かいよもの お買物に行かなくっちゃあ」 よ一、どころ ごまかしながら、ム巳所へにげこ。 ばくはもう、三年生なんだ。ようちえんや、一年ばうすとはちがうんだ。 小さな それなのに、母さんは、ばくをばかにしている。いつまでも、 おも 子みたいに思っている。 つも、そうだ。このあいだだって、ばくにきた手紙のふうを、か てにやぶった。 けんしようで、シールがあたったときのことだ。 もう、こんなことじゃあ、はんとのことなんか書けやしない。 かすこせんせい 和子先生は、 につき ひと いったけど、見せもしな 「日記は、人に見せるものじゃないのよ」と、 いのに、かってに見る人がいるんだから、まいるよ。 につき ばくは、日記の中のへんなところを消しゴムで消した。 かあ できることなら、母さんの頭の中もゴシゴシ消してやりたいよ。 さんねんせい かあ ひと あたま いちねん てがみ
日記は人に見せるものじゃない はたけやまのりやすさんねんさんくみ ばくは、畠山則安。三年三組。あだなは、十円やす。 まいにち につき ばくのじまんは、毎日、日記をつけていることだ。 日記をつけるようになったのは、二年生のときからだ。 かすこせんせい 受け持ちだった和子先生にいわれて、夏体みからつけはじめた。 え まいにちやす ←毋日、休ますにつけたし、砥杠もかいた かすこせんせい かっこ、つ 「一学期になって、学校へ持っていったら、和子先生にはめられた。 しゅう、ん 「よく書けましたね、十円やすさん。 このまま、つづけられるといいわね」 いまでは、日記をつけないうちは、おちつかなくて、ねむれないよう になってしまったくらいだ。 かすこせんせい 和子先生が、こういっていた。 「日記というのは、人に見せるものじゃないのよ。 につ ) ひと ひと み み にわんせい なつやす じゅ一つえん 2
だから、こんどからは、先生にも見せなくていいわ。 そのかわり、はんとうの了とを書きなさい しいことばかりじゃなくて、しつばいした一、と、まちがったこと、み んなちゃんと書いておく 字のまちがいなら、消しゴムで消せるけど、その日にあったことは、 消しゴムじや消せないでしよう。 おも はすかしいなんて思っちゃだめ。 ごまかさないで、自分を見つめるということなのね。 につ、 そのために日記をつけるんです。 ひやくえんだか そうすれば、十円やすなんていわれないで、百円高くらいになれるわ かおあか でも、ときには、日記をつけながら、顔が赤くなることがある。 えんびつで、ぐちゃぐちゃにしてやりたくなる。 こんなことを書いたとき。 じゅうえん につ せんせい
あんまりおもしろいことを書いたので、ばくは、あしたまで待てなく よっこ。 ふとんにはいってから、わざと日記を、まくらもとにひろげておいた。 につき 日記をつけながら、ねむってしまったように見せるためだ。 でんき 電気もつけつばなしで、ねたふりをした。 はや ふつふつふ。母さん、早く読みにこないかなあ : かお かあ ばくは、うす目をあけて、母さんの顔を見るれんしゅうをした。 でも、なにしろ、土よう日の夜だから、父さんも、母さんも、テレビ にかじりついていた。 つまで待っても、こなかった。 そのうちに、ばくは、ほんとうにねてしまった。 そして、七日の日よう日。 おと 朝、とんとんという音で、目がさめた。 あさ なのか かあ よる につ」 と、つ かあ
ふたり 二人で、いまか、いまかと、できあがるのを待った。 ところが、母さんは、できただんごを、おさらにもると、まっさきに 食べはじめた。 「さあさ、たくさんめしあがれ」 くち じぶん ロではそう いいながら、自分だけで食べた。 リようて 両手でだんごをつかんでは、パ ばくも、玉ちゃんも、手がだせなくて、ばかーんとしていた。 かあ おさらに山もりのだんごを、母さんひとりで、みんな食べてしまった。 くち ほっぺたがふくらむほど、ロの中にだんごをつめこんで、もぐもぐや やま かあ 0 4
しいから持ってらっしゃいよ」 ンてつ 父さんは、あせびっしよりになっていた。 たま 玉ちゃんが消しゴムを持ってきた。 「ま ) 、消しゴム」 「まあ、 しい子ねえ」 かあ 母さんは、消しゴムをだいこんおろしのように、 してしまった。 たちまち、消しゴムのかすが山のようになった。 「えんびつには消しゴム、消しゴム」 と、つ くちなか なんていいながら、父さんのロの中におしこんだ。 と、つ かお 父さんは顔をしかめながら、しばらく、もぐもぐやっていたが、その うちに、なおってしまったらしい 「ふう、すっきりした」 かお けろっとした顔になった。 やま ごりごりとすりおろ
7 ぶたぶたぶた もう、むちゃくちゃだ。 ばくはあせった。なんとかしなくちゃ。 でも、どうしたらいいんだ ? につき につ」 そうだ、日記、日記だ。 につ医 ばくは、つくえにむかって、日記をひろげた。 かあ 母さんのくびがのびている絵がかいてある。 え ぶたがふっている絵もかいてある。 につき この日記のとおりになってしまった。 あたま なんとかしなくちゃ。ばくは頭をかかえた。 そのうちに、外で人がさわぎはしめた。 ばくには、なんのさわぎか、すぐわかった。 「ぶただ : そとひと え 4
6 田さんのくびがのびた おひるがおわって、父さんはのんびりと、ゴルフのどうぐをみがいて あそ ばくは、玉ちゃんと遊んでいた。 かあ 母さんがいった。 さんじ 「三時のおやつは、なにがいいかしらねえ。 あ、そうそ、つ、おだんごがいいわねえ。 おいしい、おいしいおだんご」 かあ 母さんは、さっそく、エプロンをつけて、おだんごをつくりはじめた。 ばくは、母さんをしんようできなかった。 てん なにしろ、えんびつを天ぶらにするくらいだもん。 へんなだんごを食べさせられちゃ、かなわない。 だから、だんごを作るところを、ずっと見はっていた。 かあ かあ と、つ
あお しばらくたってから、父さんの顔色が、だんだん青くなってきた。 いいたした。 おなかがいたいと、 かあ ばくはしんばいになって、母さんにいっこ。 「はらあ、えんびつなんか食べさせるからだ。 早く、おいしやさんをよはなきや」 なのに、母さんはわらいながら、 「ほほは。そんなおおげさな。 則ちゃん、消しゴムを持ってらっしゃ ) 「消しゴム ? なにいってんだよ。 しゃ 医ゅ、つ医、ゆ、つ車阜」よんだほ、つかいいよ」 しいかげんにしてくれ。 ふざけるのも、 もう、ばんごはんはめちゃくちゃだった。 ばくは、ごはんにたまごをかけて、みそしると、おしんこだけですま はや のり かあ と、つ かおいろ
「ふわふわ、ふわふわ、飛んだんだよ」 「母さん、びつくりしたわあ。 うしろ 天じようにはりついたりして」 テレビの後にかくれたり。 「やっといま、あみでつかまえたんだ」 「、つ にげないようにしたけどね」 でんわらよう きん、きょ 金魚ばちの上に、電話帳がのせてあった。 ばくは、うなった。 と、つ ううむ。父さんと、母さんも、なかなかやるわい おも びつくりさせてやろうと田 5 ったのに、はんたいに、 させられた。 てん えんびつの天ぶらとはちがって、 おも おしばいではできないと田 5 っていたのに。 こういうやりかたも、あるんだなあ : ばくは、かんしんした。 かあ かあ てん きんぎよ いくらなんでも、金魚が飛ぶなんて、 こっちがびつくり