「わけのない ことでございます。りつばなおいしやさんは、なまえの 一つえに、ドクトルと いうことばがついております。ドクトル・イーデン とか ドクトル・アービンとかし 、うふうにでございます。もし、ドク トルと いうことばがついておりませんでしたら、それはきっと、 へんちくりんなおいしやさんでございますよ。」 「ふんふん。ドクトルというのじゃな。まあわしならソリマンだから、 ドクトル・ソリマンかね。」 「さようでございます。」 「ひめはズリンカだから、ドクトル・ズリンカかね。」 「さようでございます。」 「なるほど、よくわかった。」 おう 王さまは、たびのおとこに、たくさんのほしぶどうをほうびにやって ( 38 )

0 なにもしないでぶらぶらしている ドク - トレ・ がちがうのであります。それから、 たべものはドクトル。かばせんせし のようにめしあがり、おのみもの は、ドクトル・らくだせんせいほど おのみでございます。たたし おなまえをだしましたかたカ たは、どれも、ゆうめいなおい しやさんばかりでございます。 ドクトル。エークせんせいは、 そのかたかたとおなじ グータラせんせいとは、わけ ( 57 )

としたかおで、たっていました。ドレークさんです。ドレークじいさん は、ひろまがまぶしいほどにりつばなのと、たくさんのひとがいるの とで、びつくりしてしまいました。 「せんせい、どうぞこちらへ。 ドレークさんをうやうやしく、王さまのまえに け、らいのひとりか あんないしました。 ひげのながいけらいは、いちだんとこえをはりあげて、 「王さまにもうしあげます。こちらにおいでになりますのが、その おかたでございます。いまヨーロッパでゆうめいなドクトル・エーク せんせいとは、だれのことで【」ぎいましよう。じつは、このおかたな のであります。ドクトル。エークせんせいは、おしごとをなさいます ときには、ドクトル・メッポウせんせいのように、いせいよくなさいます。 おう おう ( 56 )

「そうだ。」 「だれが ? 」 「そちじゃ。 きいてドレークさ んはびつくり。 「と、とんでもない ことだ。なんでわ しがそんなこ とを できる わけがない。」 「いやいや。あなたはヨーロッパでもゆうめいなドクトル・エークせん せいではないか。ひめのびようきがなおせないわけはないはずだ。 9 ( 61 )

・彡グ 、 , つものだよ。 「えつ。ドレーク ? つかいのものたちのみみが、いち どきにびくっとうごきました。 ( ドレーク ? ) ( どうもきになるなまえだぞ。 ) ( あ、そうだ。 ) ソリマンのつかいのものは、 目をかがやかせて し - 」 0 「あなたはドクトル・エーク さんでございましよう。 0 0 ( 45 )

かちが一つよ。きゅ一つきんはうんとはずんでほしいもんじゃな。」 グータラせんせいのようでなくてけっこうで 「あなたさまが、ドクトル・ ございました。おきゅうきんはじゅうぶんにさしあげます。」 「そうかい。そんならあんしんじゃ。」 ました。 と、ドレークさんはいい 「もうひとっ 、いっておきたい 「はは。なんなりともどうぞ。」 ことがあるんじゃが。 ( 49 )

「さよう。なまえのうえに、ドクトルと がつい おかたじゃ。」 つかいのものたちは、ぞろぞろぞろぞろとつな がってあるきはじめました。あたまにターバンを まいて、うまのしつほのようなながいひげをは やしたっかいのものたちのぎようれつは、た、 んおかしなものでした。 さて、あるきだしたものの、どこからさがし はじめたら いいのか、さつ。はり - けんと一つか つきません。あるいているうちに、つかいのも のたちは、大きなもりのなかにはいってし まいました。 、一つこと、は ( 41 )

0 しいました。 「よし。さっそくけらいをヨーロ へつかい ~ だして、りつばなおいしやさんをおつれしよう。」 おう 王さまのめいれいで、なんにんかのつかいの ものがえらばれました。 「よいかな、みなのもの。ほんとうにりつばな いうものは、なまえのうえ おいしやさんと に、ドクトルとい , っことばがついて るのだぞ。もし、そうでないへんちくりんの おいしやさんをつれてきたら、おまえたち のくびをきってしまうぞ。わかったか。 ) では、すぐにしゆっぱっ。」 ッヾ

いや、それいじようにりつばなおかたなのであります。王 いこだけるとぞんじます。 さまには、きっとよろこんで 王さまは、つかいのもののはなしをきいて、すっかりあんしんしました。 「ドクトル・エークせんせい。とおいところをようこそ。じつは、むすめ のズリンカひめのようすを みてもらいたいとおもって およびしたのだが。 , 「ああ、 しいともさ。みるぐらい ことじゃ。 なんでもない 「では、こちらへ。」 王さまは、ごじぶんからせきを たって、ドレークさんをズリンカ おう おう お )

みつけたおいしやさん ひろいひろいうみをわたって、ソリマンのつかいのもの たちは、ふねのたびをつづけました。はじめてがいこくへ いくのです。はじめてのうみのたびです。うみをわたれば、 すぐにヨーロッパでしたが、みんなには、とてもながいたび のようにおもわれました。 まる二日、うみのたびをつづけて、ふねはヨーロッ パにつきました。 「さあズリンカひめのごびようきをなおしてくれる、 りつばなおいしやさんをさがすと したそう。」 「ドクトルじゃな。」 ( 40 )