上のはうから、ぶたのなき声が聞こえた。 ぶう ばくは、こわくなってきた。 ごえ なき声が、だんだんふえてきた。 あっちのほ、つから、ぶ、つ。 こっちのほ、つからも、ぶ、つ。 聞こ、たる、聞こ、たる。 ぶうぶうぶうぶう かお ばくは、こわごわ、まどから顔を出して、空を見上げた。 びやくとう ぜんとう なん百頭、なん千頭というぶたが、空いちめんにうかんでいた。 ぶた、ぶた、ぶた、ぶた、ぶただらけ。 しまにもふってきそうだった。 ぶたは、 ) ごえ みあ
しんぶん いそいで新聞をひろげた。 しんぶん なんと、新聞にも、「はれときどきぶた」と、書いてあった。 てんきず おまけに、天気図には、「ぶた〇」と、しるしまでついていた。 おも 父さんは、おこるかと思ったら、ゆかいそうにわらった。 「わはは。こりやおもしろい たま 玉ちゃん、ぶたがふるよ、ぶたが。 ぶう、ぶうって、ふってくるよ」 玉ちゃんは、とびはねて、はしゃいだ。 「ぶう、ぶう。ぶう、ぶう」 母さんもよろこんで、 「たすかるわ。 こんやは、トンカッね。 でも、早めにふってくれないと、タごはんまでに、まにあわないわ」 むちゃくちゃなことをい、つ。 と、つ かあ はや
丿 はれときどきぶた 発行 作・絵 発行者 印刷 製本 発行所 矢玉四郎 ( やだましろう ) 大分県別府市に生まれる。童美連会員。 岩崎書店からは『ばくときどきぶた』『あした ぶたの日ぶたじかん』『まんだくんとマンガキ ン』『じろきちおおかみ』『 Fair, Then PartIy Piggy ーはれときどきぶた英語版』が出ている。 作品に『たまねぎ博士①号タリラン』 ( アリス 館 ) , 『メカたんていペンチ』『きもち半分宇宙 人』 ( 国土社 ) , 『おばけうんどうかい』『まぜ まぜプイ』 (PHP 研究所 ) , 『まほうおしっこ シーコッコ』 ( 文研出版 ) , 『うそっきたいかい』 『どこでもでんしや』 ( あかね書房 ) , 『かぶと むしサーカスだん』 ( 教育画劇 ) , 『やかんねこ』 ( 学研 ) などがある。 〈あたらしい創作童話》 13 1980 年 9 月 5 日第 1 刷発行 1987 年 12 月 10 日第 59 刷発行 矢玉四郎 大川松利 三美印刷 若林製本 岩崎書店 東京都文京区水道 1 の 9 の 2 〒 112 谷 03 ー 812 ー 9131 ( 営業 ) / 813 ー 5526 ( 編集 ) 振替 ( 東京 ) 7 ー 96822 ◎ Shiro Yadama 1980 PubIished by IWASAKI SHOTEN T0kY0' Japan ISBN 4 ー 265 ー 91613 - 9 / NDC913 落丁本・乱丁本はおとりかえいたします
「雨がふらないで、ぶたがふるとするとだな、なにをさせばいいのかな ? 雨がさじゃなくて、ぶたがさなんてのをさすのかな ? レインコートは、ぶたコートだな。 あま 雨がつばは、ぶたがつばご。 わっはつま 母さんまで、 「雨がえるは、ぶたがえるよ」 なんていうものだから、父さんは、ますますちょうしにのってしまった。 「、つつはつは。それじゃあ、 あめあめ 八雨雨ふれふれ たま うた っていう歌は、どうなる ? え、玉ちゃん。 かあ 八ぶたぶたふれふれ母さんが 5 」 玉ちゃんといっしょに、おどりだすしまつだ。 はなし ぜんぜんお話にならない。 あめ あま かあ あま と、つ
日記に書いたことか、ほんとうにおきている。 きん、きょ すると、きのうの金魚のことも、おとといのえんびつの天ぶらも、ほ んとだったのかな。 いや、そんなはすはない。 と、つ かあ あれは、父さんや、母さんのおしはいだ。 しんぶん み ばくは、もういちど新聞を見た。 〇ぶたのしるしが目にはいった。 「はんとに、ぶたがふってきたら、どうしよう」 かお 父さんは、むつかしそうな顔をした。 「うーん・ ぶたがふると、こまるぞ」 と、つ おも ばくは、やつばり、父さんもしんばいなんだなと、思った。 「そ、そうだよ。 ぶたなんか、ふらないよね」 ところかあとかし。オし と、つ につ」 め てん
第とき時た あたらしい創作童話 13 定価 880 円 ISBN4 ー 265 ー 9161 ろー 9 C8595 \ 880E 岩崎書店 ・巾物新囑ー 0 ほぐ - の第 とき時た . 定価八八〇円 あたらしい創作童話 矢玉四郎・作 / 絵 はれときどきぶた 矢玉四郎・作 / 絵 矢玉四郎・作 / 絵 はれときどきぶた 定価八八〇円 あたらしい創作童話 定価八八〇円 矢玉四郎・作 / 絵 あたらしい創作童話聞 ぶたじかん 矢玉四郎・作 / 絵 あしこ・、 オ 3 たの日ぼくときどきぶた はれときどきぶた はたけやまのりやすさんねんさんくみ ばくは、畠山則安。三年三組。あだなは、十円やす。 まいにち・ につ当」 ばくのじまんは、毎日、日記をつけていることだ でもこんどから ' あしたの日記 , を圭日くことにした。 かあ だって、母さんが、こっそり見てるらしいんだ。 だから、うんとメチャクチャなこと書いて、 かあ おも 母さんを、びつ くりさせようと田 5 ったんだ : ( まん々とン盞 定価八八〇円 あたらしい創作童話 井上洋介・絵 矢玉四郎・作 マンガキン まんだくんと 定価九八〇円 「はれぶた」英語版 定価九八〇円 矢玉四郎・作 / 絵 岩崎創作絵本 8 キース・ホールマン訳 矢玉四郎・作 / 絵 Fair, then じろきちおおかみ Pa 「 tly Piggy 第第をををユ 0 . 設み・ しゅうえん あたらしい 創作童話崎
7 ぶたぶたぶた もう、むちゃくちゃだ。 ばくはあせった。なんとかしなくちゃ。 でも、どうしたらいいんだ ? につき につ」 そうだ、日記、日記だ。 につ医 ばくは、つくえにむかって、日記をひろげた。 かあ 母さんのくびがのびている絵がかいてある。 え ぶたがふっている絵もかいてある。 につき この日記のとおりになってしまった。 あたま なんとかしなくちゃ。ばくは頭をかかえた。 そのうちに、外で人がさわぎはしめた。 ばくには、なんのさわぎか、すぐわかった。 「ぶただ : そとひと え 4
ばくはひっしで考えた。 こんなばかなことが、おこるわけがない。 それというのも、みんな、この日記の せいなんだ。 わる こいつが悪いんだ。 ばくは、いそいで消しゴムをつかんだ。 「ぶた」という字を消した。 ごしごし、ごしごし。 とたんに、なんだか気がぬけた。 まわりがしすかになった。 空を見ると、ぶたが消えていた。 さおそら まっ青な空だ。なんにもない。 「なーんだ。 はや もっと早く、気がつけはよかった」 かんカ につき / をイ
おも ばくはどきっとした。しんぞ、つが止まるかと田 5 った。 かお テレピのアナウンサーが、まじめな顔で、 「青れ、ときどき、ぶた」 いったのだ。 ゅうべ、ばくが日記に書いたとおりだ。 と、つ 父さんが、わらいなからいった。 ばんぐみ 「なんだい、 この番組は ? ばんぐみ おわらい番組か。 ふざけてやってるんだよ、きっと」 父さんは、テレビのチャンネルを、がちゃがちゃまわした。 てんき すると、よそのチャンネルでも、天気よはうをやっていた。 がめん 白い字が、画面にうつっていた。 「はれときどきぶた」 そう書いてあった。 と、つ しろ につ」
あたま 父さんは、ふとんの中に、頭をつつこんでいた。 ばくは、ふとんをめくってやった。 「父さん、もうだいじようぶ。 ぜんぶ、消しゴムで消したから」 と、つ 父さんは、ぼけっとしていた。 「なにかあったのか ? 」 ふたり 消しゴムで消したことは、二人とも、なんにもおばえてないらしい しんぶん 新聞をひらいてみても、「はれ、ときどきぶた」なんて、どこにも書い てなかった。 てんきず ただ、天気図のよこに、ぶたのしるしみたいなものはあった。 えんむ ・煙霧」 まあ、これはかんけいなさそう。 おわ あんしん おも ばくは、なにもかも終ったと思って、安心していた。 でも、なん日かあと、もうひとつだけ、おかしなことがあった。 と、つ と、つ