない、大きいままの五きんぶんのパンをと 0 てきて、それをおと うさんにさしだしました。 ごしゅじんのほしいものが、いわれなくてもわか 0 ていたという うれしさで、アガ 1 トのむねは、わくわくしています。 けれども、おとうさんは、ナプキンをたた んで、たちあがって、ばうしを とって、うらにわにたばこをのみにでていきました。 おとうさんは、しよくじがおわったから、もうた べやしません。 アガートは、くぎづけになったように、ほかんとして、五きんもある 大きい パンをかかえて、たっています。うきぶくろがいしゃのこうこ くのマネキンそっくりです。 おお ( 58 )